ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい。というわけで13話。こっからどんどん難易度が上がっていくぜ!!


最終章 13話 聖槍乱舞

 一方そのころ、シシーリアたちはジャンヌを相手に激戦を繰り広げていた。

 

 聖剣オートクレール。聖剣デュランダル。聖剣エクスカリバー。

 

 三本の聖剣と共に振るわれるのは、魔王アジュカ・ベルゼブブが作り上げし禁断の強化武装。魔王の祝福(キングズ・オーダー)

 

 その出力による強引な戦闘で、シシーリアはゼノヴィアとイリナを支援していた。

 

 流石に三対一での猛攻は、ジャンヌですら簡単にしのげるレベルではなくなっていた。

 

「なかなかしぶといじゃない、お姉さんちょっと燃えてきちゃった!」

 

 テンションが上がるジャンヌを追い込むように、さらに周囲からの攻撃も苛烈になる。

 

 シシーリアによってジャンヌとの戦いが拮抗し始めてきたことが、戦意を高めていくのだ。

 

 その猛攻が魔聖剣の龍を削っていく。

 

 この調子ならば、魔聖剣の龍は直に撃破。そしてその戦力をもってして、ジャンヌを圧殺できる。

 

「覚悟を決めろ! この調子ならこちらが圧殺できる!!」

 

 ゼノヴィアがデュランダルを振り下ろしながら、ジャンヌに覚悟を迫る。

 

 なにせ、ジャンヌは全世界放送の中でローマ教皇を殺害した張本人だ。

 

 投降したとしても、果たしてただで済むかどうか。聖書の教えを信仰する国家は暗殺者を送るだろうし、政治的圧力で警備が緩くなる可能性もある。

 

 ゆえに、ゼノヴィアも覚悟を迫ったのだが、ジャンヌは不敵な笑みを浮かべる。

 

「あらら? もしかしてもう勝ったと思ってるのかしら? お姉さん困っちゃう」

 

「この状況でよく言えますね。駄娘である私でも読める詰みですが?」

 

 シシーリアですらそう確信できるほどの劣勢。そして、それは確かに決定打となった。

 

 上級悪魔数人がかりの魔力砲撃が、ついに魔聖剣の龍を粉砕する。

 

 これでこの場はジャンヌ一人だ。あとは全員で押し切れる。

 

 しかし、ジャンヌはその光景を見て―

 

「なら、そろそろホントの禁手を見せちゃおうかしら♪」

 

 ―ついに本気を出せると、歓喜の笑みを浮かべた。

 

 そいて、その瞬間だ。

 

 くだけた龍を構成していた魔聖剣が、光り輝くと、巨大化する。

 

 それらは大量の巨大な魔聖剣となると、それぞれ七つに集まり、そして何かを形作る。

 

 そして、そこに現れたのは―

 

聖魔龍の巣窟(ビトレイヤー・ドラグ・スクワッド)♪」

 

 ジャンヌ・ダルクを守るように飛び回る、七体の魔聖剣の龍だった。

 

「な、なんだと!?」

 

「さっきのが、七つ!?」

 

 狼狽する連合軍たちをみて、ジャンヌは不敵な表情を浮かべ、魔聖剣を構える。

 

「これが私の複合禁手よ。魔聖剣の龍は、最大で八体まで出せるの」

 

 そして、さらにジャンヌは追加を仕掛ける。

 

 というよりは、本命が来たことを察して、言葉を投げかける。

 

「どうやら、曹操も有象無象を倒してこっちに来てくれたみたいね」

 

 その視線をみれば、曹操が確かに聖槍をもって空を飛んできていた。

 

 さらにその下には森長可が、海面をかけて同じくこちらに向かってくる。

 

 その事実に、連合軍が明らかに絶望の表情を浮かべる。

 

「嘘だろ? この状況下で―」

 

 当然だ。曹操の戦闘能力が桁違いなのは、誰もがよく知っている。

 

 あの、ヴァーリ・ルシファーの極覇龍すら凌ぎ切った猛者。その戦闘能力は天龍の全盛期とすら渡り合え、更に問題なのは技量が桁違いであるということ。

 

 その圧倒的な技量は、主神すら絡みとれるともっぱらの噂だ。

 

 間違いなくヴィクター最高戦力の1人。それがさらに、英雄派の最精鋭である森長可を連れて接近してくる。

 

 その事実に、多くのものが逃げ腰になり―

 

「……まさか、彼が今戦えると本気で思っているんですか?」

 

 きょとんとした表情で、シシーリアがジャンヌに尋ねた。

 

「何を言っているのかしら? よく見なさいよ」

 

 まさか恐怖で頭がおかしくなったのかと思い、ジャンヌはため息すらつく。

 

 この状況下がどれだけ詰んでいるか、あえて懇切丁寧に説明するしかないようだ。

 

「いい? 二天龍はカテレアとユーグリットが抑えてる。そして、曹操に対抗できるのは彼らだけでしょう?」

 

 そう。この戦場における最強戦力は間違いなく二天龍だ。

 

 その二人でなければ曹操を止めることはできない。神滅具の禁手程度では、曹操の覇光を凌ぐことはできないのだから。

 

 しかし、その二人は現在全力でユーグリットとカテレアが相手をしている。現状、曹操が来たら逃げるしか手がないのだ。

 

「……あなたがお熱のヒロイ・カッシウスの禁手なら太刀打ちできるでしょうけど、リセス・イドアルと一緒に戦線離脱だもの。どうしようもないじゃない?」

 

 あの二人はもう戦えない。戦わせるものがいないだろう。

 

 なにせ、全力で戦えば桁違いの速度で死んでいくのだ。寿命の消耗速度は覇に匹敵し、その解呪には神クラスでも百年かかると目されている。そして、人間では十数年で死ぬのろいだ。

 

 どう考えても、戦線に出せる状態ではない。

 

「あなたがヒロイ・カッシウスが大好きなのは知ってるわ。こんなところに出てくるなんて、納得できる―」

 

 訳がない。

 

 そう、言おうとした。

 

 その瞬間、()本の聖槍の輝きが交錯した。

 

 あり得ない。聖槍使いはこの場には、曹操と長可の2人しかいない。二本が限界だ。

 

 そこまで見て、ようやく気が付いた。

 

 曹操達はこっちに駆けつけてきたのではない。戦っている間にこっちに移動してきただけなのだ。

 

 なぜわかるか。それは簡単だ。

 

 いま、天候が操作されて雷が曹操達に襲い掛かった。

 

「……バカなっ」

 

「どういうこと? 結界はどうしたの!?」

 

「お二人が、なんで?」

 

 ゼノヴィアも、イリナも、アーシアも目を見開いた。

 

 目の前の光景が信じられない。あっていいはずがない。

 

 何より、その光景が意味するところをシシーリアが知ったらどうなるか。

 

 ショックを受けていると思い、三人はシシーリアに目を向ける。

 

 そして、目を疑った。

 

「……ふふっ。やっぱりあの人はそうでないと」

 

 満足げに笑みを浮かべ、シシーリアはその光景を眩しそうに見つめる。

 

 そこにあるのは明らかな喜色。悲しみも衝撃も絶望もなく、あるのはただ満足げな喜びだけ。

 

「こ、壊れた?」

 

 ジャンヌですらそう聞くほどの展開だ。

 

 そして、それを聞いてシシーリアは不満げな表情を浮かべる。

 

「失礼ですね。好きな人が好きなところ見せていて、それを喜ばない女の子はいません」

 

 少し膨れながらそう変えすと、シシーリアは魔王の祝福を突き付ける。

 

 そして、戦意を込めた微笑と共に、胸を張ってその言葉を紡いだ。

 

「私の愛し仰ぎ見るヒロイ・カッシウスは、私の心を照らした輝く英雄。そして、それをなしたのはリセスさんです」

 

 そして、その戦いを応援歌として、シシーリアは強い意志をもって、はっきりと告げる。

 

「その私が、彼らが輝く手伝いをすることはあっても、邪魔をするなんてありえません!!」

 

 そう。シシーリア・ディアラクは聖女ではなく死神と呼ばれる覚悟を決めた。

 

 あの二人がほぼ確実に死ぬだろう戦場に、あえて二人を送り込む。

 

 陰ったまま、本人たちが臨まない生を与えるのではない。

 

 輝いたまま、本人たちが望む死をあたえよう。

 

「さあ。私の愛するヒロイさんの英雄街道。その端役として散りなさい!!」

 

 そして、シシーリアは遠慮なく装備の宿した王の駒を最大出力で駆動させる。

 

 此処に端役を介入させる気はない。自分の役目は露払いだ。

 

 そして、その果てに狂人と蔑まれることも覚悟した。

 

 自分をそうしたヒロイを恨んだりはしない。こうなってしまうしかなかった自分を恨むことはあっても、ヒロイを恨むことだけはしない。

 

 そうなる前に自ら引導を渡そう。その方がはるかに自分らしい。

 

 くすぶって、うつむいて、陰るしかなかった自分。そんな自分に、彼は光を照らしてくれた。

 

 それでもくすぶり続けて、道を誤ってしまった自分を、それでも照らしてくれた英雄に、そうすることでしか恩を返せない。

 

 ゆえに微塵も遠慮はしない。覚悟をもってそうしよう。

 

「ここから先は通しません。彼の光に、貴方のような前座は必要ない!!」

 

 不退転の覚悟を決めて、シシーリア・ディアラクはジャンヌ・ダルクを討つべく全力で戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、ありがとう、シシーリア。

 

 俺は、俺たちは今、輝いている。

 

 二方向から振るわれる、最高峰の聖槍使いの攻撃を、俺たちは全力で回避し続ける。

 

 そしてもちろん反撃もする。回避に徹して防戦一方になどなっていない。

 

 そうだ。俺たちは戦えている。

 

 今のこの間にも、俺たちの寿命は音速で減っていることがよくわかる。

 

 大事なものが削れていく。必要なものが消えていく。文字通り、命が急速に燃え尽きていく。

 

 だけど、それでいい。

 

 つまらない長い人生なんていらない。必要なのは、短くてもいいから、強く輝き誰かを照らせる人生だけだ。

 

 そして、今俺たちはそれをなしている。

 

 俺たちは今、陰る人々を照らしている。

 

 これ以上の戦いは、そうないだろう。いや、あったとしても優先順位は今がうえだ。

 

 俺たちが照らしたいと思った人々が、今この戦いの最中も曇っている。

 

 俺たちの大切な仲間が、今この間も命を危険にさらしている。

 

 それを黙って見過ごすことが、輝き(英雄)のやることじゃない。

 

 今ここは、世界の命運をかけた大一番だ。それを見過ごして出し惜しみして、もし負けたとして、俺たちは英雄だと名乗れるか?

 

「名乗れるわけがねえよな、姐さん!」

 

「名乗れないわよね! ヒロイ!!」

 

 意見は一致、なら全力。

 

 俺たちが戦う意義も理由も大義もある。なら、死に場所として最高だ。

 

「「覚悟はいいか、ヴィクター!!」」

 

 その渾身の一撃に、聖槍使い二名は弾き飛ばされる。

 

 そして俺たちが追撃すれば、2人は即座に迎撃してしのいでくる。

 

「はっはぁ!! やるじゃねえか!!」

 

「ああ! 最高の宿敵だ!!」

 

 森長可も、曹操も、俺たちを見て最高の笑顔を向けてくる。

 

 ああそうだろう。お前が先駆者(英雄)を目指すなら、俺たちを避けて通るわけがねえ。

 

 だからこそ、俺たちが出てくる意義はある。

 

 倒せるならば、それに越したことはねえ。もし負けるにしても、その間一分一秒でも足止めできるってことは、それだけの意義がある。相打ちでも値千金。決着がつかないのはついてねえが、それでも時間稼ぎって意味なら価値がある。

 

 俺たちは、勝てなくてもいい。

 

 ただ、一分一秒でも輝けるのなら……。

 

「それだけでも、価値がある!」

 

「そうでしょ、英雄派!!」

 

 俺と姐さんはともに聖槍をつかみ、そしてともに雷撃をはなつ。

 

 そして俺と姐さんの2人は雷撃を重ね合わせ、制御して突撃を行う。

 

 それを七宝をすべて展開して防ぎながら、曹操は歓喜の表情を浮かべた。

 

「ああ、そうだ!! それでいい!!」

 

 うれしいか曹操? ま、そうだろうよ。

 

 宿敵と認めた俺との戦いが、リムヴァンの猪口才な呪いで台無しとか、さすがにちょっと肩透かしだろうよ。

 

 俺たちが決着をつける価値はある。それ位に、俺たちはお互いを宿敵と認めてきたはずだ。

 

 そして、俺もお前もそれぞれの勢力で精鋭だろう? 強敵だる? 難敵だろう?

 

 なら、俺たちが出くわせば見逃す道理はないだろう!!

 

「曹操! 長可!! あなた達は私たちが相手をするわ!!」

 

「上等だぁ! 戦国乱世でもなかなかでないぜ、お前らみたいなのはな!!」

 

 姐さんの言葉に、長可が答える。

 

 そして、曹操も滾っていることが丸わかるの表情で吠える。

 

「決着をつけよう、我が宿敵!! 紛い物!!」

 

 そうだろうよ。所詮俺は紛い物だ。後天的移植者だ。

 

 おまえからしてみれば、間違いなく俺は偽物で、イラつくだろう。

 

 そんな奴に一矢報いられてるんだからよ。勝って終わりたいだろうし、せめて決着はつけたいよなぁ! 俺もだよ!!

 

「決着をつけるぜ、曹操!!」

 

 ああ、俺の命はここまででいい。

 

 だが、決着だけはつけていくぜ!!

 




ヒロイ&リセス、ついに参戦。曹操及び長可と決着をつけることになります。

そしてシシーリア、かなり全力。そっちの方がいいと思ったとは言え、やってしまったことは事実なので頑張ります。
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