ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
それはそれとして、本日休養があって少々投稿が遅れました。申し訳ない。
ちょっとここ数日、俺たちは気が気じゃねえ日々を送り続けていた。
なんでかって? 行方不明なんだよ、大事な仲間が。
ことの発端は皇帝ベリアルとライザー・フェニックスのレーティングゲーム。これが予想外の展開を見せたことだ。
途中までは予定調和だ。ライザー・フェニックスのチームがぼろ負けていうか……ストレートに削られていった。
ま、これは当然。なにせ相手はレーティングゲームの現トップであるディハウザー・ベリアル。そしてライザーなにがしは所詮若手の期待のホープでしかねえ。差がありすぎる。
三十分立たずにライザーとレイヴェルだけになり、王自ら進軍することになる。
そして洞窟に入って皇帝とぶつかったあたりで……急に映像が途切れた。
『レーティングゲーム中に突然の事故』
『王者ベリアルが試合中に消息不明!』
『フェニックス家三男も王者とともに行方知れずに!!』
とまぁ、マスコミもこぞって取り上げてやがる。
まあ、ヴィクターにいろいろやられてる中、その沈んだ情勢を活気づけるために行われたイベントだからな。
それが、ふたを開けてみれば更なる大事件勃発。それも、超有名どころを巻き込んだ大騒ぎだ。
なにせ行方不明になったのは、レーティングゲームの王者であるディハウザー・ベリアル。
魔王に匹敵するとすら言われる超優秀な実力者だ。それが行方不明になるだなんて、大事件以外の何者でもねえ。
「それで部長? 追加情報とか入ってないんすか?」
「駄目ね。グレモリーは愚か、ベリアル家が属する大王派も分かってないみたい。サイラオーグも何もわからないって言っていたわ」
ペトに対するお嬢の答えは芳しくない。
ったく。教会の悪魔祓いが本格的に反乱起こして別組織を立ち上げたかと思ったら、今度は悪魔側でも大混乱かよ。
堕天使陣営がちっとばかり羨ましいぜ。内通者はごっそり抜けて綺麗になったし、そのせいで上層部は一枚岩だからよ。
兎にも角にも行方不明だ。それも、超一流って言葉が生ぬるいほどの実力者が。
冥界政府はヴィクターが絡んでいると判断。捜索チームを結成している。
ゲームの運営側はもちろん、軍や警察も動員された非常事態だ。
こっちとしても身内が巻き込まれて行方不明。姐さんは最近捜索隊に参加して数日間返ってこない。
ったく。どうしてこんなことになったのかねぇ……!!
「レイヴェル……」
小猫ちゃんもへこんでるのが丸わかりだ。
ったく。普段からその気にしっぷりをレイヴェルにも向けてりゃいいのにさ。ツンデレ気質だな、この子も。
「皇帝もライザー氏も実力者だ。それにレーティングゲームのフィールドは最近緊急用の対策が強化されたばかりだというのに……」
「やはり、レーティングゲームの運営陣に内通者がいるとしか考えられませんわ」
木場と朱乃さんがそう話し合うなか、イッセーは食い入るようにテレビを見つめていた。
「レイヴェル、ライザー……っ」
イッセー……。
レイヴェルはイッセーのマネージャーで、将来嫁入りすることも前提だったしな。ライザーってのも最近よく話してたらしいし、それにエロ仲間っぽいところがある。
こっちもこっちでいっぱいいっぱいだな。こりゃ、俺らでフォローする必要があるっぽいか。
「イッセー先輩に小猫ちゃん……」
「お二人とも、気をしっかり持ってくださいね?」
ギャスパーとアーシアがフォローする中、俺はイリナに顔を向ける。
「天界はどう動くかわかるか?」
「それが、ちょっと難しいのよ……」
正直期待してたんだが、イリナの表情はちょっと期待に添わなかった。
「カルディナーレ聖教国がらみで現存していた教会関係者の三割が離反。ヴィクター側の教会陣営も八割が彼等についたらしいわ。その対応でこちらも手いっぱいで……」
「まったく。カルディナーレ聖教国も面倒なタイミングで動いてくれたものだ」
イリナの言葉に、ゼノヴィアが苛立たし気に壁を叩く。
まったくだ。あいつ等情勢分かってんのかねぇ。
しかしどうする? このまま指をくわえてみてるってのも……。
「皆、いる?」
「待たせたな。追加情報を持ってきたぜ」
と、そのタイミングで姐さんと先生が返ってきた。
みんなが詰め寄るようにして二人に集まる。
特に追加情報ってのが耳寄りだな。このタイミングで持ってきたってことは、少しぐらいいい情報だと期待したいもんだ。
「先生! レイヴェルとライザーの行方は!?」
イッセーが食い掛るように言う。
それを手でなだめて、アザゼル先生がため息をついた。
「そっちについてはまだだが、一つだけ分かった」
なんだ?
なんか微妙に嫌な予感がするんだがよ。やっぱりまたヴィクターか。ヴィクターなのか?
「皇帝とライなのとかの試合で、不正が行われたみたいなのよ」
と、姐さんが続けて言った言葉に、一瞬だけ沈黙が響いた。
なんだ? え、不正?
「そんな、皇帝が不正したっていうんですか!?」
「即答で皇帝確定かよ!?」
イッセーの大声に俺はツッコミを入れた。
おいおいちょっと待て。お前皇帝が不正する理由ねえだろ。勝ち確定の状況でなんで不正する必要があるんだよ。
俺もちょっとしか話したことはねえが、割と高潔な人格してるっぽいぞ? そもそも圧倒的な実力差で、不正をする理由がわからねえぞ?
「とは言え気持ちはわかるわね。ライザーはゲームに対しては真摯に望んでいたもの」
お嬢の言葉でとりあえず言いたいことはわかった。
まあ、ライザーてのはお嬢関係でそれなりに付き合いがあるみたいだからな。人となりはそれなりに知ってるんだろ。だからライザーの肩を持つ方向になる……と。
つっても、だからって……。
「とは言え、皇帝が反則をするというのも考えづらいですね。そもそも、ライザー氏には悪いけど彼相手にそこまでする必要があるとも思えません」
冷静な木場の客観的意見が、ライザーをよく知らない俺らの意見でもある。
ぶっちゃけ言うけどよ、ライザーってやつの実力はあくまで上級悪魔の期待のエリートって位程度なんだろ?
それに比べて、さっきも言ったが皇帝ベリアルは最上級悪魔のそのまた最上。魔王にも匹敵する化物クラス。名実ともにNo1だ。
どんな大番狂わせが起きればそんなことできるんだよ。
「そこについてはよくわからねえ。まったくわからねえが……」
と、アザゼル先生がそこで切った。
そういや、ほぼ身内のレイヴェルがとんでもないことになったってのに、結構冷静だな。
それ位出来なけりゃ堕天使の総督なんてできないってわけか? ま、必要なスキルだと思うんだが―
「ま、レイヴェルとライザーってのは大丈夫だと思うぜ?」
―へ?
なんかやけにあっさり言ったな。
「先生。なんか心当たりでもあるんですか?」
イッセーが代表して質問するが、アザゼル先生はそれに対して言いよどむ。
「これは俺から言うのはまずいな。俺も推測しかできてねえからよ」
な、なんだ? いったい何を推測してるんだ?
いったいヴィクターは何を用意したってんだよ。それとも、皇帝が何かする理由に心当たりでも?
だがアザゼル先生はそれには答えない。
それぐらい、やばい内容ってことか、オイ。
なんかまた例のごとくトラブルに巻き込まれるぞ、コレ。絶対俺たちがケツ吹きに駆り出される展開だろ、コレ。
「ま、俺の推測通りなら二人の安全は確保されてるはずだ。そこに関しちゃ安心していいだろうよ」
とりあえず、今回はそれで話が終わることになった。
こういう時はとりあえず体を動かし、汗をかいて流して気分転換しよう。
と、いうわけで俺は大絶賛トレーニングタイムだ。
こういうのは定期的にやっとかないとな。敵だってどんどん強くなっていってるんだし、俺らも強くなっとかねえとマジヤベえ。差をつけられた瞬間に殺されるっての。
継続は力なり。百の訓練に勝る一の実戦を生き残るために、百の訓練を積むってわけだ。
さて、そろそろ強化改造するべきは魔剣創造化。
一応、紫電の双手も黄昏の聖槍も禁手に至った。禁手は神器の究極だから、ここから爆発的に進化することはまずない。イッセーみたいなイレギュラーな進化に期待するのはダメだろ、うん。
つーわけで、俺が今後の特訓で発展させるべきは魔剣創造。それの禁手に至るのが最も爆発力があるだろう。
つってもなぁ。俺、毎回実戦で禁手に至ってるからな。
黄昏の聖槍は、曹操の猛威に対抗するために至った。リセス・イドアルの
つまり俺は、実戦という形で英雄として輝くことを強く願ったからこそ禁手に至れた。それぐらい、俺にとって
つまり、俺が至るには努力して積み上げたものを実践という命がけの環境に叩き込まれて初めて至れるというわけだな。
……一歩間違えたら死ぬな。主人公体質すぎるだろ、俺の覚醒。
いや、イッセーも禁手の覚醒はたいてい積み上げた努力を実戦で爆発させてたな。ああ、俺だけじゃねえ。天然ものの英雄に同じとかあれだろ、うんいい感じ。
あ、でもイッセーは新技とか結構事前開発してから運用してたな。
いやいや。俺だってマスドライバースティンガーとか槍王の型とか事前に開発してた。負けてない。少なくとも追いすがってる。
うんうん。だから頑張れ俺。きっとできる!!
「いよっしゃ気合入れろ!!」
「相変わらず頑張ってるわねぇ」
そう言って苦笑する姐さんの声に、俺は振り返った。
「あ、姐さん!!」
「
なるほど。姐さんもつい最近亜種禁手に至ったばかりだからな。なら最後の一つと考えるのは姐さんも同じか。
「そういや、姐さんの亜種禁手って名前つけたのか? アポプス相手に勝ち筋作ったみたいだけどよ?」
「ええ。
なるほど、確かにシンプルだ。
姐さんの異界の倉の亜種禁手。ヴァーリとやり合って疲弊していたとはいえ、アポプスを一蹴する切り札になったのがそれだ。
自分の肉体を一瞬だけ異界の倉の異空間に移動させることで、攻撃を完全に回避する大技。
流石に瞬間的な転異しかできねえが。それでも禁手の名にふさわしい奥の手だ。
そして、相反する属性を融合させる大技、
どっちも切り札というにふさわしいチート技。俺の禁手に匹敵するハイスペック禁手。
こうなると、残りの神器もチートにしたいもんだ。
「頑張らねえとな、俺たち」
「ええ。そうでもしないと置いてかれちゃうものね、イッセーにね」
ああ、アイツに置いてけぼりにされるわけにはいかねえな。
赤龍帝兵藤一誠。史上最優とすら称される前代未聞の二天龍。天然物の
それに比べりゃ、俺らは六等星ぐらいなんだろう。ちっぽけな姿だ。
だけど、それでも。
「屑星には屑星の意地がある。そう簡単には置いてけぼりにはなれねえからな」
「ええ。目指して進んだ英雄だって、ひとかどの存在になれるって証明して見せないとね」
俺と姐さんは、そういって拳をぶつけ合った。
そう言うわけで絶賛行方不明な人たち多数。
此処から原作第四章は急展開を迎えるわけですよね。いやはや、D×Dで最も長くてもっともうつな展開でした。ちょっとだけ読むのやめようかと思った時もあったりなかったり。