ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第六章 74

 そして、俺が一歩を踏み出した時だ。

 

 空間が二か所で同時に裂ける。そして、二つの猛威が現れた。

 

 一つは大量の邪龍たち。それこそ千や二千じゃ効かない数の邪龍が現れている。しかもほかにも何百体のドーインジャーもいる。

 

 そしてもう一つは、空を飛ぶ戦艦だった。

 

 空を飛ぶ、戦艦だった。

 

 ……なにこれ。

 

 思わず唖然となる俺たちの視線の先、その戦艦から声が飛ぶ。

 

『真に信仰に生きる者たちよ! 此処は引くのだ!!』

 

 その声と共に、何体もの白い鎧騎士が現れて俺たちに襲い掛かる。

 

 俺たちはそれを迎撃するが、しかしその騎士たちは数が多くてなかなか仕留めきれない。

 

 さらにその騎士たちは、戦意を見せている悪魔祓いをかばうように行動している。

 

 ……なんか、嫌な予感がするぞ。

 

「……あなた達、いったい何者なの!?」

 

 お嬢が指を突き付けてそういうと、空中戦艦から返答が届いた。

 

『我々は真なる信仰に生きるため、腐敗した聖書の神の遺志と天使たちに牙をむくことを決意した者たちだ』

 

 ……おいおい、よりにもよって聖書の神の遺志すら腐敗したとか言ってきたぞ。

 

 流石に頭がおかしいんじゃねえかオイ。聖書の教えを信仰する連中が、聖書の神の遺志に疑問を持つってのもおかしくねえか?

 

 ……さすがにこれは、覇輝を使ってでも説得した方がいいんじゃねえかと思ったが、やっぱ無理だな。

 

 聖書の神の遺志が腐敗したとか言ってるんだ。覇輝を使っても鎮圧できる気がしねえ。

 

 ったく。まあ、ある意味好都合な気がしてきたな。

 

 現悪魔政権の膿が一斉に旧魔王派に亡命しようとして駆除できたのと同様だ。こいつらを排除することができたのなら、教会の反対勢力は一掃できる。

 

 ここで奴らを滅ぼせさえできれば―

 

『ああ、言っておくがわれわれを即座に殺せると思わないことだ』

 

 その言葉と同時に、俺たちの周囲の景色が一瞬で切り替わった。

 

 ……なんだ!? なんかギリシャっていうか地中海っぽい感じの風景になったぞ!?

 

 俺がそう戸惑っていると、そこに声が響く。

 

「貴方方には悪いですが、彼らの撤退支援が技術供与の見返りですので」

 

 その声に振り返れば、そこにいたのはデイア・コルキスだった。

 

 チッ! イグドラフォースまで来るとは、結構本腰入れて仕掛けてきたってことか!!

 

 っていうか、技術供与だと?

 

「……まさか、内通者は最初からそれが目的で!?」

 

 お嬢が何かに気づいたのか、目を見開いた。

 

 俺もなんか嫌な予感がしてきたぞ。

 

 いったいなんだ?

 

 そんな空気の中、さらに新たな乱入者が大挙して現れる。

 

「あらあら~ん? 燃え萌えしに来ましたけど、その前に説明タイムが必要なのかしらぁん?」

 

「不本意……です。けど、ある意味わかりやすくなる……です」

 

 邪龍を率いて現れたヴァルプルガ。そして複数人の人間を引き連れて現れた、アンナ・ヴェーゲリン。

 

 アンナが率いているってことは、あいつら全員ファミリアか? 一見すると普通の人間に見えるってのが気になるな。

 

 いや、戦意を燃やしているあいつらは完璧に強者のそれだ。

 

 ファミリア。思った以上にいろいろある組織なようだな、こりゃ。

 

 そんな連中を前に、戦意を喪失したままだった悪魔祓いが苛立ち混じれに銃を向ける。

 

 このいろいろ一気に怒りまくったイベントのせいで、いい加減に向こうもブチギレ気味ってわけか。ま、そうだろうな。

 

「何のつもりだヴィクター経済連合! あの船と、暴走した者たちは貴様らの差し金か!?」

 

 そうとういっぱいいっぱいなのが見てる俺でもわかる。

 

 不満満々でイライラしていたところにストレス発散の機会を得て暴れていた。そこに謎のシャボン玉で忘れていたこととやらを思い出して、いろいろ来た。しかしそれで逆にプッツンした連中が出てきて大暴れする始末。はっきり言って切れてもいいだろうコレ。

 

 だが、逆にファミリアの方がその態度に怒りを燃やし始めた。

 

「あなたたちが言うな……です」

 

 魔方陣を展開しながら、アンナが一歩前に出る。

 

 そして、それに続くようにファミリアのメンバーもまた、前に出た。

 

「黙って様子を見てりゃぁ、よくもまあ、あんだけ棚上げできるもんだ」

 

「此処でお前らを全員潰して、俺たちの怨恨を清算してやる……」

 

「教会の独善主義者が。覚悟しやがれ」

 

 ……おいおい。今度は何だよマジで。

 

「うふふ。ファミリアの皆さんはかつて教会に魔女認定された者たちの末裔で構成されてますものねん♪ 教会の人たちが理不尽を訴えるなんて、どの口が言うようなものだって感じですのよねん?」

 

 あ~。そういう連中。

 

 ま、一時期の聖書の教えはかなり排他的な連中だったからなぁ。そりゃ相応に恨まれてたりもしてるんだろうが……。

 

「何百年も前の話だろうに。……自分が直接されたわけでもないのに恨むって、なんかおかしくねえか?」

 

 少なくとも、ヴィクターの連中と組んでそれ以上に世界で血を流してまですることか?

 

 俺はそう思って挑発半分で言うが、アンナたちは苦笑すると頷いた。

 

 ……わかっててやるのか?

 

「そう……です。それぐらい、私達は教会に敵意がある……です」

 

 そしてあえて銃と剣を構えながら、アンナは一歩前に出た。

 

 そして武器を構えながら腰を落とす。

 

「そして次の代にまでのこさない……です。ここで徹底的にうらみを叩きつけて清算して、終わらせる……です」

 

 なるほどね。

 

 後代に遺さないために自分たちの代で終わらせるってか。それだけ聞けばある意味立派だよな。

 

「……なるほど。我らの先代たちが成し遂げてきた理不尽は確かにある。そのうえで、我らが理不尽を感じようと、確かにそれを嘆くには多くの血を流しすぎたのは事実」

 

 それに向き合いながら、猊下は自嘲の表情を浮かべる。

 

 それをアンナは無言で見つめていた。そこには戦意と敵意はあっても、憎悪はない。

 

「ある意味八つ当たりなのは、わかっている……です」

 

「いな。それはこのような手段に訴えなければクーデターを起こしていたであろう我らがとやかく言える筋合いではないのだろう」

 

 アンナの言葉にそう答え、猊下は静かに空を見上げる。

 

 その目に映ってるのは、一体何なんだろうか。

 

「全力でぶつかり、全力で応えてくれるものがいればわかってくれると思ったのだが、どうやら私の見積もりは甘かったようだ」

 

「そう……です。今回の作戦も、技術協力と引き換えに彼らが立てたもの……です」

 

 まじかよ。っていうかヴィクターが奴らに技術提供ってことは、あの飛行船はヴィクターとは別口なのか。

 

 ヴィクターに下るのでも積極的に世界に関わらないわけでも、当然俺たちとともに戦うわけでもない。第四の道を歩くといっても過言じゃないことをしてきやがった。

 

 これ、もしかしてかなりまずくねえか?

 

 俺が警戒心を強くしている中、アンヌは一歩前に出る。

 

 そして、その鋭い視線を猊下たちに向けた。

 

「自分達に正義があると妄信するその行動。今まであなた達信徒が積み重ねてきたツケを、今こそ払う……です!」

 

 そして、戦闘はさらに激しくややこしくなってきやがったよ、此畜生が!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は怪我をアーシアに治してもらいながら、この事態に驚いていた。

 

 なんだよ、この事態は!!

 

 今回の演習は、悪魔祓いの鬱憤を晴らさせるのが目的だったんじゃないのかよ!? なんで爆発したどころかさらにやばいことになってんだ!!

 

 ……これが、ヴァーリの言ってたことなのか? 俺が平和と感じることが、苦痛に思う人たちがいるってことなのか?

 

 くそ! 俺たちは平和に生きていきたいだけだってのに! なんでどいつもこいつも世界の命運とか高みに至るとかただ暴れたいとか言ってくるんだ! はっきり言って迷惑だ!!

 

「アーシア。イッセーは大丈夫?」

 

「はい、リアスお姉様。ですが……」

 

 リアスにそう答えるアーシアが、悲痛な視線を俺のとなりに向ける。

 

 そこには、黒焦げになった悪魔祓いの死体があった。

 

 さすがにもう死んでるやつまでは、アーシアの神器じゃ治療できない。この人はもう無理だ。

 

 というより、皆割とショックがあるみたいだ。

 

 だよな。なんだかんだで俺たちの周りの人は、和平に好意的な人が多かったからな。反対意見を言ってくる人は、たいていの場合覗き魔の俺より問題が多かったのもあったし。

 

 だけど、これはさすがにキツイ。

 

 本気で正義を信じて、だからこそ俺たちを認めない。いま戦ってたのはそういう人たちだ。

 

 明らかに悪党以外の何物でもない旧魔王派とは違う。

 

 正義とかそういうのとはまったく別の理由で戦っている、英雄派とも違う。

 

 悪意以外の何も感じられないような作戦で動く、クリフォトとも違う。

 

 数百年前の先祖の恨みを晴らすために戦っている、おれからしたらよくわからないアルケイデスやノイエラグナロク、アステカやファミリアとも違う。

 

 戦争で死ぬことが素晴らしいとかいう、意味の分からないリヒーティーカーツェーンとも違う。

 

 あくまで傭兵の集まりな、コノート組合とも違う。

 

 正真正銘、ほんの少し前の恨みで俺たちに牙を向いてる。そして、さらにやばい方向になった。

 

 あいつらの増援は、聖書の神の遺志すら腐敗したとか言ってきやがった。

 

 実は、聖書の神の教えを信仰してるなら、ヒロイに頼み込んで覇輝とか使ってもらえば何とかなるんじゃないかって思ってた。

 

 いや、もしかしたらあの人たちに協力する可能性があるのはわかってる。

 

 だけど、聖書の神の遺志は何度か俺たちに協力してくれた。もしかしたら、聖書の神の遺志は俺たちのことを認めてくれるのかもしれない、なら、聖書の神の遺志が悪魔祓いたちを説得してくれる可能性はあった。

 

 だけど、それももう無理だ。

 

 あいつらは聖書の神の遺志を見放したんだ。もう、聖書の神の遺志が説得する方向で言っても聞いたりしないだろう。

 

 そんなにかよ、そんなに俺たちが憎いのかよ。

 

 そりゃ、悪魔の中にも悪い奴はいる。だけどそれはお互い様だろ。

 

 教会だって聖剣計画とかいろいろやらかしてるだろうに、なんで俺たちが全部悪人みたいな見方されなきゃならないんだよ。

 

 ……俺たちにとっての平和は、そんなに苦痛なのかよ!!

 

「……どうやら、今回の展開がそれほどまでに気に食わないようですね」

 

 その声に、俺たちは振り向いた。

 

 そこにいたのは狼を模したプロテクターを付けた女の子。

 

 イグドラフォースの、イグドラハティ!! アルケイデスのデイア・コルキスかよ!!

 

「……ですが、私達アルケイデスよりもはるかに正当性がある復讐でしょう。そこまで否定はできないのではありませんか?」

 

 そういうデイアは、静かに魔方陣を展開する。

 

 その数も質もロスヴァイセさんに匹敵する。それだけの実力者が目の前の相手だ。

 

 そして、デイアはプロテクターの下で目を伏せた気がする。

 

「私達アルケイデスは、オリュンポスの神々の奔放に振り回された者たちの末裔です」

 

 ……。

 

 俺たちが沈黙する中、デイアも苦笑する。

 

「数千年も昔の先祖の恨みですから、貴方方には理解しがたいでしょう。それでも私たちにとっては恨みがあるのもまた事実」

 

 そしてその言葉と共に、デイアは大量の魔方陣を作り出した。

 

「先祖の恨みを晴らすため、貴方方(邪魔者)には消えてもらいます!!」

 

 その言葉と一緒に、俺たちに向かって大量の魔法攻撃が放たれた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




 もう完全に飛行戦艦引き連れた連中は、アルカイ〇とかIS何とかのノリで作りました。いろいろ混乱状態の情勢では極端な思想に縋る連中が多いですが、これもその口です。

 この戦艦の持ちぬしは、二部にむけての伏線です。ヴィクター側とこの勢力が使用する新たな混乱を生み出す技術の安定化確立のための技術をお互いに提供するという交渉。それを飲むことと引き換えに、この演習で逆に不満が爆発した者たちを回収。その支援のついでに目障りな連中をぶちのめすのがヴィクターの作戦です。
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