ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ペトとの亀裂を自覚したヒロイ。

そして、それは当然リセスも自覚するときがくるわけで……


第六章 85

 

 作戦は非常にシンプル。

 

 転移を二段階に分けて、D×Dチームの大半が陽動として連合部隊と共に襲撃を行う。

 

 そして俺たちオカ研とヴァーリチームが攻撃担当。一気にトライヘキサに向かい、そして確保だ。

 

 高確率でトライヘキサの近くにイッセーの親御さんはいる。そして、リゼヴィムかリムヴァンもそっちにいるんだろう。

 

 つまり決戦だ。最低でもリゼヴィムをつぶして、クリフォトは壊滅させる。リムヴァンに関しては足止めに徹して、連合部隊による袋叩きで叩き潰す作戦だ。

 

 万が一にでもトライヘキサの封印が解除されれば、確実にヴィクターはトライヘキサで本格的な攻勢を仕掛けてくる。そうなれば、世界中が大打撃を受けることになるだろう。下手すりゃ敗北だ。

 

 だから、なんとしても俺たちは封印がまだ残っているこのチャンスにかけるしかない。

 

「……ヒロイ」

 

 と、俺が集中しているところに姐さんが近づいてきた。

 

 その表情は、寂しげな苦笑だった。

 

 ああ、そういうことか。

 

「ペトに、なんか言われたのか?」

 

 さっき俺と話してたことを、姐さんにもいったのか?

 

 姐さんは、肩をすくめると頷いた。

 

「「自分は、英雄を目指して生きてるわけじゃないっす」って言われちゃったわ。これ、三行半かしら?」

 

 あえて軽く言うけど、姐さんも割とショックを受けてるみたいだな。

 

 俺のとなりに並ぶと、そのままため息をついた。

 

「ペトは、理解者だと思ってたんだけどね。理解できるのと納得できるのとは違うってことかしら」

 

「ま、俺たちある意味病気だしなぁ」

 

 ペトはそういう意味じゃあまともだしな。

 

 ああ、きっといつかこうなってたんだろう。

 

 俺と姐さんとペトは三人で行動しているけど、ペトは俺たちのように英雄に焦がれてない。

 

 英雄を目指し、そのためなら死ぬことすらいとわない俺たちと、ペトは違うんだ。

 

 きっといつかこうなってた。それが、誰が死んでもおかしくない激戦を覚悟して表面化した。

 

 言葉にすれば、たったそれだけ。

 

「……ヒロイ」

 

「なんだよ」

 

 姐さんは、俺に顔を向けずに聞いてくる。

 

「貴方は、英雄を目指し続ける?」

 

「逆に聞くけどさ、姐さんは違うのか?」

 

 その言葉に姐さんは一瞬沈黙して、振り返った。

 

 そこには、微笑と力強さが戻っていた。

 

「愚問だったわ。忘れて頂戴」

 

 ああ、そうだよ姐さん。

 

 俺もあんたも、英雄という光に焦がれてしまった狂人だ。

 

 きっと最後まで英雄を目指すことをやめられない。そういう生き方しかできないって、嫌って程わかってる。

 

 だから安心してくれ、姐さん。

 

 俺は、姐さんの後ろを追いかけ、時に前をすすみ、そして並び立って進んでくから。

 

 あんたが俺の輝き(英雄)でいる限り、それは絶対だ。

 

 さて、ちょっと悲しい出来事はあったが、これもいつか乗り越えなきゃならねえことだしな。

 

「さて、いくか」

 

「ええ、行きましょう」

 

 じゃ、まあ英雄としちゃぁ糞野郎叩きのめして救うべき人たちを助けてこそだろ。

 

 いっちょ人助けと行きますか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして転移した先は、既に大激戦だった。

 

 ロケット弾や魔法や魔力や光力が飛び交う戦場。今までにないぐらいの大激戦だ。魔獣騒動でもここまでにはなってなかったんじゃねえか?

 

 とにかく俺たちは速攻で攻撃開始だ。

 

 幸い、既にトライヘキサの姿は見えている。

 

 この距離でも確認できる当たり、ホントにシャレにならねえでかさだ。グレートレッドに匹敵するぞ。

 

 これで戦闘能力まで互角だったら目も当てられねえ。アザゼル先生は対策を一つか二つは用意しているみたいだが、それもどこまで成功するか少し不安だ。

 

 なら、俺たちがやるしかねえ。

 

 さっさと突っ込んで決着をつけ―

 

「ヒロイ!!」

 

 姐さんのその言葉の意味を、俺はすぐに理解した。

 

 とっさに魔剣を大量に展開して、それを盾にして防御する。

 

 そこに、魔剣の数の十倍はある魔法攻撃が叩き込まれた。

 

 さらに一瞬で周囲が暗くなると、大量の黒い水が襲い掛かる。

 

 とっさに俺も姐さんも飛んで躱し、そして敵の姿を確認した。

 

「出やがったか、アジ・ダハーカ!」

 

「来たようね、アポプス!!」

 

 やっぱり復活しやがったのか!! この勝手気ままな邪龍共が!!

 

 ……いや、今にして思えば、俺もこいつらのことをそこまで悪く言えねえかもな。

 

 俺も姐さんも、英雄でいることに憑かれている。英雄にならずにはいられず、それを命より優先する。その結果として大事な者たちを悲しませることも選んでしまう。

 

 いやというほど痛感した。俺は、根幹的に英雄になり、そしてい続けるという前提条件が無ければこいつらになる。

 

「……悪かったな、アジ・ダハーカ」

 

 だからだろう、俺は一応そう言うほかなかった。

 

 ああ、俺はこいつのことをそこまで悪く言えない気がしてきた。ペトを悲しませてでも、イッセーたちを悲しませてでも、譲れない一線がある。

 

 こいつらはそもそも斟酌すらしちゃいないが、俺たちは斟酌してもそこだけは譲らない。そういう意味じゃあ、結果的に同じことをする時もあるんだろう。

 

 俺は、いや、姐さんも。俺たち二人は英雄でい続けることをやめられない。英雄でいられるなら斟酌できるが、英雄でいられないぐらいなら斟酌しない。

 

「……俺はお前よりかはましだって断言できるが、それでもペトよりお前の側に近いな」

 

「でしょうね。私たちは英雄、あなた達は邪悪。方向性こそ違えど、斟酌するかしないかの差はあれど、はたから見たら同類に見える時はあるんでしょうね」

 

 姐さんも同じだったのか、少し暗い表情を浮かべる。

 

 ほんと、ペトを悲しませてでも英雄でい続けたい俺たちは、こいつらと変わらない側面があるな。

 

「……それはどうだろうか」

 

 と、アポプスが意外な言葉を言い放った。

 

 俺たちは、ちょっと目を見開いた。

 

 アジ・ダハーカもあきれ顔を向けてやがる。

 

『一緒にすんじゃねえよ。好き勝手に生きる気しかねえ俺らと、ある程度は合わせられるてめえらは別もんだろ』

 

『邪龍と英雄!』

 

『全然別物さ!!』

 

 こ、こいつらにフォローされた。

 

 なんか意外だ。そういうのまったく気にしない生き物だとばかり思ってたんだが。

 

「我らは邪龍。思うが儘に邪悪に生き、そして英雄に討たれてこその存在だ」

 

 アポプスはそういいながら両手を広げると、俺たちに視線を向ける。

 

 その目は、俺たちを嫌ってはいても憎悪してはいない。

 

「確かに好みの手合いではないが、確かに貴殿らは誰かの英雄だ。それがそのような半端な態度では戦いがいがないというもの」

 

『そうだぜぇ! 言っとくが、俺はあの術を破った奴は例外なく全力だす相手と認めてんだ!!』

 

『気に食わないけど、いい相手!!』

 

『かかって来いよこの野郎!!』

 

 ………は、ははは。

 

「どうするよ姐さん。俺ら、一番嫌いな手合いに気に入られちまったぜ?」

 

「……これも、私達のゆがみの証明なのかしらねぇ」

 

 俺と姐さんは顔を見合わせながら苦笑するしかねえ。

 

 ったく。こいつらはあんだけぼろくそにこき下ろされても、俺たちをある程度は認めてやがる。

 

 やべえ、こいつら基本どうしようもねえ筈なんだがな。

 

 勝手気ままな我儘ドラゴン。だが、周りを斟酌しないがゆえにこそこういうところではある意味器がでかい。

 

 ……なら、俺たちも礼儀ってもんがあるわな。

 

「いいぜ、アジ・ダハーカ。さっきのだけはありがとよ」

 

「なら英雄として、全力をもって相手をしてあげるわ」

 

 俺も姐さんも気合が入った。そこに関しちゃ感謝するぜ。

 

 ああ、一応お礼はしないといけねえ。そして、こいつらに関していえばそれはやりやすいってもんだな、オイ。

 

「タッグマッチだ。それとも、今度は相手変えるか?」

 

『いらねえよ。リベンジマッチのほうが面白いだろ?』

 

『マジバトル、マジバトル』

 

『雪辱戦の時間だおらぁ!!』

 

「なら、遠慮なく天丼ネタにしてあげるわ」

 

「できるものならやってみたまえ。こちらも万全の態勢で挑ませてもらう」

 

 ……ふっ。

 

 じゃあ、遠慮なく―

 

「「『「勝負しようかぁ!!」』」」

 

 ―決着つけるぜ、邪龍!!

 




思わぬ相手から励まされたヒロイとリセス。

ある意味自分たちの方が酷いって自覚があるからこそ、ましな相手が同類認定するのはどうかって思いそうだったので、励ましやくにしました。








これでヒロイとリセスもだいぶ覚悟完了しました。いざという時になって、すぐに決断できるでしょう。

さて、それが起きないのが一番なのですが……。
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