ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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いきなり死んだか、謎の味方!!

いや、そんなことはないんだぜ!!


最終章 8話 超巨大モンスター大決戦

 ……沈黙が響き、そしてオーラの余波で視界が埋まる。

 

「……やば。ちょっと見てみたかったんだけど」

 

「別にいいでしょう。まじめに仕事をするべきです」

 

 カテレアにたしなめられるが、然しリムヴァンとしては残念だ。

 

 せめて、しっかり姿を確認してから吹き飛ばしたかった。

 

 そう残念がったその瞬間だった。

 

「あまいですよ、リムヴァンさん!」

 

 その声と共に、オーラの残滓を振り払って、三つの巨体がトライヘキサに迫る。

 

 それは巨大な魔獣だった。

 

 トライヘキサの合体状態のように、様々な生物を組み合わせたキメラのような姿をした、百数十メートルの巨大な魔獣。

 

 ところどころの肉が大きく吹きとばされているが、しかし急速に修復が進んでいるのか、既に重傷ではあっても重体ではないレベルに収まっている。

 

 そして、その巨体は顔や腹部や腕からクリムゾン・ブラスターに匹敵する火力の砲撃を同時に何発も放ち、トライヘキサに攻撃を加える。

 

 トライヘキサは直撃を受けてもかすり傷ですぐに治る程度だが、しかしダメージはダメージだ。

 

 一瞬、その不意打ちに気おされ、そして組み付かれる。

 

 百メートルを超える巨体同士に激突が、大音量の騒音を生み、海を震わせる。

 

 そして、その巨大な魔獣とトライヘキサは組み付き合い、そして力比べは勝負になる。

 

 七つに分裂しているとはいえ、龍神クラスにすら匹敵する力を持った化物であるトライヘキサ。それに明確に劣りながらも、しかし勝負を成立させるほどの力を発揮させる、怪物。

 

 その正体を、リムヴァン達は知っている。

 

 何故なら、彼らも一体所有しているからだ。それは量産化を行うために解析中であり、短時間の運用でいいならば、業魔人(カオス・ドライブ)を使うことで魔獣創造使いである獣王達なら一体ぐらい生み出せるだろう。

 

 その化け物の名を、カテレアは呟いた。

 

「……超獣鬼(ジャバウォック)っ」

 

「なるほどぉ。対策の一つぐらいは用意してたってわけかにゃぁん?」

 

 面白そうにリムヴァンは呟き、そしてその種も分かる。

 

 本来、獣鬼は魔獣創造の使い手でも楽に生産できるものではない。

 

 シャルバが、所有者であるレオナルドを使い捨てにする事を前提とした無茶な禁手で発動させたものだ。それも、その時は一体しか作り出せなかった。

 

 今のヴィクター経済連合でも、業魔人が必要不可欠。それも、負担が大きいから大量に作り出すのはデメリットのほうがが大きい。発動時間も数時間が限界だろう。

 

 しかし、その条件はある程度クリアされる。

 

 自分に次ぐレベルの神器研究者であるアザゼル。業魔人を生み出す材料を生産できる、亡命した旧魔王末裔。そしてついてないことに、この二人はタッグを組ませると実に厄介だ。アジュカも加われば聖書の神じみた創造をおこなえるだろう。

 

 彼らなら業魔人を生み出すことはできる、それも、更に外部装置を投入する事で超獣鬼を複数体生産する事も不可能ではないだろう。対抗術式を作り出したのなら、応用で強化術式も作り出す可能性は想像できる。

 

 そして、最悪なことに、敵の中に獣鬼を生み出せる者は一人いる。

 

 他ならぬリムヴァン自身が死者の国からスカウトし、しかし最後の最後で正気に戻り、光の側へと戻っていた男。

 

 二つの魔獣創造を持つがゆえに、比較的生産難易度も負担も少なく生み出せるだろう、大失態の切り札。

 

 なるほど、弾道ミサイルは足止めだけではなく、彼を最前線に送り込む為の隠れ蓑。

 

 かつてのヴィクター経済連合の精鋭を、あえてこの場に布陣する大胆さに、リムヴァンは感心した。

 

「褒めるしかない!! ここにきて、愚者なりに愚行をしないようにに努力したその在り方!! この最高のショーの役者として、僕は君に合格点を上げたい!!」

 

 皇獣(トライヘキサ)VS超獣(ジャバウォック)。大決戦の前座にするには、あまりにも豪華すぎる戦いだ。其れも、三対三というのはものすごく見ごたえがある。

 

 それをなしたものに一種の感謝を覚え、リムヴァンは超弩級の殴り合いで揺れるトライヘキサからいったん飛び退る。

 

 その目は、顔は、表情は。まごうことなく歓喜に染まっていた。

 

「さあ、しっかり楽しませてくれたまえ、ニエ君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニエ、ニエなのか!?

 

 トライヘキサと超獣鬼の怪獣大決戦の場に突っ込みながら、俺は目を見開いた。

 

「これは良い。世界の命運がかかった激戦を彩るには、もってこいじゃないか。俺も戦いたかった」

 

 ヴァーリ、感想はそれでいいのかよ!?

 

 いや、ちょっと待ってちょっと待って。

 

 なんであいつがここに!?

 

『……驚いたか? あいつが、対トライヘキサ足止めの切り札だ』

 

 アザゼル先生! マジですか?

 

 たしかに、ニエは別に悪人じゃない。天界では俺たちに味方してくれたし、アイツがいなけりゃリゼヴィムを追い返せなかったかもしれない。そのあとも素直に投降してたし。

 

 だけど、アイツはヴィクターの精鋭だったん・・・…だ……。

 

 ふと、ヴァーリチームに視線が行った。

 

 ヴァーリ、美候、黒歌、アーサー、ルフェイ、フェンリル、ゴグマゴグ、そして監視役として参加してるラシア。

 

 ……全員ヴィクター経済連合だった。俺達、ヴィクター経済連合に所属してた連中と肩を並べて戦ってるよ。

 

 うん。それなら何の問題もないな!

 

「……何か言いたげね」

 

 ラシアさん。俺が説得したから別枠にしたいけど、多分あの説得が無かったら死ぬまでヴィクターで戦ってたよね?

 

 いや、もしかしたらカルディナーレ聖教国の方に行ってたかも? ドラゴンスレイヤーな彼女が敵に回るのは、ドラゴンの俺としては厄介かな?

 

「まさか、彼と肩を並べて戦うことになるなんてね。主のお導きかしら?」

 

「まあいいじゃないか、イリナ。今私達の隣にいるのはヴァーリチームだしね」

 

「みんな仲良くが一番です」

 

 教会トリオがそんなことを言っているけど、ほんと、色々凄いメンツだよな、ここ。

 

 二天龍がタッグを組んでるってのも本来あり得ないらしいし、他のメンバーも凄い人達揃いだ。

 

 皆凄い人達だらけだからなぁ。なんていうか、なんでこんな凄い人達ばかり集まってるんだろうって思ってきた。

 

『歴代二天龍で最も異才なお前が言うのもな』

 

 うっさいよドライグ。俺のことを歴代最弱と言ってたのは誰だったんだよ。

 

『だからこそだろう? それが龍神化にまで至ったのだ。こんなおかしなことはない』

 

 確かに。龍神化の出力なら歴代の二天龍相手でも負ける気がしねえ。ヴァーリの魔王化ぐらいじゃねえか、負けるとしたら。

 

 ま、使ったら何が起こるか分からないから使うなって言われてるけどさ。っていうか、一回目であれが分からないやら触れると痛いやらで大変なのに、二回目になったらどうなるか分かったもんじゃない。

 

 本当に目にした瞬間に死ぬとかありそうだ。以前、森沢さんがお願いの候補でハーレムと言ったら、結果的にそうなるって出たけどマジであり得るとかすげえな。これで俺じゃなければよかったんだけどね!!

 

 ホントに龍神化だけは使えねえ。使ったら俺が認識できないあれを見ただけで死ぬとかありえるって。っていうか、ホントに死ぬんじゃないか?

 

「イッセー。……奇跡を起こして復活したら、ペトがお股のそれを挟んであげるッス」

 

 ペト。本気で同情の視線むけるのやめてくれない? あと、それ想像したら体中が痛いから。

 

 まあそれはともかく、俺達は今トライヘキサに向かって突撃を仕掛けている。

 

 既に戦闘は激しすぎる。今までの戦いが遊びに思えてくるぐらいの規模だ。

 

 トライヘキサと超獣鬼が怪獣大決戦をしている中で、俺達と肩を並べてくれる人達がドーインジャーと邪龍たちを相手に激戦を繰り広げている。

 

 朱乃さんの親戚の人たちを中心として、五代宗家の人達。九重を連れて助けに来てくれた八坂さんたちを中心とする、妖怪たち。

 

 日本を担当している悪魔もたくさん来て、自衛隊の人達も空自が援護射撃でミサイルを放っている。

 

 なあ、リムヴァン見てるか?

 

 ヴィクター経済連合を結成したお前は、現状に不満がある奴をかき集めたんだろうよ。リゼヴィムがさら煽ってたくさん入れたんだろうな。

 

 だけど、それを良しとしない人達だってたくさんいるんだ。

 

 俺達は、お前達に負けたりしない!!

 

 俺たちはついに大怪獣バトルの少し手前まで来た。

 

「ニエ!!」

 

 俺は、すれ違いそうになる時につい声をかけた。

 

 ニエは業魔化の影響でバテてるけど、それでも俺に気づいた。

 

 そして、俺達はすれ違う時に―

 

「……あとは任せる!」

 

「……前座は頼むぜ!」

 

 そう言い合いながら、拳をぶつけ合う。

 

 その瞬間にこっちを狙ったドーインジャーが襲い掛かるけど、しかしニエは龍鬼の魔獣でそれを叩きのめす。

 

 更に連合軍の人達が援護に回ってきて、安全は確保された。

 

 ああ、これで当分は大丈夫だ。

 

 あとは、俺達がトライヘキサを停止させればそれでいい!!

 

 待ってろよ、リムヴァン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景を見ながら、リムヴァンは苦笑した。

 

「これはこれは。ま、今の平和が一番ってのも多いからねぇ。Lでも流石にかき回しまくれるわけじゃないか」

 

 つたないながらもしっかりと連携が取れているのに感心しながら、しかしリムヴァンもそのままではいない。

 

 というより、今回この程度の強敵は想定内なのだ。超獣鬼三体によるトリオマッチは流石に驚愕だが、それ以外で想定外の事態は起こっていない。

 

 地球全土を征服し、あらゆる神話体系すら支配下に置く。そしてそこから生まれる利権をヴィクターの上層部が中心となって吸い上げる。

 

 それこそが、リムヴァンがリゼヴィムに煽らせて契約した内容。神々の傲慢に裁きを下し、異形の技術をあまねく人々に振りまくというのは、その副次作用を利用する大義名分だ。それらを条件として参加させた派閥もあるが、主要なスポンサーの狙いはそれである。

 

 そして、その切り札こそがトライヘキサ。リムヴァンはそれができると確信している。

 

 龍神クラスとまともに渡り合える規格外の化け物。それこそがトライヘキサだ。

 

 和平が進んでいない時には、あらゆる神話勢力を蹂躙し、余裕綽々で大暴れする事が出来た。流石に調子に乗りすぎてオーフィスとグレートレッドの共闘を招いたが、それ以外は何とかなったのだ。

 

 その事実をもって説き伏せた戦い。前哨戦で躓くなどあるわけがない。

 

 ……しかし、リムヴァンはそれを慢心と判断する。

 

 懸念材料はある。龍神化と魔王化はリムヴァンでも察することすらできなかった現象だ。単独の神器で放つ出力で言うのなら、リムヴァンですら叶わない。

 

 それにあのアザゼルとアジュカを舐めて考えるわけにはいかない。各神話間の交流でブレイクスルーが起きているのは、向こうも同様なのだ。

 

 敵が対トライヘキサの切り札を持っている可能性はある。ロスヴァイセが手を伸ばしたトライヘキサの封印術式があれば、何らかの対抗策はあるだろう。

 

 または、龍を封印した神器を「指定した対象を龍化させる」亜種禁手にして大量に投入。二天龍に使用され、そして摘出されたサマエルの毒を叩き込めば、少しぐらいは形勢が傾くかもしれない。

 

 ゆえに、こちらも主力を投入し、そして自分も動く必要がある。

 

 何よりこんな面白い展開を、遠くから眺めるのもあれだった。

 

「曹操、動けるかい?」

 

「勿論だとも」

 

 いると確信して聞けば、曹操達は既に臨戦態勢だった。

 

 もっと速く、もっと遠く、もっと高く、もっと強く。より向こう側に行くことを目的とし、それを戦闘で目指す。そんな先駆者としての英雄を目指す英雄派。そんな彼らが、この大決戦に出てこないことなどありえない。

 

 最強戦力を投入したこの戦場に、敵が最強戦力を投入するのは目に見えていた。少なくとも、グレモリー眷属とヴァーリチームは出てくるだろう。

 

 ゆえに、英雄派のメンバーは誰もが戦意を滾らせ、先走りそうなぐらい興奮していた。

 

「イグドラフォース」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 指を鳴らして直属部隊を呼べば、既に全員がイグドライバーシステムを起動していた。

 

 神クラスとの戦闘も考慮して集めた、虎の子の戦力。その戦闘能力は各武闘派派閥の精鋭に匹敵する。

 

 そして、それだけではない。

 

 後詰としてコノート組合も派遣している。別の戦場ではカルディナーレ聖教国を牽制する為にファミリアを送り込んでいる。そして他の戦線にも、煌天雷獄使いの天君や、魔獣創造使いの獣王を送り込んだ。

 

 これは文字通りの総力戦だ。この戦いを制したものが、世界を制すると言ってもいい。

 

 リムヴァンは、これを遊び半分でする気はない。

 

 楽しむなら全力だし、勝つことを前提として契約した。そして何より、戦いにおける最大の喜びとは過程ではなく、勝ったという結果にこそあるだろう。あまりに酷い過程ならともかく、一定以上の過程を経由したのなら負けるより勝つ方が嬉しいに決まっている。

 

 ゆえに、この戦いで遠慮はしない。手抜きもしない。加減もしない。

 

 連れてきた勢力は精鋭。ドーインジャーもその大半を中級クラス並の戦闘能力をもつb2型クラスを最低基準にしている。

 

 ゆえに、ここから先は総力戦だ。

 

 まずは、最上級悪魔クラスや腕利きの妖怪達が集まっているところを狙おう。幾瀬鳶雄やデュリオ・ジュズアルドもいる以上、最も戦力が集中していると言ってもいい。自分がオフェンスだ。

 

 そして、ディフェンスも最精鋭で行くべきだ。

 

 チームD×Dでも何度も激戦を繰り広げてきた猛者。オカルト研究部とヴァーリチーム。

 

 この連合軍の中でも最高水準。日本の神々も派遣されているが、単純戦闘能力で魔王化に至ったヴァーリを凌ぐとは思えない。

 

 遠慮はしない。豪勢に行こう。

 

 ゆえに、リムヴァンは告げる。

 

「カテレアとユーグリットは二天龍をお願いね。……終わったら祝杯を上げよう」

 

「っ!」

 

 その言葉に、カテレアもユーグリットも歓喜の表情を浮かべる。

 

 よだれすらたらしそうなほどに口角を吊り上げ、そして気合を入れた。

 

「「了解しました!」」

 

 その言葉に満足そうに頷いてから、リムヴァンは後ろを振り返ると、英雄派とイグドラフォースにを見渡す。

 

「さあ、ここが正念場だ。この戦いを制した者こそが世界を制するだろう。負けるわけにはいかないね」

 

 超獣鬼の生体ミサイルがトライヘキサを攻撃する音をBGMに、リムヴァンは声を張り上げた。

 

「全員出撃!! 二天龍とその仲間達を殲滅し、その勢いで彼らの根城たる駒王町を制圧する!」

 

 そのいつになく真剣な言葉に、全員が気を引き締める。

 

 それを満足げに見つめ、リムヴァンは敵陣を見据えた。

 

「勝利の美酒を飲みに行こう!! さあ、戦闘開始!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今ここに、真第一次世界大戦前半戦における、最大の戦いが始まろうとしていた。

 




再登場、ニエ・シャガイヒ!! とある魔王末裔の協力の元、超獣鬼三体を召喚しての、超巨大バトル!!

そしてトライヘキサを完全に足止めしている間に、D×DVSヴィクターの激戦が連発します!! こっからはほぼバトルだけですぜ、旦那!!
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