ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
司祭枢機卿、ヴァスコ・ストラーダの大暴れタイム、はっじまっるよー!
ぶっちゃけ言って、少し気押されている。
それぐらい、目の前の爺さんはシャレにならない。
司祭枢機卿、ヴァスコ・ストラーダ。
この爺さん、本当に90手前なのかよ!?
『なら僕が行きます!!』
そこで闇の獣となったギャスパーが一気に跳びかかる。
闇の獣となったギャスパーはかなり身体能力がある。単純な力比べなら、俺だって苦戦する。
ギャスパーなら行けるか?
そう思った俺達の心は、完全に吹っ飛ばされた。
「いい気迫だ。だが、それだけでは―」
そう言いながら爺さんは拳を握り、そして勢い良く突き出す。
それをとっさに躱したギャスパーだけど、その拳の延長線上にあったビルが砕け散った。
嘘だろ!? サイラオーグさんかよ!!
「気をつけろギャスパー! 猊下の拳は聖拳と呼ばれ、聖なる力が籠っている!!」
マジかゼノヴィア! パンチに聖なる力ってありか!?
ギャスパーは素早く攻撃を再開するけど、それを爺さんは最小限の動きで綺麗に躱す。
今のギャスパーの速さは凄いはずだ。なのに、あの爺さんは全く当たる事なく攻撃を躱し続ける。それどころか反撃で拳を放つ余裕だってある。
ギャスパーはもちろん躱すけど、掠めただけで闇が吹き飛んで本体が見えるほどだ。
『まさか、ここまでだなんて……っ』
ギャスパーでもあの様かよ!!
畜生! なんだあの爺さん。90手前じゃなかったのか!?
なんか総理大臣並みの大暴れなんだけど!? 何あのハイスペック爺ちゃん!?
俺達が唖然となってると、爺さんは静かに首を振った。
「……貴公らは、神より賜った神器に頼りすぎているのだ」
そう言いながら、爺さんは拳を握り締める。
そこには、傲慢とか慢心とかが欠片もない、誇り高い戦士特有の力があった。
「私の力に理屈などというものはない。一心不乱な信仰と、鋼の如き鍛錬がその肉となり力になっているだけのこと。パワーは魂にも宿るが、諸君らはどうかね?」
い、言ってくれるじゃねえか!
典型的なパワー馬鹿。脳筋とまで言われるグレモリー眷属にそこまで言うとか、挑戦としか受け取れねえ!!
いいぜ。だったらこっちも本気を出してやる!
「……イッセー。あれを出すわ」
「ああ、分かってるさリアス!!」
俺は飛竜を出しながら真女王を展開。
そして、飛竜がリアスの体に纏わり付く。
そして真女王の詠唱が完了すると同時に、リアスの全身に赤い龍の鎧が形成される。
これが、リアスと俺の合体技、
飛竜が使えないという欠点はあるけど、これでリアスも俺に並び立てる戦闘能力が発揮できる。なにせ、リアスの能力は神器抜きの俺よりも遥かに強いからな!!
というわけで、行くぜ、枢機卿!!
「レーティングゲームのシステムがあるとはいえ、死んだとしても恨まないでね!!」
「よかろう。さあ、若き悪魔の姫君よ、放つがいい」
リアスの全力の魔力を、爺さんはデュランダル・レプリカで迎え撃つ。
最上級悪魔にも匹敵する消滅の魔力を切り裂くのは驚きだけど、流石に一瞬時間が掛かる。
その一瞬で俺は間合いを詰め、勢いよく拳を叩き込んだ。
「もらった!」
「ほう?」
その一撃を爺さんはデュランダル・レプリカで受け止める。
真正面からの打ち合いじゃなく受け流しだけど、確実に俺の拳を受け止めていた。
マジかよ。紅の鎧ですら捌かれるのか!?
あのグレンデルと真正面から殴り合える俺の拳を、爺さんがレプリカで受け止めるのかよ!?
俺は連続で拳を繰り出すけど、枢機卿はそれをレプリカのデュランダルで全部いなす。
まじか。パワー馬鹿と称されるグレモリー眷属の、そのまた筆頭と言われる俺の攻撃を高の簡単にいなすなんて!!
90手前の爺さんが!? しかも人間だぞ!!
……だけど、これならどうだ!?
「……避けなさい、死ぬわよ」
リアスが敬意を込めて忠告する。
そこにあるのは消滅の魔星。リアスの編み出した必殺技だ。
吸血鬼の里ではグレンデルの体の殆どを消滅させて、天界でもラードゥンを吹き飛ばした、リアスの必殺技。
レーティングゲームでの運用を全く考えない事で、凄まじい力を発揮する。もしレーティングゲームで使えば、喰らった奴はシステムの加護が間に合わずに消滅するだろうシャレにならない威力だ。喰らいたくない……。
だからあの爺さんも流石に逃げてくれないとまずい。そんな威力のものを使わないといけないってのもあれだけどね。
そして、そのリアスの必殺技を前に―
「なるほど。ならば……」
爺さんは、避けなかった。
静かにデュランダル・レプリカを構えると、そのまま力を籠める。
お、おいおい。いったい何を―
「ぬぅううんっ!!」
―そして数秒後。俺達の目の前には一刀両断された、リアスの必殺技の姿があった。
……え?
「ええええええええええっ!?」
俺はありえない光景に絶叫を上げた。
見れば、仲間達はみんな目を見開いて絶句している。
当然だ。あの魔星はリアスの必殺技で、俺達の中でもシャレにならない威力がある。っていうか、伝説の邪龍すら削りまくった大技だ。
しかも、今のリアスは俺の力を受けて能力が大幅に向上している。魔星に限定すれば、俺でもたった一つを除いてどうにかすることはできない。
それを、爺さんが、レプリカで、真っ二つ!?
「……あんた、本当に人間か?」
あり得ねえ。なんだこの爺さん!
何度も言うけど、この爺さんは90手前なんだぞ!? いくらなんでも実力だって落ちてるはずだってのに……。
「ならば、今度こそ同じデュランダルで!!」
そこを駆け出して行くのはゼノヴィアだ。
そうだ。相手はゼノヴィアの先輩にあたる人なんだ。
その跡を継いだデュランダル使いとしてみりゃ、越えたい相手なのは間違いない。
ましてやゼノヴィアのエクス・デュランダルはエクスカリバーと合体した強化型。武器の性能ならオリジナルってこと以上に上回っているはずなんだから!!
「そう。それでいい。デュランダルとは考えて使ってはいけないのだ」
爺さんは満足げに頷くと、ゼノヴィアと切り結ぶ。
それは、まるで祖父が孫に剣術を教えているかのような光景だった。
遠慮があるわけじゃない。手を抜いているわけじゃない。
だけど、それ以上に高みに導こうとする気遣いがあった。
「よいか、戦士ゼノヴィア。例えエクスカリバーと同化しようと、デュランダルの本質とは純粋な力だ。何も考えてはいけないし、力を否定してもいけない!」
その言葉を素直に聞き入れたのか、ゼノヴィアの動きは少しずつ良くなっている。
そして今までにないぐらい双方ともに勢いよく打ち込んで、そのまま鍔迫り合いになった。
「……しかし、パワーの表現とは一つではない。戦士ゼノヴィアよ、その剣の姿は貴殿が求めるものなのか?」
「ッ!?」
その言葉に、ゼノヴィアの動きが止まった。
いったん後ろに飛び退ると、そのままエクス・デュランダルに視線を向ける。
ん? え、どういうこと!?
俺がよく分からなくて首を傾げると、更に新たに一歩踏み込む人物がいた。
「では、そろそろ私の出番ということでよろしいでしょうか」
涼し気な笑みを浮かべながら、アーサーがコールブランドを引き抜きながら一歩前に出た。
ついに来たよ、最強の聖剣コールブランド。
もしかして、俺達完全に前座になってんじゃねえか?
人間で87という高齢なのに、なんでグレモリー眷属をことごとくいなしてるんでしょうかと思いますね、ホント。
老人の段階でもオリジナルのデュランダルならアーサー倒せたんじゃないでしょうか、この人。