ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そんなこんなで、シシーリアが頑張る今回。ジャンヌとの戦いもラストです!!
転生悪魔シシーリア・ディアラクは、傍から見ると色々大変な人生を送ってきたものである。
そして、シシーリア自身そう思っている。
両親を事故で失った。
神器を見出されて聖女となった。
その重圧に耐え切れず、逃げ出すように悪魔になった。
事実上の愛玩人形として扱われた。
その事実に腐り切らず、逆手に取られたとはいえ裏切った。
そして悪魔の親族に面倒を見てもらい、補佐官としての立場を得た。
アップダウンの激しい人生だ。傍から見れば興味を惹かれるかもしれないが、自分でする分には色々と思うところがある。二度目があるとしても、それを望む事はないだろう。
そんな人生でも、絶対に譲れないものがある。
それは、そんな自分を照らしてくれた
ヒロイ・カッシウス。かつてリセス・イドアルに救われ、彼女のような生き方をしたいと切に願った少年。
その彼の輝きに照らされたからこそ、自分は腐り切らなかった。最後の一線を踏み越える事なく、自分は今ここにいる。
だから、彼が輝く為にその立場を投げ捨てかねない事をした事に、後悔はない。
彼女は自分の夢を裏切った。自分と同じ境遇だった、そしてかろうじて生き残った者たちが入れる居場所を作る。その望みから自らの意志で遠ざかった。
だけど、それでもこれだけは譲れなかった。
シシーリアは、英雄であるヒロイを愛している。彼がいたからこそ、今の自分がいると信じている。
その彼が致命的な呪詛を喰らったと知って、確かにシシーリアはショックを受けた。
そして、できる事なら生きていて欲しいとも願った。
だが、ヒロイが事実上の軟禁状態になっていると知って、シシーリアは彼を連れ出す事を一瞬で決意した。
それほどまでに、シシーリアはヒロイが輝いている事を願っている。
だから、そう、だから―
魔聖剣の龍の集中砲火を前に、シシーリアはしかし怯えたりはしなかった。
もとより、自分のような弱者がこの戦いで死ぬのは当たり前だ。命を捨てる覚悟もなく、この戦場に出てきたりはしない。
なにより、自分を照らしてくれているヒロイは、今この戦場に死にに来ているのだ。それも、自分が連れ出した。
なのに自分が怯えるなどあってはならない。それが、最低限の責務だ。
「これで終わりよ、元聖女ちゃん!!」
ジャンヌは全力をもって自分達を殺しに来ている。
それは良い。
そして自分が負けるのは確定だ。
それは良い。
自分が死ぬのも想定内だ。
それは良い。
だが、ここで自分が死ねば次はどうなる?
動揺が隠せていない後ろの者達が次に死ぬ事になるだろう。
それは、良くない。
ヒロイ・カッシウスを連れ出した責任が自分にはある。そこから生まれるデメリットは、自分で補わなければならない。
自分が、やるしかない。
だから、だから、だから、だから、だから―
「例え死んでも、ここは私がどうにかします!!」
シシーリアは、心からの本心で足を進める。
魔王の祝福は既にズタボロだ。このままではすぐに壊れるだろう。
それでも、一つでも多くの傷を作って勝利へと繋げる。
いや、ここで彼女を倒す。そして生きる。
自分は駄馬だ。自分は愚図だ。自分はどうしようもない女だ。
だが、そんな自分を照らしてくれた輝きがある。
その輝きに、今度こそ恥じない自分でい続ける。
輝く事はできなくても、彼の輝きを反射する事はできる。
太陽に照らされる月の様に、シシーリアは間接的に光を与える事ができるのだと信じたい。
そうだ。自発的に遠ざかったとはいえ、自分にはしたいことがある。
輝きに照らされなかった自分達が、居れる場所を作りたいのは本音なのだ。
だから、自分は―
「私は、生きる!! 生き残って、遠回りしても、彼女達の居場所を作る!!」
それが、ヒロイ・カッシウスに救い上げられて自分がしたい事だ。
太陽から遠ざかってしまった彼女達に、せめて月の祝福を。
その決意と共に魔王の祝福が魔聖剣の龍とぶつかり合い―
「覚悟は良いけど、この程度じゃぁねえ」
シシーリアの目の前で、魔王の祝福が砕け散った。
魔王の祝福で強化されていた身体能力が消滅し、そしてシシーリアにブレスが迫りくる。
もはやシシーリアの死は確定的。
だが、それでもシシーリアは引かない。
ここで気圧されればそれこそ死ぬ。それが分かっている。
だから、一歩前へと踏み出る。
死なない。生きる。願いを叶える。
輝きに照らされ輝こうとしたヒロイみたいには生きれない。それでも、太陽にはなれなくても月にはなれると信じるから。
だから負けない。死んでも勝つ。否、死なずに勝つ。
渾身の力で聖女の洗礼を発動させ、そして己自信を祝福し、その攻撃を掻い潜ろうと試みる。
遠回りをしてしまった。それでも、それでもこの願いは何時か叶える。
……だから、最後まで諦めない。
その想いには何一つ偽りなく、世界の流れにすら逆らうほど。
その思いは、ついに至った。
それに自覚した瞬間、シシーリアは瞬時に叫んだ。
それは、均衡を崩す力。
それは、神器の究極。
それは、神が与えし人の禁じ手。
そう、それは―
「
そして、その瞬間シシーリアはジャンヌの目の前にまで移動した。
ジャンヌはそれに即座に反応。魔聖剣を壁にして、体勢を立て直そうと時間稼ぎにかかる。
そしてその防御を、シシーリアは一切の呵責なく一刀両断。
「な―」
「教皇猊下の仇、信徒のなりそこないとして討たせてもらいます!!」
そして、その一瞬の交錯で、決着はついた。
「……あなた如き紛い物の英雄、真の英雄であるヒロイさんに照らされた私で、十分です」
文字通り、ジャンヌを一刀両断したシシーリアは、意識が遠のくのを感じる。
それは、当然の裁きだともなんとなく思った。
何故なら、彼の最期の輝きを見ることができないのは、心残りになる以外ないのだから。
シシーリアの禁手の細かい内容は、二部のために取っておきます。というより、二部になってからの方が活躍できます。
ちなみにゲオルクはタイミングが合わずにかなりついで的に撃破されることになりました。マジすまんゲオルク。
ですが、とりあえずあとは最終決戦の連発です。
二天龍VS二大邪龍 英雄タッグマッチと続き、そしてトライヘキサやらリムヴァンが待っております。
こっからも熱いバトルが連発するので、皆さんどうかご期待ください!!