ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、こっから事態は急転します


第六章 72 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 そのころ俺たちは、二人の悪魔祓い相手に苦戦しまくっていた。

 

 っていうか、色っぽいお姉さんの方が俺たち悪魔にはヤバイ!!

 

 右手から大量に光の槍を形成すると、一斉に投げつけて攻撃してきやがる。

 

「避けるな! 当たらないでしょ!!」

 

「当たったら死ぬってこれは!!」

 

 さっきまで猊下とまじバトルして死にかけてる俺たちにこれはキツイ!! っていうか勘弁してくれよ!!

 

 このお姉さん、遠慮なく攻撃叩き込んでくるからキツイ!! 

 

 なんだよこの人。よくわからないけど、このシャボン玉で戦意喪失したりしねえのかよ?

 

「あんたたちも! 少しはしゃっきりしなさい!!」

 

 そう、そのお姉さんは檄を飛ばす。

 

 その目には必死の懇願と、失望の怒りがにじんでいる。

 

「どれだけこいつらがかっこつけようと、悪い悪魔はいるのよ!? それを討つ私たちの役目を勝手な都合で奪われて、悔しくないの!? むかつかないの!?」

 

「……それは……っ」

 

 力なく、悪魔祓いの一人がそう答える。

 

 なんかよくわからないけど、さっきのシャボン玉は大切な思い出を思い出させる能力だ。

 

 そして悪魔祓いの大半は、悪魔に大事な人を殺された経験がある。その復讐ができなくなることを受け入れられなかったからこそ、我慢の限界に達しかけていた。

 

 そういう人たちに、本当に大事なことを思い出させることで無力化させたのが、あのシャボン玉だ。

 

 だけど、このお姉さんはその影響を受けても、俺たちに対する敵意を隠さない。

 

 それはつまり、大事なものを覚えているからこそ、俺たちが許せないということで―

 

「確かにいい悪魔もいる。でも悪い奴らもゴロゴロいる。それを討つのが私たちの役目。それをやめろと言われて、本当にあんたたちは納得できるの!?」

 

 そう言いながら、お姉さんは光の剣を右手から生み出して俺に切りかかる。

 

 俺は乳語翻訳で動きを読むことはできたけど、それをすることができなかった。

 

 何ていうか、それだと彼女の思いは受け止められない。そんな気がしたから。

 

「立ちなさいよ! 大事なことがあるのなら、それを汚した奴らを許していいわけがないでしょう!?」

 

 その言葉は、心からの叫びだった。

 

 このお姉さんの本音がそれだ。

 

「私は嫌よ! 私を受け入れてくれた人たちが、屑の悪魔に殺されたのを知ってるもの!!」

 

 ……っ!

 

 俺たちが一瞬躊躇した好きに、そのお姉さんは声を張り上げる。

 

「討つべき悪魔はいるでしょう!! それまでさせない奴らに、おとなしく従う気なの!?」

 

 その声に、悪魔祓いたちが立ち上がる。

 

 そして、俺たちを蘇った敵意でにらみつけた。

 

「そうだ。……あいつは、あいつはいいやつだったのに……っ」

 

「ああ。あの思い出を思い出にしてしまったのは、お前ら悪魔だ!!」

 

 立ち上がる悪魔祓いたちの数は全体の半分ぐらいだけど、だけど確かにいる。

 

 彼らは一様に、俺たちを、悪魔をにらみつけていた。

 

 その目に映っているのは、怒りと憎しみだ。

 

 俺たちが許せない。俺たちが憎い。俺たちが嫌いでたまらない。

 

 そんな感情を向けて、悪魔祓いたちは立ち上がると攻撃を再開する。

 

「邪悪な悪魔はいる、いるんだ!!」

 

「それを討つ邪魔をするな、悪魔(ディアボロス)ごときが!!」

 

 それは、一瞬だった。

 

 彼らは心の底から敵意を燃やし、一気に燃え広がる。

 

 シャボン玉は今でも浮かんで、俺たちはもちろん悪魔祓いたちにもあたって消えていく。

 

 それでも……それでも、それがどうしたと言いたげに、彼らは戦意を再び燃やして立ちふさがった。

 

「討ち取られろ、邪悪!!」

 

 もう、彼らを止める者はいない。

 

 ああ、そうだ。

 

 悪魔の中にとんでもないのがいることなんてわかってるじゃないか。俺たちだって見てきただろう。

 

 旧家の悪魔たちがソーナ会長の夢を笑ったところを見ただろう。何人もの悪魔が旧魔王派に寝返った。そして、人間たちを獲物にしようとしたところだって見てきたはずだ。

 

 だけど、それでも……っ!!

 

 俺が何かを言おうとしたとき、ここにはいなかった仲間たちが踏み込んできた。

 

「それでも、僕たちは平和がほしい!!」

 

 木場が、今まで以上に輝く聖魔剣を構えて、悪魔祓いの攻撃を弾き飛ばす。

 

 悪魔祓いの光の剣を、魔剣時代から使ってる光を喰らう剣でかき消しながら、木場は声を張り上げた。

 

「僕たちは平和に生きたいだけだ。そこにいる友たちと、仲間たちと!!」

 

 真正面からそう声を張り上げる木場に応えるように、さらに新しい剣が振るわれる。

 

 聖剣オートクレール。その斬撃が邪念を浄化しながら、イリナもまた声を張り上げた。

 

「悪い悪魔は確かにいるわ。でも、いい悪魔がいることを私は知ってる! ミカエル様のAが保証するわ!!」

 

 俺たちに襲い掛かる攻撃を切り払いながら、イリナは心からの声を張り上げる。

 

「悪い悪魔もいれば、いい悪魔もいる。異なる神々には善神も悪神もいる! そういうことなのよ!!」

 

 その言葉に、ヒロイと切り結んでいるストラーダ猊下が笑った。

 

「ははははは! 天使が異教の神々を語るとは、これもまた和平ということか!」

 

 まるでストラーダ猊下は、その言葉を待っていたかのようだった。

 

 心からその言葉を受け止め、そして真正面からそれが聞きたかったと言いたげに、攻防を繰り広げながらも笑っている。

 

 そして、隙を見せない程度に上を見上げた。

 

 その表情は、どこか満足げだった。

 

「同胞たちよ。聞いたであろう? これが彼等と我らの違いだ」

 

 そういう猊下の目は、俺たちに慈愛を向けていた。

 

 まさかこの爺さん、その言葉を俺たちに言わせるために態々こんなことをしたってのか?

 

 俺がそんな疑問を抱いているなか、猊下はヒロイの猛攻をしのぎながらさらに言ってくる。

 

「確かに我らは不満をぶつけるためにここに来た。だが、彼らはそれを何とか受け止めようと努力してきた、その時点で、我々は負けていたのだよ」

 

 この爺さん。……すごく大きな人なんじゃないのか?

 

 俺がそう思ったその時―

 

「―ふざけるな!!」

 

 その声と共に、光の銃が俺たちじゃなくて猊下を狙って放たれた。

 

 なんだ!? 光の銃は悪魔祓いだけが持っている武器のはずだぞ!?

 

 俺たちが狼狽する中、猊下は驚きながらもそれを迎撃する。

 

 だけど、その表情は今までにないぐらい驚いていた。

 

 そして、攻撃を放った悪魔祓いは歯を食いしばりながら猊下をにらみつける。

 

「……悪魔は愚か吸血鬼たちと和平を結ぶ。そんなふざけた連中が俺たちより上だと!? そんなこと認められるか!!」

 

 涙すら流しながら、歯を食いしばってにらみつけるその悪魔祓いに同意するように、さらに立ち上がる人たちは増えていった。

 

 その全員が、俺たちだけじゃなくて猊下すらにらみつけていた。

 

「そうだ! そんなこと納得できるか!!」

 

「たとえ煉獄に堕ちようと、悪魔たちを認められるか!!」

 

「仮にも天使に選ばれたものや猊下すらそのような世迷言を!! ……もう、こちらも我慢の限界だ!!」

 

 少しでも変わると思った空気が、一気に悪い方向に傾いてるよな、コレ?

 

 まずいんじゃないか?

 

 これは、あくまで演習のはずだった。だから死人が出ないようにするつもりだったし、そういう予定で動いていた。

 

 だけど、このままだと……っ!

 

 俺たちがそう思ったその時だった。

 

 振動が、響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は管制室で試合を見ていた。

 

 大半の悪魔祓いはこの機に鬱憤を晴らしに来たんだろうが、たぶんヴァスコ・ストラーダとエヴァルド・クリスタリディは違うだろうと思っていた。

 

 あいつらは大局的にものが見える。出なけりゃ、枢機卿なんて立場に選ばれているわけがねえ。

 

 だから何かあると思って、このタイミングで起こっていた裏をしらべていたら見事に当たった。

 

 教会の不満分子をあおっていた連中が、リゼヴィムのあおりを受けていたことが分かった。それも、このタイミングでこの空間に移動するための転移術式も漏らしていたって寸法だ。

 

 ま、リゼヴィムのような煽りの鬼才からしてみりゃカモネギ以外の何物でもねえわな。

 

 だが、わかっちまえばあとは取り押さえられる。そもそもリゼヴィムからしても、たぶん本命じゃねえ。うまく行きゃそれで十分ってところだろうな。

 

 それにこっちも対策は万全だ。対量産型邪龍用の術式はロスヴァイセが完成させた。さらに鳶尾も呼んで置いたし、ほかにも人員を派遣している。

 

 だから、タイミングを計って仕掛けるつもりだろうがそれがどうしたってわけだ。たぶんだが対クリフォトに関していや、あっさり解決するんじゃねえかって気がするぜ。今までで一番楽に解決するんじゃねえか?

 

 ま、相手はあのリムヴァンまでいるんだ。念には念を入れた方がいいんだろうが、演習の方はこの調子ならイッセーたちが勝ちそうだな。

 

 そう、たかをくくっていたんだが……。

 

「総督!! 戦意を喪失していた悪魔祓いたちが、立ち上がって再び戦い始めています!!」

 

 オペレーターの焦り声も分かるってもんだ。

 

 デュリオの奴の隠し玉で戦意を喪失していた連中が、プルガトリオ機関の連中の激を受けて戦意を再び燃え上がらせやがった。それも、止めようとした同胞たちにまで牙をむいてきた。

 

 まずいな。こっちに関していや、正直大丈夫だと高をくくっていたから、対策に関していや、後手に回っている。

 

 おいおい。この展開は想定外だぞ。

 

「とりあえず落ち着け。レーティングゲームのシステムは機能してるんだから、死人が出ることはねえはずだ」

 

 俺は管制室の連中に声を飛ばしながら、すぐに事態の収拾を図る。

 

 すでに仲間割れすら起きている状況なら、演習の前提が崩れている。

 

 後が揉めるのはわかってるが、とりあえず演習を中止にするっていうことも考えるべきだな。

 

 つっても最悪なのは―

 

「……ヴィクターが突っかかってくるなら最適なタイミングだ! 全員警戒厳重にしろ!!」

 

 俺がそう言った、まさにその時だった。

 

 緊急警報が管制室に響く。

 

 そして同時に、黒い霧が管制室の中にまで広がりやがった。

 

 絶霧か! だが舐めるな!!

 

 この部屋は神器研究の成果を最大限に発揮して、対絶霧用の装備を厳重に仕込んでいる。そう簡単には絶霧の影響は出てこねえ。

 

 それに転移関係の術者も複数人用意している。すぐに対処すれば迎撃はできる。

 

 そしてもちろん、訓練された連中が対処を開始する。

 

 絶霧はすぐに活動を停止して、霧散していく。

 

 ……よし。これなら俺たちに転移されている連中はいねえ。逆にこっちに転移するにしても、数人程度が限界のはずだ。

 

 俺がいりゃぁ何とかなる。そう願いたいが―

 

 そう思いながら晴れていく霧を見て、俺は目を見開いた。

 

 晴れた霧の中にあったのは、筒状の物体だ。それも、三画のマークが書かれている。

 

 明らかに、核爆弾だ。

 

「……全員結界を張れぇえええええ!!!」

 

 

 

 

 




 大切な思い出を持っているがゆえに、三大勢力の和平がどうしても認められない鈴蘭。彼女の言葉が悪魔祓いたちをたくさん動かしました。……悪い意味で。

 以前アンチ作品の感想で、「イッセーたちがテオドロの訴えをガンスルーしたのが悪い意味で衝撃的」だったという意見を呼んだのはたぶんどっかで書いたはずです。

 実際のところは何処の勢力も我慢している部分はあるので、若干的外れというか原作勝ってんのかっていう感じの意見ではあります。ですがまあ、まったく一理がないわけでもない。そこに第二部のアイディアがまとまってきたこともあって、急遽こういった形になりました。







 そして、ついにヴィクターも動き出します。

 小型乍らも核攻撃すらぶちかましてきたヴィクター。さらに今回は少々特殊な事態が発生しておりまして……次回どうなるかお楽しみに!!
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