ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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とりあえず、最終章は書き切りました。最終決戦とエピローグを書き切って、第一部は終了です。

明日からは第二部のプロローグを書き始める作業に移ります。


最終章 6話

 

 

 

 

 

 

 

 

 祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕たちグレモリー眷属は、全員で病院のすぐ外に集合していた。

 

 ヴィクター経済連合は、ついに本格的な攻勢に出てきた。

 

 インド神話勢力にはトライヘキサが差し向けられている。各神話勢力でも最強と称されるインド神話も、トライヘキサが本格的に攻撃を仕掛けてきたせいで他に戦力を差し向けている余裕がないようだ。

 

 コキュートスに現れたトライヘキサも猛威を振るっている。コキュートスに封印されている者たちを監視している人たちは、その三割がすでに滅ぼされた。現在は徹底的に防戦に回ることで被害の上昇を食い止めている。

 

 次元の狭間に現れた固体は、自分達からは積極的に攻撃を仕掛けてきていない。悪魔で万が一のグレートレッドの参戦を警戒しているだけで、自分達からグレートレッドを怒らせるような真似をする気はないようだ。

 

 旧魔王派の勢力圏内に現れた固体は、なんと開拓活動を行っている。大量の木々を手加減した攻撃で一度に数平方キロm吹き飛ばし、その威力を見せつけていた。それも手加減しまくってこれだ。

 

 そして、日本を目指して侵攻している。

 

 現在、自衛隊はできる限り海岸線に集まって最終防衛ラインを築いている。

 

 転移を多用する異形の存在に対抗するには、陸戦力を高めるのが最優先。ゆえに陸自が中心に強化されていて、海自と空自は強化の度合いが少なめだった。その盲点を突かれているからだ。

 

 空中戦闘が可能なものが少なく、自衛隊の航空機や艦船の火力ではトライヘキサはおろか、量産型の邪龍すら撃破に苦戦する。なら陸自を中心に防衛ラインを敷いて、トライヘキサが上陸した段階で迎撃するしかない。

 

 そして、駒王町の避難は遅々として進んでいない。

 

 ゲオルクが作ったものと思われる結界装置により、駒王町の結界が干渉されているうえにスーパーセルクラスの風速と雨量の嵐に包まれているためだ。

 

 この調子ではトライヘキサが順調に駒王町に到着した場合、駒王町の避難は5パーセントが限界だと言われている。

 

 集中核攻撃を運用すればある程度のダメージは与えられるだろうけど、その結果は神々でもすぐには治せない放射線による海洋汚染だ。しかも、それで倒せる可能性も低いとみられている。

 

 まあ、世界各国は政治や軍事の重要拠点の多くが破壊されて、動きたくても動けないんだけどね。

 

 しかも同時期にカルデナーレ聖教国が中東での侵略活動を活発化させている。こちらに関してもある程度の部隊を動かす必要があるけど、トライヘキサの影響で現在ではろくに動かせない状態だ。

 

 冥界は冥界で混乱状態。なにせ堕天使側はトライヘキサにダメージを受けている上に、悪魔側にもトライヘキサが出現したからだ。

 

 不幸中の幸いは、冥界に出現したトライヘキサは現悪魔側を攻撃せずに、旧魔王派勢力図近辺での開拓作業を進めている。

 

 ……すでに北海道ぐらいの地形が更地になった。そこに多くのヴィクター経済連合の開拓民が来て、農地の開発を行っているらしい。

 

 だけど、いいニュースもある。

 

 王の駒の使用者はほぼ捕縛に成功したそうだ。筆頭格のビィディゼ・アバドンもサイラオーグさんと匙くんが打倒したそうだ。

 

 その裏には王の駒使用者で最強のロイガン・ベルフェゴール様の協力があったらしい。王の駒使用者の中でもっとも強い方が最も協力的だったのは、不幸中の幸いというほかない。

 

 いまサイラオーグさんたちはビィディゼ・アバドンに聞きたいことがあるそうだ。だけど、それが終わったらすぐに駆けつけてくれるといていた。

 

 現政権は旧魔王派勢力圏をわずかに広げ続けているだけのトライヘキサに対しては遅滞戦術をとることに決定。地上にいる悪魔たちと僕たちD×Dには、日本に向かっている三体のトライヘキサの迎撃を命令した。

 

 ありがたい話だ。日本は僕たちオカ研にとってもう一つの故郷といってもいい。イッセーくんや朱乃さんのように、日本で生まれ育った者たちも何人もいる。守りたいのは当然だ。

 

 とはいえ、増援はなかなか期待できない戦いでもある。

 

 何処の勢力もトライヘキサの強襲攻撃の連発で疲弊している。アザゼル先生はトライヘキサ戦での切り札としてシヴァ神の協力を取り付けたみたいだけど、そちらに対してもヴィクターは先手を打った。さすがに自陣営にトライヘキサが攻め込んでいるときに動くのは無理だろう。

 

 殆どの敵は、日本周辺の異能関係者で対抗するしかない。……正直戦力不足は否めないだろう。

 

 でも、それでもなんとかして見せる。

 

「……それで、ロスヴァイセ。トライヘキサの対抗策は完成したのかしら?」

 

 リアス部長が真っ先に聞いたのはそれだ。

 

 そう、僕たちのもう一つの切り札はそれになるだろう。

 

 ユーグリットが告げた、トライヘキサの封印術式そのものに行きつきかけていたロスヴァイセさんの研究。その完成こそが、この窮地を潜り抜ける最後の切り札だ。

 

 そんな僕たちの期待の視線に、ロスヴァイセさんは少し力なさげに、しかしちゃんと頷いてくれた。

 

「おそらく一度しか使えませんが、それでも一度は確実に通用します。……懸念である聖杯を無効化した後に、七体全部に一斉に使用する予定です」

 

 なるほど。一回しか使用できないのか。

 

 聖書の神が、死んでもおかしくない禁術をいくつも使ってようやく封印で来た化け物。いかにロスヴァイセさんが封印術式そのものにたどり着いていようと、この短期間ではそれが限界なのか。

 

 さらにアザゼル先生も口開く。その表情は今まで以上に真剣だ。

 

「くわえて言うと、その術式はトライヘキサだけで限界だ。当然ヴィクターの連中はトライヘキサが復活するまでしのごうとするだろうから、俺たちはトライヘキサが止まっている間にヴィクターの連中を追い返さねえといけねえわけだ」

 

 それは、大変だ。

 

 各地に出ているヴィクターの戦力は、実はそこまで多くない。

 

 冥界に出ているトライヘキサはほぼ単体で、旧魔王派が開拓した後の土地の確保などを中心に動いている。

 

 コキュートスに出てきたトライヘキサも、開放した罪人たちを安全圏まで運ぶことを重要視している。前線で動いているのは、小回りの利く相手からトライヘキサをカバーするための少数戦力だ。

 

 次元の狭間に関しては、護衛というほどの量でもない。同時多発作戦ゆえに、グレートレッドの攻撃を凌げるものは回せないと判断されたのだろう。トライヘキサの観察および制御担当だけと思われた。

 

 逆にインド神話側には戦力が多めだ。おそらく、日本侵攻部隊の三分の二ぐらいの数が出ている。

 

 戦闘映像にはフリードの姿もあった。どうやら、魔獣創造や煌天雷獄の使い手が派遣されているらしい。旧魔王派を現状率いている、若き魔王末裔も参加しているらしい。

 

 そして、日本侵攻部隊は絶大な数だ。

 

 宰相であるリムヴァン・フェニックスが直々に出陣。これは彼が最高戦力の一角であり、フットワークが軽く今までも動いていたことから驚くほどじゃない。

 

 だけど、今回はそのうえでかなりの数が投入されている。

 

 イグドラフォースは全員参加。英雄派も、裏京都で戦った幹部クラスは全員参戦。各派閥からも精鋭が派遣されている。ハーデスも上級死神は愚か、最上級死神を送り込んでいるという話だ。

 

 まさに本腰。最初の演説で、彼らは一定の猶予期間を与えるといっていた。それは本当だと確信できるほどの戦力投入だ。今までとは気合と戦力の入れ具合が全く違う。

 

 人間界と異形社会。その二つの戦力を合わせ、強大極まりない戦力で、一つの国に攻撃を仕掛けている。

 

 まさに、第一次真世界大戦。リムヴァンがかつて言っていたことが、本当になろうとしていた。

 

「とにかくだ。今は先に鳶雄たちを送り込んで第一防衛ラインを形成しているが、俺たちもそこに急いで向かうぞ。……ここで奴らを止めなけりゃ、未曾有の大被害が生まれちまうからな」

 

 アザゼル先生の言う通りだ。

 

 トライヘキサによる人類侵攻。これが続けば、犠牲者の数は億を超えることは間違いない。

 

 これは、なんとしても止めなければいけないはずだ!

 

「……そうね、じゃあ、本命の登場を待ってから行きましょう?」

 

「あらあらリアス? もう来てしまったみたいですわよ?」

 

 リアス部長の宣言からすぐに、朱乃さんが病院の方を見て苦笑を浮かべる。

 

 振り返るまでもない。誰が来てしまったのかなんて、考えるまでもない。

 

「待っていたよ、イッセー君」

 

 僕はそういって、イッセー君を出迎えた。

 

 イッセー君ははっきり言って非常に大変な状態だ。

 

 これまで数多くの戦いを女性の乳房で潜り抜けてきたイッセー君。だけど、龍神化の影響でおっぱいを認識することができなくなってしまった。それどころかおっぱいに触れる……以前におっぱいというフレーズを聞いたり考えるだけで激痛が走るという、前代未聞の症状を発症している。

 

 確かに真女王までなら発動できるし、戦闘もできる。だけど、次龍神化をすれば死んでもおかしくないとすら言われている。

 

 そういう意味では戦わせるわけにはいかない。お医者様からはそういわれているし、僕たちも同意見だ。リアス部長もアーシアさんも、涙ながらに待っているように頼み込んだ。

 

 だけど、それでも彼が出てこないなんてありえない。

 

 そんなことはわかっていた。誰だって、イッセー君はそういう人だって知っている。

 

 そんな彼だからこそ、いろいろと問題なところはあっても、それ以上にみんな大好きなんだからね。

 

「……あの、驚かないの? 怒らないの?」

 

 ヴァーリと一緒に外に出たイッセー君は、僕達のそんな反応にちょっと戸惑っていた。

 

 どうせ、出てくるのを見つかったら止められると思ってたんだろうね。それでも正面玄関から出てくるあたり、イッセー君はイッセー君だ。

 

「貴方がこんな時に黙っていられるわけがないものね」

 

「そうです。そんなイッセーさんのことが、私達は大好きなんですから」

 

 リアス部長もアーシアさんも、非常に心配しているけどそれでも受け入れた。

 

 ああ、それでこそイッセー君だ。

 

 そしてレイヴェルさんがフェニックスの涙を渡すのをきっかけに、そんな事だろうと思っていた人たちがいろいろ何かを渡してくる。

 

「あらら。彼はみんなに好かれてるのね」

 

「そうだよ。イッセー先輩は僕たちみんなのヒーローだしね」

 

 と、ヴァレリーさんにギャスパー君が胸を張った。

 

 そして、そのころになってイッセー君はようやくヴァレリーさんに気が付いたらしい。

 

「ってヴァレリー!? なんでここに!?」

 

「ああ、今回の作戦には必須なんで連れてきた」

 

 アザゼル先生がそう言って、ヴァレリーさんの胸元にある十字架を指さす。

 

「以前確保した聖十字架を利用して作った、この特別製の十字架である程度は動けるようになったんだよ。……そっちのお嬢さんが持ってきてくれた資料のおかげで、土壇場で完成した」

 

 その言葉に、離れたところで見守っていたエルメンヒルデが前に出る。

 

 そして、イッセー君を見て頬を赤らめた。

 

「お、お久しぶりです赤龍帝。その節は失礼をしました」

 

 ……なんていうか、あれだ。

 

 どうも、ルーマニアの一件や年越しの際にいろいろあって、エルメンヒルデはイッセー君に惚れたらしい。

 

 徹頭徹尾見下してきていた吸血鬼すら虜にするとは。イッセー君のハーレム王っぷりには、ちょっと戦慄を覚えるよ。

 

「え、エルメンヒルデ? エルメンヒルデが、聖杯を何とかしてくれたのか?」

 

 状況が全く分かってないイッセーくんは、そんな頓珍漢な反応する。

 

 それに苦笑しながら、エルメンヒルデは首を横に振った。

 

「いえ。私はマリウス・ツェペシュがリゼヴィムから隠し通した資料を探し出しただけです」

 

 そう。彼女はアザゼル先生たちの指摘を受け、マリウスたち聖杯研究を行っていた吸血鬼たちを調べていた。

 

 マリウスは明らかに小物だったけど、それでも吸血鬼の王族。

 

 リゼヴィム・リヴァン・ルシファーに聖杯の情報を全部丸ごと提供するのは考えにくいと先生は判断した。

 

 そしてエルメンヒルデが徹底的に調べ上げた結果、リゼヴィムが来る前に記憶を消した上で追放した、食料係として確保していた人間に、情報が刻まれていることが発覚したんだ。

 

「……吸血鬼どもが隠し持っていた聖釘で、一度聖杯が暴走したヴァレリーを鎮静化させたことがあるらしい。つまり、聖遺物なら聖杯をある程度制御することができるってわけだ」

 

「私達吸血鬼は、最大の敵であったキリスト教の研究を行ってきました。おそらくその際に見つけたのでしょう」

 

 アザゼル先生とエルメンヒルデの説明に、イッセー君はほへーっとしている。まあ、彼はそういう知識がまだまだ足りないから、半分も分かってないんだろうね。

 

 ちなみに聖十字架も聖釘も、聖書の神の子の処刑につかわれた道具だ。聖槍が神の子を貫いたということは知っている人も多いだろうけど、こっちは聖書の神の教えに詳しくないと詳細までは知らないだろうね。

 

 こと聖釘は聖槍よりも長い間神の子に突き刺さっていた。下手をすると聖槍よりも聖遺物として格上な側面もあるかもしれない。

 

「で、奴らはトライヘキサの制御にヴァレリーの残りの聖杯を使ってるだろうからな。聖遺物で聖杯が制御できるなら、大本であるヴァレリーの聖杯ならもっと確実に制御できると踏んだわけだ」

 

「そして、それを確認してから術式でトライヘキサの動きを封じます」

 

「なるほど!! ……ってそれまでトライヘキサは放置ですか!?」

 

 先生コンビの説明を聞いて、イッセー君はそれに思い当たった。

 

 そう。トライヘキサは三体いる。さらにヴィクター経済連合が徹底的に警護耐性を固めているだろう。

 

 それを突破するのは困難だ。それまでの間にトライヘキサが、僕たち迎撃戦力を撃破する可能性は大きい。

 

 これで一体だけならまだましだったんだけどね。まず間違いなく僕たちの中にも犠牲者が出てくるだろう。それでも、僕たちはいかなければならないけどね。

 

 そんな決意を固める僕たちに、アザゼル先生はにやりと笑った。

 

「ま、その間のトライヘキサの相手は用意してるから、安心しな」

 

「……初耳です」

 

 僕もだよ、小猫ちゃん。

 

 どうも、リアス部長も朱乃さんも聞かされてなかったらしい。全員ぽかんとしている。

 

 そんな僕たちにいたずら小僧としか言いようがない表情を浮かべながら、アザゼル先生は告げる。

 

「トライヘキサの分裂が想定外だったが、そっちもちょっと前に亡命した魔王末裔が協力してくれたおかげで対応できそうだ。……トライヘキサの足止め担当は、別で用意できた」

 

「初耳よ先生! でも、誰なの?」

 

 イリナの疑問も当然だ。

 

 トライヘキサの戦闘能力は強大だ。亡命したという魔王末裔の話は聞いているけど、かれが旧魔王と同等の戦闘能力を持っていたとしても、単独でどうにかできるとは思えない。

 

 かといってシヴァ神も動けない。さすがに、自勢力にトライヘキサが突入してきている以上、先ずはそっちが優先のはずだ。

 

 僕たちは怪訝な表情を浮かべるが、アザゼル先生はにやりと笑う。

 

「ま、サプライズ演出ってやつさ。詳しくは見てからのお楽しみだ」

 

 ここで隠しますか、先生。

 

 まあ、この人は悪戯好きだし非情に徹するときもあるけど、外道ではない。そして非常に優秀な人物でもある。

 

 なら大丈夫だろう。少なくとも、僕たちにとって心強い味方であることに変わりはない。

 

「しかし、トライヘキサを完全に滅ぼすことは難しいです。私の術式でも、半永久的に封印だなんてことは不可能ですよ?」

 

「そこは安心しろ。……首脳陣で準備した、最終手段で対処する」

 

 ロスヴァイセさんの懸念を払拭するかのように、アザゼル先生がそんなことをおっしゃられた。

 

 首脳陣で準備し最終手段か。神々の御業を結手した最終兵器でも用意されたのだろうか。

 

 もしかしたらオーフィスも協力してくれたのかもしれない。それなら、トライヘキサをどうにかすることも不可能じゃないはず。

 

 僕たちの間に、希望の灯がともり始める。

 

「ま、それもトライヘキサの動きを止めて、妨害してくるだろう奴らをある程度叩きのめしてからだ。……期待してるぜ、お前ら!」

 

『『『『『『『『『『はい、先生!!』』』』』』』』』』

 

 僕たちはいっせいに頷く。

 

 ああ、そうだ。

 

 これまでも何度も僕たちは窮地を脱してきた。才能と努力、そして先生たちの協力と仲間たちとの絆。それがあったからこそ、こうして僕たちは冥界の英雄とすら称された。

 

 なら、今回もそうするだけだ。

 

 そして僕たちは気合を入れ―

 

「……そうっスね。お姉様やヒロイの分まで頑張るッス」

 

 ペトさんの言葉に、一瞬だけ病院を振り返る。

 

 ……今回の戦い、ヒロイ君とリセスさんは参加できない。

 

 リムヴァンによってかけられた呪詛は、それほどまでに重い。

 

 解呪には神話体系が協力しても、百年近くかかると断言された。そしてこのままなら、安静にしてても二十年も生きられないそうだ。もちろん延命措置などは別途並行する予定だけど、現段階では手が付けられないとも。

 

 そして、全力を出せば一気に寿命は削れる。それこそ覇に匹敵する消耗速度で、半日も持たない。調べてリムヴァンの言葉に嘘がないことも判明した。

 

 龍神化を使わなければ戦える、イッセー君とは違う。ただ闘うだけで、命が急激に削れていくのだ。戦わせるという選択肢はない。

 

 当然、念には念を入れてアジュカ様特性の結界が病院には張られている。これは入ってくること以上に出ることが困難な結界だ。下手に出ようとすればすぐに発覚することになって、取り押さえるための騒ぎになる。

 

 あの二人もそのあたりの配慮はできる人物だ。……少なくとも、世界の危機に内輪もめを起こすほど愚かじゃない。それ位には分別がついている。こっそり抜け出す方法は探しても、強引に破ってもめ事を起こすことはしないだろう。

 

 強引にでも二人を戦わせたいとする人物が、結界に細工をしたりしなければ大丈夫だろう。結界の確認のためにシシーリアさんも来ていたし、何とかなると思う。

 

 ヒロイ君と輝き(英雄)として崇拝に近い感情を持ち、愛情すら持っているといってもいい彼女なら、本気を出すはずだ。なんだかんだでアジュカ様の補佐を行っている彼女は優秀だし、何とかなるだろう。

 

 できれば、彼らが来てくれれば心強い。だけど、彼らを戦わせるのだけはダメだ。

 

 みんなの決意は一つだ。ここで生き残り、2人に勝利のお知らせをお見舞いとして持っていくことだけだ。

 

「じゃ、あいつらがはらはらしすぎて飛び出さないうちに終わらせるか!」

 

『『『『『『『『『『はい、先生!!』』』』』』』』』』

 

 待っていてくれ、2人とも。

 

 僕たちは、必ず勝利を手土産にして帰ってくるから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out




まさか、参戦する準備ができているなどとは思っていないグレモリー眷属。知らぬが仏とはこのことか。
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