ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ちょっと今回は、話の都合で短めです。


因みに書き溜めはあとちょっとでベリアル偏終了まで行きます。それが終われば第一部最終章を書きだすことになるでしょう。


第六章 73

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 振動が空間を震わせたと同じタイミングで、通信が響いた。

 

『こちら、第三小隊!! 負傷者が転移されない!! 転移関係のシステムにエラーが出てきてやがる!!』

 

 ……なんだって?

 

 おい、嘘だろ?

 

 このヤバイ空気のタイミングで、よりにもよって転移ができないって、まずくねえか?

 

 そして、その連絡は悪魔祓いの方にも伝わったらしい。

 

 少し動揺がしたと思ったけど、すぐに敵意の視線を俺たちに向ける。

 

「どうやら、これで悪魔の連中を殺せるみたいだな……っ」

 

 なんかマズイ。明らかに敵意が向けられている。

 

 いや、違う。これは敵意なんて生易しいものなんかじゃねえ。……殺意だ。

 

「このタイミングを逃すな。行くぞ!!」

 

「ああ、そうだ! 忌々しい和平を結ばせたグレモリー眷属め……っ!!」

 

「もう地獄に堕ちようが構うものか!! ここで貴様らだけは!!」

 

 そう言うなり、本気の殺意で俺たちに攻撃をたた込んでくる。

 

 まずい!! このままだと、俺たちも殺さないで鎮圧なんていってられないぞ!?

 

 本気で殺しにくる連中が、明らかにブちぎれて襲い掛かってくる。

 

 俺は何とか取り押さえてそれをなだめようとするけど、その瞬間に掴んだ奴が逆に俺に組み付いた。

 

「今だ!! 俺ごと討てぇええええ!!!」

 

 ……なんだって?

 

 そんな。そんなことしてまで、俺たちをどうにかしたいのかよ!?

 

 それが悲しくて、痛ましくて、俺は本気で泣きそうになり―

 

「―ああ、先に待っていてくれ」

 

 その言葉とともに、そいつごと俺を光の剣が貫いた。

 

 いっ痛ぇぇええええっ!?

 

 クソッタレ! 久しぶりの光の攻撃はさすがにキツイ!!

 

 ってそんなこと言ってる場合じゃねえ。早くこの光の剣を引き抜いてアーシアの治療をさせないと、俺はともかくこの悪魔祓いが!!

 

 俺がそんなことを思いながら体に力を入れたその時だ。

 

 ……悪魔祓いは、懐から爆弾を取り出していた。

 

「死ね! 人間を捨てた背信者が!!」

 

 そう言い捨てながら、そいつは爆弾のスイッチを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side OUt

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ!?

 

 くそ! 状況が二転三転してねえか、オイ!!

 

 猊下に一発ぶちかませると思って気合入れてたが、いくらなんでもこれはさすがにまずいだろ!!

 

「どうすんだ猊下! 思った以上に悪魔祓いたちの不満がでかいぞ!」

 

「よもや、ここまでとは……」

 

 流石の猊下も困り顔だよ。どんだけだよ悪魔祓いたちの不満は!!

 

 っていうかな、和平結んで束縛されてんのは何処の勢力だって大なり小なり一緒なんだっつの。悪魔祓いたちだけが行動を束縛されてるわけじゃねえんだよ。

 

 それを、さも自分だけ不幸みたいに暴れやがって。悪魔側や堕天使側だって行動を制限されている部分はいくらでもあるってのが想像できねえのか!?

 

「ヒロイ・カッシウス!!」

 

 と思ったらこっちにまで攻撃が飛んできやがったしなぁ、おい!!

 

 俺はバックステップでかわしながら、その攻撃に対して迎撃を叩き込む。

 

 つっても敵も勝てると思って仕掛けてきたみたいだ。身体能力強化系の神器を持っているのか、こっちの攻撃を意外と素早くかわしてきやがる。

 

 そんでもって、俺の耐久力が低いと踏んだのか光の銃で攻撃を放ってきやがった。

 

「悪魔の側につきながら、聖槍を宿すなど我慢ならん!! ここで粛正してくれる!!」

 

「てめえらのそれは粛正じゃなくて粛清じゃねえのか、オイ!!」

 

 ガウスキャノンと光力の銃弾の撃ち合いを繰り広げながら、俺たちは走り出す。

 

 こいつら、状況分かってんのか!?

 

「てめえら! これがガス抜きが目的だってわかってんか!!」

 

「ふざけるな! 我々は悪魔たちに飼いならされたりなどしない!! 死んでも悪魔祓い(エクソシスト)として殉じる!!」

 

 そう言いながらさらに悪魔祓いの数は増えていく。

 

 そして奴らは包囲して攻撃を叩き込んだ。

 

 ……そうかい。

 

「だったらそのまま殉じてろ!!」

 

 俺は、覚悟を決めた。

 

 そして全方位に加減無用で急所狙いの魔剣を放ち、()を撃ち貫く。

 

 ああ、俺はようやくわかった。

 

 三大勢力の和平は、これ以上闘って人類を巻き込んで自分たちが滅びないようにするためのものだ。

 

 だからどこも、我慢するべきところは我慢しながらやっていってる。そして仲良くできる方法を探している。

 

 これはあくまで鬱憤晴らしだ。溜まっているガスを抜いて、我慢できるようにするイベントだ。ついでに俺も鬱憤晴らしをしたが、これはお互い様だと個人的に思う。

 

 だけど、こいつらは違う。

 

 我慢してでも仲良くしようという気がない。戦いがむなしいとか思っていない。ガスを抜く以前に、我慢する気がない。それ以前に、結果として自分たちが死んでもいいと思っている。

 

 そんな奴らに気を使ってやる必要がどこにある?

 

 旧魔王派に鞍替えした悪魔の連中と同じだ。遠慮してやる必要なんてどこにもない。

 

「もういいよ。お前ら全員、ここで死ね」

 

 俺は遠慮する気はない。

 

 リセス・イドアルの輝きとして。シシーリア・ディアラクの輝きとして。そして何より、平和を望む者たちの輝きとして。

 

 ……お互いに我慢するところは我慢するっている大前提。それを守れない連中をここで駆除しよう。

 

 さらに仕掛けてくる悪魔祓いの脳天に聖槍を叩き込みながら、俺は害獣を見る目で周りを見渡す。

 

 そこにいるのは悪魔祓い。目の前で何人も仲間が死んでも、おびえじゃなくて怒りと憎悪を向けている。そういう連中。

 

 ようは、我慢する気がない連中だ。

 

 いいだろ、別に、こいつら旧魔王派に亡命しようとした奴らと同様だ。

 

「こっから先は害獣駆除だ。……先に仕掛けたのはそっちの方だって忘れるなよ」

 

 俺は、聖槍を消すと魔剣に持ち替えて戦闘を開始する。

 

 聖槍で処罰されるのはこいつらにとっては栄光だろうが、それは聖書の神の遺志に悪い。

 

 せめて聖書の神に、これ以上こいつらの血をつけないことが礼儀だ。信仰心がないなりに、それ位の遠慮ってもんはするんだぜ、俺は。

 




ヒロイ「あまり人のことをとやかく悪く言えねえけど、お前ら最悪だ」


完全にノリがイスラム過激派になってきている悪魔祓いの過激派。故にヒロイは一切の容赦をしません。ストラーダとの戦闘も当然諦めます。

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