ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ついに難敵を撃破したヒロイたち。

だが、まだトライヘキサは残っており、それを何とかしなければ意味はない。

そして、その方法は……


最終章 23話 隔離結界領域

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わったのか?

 

 そんな風に思うぐらい、戦闘は静かになっていった。

 

 よく分からないけど、ヴィクターの士気が一気に低下していってる。

 

 何だか分からないけど、決着がついたって事なのか?

 

「……兵藤一誠。この戦場に出ていた英雄派の幹部達とイグドラフォースだが、その殆どが戦死するか捕縛されたらしい」

 

 通信を繋げていたヴァーリが、そう言ってくる。

 

 マジか! リアス達、頑張ったんだな!

 

 敵の精鋭は全滅。カテレアとユーグリットも俺達が倒した。

 

 なら、後はドーインジャーとトライヘキサだけかな? トライヘキサはともかく、ドーインジャーだけならどうとでもなる!!

 

 よっしゃ! こうなったら、俺もぶっ倒れるまで残りの敵を倒して―

 

『相棒。どうやら、俺達にはもう一つ仕事があるようだぞ?』

 

 ―そこに、ドライグの言葉が飛ぶ。

 

『ヴァーリ。どうやら正念場はここのようだ』

 

 アルビオン迄そんなことを言ってきた。

 

 なんだ? リムヴァンの奴でも出てきたのか?

 

 俺達がとりあえず身構えると、トライヘキサの方から何かが飛び出して、接近してきた。

 

 ……光る子供のような姿をした、人型の存在だった。

 

 なんだ、こいつ。なんか明らかにやばいオーラを纏ってるんだけど。

 

『なるほど。どうやらトライヘキサのコアのようだね』

 

 と、そこに声が響く。

 

 振り返ると、そこにはリアスの消滅の魔星を遥かに凌駕するような魔力の塊がいた。しかも何故か人型だった。

 

 だ、誰だ!? バアル家の親戚か何かですか!?

 

 ちょっとビビるけど、その魔力の塊は片手を上げる。

 

『私だよ、イッセー君。サーゼクスだ』

 

 さ、サーゼクス様ぁ!?

 

 え、えっと……なんでそんな姿に!?

 

「ほう。凄い事になっているが、どうしたんだ?」

 

『やあ、ヴァーリ君。これが私の全力モードといったところだよ』

 

 と、ヴァーリとサーゼクス様が気安い様子で会話する。

 

 ヴァーリはかなり自由人だし、サーゼクス様も基本的にフランクだ。……ルシファー同士の会話というある意味すっげえ状況なのに、当人同士はすっげぇ気安い。

 

 ……いや、そんなことはどうでもいいんだよ!?

 

「サーゼクスさま? それで、あれがトライヘキサのコアって、どういうことですか!?」

 

 っていうかなんで人型?

 

『ああ。どうやら他の戦場でもトライヘキサがああいうコアを出して戦闘を行っているんだ。私は冥界をセラフォルーとファルビウムに任せて、敵の本命の此方の援護に来たところだよ』

 

 あ、他のところでも出てきてるんですか。マジですか。

 

 っていうか、これちょっとまずくないか?

 

 ロスヴァイセさんの封印術式を喰らった上でこんなことしてるとか、トライヘキサの化け物っぷりがよくわかる。こいつもあの化け物の方のトライヘキサと同じぐらい強かったりするのかもしれない。

 

 クソ! ここまで来てこんな展開とか勘弁してくれよ!!

 

 俺が戦慄していると、サーゼクス様は俺とヴァーリに並び立った。

 

 そして、俺の方を向いてこういった。

 

『イッセーくん。できれば、私と一緒に戦ってほしい』

 

「そ、それはかまいませんけど、何でいきなり?」

 

 いや、トライヘキサのコアが目の前にいるんだから、戦うしかないのは分かってるけどね?

 

 それはそれとして、何でいきなりそんなことを?

 

 何か気になるんだけど、そもそも、いくらここが敵の最大戦力だからってなんで魔王のサーゼクス様がここにいるんだ?

 

『君と一度共闘したかったのだよ。まあ、ちょっとした我儘というやつだ。それ位はしてもいいとアザゼルやオーディン殿たちも認めてくださったのでね』

 

 アザゼル先生やオーディンの爺さんが? いや、なんでわざわざ……。

 

 俺が深く聞こうとしたとき、まさにそのタイミングだった。

 

 トライヘキサのコアが、しびれを切らしたのか俺に向かって殴り掛かってくる。

 

 それをヴァーリが受け止める中、サーゼクス様も前に出た。

 

「さあ、行こうかイッセー君!!」

 

「は、はい!!」

 

 俺たちは三人がかりでトライヘキサのコアに攻撃を加える。

 

 トライヘキサのコアは破壊されてもすぐに再生するけど、それを意に介さず攻撃を叩き込んでくる。

 

 一撃一撃がイグドライバーシステムを使ったリゼヴィム達より重い。さすがは、グレートレッドに匹敵すると言われているトライヘキサのコアってことか!!

 

 だけど、こっちだって負けてない。

 

 とくにサーゼクス様がすごい。

 

 大量の滅びの魔力を操って、トライヘキサを再生してくるところからかったぱしに消しまくってる。

 

 なんだよあの威力。リアスの消滅の魔星に匹敵する威力の攻撃が、軽く百は越えてるぞ!?

 

『まったく、あの男は化け物としか言いようがないな。先代ルシファーなど軽く超えているぞ』

 

『まったくだな赤いの。こいつが当時の冥界にいたら、私達は滅ぼされていたかもしれん』

 

「だがそれでこそだ。いずれ相まみえる時が楽しみだといえる」

 

 思い思いにドライグとアルビオンとヴァーリが言うけど、俺はもう戦慄したいです。

 

 なにこの人。テクニックタイプとか言ってるくせに、リアスよりも火力が圧倒的に上じゃないか。いや、桁違いだよ。

 

「イッセー君! ここは連携攻撃だ!! 掛け声は「義弟よ」「義兄さん」でいこう!!」

 

「そんなこと言っている場合ですか!?」

 

 なんでこの人めっちゃ楽しそうなんだよ!! どんだけいきいきと戦ってるんだ!?

 

 なんだろう。なんていうか、すっごい張り切ってるよこの人。

 

 ヴァーリみたいな戦闘狂じゃなかったと思うんだけど……。

 

『未来の義弟と一緒に戦えるとは夢のようだ! アザゼルも粋な計らいをしてくれたと本当に思う!!』

 

 心底楽しそうに、サーゼクス様は戦っている。

 

「まったく! 流石はルシファーを継承したものだ!! 俺も本来のルシファーの末裔として、鼻が高い!!」

 

『なに、君ならいずれ越えられるとも! 私はその時を待っているさ』

 

 ヴァーリとも掛け合いをしながら、サーゼクス様は思いっきり戦っている。

 

 まるで心残りを清算するかのように、全力で、全力で……!?

 

 俺はその時、急に力が抜けて倒れ伏す。

 

 しまった!? これは、龍神化の反動か!?

 

「兵藤一誠!?」

 

『イッセーくん! しっかりしたまえ』

 

 ヴァーリとサーゼクス様が駆け寄るけど、俺は動きたくても動けない。

 

 くそ! 激痛がするわしゃべるのも難儀だわ、どうしよもないじゃねえか!!

 

 まだ、トライヘキサは平然としているのに……。

 

「まずいな。兵藤一誠抜きで奴と戦うのは……」

 

 ヴァーリがこんなこと言ってくるぐらいの緊急事態ってことかよ。どうすんだ、オイ!!

 

 俺が自分の無力に震えている中、サーゼクス様は何かを決意したようだった。

 

『安心したまえ。……トライヘキサは、我々が何とかする』

 

 ………サーゼクス、さま?

 

 なんだ? なんか、さっきから感じてたけど嫌な予感が―

 

 そう思ったその時、ヴァーリの周囲に魔方陣が展開すると、ヴァーリの動きが封じられる。

 

「っ!? 何のつもりだ、サーゼクス・ルシファー!!」

 

 ヴァーリが強引に引きはがそうとするけど、然しなかなか破れない。

 

 そして、その魔方陣を操作したサーゼクス様は、静かにトライヘキサを見据えた。

 

『悪いね。こうでもしないと、君は邪魔をするとアザゼルが言っていたからね』

 

 アザゼル先生が?

 

 そういえば、あの人はトライヘキサ対策で何か考えてたみたいだった。

 

 ロスヴァイセさんの術式を応用した何かだと思ってたけど―

 

 俺が不思議に思っていると、サーゼクス様の周囲に何人もの悪魔が転移する。

 

 あ、サーゼクス様の眷属だ! それに、アザゼル先生もいる。

 

「やっぱこうなっちまうか。人工神器の禁手化は、ハヤルトのやつに任せることになりそうだな」

 

『アザゼル。……ほかの戦場はどうなんだ?』

 

 ため息をついていたアザゼル先生に、サーゼクス様は質問する。

 

 そして、アザゼル先生は肩をすくめた。

 

「大体こっちと同じだよ。この調子じゃ、封印術式も解けちまうな」

 

『なるほど。やはりこういうことになるか』

 

 な、なんなんだ?

 

 いやな予感がどんどん膨れ上がる。サーゼクス様達は何をしようっていうんだ!?

 

 そして俺の目の前で、トライヘキサの上の空間が裂ける。

 

 その裂け目からは、次元の狭間とも違う、よくわからない空間が見えている。

 

 そしてそこに、トライヘキサの本体が吸い込まれていった。

 

「……アザゼルにサーゼクス。お待たせしました」

 

 さらに、そこにミカエル様まで来た。

 

 さ、三大勢力のトップがそろい踏みかよ。すごいことになってる。

 

 それにミカエル様の周囲には11人の転生天使がいる。なぜかイリナだけはいないけど……。

 

 それ以上に不安になるのは、その場にいる人たちが全員決意を決めた表情だったことだ。

 

 なにを、考えてるんだ!?

 

「アザゼル!! これはどういうことだ!? 何をする気だ!!」

 

 ヴァーリも不安を覚えたのか、アザゼル先生に問いただす。

 

 それを笑顔で受け止めながら、アザゼル先生ははっきり言った。

 

「単純だよ。トライヘキサをぶち殺すまで、俺たちはあの空間で戦闘するのさ」

 

 せ、戦闘? トライヘキサを、倒すまで……?

 

 それならなおさら俺やヴァーリがいた方がいいじゃないか。なんで足止めするような真似をするんだ!?

 

 いや、それどころじゃない。

 

 あの空間の向こうから、セラフォルー様やオーディンの爺さんのオーラ迄感じる。

 

 ほかにも、神クラスのオーラがこれでもかってぐらい集まってる。

 

 なんだよ、これ。どういうことなんだ!?

 

「天界は、各(エース)を除いた、私とウリエルとラファエルが御使いを率いて参戦します。そちらは?」

 

「堕天使側は俺だけだ、悪いな」

 

 そう語り合うミカエルさんとアザゼル先生。そして、サーゼクス様も頷いた。

 

 そして、その目……らしき部分? をグレイフィアさんたちに向けた

 

『……グレイフィア』

 

「わかっています。我ら全員、サーゼクス様に付き従う覚悟はとうの昔に―」

 

 そうグレイフィアさんが頷いた瞬間、隣にいたアザゼル先生が魔方陣を展開するとそれをグレイフィアさんにたたきつける。

 

「アザゼル元総督!? なに、を……!?」

 

 いきなりの暴挙にグレイフィアさんが怒るけど、その様子がすぐに変わった。

 

 力が抜けて、ぺたんとしりもちをつく。

 

 なんだ? いったい何が―

 

「特別製の麻酔術式だ。さすがのお前も、いきなりなら効果覿面だろ」

 

『すまないね、グレイフィア。事前の話し合いで、アジュカ達とそれぞれの女王(クイーン)は今後の為に残す事にしているんだ』

 

「私達もサーゼクスを送り込むのは心苦しいですが、魔王の中で他の代役までこなせるのはアジュカ・ベルゼブブだけだと意見が一致したのです」

 

 三人がそれぞれ、グレイフィアさんにそう言う。

 

 サーゼクス様は駆け寄ろうとしたけど、自分の今の体が消滅のオーラなことに気づいて、動きを止めていた。

 

「サーゼクス……な、んで……?」

 

 グレイフィアさんが、意識を失いそうになりながらも、涙すら浮かべてサーゼクス様に追いすがろうとする。

 

 それを悲しげに見ながら、サーゼクス様は首を横に振った。

 

『すまない、グレイフィア。だが、ミリキャスには親が必要だ。君まで連れていくことはできない』

 

 ちょ、ちょっと待ってくれよサーゼクス様。

 

 その言葉、まるで、どっか遠いところに行って、そのまま帰ってこないみたいな言い方じゃないか!!

 

 トライヘキサを倒すまでって言ったって、勝つための算段があるから行くんでしょ!? なんで、そんなもう帰ってこないみたいな言い方をするんだよ!?

 

「あの子は、本当は貴方を……サーゼ、クス……」

 

 グレイフィアさんはそれ以上何も言う事ができず、そのまま倒れ伏した。

 

『すまない。いやなものを見せた』

 

「いえ、こうでもしないと、貴方についていきそうですからね」

 

「だな。ま、お前を止めれなかった俺らにも責任はあるさ」

 

 サーゼクス様の謝罪に、ミカエルさんもアザゼル先生もそう返す。サーゼクス様の眷属達も、静かに頷いていた。

 

 何なんだよ、一体? どういうことなんだよ!?

 

「アザゼル!! どういうことだ!? トライヘキサを倒すなら、俺達の力もいるだろう!?」

 

 ヴァーリもそう言い募るけど、アザゼル先生は静かに首を横に振った。

 

「残念だが、奴をぶち殺す最終兵器とかは用意できなかったんでな。全勢力を結集しても数千年はかかると試算できたんだよ」

 

「しかし、ヴィクター経済連合も考慮すればそれは不可能です、ならば、時間はかかっても倒す事ができるだけの戦力だけでことをなすしかありません」

 

 ミカエルさんもそう言い、そしてサーゼクス様も頷いた。

 

『ゆえに我々や他神話体系の神々で有志を募り、トライヘキサを一万年ほどかけて滅ぼす事にしたのだ』

 

 い、一万年……!?

 

 嘘だろ、おい。そんな永い時間がかかるってのかよ!?

 

「ま、そういうこった。あの隔離結界領域は強力だけど、中で引き留める役も必要だ。……実際一万年かけりゃぁ流石に滅ぼせるだろうし、それまでに完全な封印術式や、倒す為の超兵器とかができるかもしれねえからよ」

 

 アザゼル先生はそう軽く告げるけど、ちょっとまじで待ってくれよ!?

 

 そんな、そんな……。

 

「なにも、あんたじゃなくてもいいだろうが!!」

 

 ヴァーリも本気で叫ぶ。

 

「それなら、俺が行った方がいいだろう!? 俺はヴィクターの一員だったんだぞ!?」

 

「だよなぁ。いや、あの時は正直ショックだったぜ」

 

 ヴァーリにそう言って、アザゼル先生は苦笑する。

 

「いや、マジで俺の育て方が悪かったんだな。俺も正直お前のことを実の子供みたいに思ってたんだが、俺は親父には向いてないみたいだ」

 

『何を言う。イッセー君やリアスを育ててくれたその手腕は、見事ではないか。……心労も大きかったが』

 

「そうですね。まさか教師としての才能があるとは驚きです。反面……が付くなら完璧だと思ってましたが」

 

「うるせえよ!!」

 

 サーゼクス様とミカエルさんにからかわれて、アザゼル先生はつい怒鳴った。

 

 その様子からは、これから一万年間も戦いを続けるような様子は見えない。皆で一緒に飲みにでも行くかのような光景だった。

 

 でも、それは違う。

 

 まだ俺は、一年間も一緒にいた事がない人と一万年間も別れる事になる。

 

「……まあ、私達は今迄あなた方にヴィクターとの戦いで矢面に立たせ続けてきましたからね。せめて最大の難敵ぐらいはどうにかしませんと」

 

「まったくだ。大人として、最低限の責任ってもんがある。神の連中も結構すんなり同意してくれたし、もしかすると意外と早く決着つくかもな」

 

『その通りだ。それにヴァーリ君とイッセー君には、やってもらいたいこともある』

 

 ミカエルさんとアザゼル先生の言葉を引き継いで、サーゼクス様は俺たちを見る。

 

『ヴァーリ・ルシファー。君は新たなルシファーになってもらいたい。君は、リゼヴィムとは違う、明けの明星に相応しいものだ。そして、イッセー君……』

 

 サーゼクス様達は飛び上がりながら、俺に声を投げかける。

 

『君は魔王を目指すといい。……私は信じているんだよ。君達は、きっとより良い世界を作ってくれるとね』

 

 その言葉に俺は、何か言いたかった。

 

 だけど、もう意識が限界で、目の前が暗くなっていく。

 

 待ってくれ、先生、サーゼクス様。

 

 俺は貴方達と、まだ一緒に……一緒に………

 




第二部に移行するにあたり、リムヴァンとの決着を第一部でつけることもあって、痛み分けにするにはそれ相応の代償が三大勢力側にも必要と判断しました。

なので、あえて隔離結界領域とそのメンバーは変更せず。下手に原作の展開を変えると、そのせいでやばいことになるとケイオスワールドで学んだこともあります。









そして、これだけで終わらないのがこの作品。

ついに動くぜぇ。奴が動くぜぇ…………っ!!
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