ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

263 / 324
第一部最終章、開幕。

とりあえず、ドシリアスとドシリアルが連続で来るのでお覚悟を。


最終章 長期休学のダブルヒーロー
最終章 1話 赤龍帝、復活への希望


アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 トライヘキサが復活を果たしてから、五日が経過した。

 

 俺はバラキエルとともに冥界、悪魔世界の首都リリスにある魔王城で、作戦会議を行っていた。

 

 とりあえず、冥界での作戦会議ってところだ。悪魔側の重鎮達と、堕天使側の首脳陣でトライヘキサの対策を話し合っている。

 

 サーゼクスは別件で一時的に席を話しているし、グリゴリの現総督でるシェムハザはグリゴリの本拠地で直接指揮を執っているからいねえが、それでもかなりの数が参加してる。

 

 ったく。本当にタチの悪い展開になったもんだ。

 

 邪龍部隊であるクリフォトは、首魁であるリゼヴィムがイッセーとヴァーリによって倒され、邪龍たちも軒並み撃破、もしくは封印されたことで壊滅した。対ヴィクター……というより対クリフォトの部隊であるD×Dは、見事その役割を果たしただろう。

 

 が、その結末は最悪だといっていい。

 

 リゼヴィムは、自分の魂を最後のカギとして、トライヘキサにかけられていた封印術式を一気に解除。その結果、トライヘキサは完全復活を遂げてしまった。

 

 そしてリムヴァンは宣言通りに本格的な侵攻作戦を展開。現在地球中でヴィクターと国連軍の戦争が起こっている。

 

 その戦闘は、多くがヴィクター側優勢で進んでいるのが現状だ。

 

 一気に超広範囲で戦争が起きているがゆえに、侵攻速度そのものはゆっくりだ。しかしそれは補給線の問題があるだけだ。戦いそのものはヴィクターが圧倒的有利に進んでいる。それこそジオ〇と地球連〇の戦争初期の如しってやつだ。

 

 いまだ和平に参加してなかった神話体系をことごと攻撃したトライヘキサ()は、その足で和平を結んでいる側の神話体系や和平側の国々に攻撃を開始。グリゴリや天界ももろに攻撃を受けた。

 

 どこの勢力も大きな打撃を受けている。アメリカと中国とロシアは一時的な政治空白期に突入している。アースガルズとオリュンポスも、かなりのダメージを受けてやがる。天界やグリゴリも、古参の幹部が大勢戦死しちまった。

 

 あの野郎! 研究途中だった俺のラボのデータが全部ぱーだ! 研究が遅れるどころか、当分研究そのものが停止するかもしれねえ。

 

 それに、若いころからついてきてくれた仲間たちも大勢死んだ。一緒にばかやっていた気の置けない奴らだった。

 

 ……この感覚、やっぱいつまでたってもなれやしねえ。戦争なんてろくでもねえ以外の何でもねえよ。もっとも、コカビエルの奴は楽しんで死にそうだがな。

 

 天使も堕天使もホントに被害が甚大だ。ラファエルは片足を吹きとばされ、ウリエルも片腕を持っていかれたとか。こっちもサハリエルとべネムエが意識不明だ。ミカエルも手も足も出ずボロボロにされた。その治療と天界の復旧が原因でこの会議に天界側は参加してねえ。

 

 不幸中の幸いで『システム』は守り切ることができたが、その犠牲は大きいなんてもんじゃねえ。

 

 このわずかな時間で、神クラスだって無名どころは滅ぼされた連中がどれだけいることやら。大半の連中は信仰を集めれば復活するが、それにどれだけの時間がかかるわからねえ。完全に消滅した奴らだって結構な数がいやがるしな。

 

 何より奴らの攻撃を厄介なものにしているのは、その分裂能力だ。

 

 トライヘキサは首が七つあったが、どうやらその数だけ分裂できるらしい。そのせいで同時多方面攻撃を行ってきやがる。

 

 しかもその戦闘能力は一体一体が超獣鬼を圧倒する。超獣鬼だけでも対処が困難な化け物だったのに、これは最悪といっていいレベルだ。

 

「何処の勢力も被害が甚大だな……」

 

 バラキエルも戦慄するほどの破壊が世界中で行われている。

 

 あらゆる神話勢力は、とりあえず一か所は襲われている。被害にあってないのはインド神話と中国神話、あとは悪魔領だけだ。

 

 人間世界の国家も、反ヴィクターの国家の半分は襲撃されてる。どこも重要地点を壊滅状態にさせられて、政治中枢をやられて国家機能がマヒしてる国も多数だ。

 

 しかも転移を繰り返してヒット&アウェイでやってやがるから、対応が非常に困難だ。

 

 D×Dのメンバーも派遣されたが、あいつらが着くころにはすでに撤退しているからまだ戦闘ができてねえのが実情だな。

 

「適当に見えてフットワークが軽いね。たぶん、リムヴァンが平行世界で何度もちょっかいをかけた経験……だけじゃないね。ハーデスの入れ知恵かな?」

 

 その仕掛けてくる攻撃の連絡を聞きながら、ファルビウムが目元を鋭くして考え込む。

 

 なるほどな。平行世界で何度もトライ&エラーをしてきたリムヴァンの実績に、ハーデスのジジイの老獪さが加わればこれだけこっちのスキを突いた連続攻撃を行うことも簡単ってことか。

 

「とにかく、こんなにあらゆるところを攻撃されたら、どこだって自国を守ることを優先するしかない。……勢力間での助け合いなんて無理だね」

 

 いやなこと言ってくるな、ファルビウム。

 

 だが、実際そうだ。どこの勢力もまずは自分の実が第一だろう。アースガルズやオリュンポスはともかく、半分以上の神話は帝釈天の言う通り「ほかの神話体系が滅んでくれた方が都合がいい」からな。こんな事態に態々自分たちを危機に陥らせてまで守る気はねえだろう。

 

「悪魔世界はどのような様子なのだ? かなりの混乱状態にあると聞くが」

 

「結構大変なのよ。魔獣騒動があったから同じケースを想定した対策をしてたけど、それでもね」

 

 バラキエルの厳しい表情での言葉に、セラフォルーはため息をつきながら言う。

 

 冥界の悪魔側では、俺たちがいる首都リリスをはじめ、各主要都市に軍隊、警察官、上級悪魔、そして最上級悪魔が眷属ごと待機している。

 

 文字通りの総力戦だが、その程度じゃ足りないといっていい。

 

 いや、魔獣騒動が起きてもこれなら乗り切れるぐらいの対応だが、今回はさらにその上を行くからな。

 

 今回の事態は一般市民の悪魔にも大体伝わっている。そして魔獣騒動を凌駕する事態に、どこも混乱状態だ。

 

 このどさくさに紛れて破壊活動をして鎮圧される馬鹿もいるって感じで、本当に大混乱だ。

 

 トライヘキサと邪龍軍団。さらにイグドラゴッホとイグドラグウィバー。とどめに恒例ドーインジャー部隊。敵の戦力は圧倒的な数を中心とし、そして精鋭部隊とトライヘキサで質を受け持っている形だ。

 

 教え子や部下が命がけでこんな強敵と戦っているのに、後方で指揮するしかねえってのはやっぱきついもんがあるな。必要なことなのはわかってるんだが、やっぱ柄じゃねえ。

 

 現役を引退するのは早すぎたな。新型の専用人工神器でも開発しとくべきだったぜ。

 

 ま、そんな愚痴を言っていても意味はねえか。俺は俺でできることをしねえとな。

 

 とにかく、今は作戦会議を進めるだけだ。

 

 ……最終手段、使うしかねえだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……くそ。こんな時に俺は何してんだ。

 

 今、世界は未曾有の大戦乱を迎えている。

 

 ヴィクター経済連合がついにトライヘキサの封印を解除。そしてその勢いのまま世界各地で侵攻作戦が開始し、国家は迎撃を行っている。

 

 しかしそこをつくように転移でピンポイントにトライヘキサが襲撃を仕掛けて、要所要所を叩き潰している。

 

 D×Dのメンバーも、時々派遣されているが、到着するより先に強襲攻撃を終えて離脱しているため対応できないのが現状だ。

 

「すまねえな。こんな時に……」

 

「私達がいればどうにかなるとは言わないけれど、それでも……」

 

「気にしなくていいわよ。悪いのはリムヴァンだわ」

 

 俺と姐さんが謝るけど、お嬢はそれを気にせず微笑すら返してくれる。

 

 本当に、リムヴァンに対する怒りがあるだけだ。

 

 俺たちのことをふがいないと思っちゃいない。むしろ、俺たちがそんなことになったのを悲しんでいる。

 

 ああ。お嬢は本当に優しい人だ。この慈愛があるからこそ、眷属たちはみんな忠誠心が強いんだろうな。

 

 だが、それでもいろいろと思うところはある。

 

 そして、そうだとしても今は戦うわけにはいかないわけだ。結構胃に来るぜ。

 

「……イッセーは?」

 

 姐さんが話題を変えるように質問するが、お嬢たちはすぐに暗い顔になる。

 

 龍神化とかいう領域に到達したイッセーは、同じく魔王化という領域に到達したヴァーリと一緒にリゼヴィムを滅ぼすことに成功した。因みにファーブニルも頑張ったらしい。

 

 が、その影響はあまりに甚大だった。

 

 なんでも臓器の機能が軒並み停止。運び込まれるころには心臓がかろうじて動く程度だそうだ。アーシアの回復も効いてないとかいう、質の悪い症状だ。

 

 あのアーシアの回復の力ですら手が付けられないとか、考えたくもない。

 

「イッセーさんを助けることができないなんて、……私は役立たずです……」

 

「しっかりしろアーシア! 逆に考えるんだ、役に立ちまくっているアーシアですらできないという、非常事態だと考えるんだ!」

 

「ゼノヴィア。それ、フォローになっているのか微妙なんだけど……」

 

 落ち込むアーシアを励まそうとして、木場にツッコミを入れられるゼノヴィアだが、そんなことを気にしている場合でもない。

 

 今は冥界最新鋭の医療技術でかろうじて命をつないでいるが、それもいつまで持つか……。

 

 俺たちが暗くなっていると、なんだか周りが騒がしくなってきていた。

 

 なんだ? 医者や看護師がなんか妙齢の女性に呼び掛けている。そして何やらたくさん乳白色のパックが運び込まれている。

 

 っていうな、なんでこの事態において産婦人科から大量に人を呼ぶような事態になってるんだ?

 

「何か、手助けが必要なのかもしれないわね」

 

 お嬢がそう言って、全員が顔を見合わせた。

 

「じゃ、ここは手伝うとするっすか!」

 

「そうね! 天使なら人助けをしてなんぼのものだもの!!」

 

 ペトとイリナがそう言って、真っ先に早足で人だかりに向かっていった。病院で走らないのはマナーだしな。

 

 堕天使と天使が悪魔の病院を手助けする。これも和平があったからこそできる光景かねぇ。

 

「すいません、何かありましたか?」

 

 と、木場が声をかけて看護師の一人が俺たちに気づく。

 

「ああ、リアス・グレモリー様の眷属の皆さまですか」

 

 看護師さんたちは、よく見るとすごく戸惑っていた。

 

 なんだ? なんか嫌な予感がするぞ? それもおっぱい的な意味で。

 

 その嫌な予感を理解したのか、全員が一瞬躊躇する。

 

 だがそんなことを言っていては話が進まねえ。誰かが話をしなけりゃ行けねえな。

 

 よし。ここは英雄足る俺が―

 

「何かあったの? 良ければ手伝うけれど」

 

 あ、姐さんにとられた!!

 

 そしてその言葉に、その看護師さんはすっごく微妙な顔で―

 

「実は、母乳を集めるようにアザゼル元総督殿から要請があったのです」

 

 ―見事に嫌な予感を的中させてくれたよ、オイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、百リットルをこえる母乳が集められた。

 

 勿論そんなものを一つの病院で賄うことなんて不可能だ。都市中の病院の産婦人科から総動員された。混乱したことだろう。

 

 そして、フェニックスの涙を何本も混ぜ込むというぜいたく極まりない混沌のるつぼだ。

 

 そして、ついに運び込まれた。

 

「……それでは、投入します……よ?」

 

 ―イッセーだ。

 

 アザゼル先生は、イッセーがやばいことになったことを聞いて、少ししてからこんな指示を出したらしい。

 

『イッセーをつけ込めれるだけの母乳を用意して、フェニックスの涙を混ぜ込んでつけろ』

 

 一言言っていいと思う。これ、常人が聞いたらアザゼル先生が病院に運び込まれているレベルだ。

 

 大絶賛生死の境をさまよっている奴を母乳につけるとか、正気の沙汰じゃない。

 

 それも、我らが回復女王であるアーシア・アルジェントも、冥界最強の回復アイテムであるフェニックスの涙も通用しない重篤患者だ。普通に考えて死人に鞭打っている。親御さんは訴えていいと思う。

 

 だけど、大半のメンバーが最後の希望を感じてるんだよなぁ。

 

「な、なんかよくわからんが、これで助かる可能性があるんだね?」

 

「ありうるっす! イッセーなら、イッセーなら母乳で奇跡の回復を起こす可能性は、ありうるッス!!」

 

 戸惑いまくりの親父さんに、ペトが力強く拳を握る。

 

 すさまじい勢いで医療スタッフが戸惑っているが、俺たちは結構ありだと思っている。

 

 なにせ、あのイッセーだ。乳龍帝だ。おっぱいドラゴンだ。

 

 兵藤一誠と女性のお乳。これほど奇跡を生む組み合わせはそうはない。実績がありすぎる。

 

「あの、つけてよろしいのです……か?」

 

「急いで頂戴。これで効果が無かったら、もはや悪魔に打つ手はないわ……っ」

 

 心底訳が分からな感じな表情で確認を取る医師に、お嬢がマジ顔で要請する。

 

 その目は覚悟すら決まっている。これが無理ならあきらめるしかないと、心から言っている。

 

「ああ、なんてこと。私に母乳があれば、真っ先に与えているのに!!」

 

「わかります、お姉様」

 

 お嬢とアーシアが涙すら浮かべて、自分たちの無力を嘆いている。因みにほかの女性陣も、大半が程度はともかく似たような感じだ。

 

 ……俺は、ふと木場に視線を向けた。

 

 木場は俺の視線に気が付いて、期待に満ち溢れながらもあきらめるかのように首を振った。

 

 だよな。これ、絶対成功するけど成功するからこそ頭痛くなりそうだよ。

 

「まあ、確実に何らかの成果は出るでしょう。状況は好転するわ、絶対に。……羨ましい」

 

 姐さんや。さすがの俺もついていけねえからその辺で頼むわ。

 

 

 

 

 

 そして当然成功したともさ。

 




とりあえず、原作読んでふと思ったけど「四章でのおっぱい成分一気に取り返しに来た」感じですよね、母乳治療法。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。