ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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一方そのころ、ほかの戦場でも激突は続いており―


最終章 15話

 

 そしてそのころ、シトリー眷属は大苦戦を強いられていた。

 

「こんなもんか、ま、これだけ強化してんなら当然だよな」

 

 軽くため息をつきながら、ジェームズは苦戦する敵を見据える。

 

 イグドラフォース最強戦力、ジェームズ・スミス。神滅具だけでなく元から神器も強力で、さらに龍王の後継種を封印したイグドラヨルム。その戦闘能力は、神クラスにも匹敵する。

 

 その圧倒的な攻撃力を前に、シトリー眷属はそのほとんどが戦闘不能になっていた。

 

「これが、リアスたちを苦しめたイグドラフォースですか……!」

 

「会長、俺の後ろに下がっていてください!!」

 

 すでに動けるのは、中でも別格のソーナと匙のみ。

 

 ほかのメンバーは戦える状況ではなく、誰一人として死人が出ていないことが奇跡だった。

 

「上等だ! だったらやってやらぁ!!」

 

 渾身の力を込めて、匙は突撃を開始する。

 

 同時にラインも大量に展開、あらゆる方向から力を吸い取るべく遠慮なく攻撃を行う。

 

 その大量のライン攻撃はまさしく脅威。一本でも触れられれば同格の力を宿しているとはいえ苦戦は必須だろう。

 

 しかし、ジェームズは動かない。

 

 ただ静かに小銃の神器を構えると、その引き金を連続で引くのみ。

 

 狙いもつけてない雑な砲撃、普通に考えれば、一発も当たるわけがない。

 

 しかし、その砲撃はすべてが直撃した。

 

 一つ一つのラインに当たり見事に吹き飛ばす。

 

 さらにラインが吹き飛ばされれば、本体である些事にまで攻撃が届く。

 

 匙はとっさに回避行動をとるが、そもそもジェームズは狙いすらつけていない。

 

 そんな雑な攻撃が、然しすべて命中する。

 

「匙!!」

 

「来ないでください、会長!!」

 

 思わず駆け付けようとするソーナを制しながら、匙は渾身の力でジェームズに迫る。

 

 理由はわからないが、相手の攻撃はすべてあたると考えた方がいい。よけようとしても躱せないのはよくわかった。

 

 ならば、避けることは考えない。

 

 すべての攻撃を無理やり耐え、強引にラインを相手につなげるのみ。

 

 その強引な戦法に、ジェームズは半分呆れかえった。

 

 だがしかし、この能力に対する対処法としては及第点だ。

 

 喰らうことを避けられないのなら、無理やり強引に進めばいい。そういう対処方法しか思いつかないのは残念だが、実際それ位しか対処方法がない能力でもある。

 

 どうあがいても一定以上の防御力が無ければ勝ち目がない。そういう能力である以上、どうしようもないのだ。

 

 そして、だからといってそんな方法で楽に勝てるわけでもない。

 

「砕け散れ、禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

 即座に流星破壊(メテオ・バスター)を禁手化させ、攻撃をさらに激しくする。

 

 同時に、封印されていたヨルムンガルドの力を活性化。オーラとしてヨルムンガルドを具現化させ、その頭頂部に一体化する。

 

 そして、圧倒的に強化された攻撃の雨あられを一斉に掃射。究極の羯磨の亜種禁手の力で強引に全弾命中させる。

 

 その猛攻に、匙は確かに耐えた。

 

 しかし、同時にあまりの猛攻に押し返される。

 

 当然といえば当然だ。イグドライバーシステム食型の中でも、イグドラヨルムは最強。龍王であるミドガルズオルムを戦闘特化型に再設計したヨルムンガルドは伊達ではない。

 

 知能こそ劣化しているが、単純な火力と攻撃力ならヨルムンガルドはオリジナルであるミドガルズオルムを超える。その圧倒的火力は、魔王は愚か神クラスにも届くだろう。

 

 対して、匙元士郎が宿すヴリトラはからめ手や特殊能力によって戦うタイプだ。真っ向勝負に持ち込まれれば、押し切られるのは仕方がない。

 

 最初に、真っ向勝負の形に持ち込まれた時点でこの戦いの勝敗は決まっている。

 

「ざまあないな。俺みたいな空っぽな奴に追い込まれてるんだからよ」

 

 正直、少し無情を感じてしまう。

 

 ジェームズは、自分が空っぽであることを理解している。

 

 匙元士郎のように、愛してくれる家族も、守りたいなにかも、かなえたい野望も、あってほしい理想もない。本当に何もないのだ。

 

 そんな自分が神にすら届く戦闘能力を手にしたことは喜ばしい。しかし同時に、これだけ何かを持っている男が、何も持ってない自分に倒されようとしていることに憐れみすら感じる。

 

「投降するならうけつけるぜ? あんたらならそれなりに役に立つだろうしな」

 

 そう告げるが、しかしその返答も分かりきっている。

 

 むろん、怒りという名の拒絶が返ってきた。

 

「ザケんなよ、あぁ!?」

 

 渾身の怒りとともに放たれる黒炎を、ジェームズは砲撃を当てて相殺する。

 

 そして連続で反撃を当てながら、然しジェームズは向かってくる匙に驚いた。

 

 明らかに先ほどより対抗できている。怒りで神器の性能が引き出されるのは知ってはいるが、性能差を覆しそうになるほどとは思わなかった。

 

「俺たちが、夢をかなえるためにどれだけ頑張ってきたと思ってんだ!! てめえ、それを馬鹿にしてんのかよ!?」

 

 なるほど。そういう感情で来るとは思っていた。

 

 夢のため、仲間のため、家族のため、愛のため。そういうなにかは苦しいことに耐える力になる。そして、それが努力を積み重ねることにつながり力に代わる。

 

 だが、それも圧倒的な力の前には無力だ。

 

「なら倒してみな! おまえ、さっきから負けてばかりだろう!!」

 

 さらに攻撃を当て続け、ジェームズは再び匙を押し返す。

 

 攻防特化型の龍王と特殊能力特化型の龍王。真っ向勝負に持ち込まれては、どうあがいても苦戦は必須だった。

 

 しかし、それでも匙元士郎は屈しない。

 

「ああ、勝ってやるよ!!」

 

 眼には諦めの色をかけらもださず、実際欠片も諦めないで、匙元士郎は突撃を開始する。

 

「たとえ俺が死んでも、俺の仲間たちが、俺たちと一緒に戦ってくれる奴が、お前を倒す!! 俺はそいつらが進めるよう、一歩でも前に進んでやる!!」

 

 血反吐を吐きながらそれでも突撃し、そして匙は前に進み―

 

「そうか。ならお前の前進はここまでだ」

 

 最大出力のヨルムンガルドの砲撃が、匙元士郎を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 死んだ。匙はそう直感した。

 

 龍王の力を最大限に発揮した今の自分ですら、イグドラシリーズには勝てなかった。

 

 家族が悲しむ。仲間が悲しむ。主が悲しむ。

 

 教師になれない。家族の面倒が見れない。ソーナと添い遂げられない。

 

 だが、それでも。

 

 せめて一歩でも前進し、そして一瞬でもいいからラインをつなげよう。

 

 そしてちょっとでも力を吸い取ることができれば、それだけでも勝利に一歩近づける。

 

「届けぇええええええ!!!」

 

 そして圧倒的な力の奔流をその身に受けようとし―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、私が力を貸しましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と共に、匙は何かに取り込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェームズは、その新たな姿を見て、ぽかんとなった。

 

「……なんだありゃ?」

 

 そう言いたくなるのも無理はない。

 

 今ジェームズの目の前には、機械でできた何かがある。

 

 一瞬恐竜を模したのかと思ったが、どちらかというと龍だ。龍の頭部に人型の何かがのっかっている。

 

 サイズも今の自分と同様だ。むしろ頭部に接続されているサイズなら、あちらの方が上だろう。

 

 っていうか、なんだ、あれ?

 

 そう思ったその瞬間、声が響いた。

 

『なんじゃこりゃぁああああああ!?』

 

 どうやら、匙元士郎は消し飛んでなかったらしい。しかしなぜか姿が見えない。

 

 っていうか、オーラが機械の龍から聞こえてくる。

 

『なんだこれは!? 二天龍やファーブニルの二の舞だというのか!?』

 

 何やら絶望の感情を込めた、ヴリトラの叫びすら聞こえてくる。

 

 というより、二天龍やファーブニルに近しい色物はさすがに嫌らしい。まあ、あれを喜べるような輩はいないと思うが。

 

 そして、イグドラヨルムのセンサーが、更に頭の痛くなる反応を出した。

 

 その機械龍から、よりにもよってアガレス家の反応が出てきたのだ。

 

『大丈夫ですか、匙元士郎。今あなたは、このアガレス軍のフラッグシップ機として開発されたデュークミーに取り込まれています』

 

 しかもアガレスの次期当主の声が聞こえてきた。

 

 どういうことなのだろうか。

 

 人工的に大型兵器を用意しても、この戦場で太刀打ちできるとは思えない。

 

 下級中級を超える戦闘能力をもった兵器なら、作れないこともないだろう。防人一型などはあるし、一般兵士が使用する分なら、それなりに採算もとれる。

 

 だが、最上級クラスの兵器を開発するとなれば話は別だ。開発そのものが困難極まりないし、コストパフォーマンスが追い付かない。

 

 それなら王の駒を開発する方がよほど安上がりだ。人工神器でももう少し小型のものが作れるだろう。

 

 なにせでかすぎる。あれを開発するのに、何億ドル使われたのか考えると頭が痛くなる。

 

 何で敵の心配をしなければいけないのだろう?

 

 そんなジェームズの思いをよそに、機械龍から声が響く。もちろんアガレスだ。

 

『さあ、このアガレス家・神の子を見張るもの(グリゴリ)・日本政府が共同開発した、私専用の機動兵器が相手です。このデュークミー、伊達に私とグリゴリの資金を投入して、技術大国日本の全面協力を得たわけではありません!! コアとして龍王ヴリトラを得た今、その戦闘能力は魔王クラスです!! ミニッツ級空母を三隻作れる製造費用は伊達ではありません!!』

 

「その金をほかに回せよ」

 

『反論できねえ!!』

 

 ぺらぺらとすごい金の無駄遣いを宣言するシーグヴァイラに、ジェームズと匙は敵味方の垣根を超えてツッコミを入れる。

 

 しかし、シーグヴァイラには聞こえていない。

 

『さあ! お父様の目を盗んで開発したこのデュークミーの力を思い知りなさい!! 悪堕日三勢力同盟の技術力、とくと味わいなさい!!』

 

 テンションが高まりすぎて目が血走っているシーグヴァイラが、そう言いながらスイッチを押す。

 

 その瞬間、デュークミーの全身から光が漏れる。

 

 そして、一斉に放たれた光弾は曲線を描きながらジェームズに殺到した。

 

『光弾瀑布! アガレスサーカスミサイル!!』

 

「『ビームじゃねえか!?』」

 

 ついにツッコミが重なったが、そんなことを聞くシーグヴァイラではなかった。

 

 シーグヴァイラ・アガレス。若手四王(ルーキーズ・フォー)が一角。その力は若手四王の中では最弱とも称されるが、政治手腕も込みで言うならば、若手四王でも最高に近いものである。

 

 アグレアス攻防戦においてアグレアスの有力者を短時間で取りまとめ、作戦指揮を執り行った手腕は本物。その政治力も含めれば、若手四王の一人として選ばれるだけのことはある、有数の実力者である。

 

 だがしかし、この人致命的な欠点がある。

 

 ……オタクの上にドをつけるほど、ロボットマニアなのだ。

 

 そして数多くの者たちにダンガムを広めることとなる、シーちゃんの暴走が生んだのがこのデュークミー。

 

 完成してから現大公が事情を知り、止めなかった神の子を見張るもの及び日本政府と国際問題を起こすことも考慮したほどの金を動かして開発された、デュークミー。

 

 その最初にして最後の見せ場が、今始まった。

 




なんか最終決戦でシーちゃんを魔改造してくれと言われたので、彼女の趣味合わせてスーパーロボットを用意しました。イメージとしてはドッゴー〇
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