ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ついに最終章の大一番、リムヴァンの本機中の本気が見れます。

序盤からハイテンションで行動してきた、リムヴァンという男。

其の本質が遂に垣間見れます。


最終章 24話 超越者、リムヴァン・フェニックスという男

 

 Other Side

 

 避けた空間にトライヘキサが吸い込まれ、それを押し込むように各勢力から何人もの者達が追いかけていく。

 

 その光景をただ見る事しか出来ずに、ヴァーリは思わず崩れ落ちた。

 

「アザゼル! 俺は……俺は……!」

 

 今更内心に気が付いた。それをまだ言っていない。

 

 ヴァーリは、アザゼルのことを心のどこかで父親だと思っていた。

 

 それを認めて、然し言う暇もなくアザゼルは隔離結界領域に向かっていく。

 

 それが、たまらなく悲しい。

 

 一万年かければ、トライヘキサを倒せると言った。

 

 だが、裏を返せば一万年戻って来ないということだ。

 

 まだ二十年も生きていないヴァーリにとって、それは永遠の別れにも等しい。

 

「………アザ、ゼル……」

 

 そのまま拘束術式が解けるが、しかしそのころには隔離結界領域は完全に閉じてしまっていた。

 

 故に何もする事が出来ず、ヴァーリはそのまま泣き崩れそうになり―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「が……っ!!」

 

 そのくぐもった声と共に、三人の人影がすぐ近くに墜落する。

 

 その音に思わず顔を向ければ、そこには見知った人物が三人も倒れていた。

 

「幾瀬鳶雄!? それに……!」

 

 自分が本気を出すに値する人物。その一人である鳶雄が、ボロボロになって倒れ伏している。

 

 そして、同じように倒れ伏すデュリオ・ジュズアルドとニエ・シャガイヒ。

 

 誰もかれも神滅具を禁手にまで至らせた逸材。この戦場における最高峰の戦力である。

 

 その彼らが、殆ど趨勢の決したこの戦場でこれだけの重傷を負っている。

 

 その事実に戦慄し、しかしヴァーリもすぐに事態を理解した。

 

「あらら~。トライヘキサをこうするとは予想外だね~。てっきりグレートレッドに泣き入れて頼み込むかと思ったよん」

 

 そう、気軽な口調でリムヴァン・フェニックスが降り立つ。

 

 そして、ヴァーリを見つけると若干苛立たしげな表情を浮かべる。

 

「やってくれたね、ヴァーリ君。……カテレアとユーグリットが倒されるのは流石にキッツいねー」

 

「ほざくな……!」

 

 ヴァーリは心底から怒りを込めて睨み付ける。

 

 この精神状態で、ここまで神経を逆なでされるのは怒りに燃える。

 

「リゼヴィム達三人を薬漬けにしておいて、よくもまあ、大義などとほざけたものだ」

 

 その言葉に、リムヴァンは心底心外そうにムッとした表情を浮かべる。

 

「失敬な。神酒の支配者に中毒性はないよ?」

 

 確かに、カテレアもユーグリットもそう言った。

 

 だが、それでも餓えていた彼らにその幸福感は麻薬以外の何物でもない。

 

 下衆の所業であることに変わりはない。断言していい、彼は邪悪だと。

 

 リゼヴィムに肉親の情があるわけではない。カテレアのことも正直どうでもいい。ユーグリットは二天龍の誇りを土足で荒らしたのだから、死んでも構わない。

 

 だがしかし。目の前の邪悪に対する怒りは強かった。

 

 そして何よりも、今の激情をぶつけるのに、あまりに都合がいいものが出てきてしまったのは事実だ。

 

 もはや、押さえる事などできるわけがない。

 

「お前には退場してもらう。そうすれば、ヴィクターも壊滅するだろう」

 

「無理だね。現代の人間性組織ってのは、代役がいる物さ」

 

 まるで、自分が死んでもヴィクターは終わらないと断言するその在り方が、癪に障る。

 

「だが、貴様ほどの才を持つ者はそうはいないだろう……!」

 

「ところがどっこい、割といるんだよねー!」

 

 その言葉と共に、一瞬で二人は空高くに飛び上がり、戦闘を開始する。

 

 魔王化のヴァーリの戦闘能力は、全盛期の天龍とほぼ同格。それは、主神すら凌ぐほどの力を持っている事の証明だった。

 

 そして、激情にかられたヴァーリは禁じ手すら使う。

 

 減少の毒。本来アルビオンが持っていた力。有機物の肉体・骨・血液から魂に至るまで減らし尽くす、最強クラスの猛毒。

 

 しかしそれを、リムヴァンは意にも介さなかった。

 

「超越者、嘗めたらあかんぜよー?」

 

 そう軽い口調で言い放ちながら、リムヴァンは遠慮なく攻撃を叩き込む。

 

 両手に聖槍を構えての近接攻撃。魔聖剣の騎士団による人海戦術。そしてあらゆる属性に変化する砲撃による圧殺。

 

 それら全てがヴァーリを超え、いともたやすく蹂躙する。

 

 これこそが、第四の超越者、リムヴァン・フェニックス。

 

 拡張性という、本来以上の力を発揮する事に特化した、圧倒的な力の具現。

 

 しかし、ヴァーリにはよく分からない。

 

 ……目の前の男は、心から楽しそうに自分を蹂躙している。

 

 しかし、その男の目的が分からない。

 

 聖書の神の死を公表し、ヴィクター経済連合を扇動し、そして世界中に破壊と混沌をまき散らした。

 

 なにが、彼をそこまで突き動かす。

 

 リムヴァンに対する恩義で動いていたリゼヴィムとも違う。実力に見合わない地位を求め、血統に縋っていた旧魔王派とも違う。復讐の為に動いているノイエラグナロクやアルケイデスとも違う。そして、先駆者という英雄を目指していた英雄派とも違う。

 

 一体何が、リムヴァンを突き動かすのだ。

 

「お前は……! これだけの事をして、一体何がしたい!」

 

 その心からの言葉に、リムヴァンはまっすぐにヴァーリを見つめる。

 

 そして―

 

「―究極的には、愉快犯だね」

 

 ―はっきりと、そう言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なん、だと?」

 

 その、あまりにもあんまりな答えに、ヴァーリは一瞬沈黙した。

 

 そしてその隙をあえてつかず、リムヴァンはにっこりと笑うと告げる。

 

「僕は楽しく毎日を過ごしたいんだよ。そして、世界に混乱が生まれるのが特に楽しい」

 

 そう、まるで個人的な趣味を語るように告げる。

 

「いや~。とにかく死んだら楽しめないと思って神器とか集めてたんだけどね。気が付けば逆に一神話体系規模じゃ楽しめなくなっちゃって。かといって大量に敵に回してもあれじゃん? やるなら難易度が失敗するかもしれないぐらい高くて、かつ規模がでかくないとねー」

 

 からからと笑いながら、リムヴァン・フェニックスはそう告げた。

 

「だから、先ずは交渉の為に最も必要なスキルをもってるLと仲良くなる事にしたんだ。まあ、彼の神器無効化能力を突破するレベルで神酒を作れるようになったのはつい最近だけどね」

 

 さらりと、リムヴァンはそう言い放つ。

 

「後はグレートレッドに対抗できる手段とか、勝つ為に必要な技術とかを集めるのが大変だったね。これはこれで刺激的だから楽しかったけどさ」

 

 そう、リムヴァンは言葉を放つ。

 

 そう。そこに嘘はない。まったくもって偽りなく、ブラフもなく、ごまかしもない。

 

 真実、リムヴァンはただ楽しむ為だけにこれだけの事態を引き起こしたのだと言い切った。

 

「……そのためだけに、俺たちをスカウトしたのか?」

 

「ん? いやいや、もしかしてちょっと勘違いしてないかい?」

 

 ヴァーリの言葉に、リムヴァンは少しむっとした表情を浮かべる。

 

「言っとくけど、ここ迄の事をしたんだから利用してポイ何てしない。僕は勝つ為に一生懸命頑張ってるよ。だって、悪魔は交わした契約は守らないとね」

 

 そこにも一片の偽りもない。

 

「僕は彼らに「世界の覇権」という報酬を提示して、「僕の遊び」に協力してもらった。だから、先に誘った僕は彼らを勝たせる責任がある。その為に一生懸命努力したともさ」

 

 そう。この男は本気でヴィクター経済連合を勝たせる為に苦労をしょい込んだ。

 

 失敗も色々とした。結果としてストレスも溜まった事もある。しかし、それでもむやみやたらに切り捨てたりはしないし、面倒を見るべき時はきちんと見ている。

 

 そこには一つの筋が通っている。彼なりに通すべき筋を考慮している。

 

 一言言おう。

 

「……お前、正気か?」

 

 完全な快楽目的で世界大戦を引き起こすその性根もいかれているとしか言えないが、そのために引き入れた者たちとの約束を守るために、楽しくないことをするという精神性もまた何かが壊れている。

 

 そんなヴァーリの言葉に、リムヴァンは苦笑すると指を突き付ける。

 

「ヴィクターに入る事を了承しながら、勝手気ままに動いていた白トカゲ君には分からないだろうね。悪魔とは契約には真摯に対応するものだ。楽しい事をしたいのなら、それなりにするべき事があるんだよ」

 

 そうはっきりと言い切るリムヴァンに、ヴァーリは本心から戦慄した。

 

 自分も大概どうかしていると思っていたが、この男はそれを上回る。

 

 一見すると矛盾しているその性質も、リムヴァンにとっては何の問題もないのだ。

 

 悪魔として契約は守る。そしてそのうえで楽しむ。この男はその順番で行動している。

 

 断言しよう。この男は危険だ。

 

 この男は、自分が楽しむ事を全力で行っているが、しかし契約をきちんと守るという前提を必ず守っている。

 

 目の前の男は、常人の理解の範疇外だ。

 

 ただ単純に楽しみたいという、ある意味で底の浅い性質だが、そのうえで契約を果たすという事だけは裏切らない。

 

 悪意をもって人々に不幸をまき散らしながらも、交わした契約を自分から反故にしたりしない。ある意味で悪魔という生き物を体現している。

 

 目の前の男は本気だ。本気で楽しみたいだけで前代未聞の規模の戦争を巻き起こした。そして、その契約を守る為なら、自ら苦労をいとわない。

 

「……もう一度言うぞ、正気か?」

 

「正気だよ。第一、苦労したうえで成功するからこそ達成感があるとか、よくご立派な人達は言うじゃないか。その辺に関しては一理あると思ってるもん」

 

 ヴァーリにそう答えながら、リムヴァンはにこりと笑う。

 

「無双ゲームで爽快感を得るのもいいけど、苦労して上った山頂で飲むコーヒーも格別だろう? 僕はこれでもロマンを介するんだよ」

 

 そして、リムヴァンは気づけば巨大の火炎を生み出していた。

 

 その翼の長さは数キロにも到達する。

 

 魔王クラスでもできないであろう、圧倒的な出力と範囲を併せ持った灼熱の攻撃。それは、魔王クラスでも桁違いの耐久力を持つといわれるファルビウムすらただでは済まないだろう。

 

「それにヴァーリきゅん。この状況は僕達にとっても悪いものじゃない」

 

 それをためらいなく放ちながら、リムヴァンはそれに飲み込まれるヴァーリにさらりと告げる。

 

 超越者としての力量を見せつけながら、しかしそれでヴァーリが死ぬわけないと確信しているからこそできる芸当だ。

 

「トライヘキサは残念だけど、代わりに檄低に見積もっても数十年は各勢力の最強格を抑え込めた。ハーデスの骨に利権を与える事になるけど、グレートレッド対策にはサマエルがある」

 

 そう。トライヘキサは本命ではあるが、然しグレートレッド対策というだけで言うならサマエルがある。

 

 あの文字通りの老骨には注意が必要だが、しかし幸運な事にそれがグレートレッド用の切り札になるのだ。万が一の事態である事を考慮すれば、充分ともいえる。

 

 そして他の強敵対策としても、各勢力の指導者クラスにして最強戦力を大量に無力化できたのは僥倖だ。

 

 リムヴァンは一万年計算で動いている事を知らないが、それでも最低でも数十年で普通に考えて数百年から数千年かかると計算している。

 

 ヴィクター経済連合は人間の勢力が大半だ。人間の時間で考えれば、数十年もあれば戦争を終わらせるのには十分すぎる。

 

「楽しくいきたいからある程度は長続きしてほしいけどさ? それでも人間の基準で終わらせるつもりだからね。これであいつらは戦力計算から完全に外せる。十分すぎる成果だよ」

 

 リムヴァンは、できることなら泥沼の戦争の果てに勝ちたいと思ている。

 

 その方が眺める分には楽しめるからだ。それに、それ位の苦労をした方が勝った時に喜びも大きいだろう。

 

 だからこそ、遊びはきちんと入れた。そのうえで、勝つべく一生懸命動いている。

 

 ゆえにこそ、リムヴァンはトライヘキサがどうにかされることも想定。そのうえでその被害はこちらにとって有利だと判断したからこそ決行したのだ。

 

 そう。この隔離結界領域作戦で、主神クラスが軒並み無力化されたのは好都合。サマエルでグレートレッドを倒せる可能性がある以上、これだけの戦果を上げれるのなら、十分なのだ。

 

 そして、この戦いでのこちら側の戦果は自分が上げればいい。残っている敵の主力を、微塵も遠慮せずに叩き潰せば最低限の士気の維持はできるだろう。

 

 そして、万が一自分が死んでも―

 

「―元老院は僕抜きでも充分動けるように鍛え切った。死ぬと楽しめないからいやだけど、万一死んでも契約は守れるようにしとかないとね?」

 

 そう言いながら、リムヴァンはさらに大量の魔聖剣の騎士を再展開。同時に砲撃体勢を取る。

 

 超越者の本気の一撃を与えながらも、リムヴァンはヴァーリをさっきの一撃で倒せたなどと微塵も思っていない。

 

 相性だけならリムヴァンをはるかに超えるリゼヴィムが、一対一の状態でイグドラブニルを使用するほどまでに追い詰められたD×D(ディアボロス・ドラゴン)。たかが超越者の一撃程度でどうにかなるとは思えない。

 

 ゆえに、油断は一切せず、ついにリムヴァンは本気の本気を出し―

 

『Satan Lucifer Smasher!!』

 

 超出力の超越者すら超える砲撃が、リムヴァンを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリは、その砲撃に飲み込まれるリムヴァンを見て、少しだけ息を吐いた。

 

 この直撃は奴にとっても大打撃だろう。少なくとも、状況を揺るがすことはできたはずだ。

 

 しかし遠慮はせず、砲撃をさらに続ける。

 

 リムヴァン・フェニックスは危険だ。能力的にも性格的にも、ここで殺しておかなければどれだけの被害を生み出すか想像もつかない。

 

 そうなれば、ヨーロッパの田舎町で暮らすあの女性にも何かが起きるだろう。それだけは絶対に避けなければならない。

 

 ゆえに、ヴァーリは砲撃に遠慮を全くしなかった。

 

 そして、それゆえに―

 

「つかむぜ未来!!」

 

 そんなキャッチフレーズと共に、砲撃のオーラの中から伸びてきたリムヴァンの腕を回避できず、顔面をつかまれる。

 

「な……っ!?」

 

 それでも砲撃を中断しなかったのは褒められるべきだが、しかしそれが意味をなさない。

 

 リムヴァンの体からは炎が吹き上がっていない。それは怪我が再生していないわけではない。そもそも再生するような怪我を負っていないのだ。

 

 至近距離から、魔王化のヴァーリが出せる最大級の一撃を喰らい続けて無傷。それが現実だ。

 

 信じたくない現実だ。この一撃は、トライヘキサにすら損傷を与えると断言できる。二天龍全盛期の最強の一撃といえるだろう。

 

 それを喰らい続けて無傷。それは、目の前の男が防御力だけならトライヘキサ以上であることの証明だった。

 

「ふっふっふ。これを発動しておいて正解だったよ。そして、これを発動した以上あとは作業ゲームだからちょっと残念だよ、涙!!」

 

 わかりやすく演技で涙を流しながら、リムヴァンはにやりと嗤う。

 

「これが僕の最高の手札。絶霧(ディメンション・ロスト)を13個複合させた複合禁手、十三世界を絶望に包む濃霧(ディメンション・ロスト・ゴルゴダ)さ」

 

 その言葉を理解する事を、ヴァーリは一瞬本能で拒絶した。

 

 ……しかしヴァーリは聡明である。それゆえに、すぐに理解してしまった。

 

 そして、彼の脳裏に絶望という感情がよぎる。

 

「……上位神滅具を、13個、だと?」

 

 それだけならいい。リムヴァンは大量に神滅具も持ち込んでいる。持っているだけならまだいい。

 

 だが、その十三個の神滅具を複合禁手として運用する。これがどれだけのことなのか、知識があるならすぐに分かる。

 

 同種の十三個の神滅具。それも、結界系神器として最強の絶霧を複合させた禁手。その出力は、防御だけなら龍神クラスにも匹敵する。

 

「効果は単純。13の二乗の防御障壁の形成さ。ま、種類はいろいろあるし、一つ一つの出力も絶霧一つぐらいの防御力はあるけどね!!」

 

 そしてその隙をついて、大量の龍殺しの魔聖剣が殺到する。

 

 その圧倒的な龍殺しの濁流に切り刻まれ、ヴァーリは激痛に苛まれる。

 

 かつて、これほどまでに絶望的な戦いがあっただろうか。

 

 強敵と命を懸けて戦うことに愉悦を感じるのが、ヴァーリ・ルシファーという男だった。この強敵を前に、戦う事に興奮を覚えない筈がない。

 

 だが今は状況が悪い。アザゼルとの永い別れに精神が参っているうえに、そのアザゼル達の決意を見事に利用されている現状は、ヴァーリにとって非常に大きい精神的負担を与えていた。

 

 その元凶であるリムヴァンを倒せない。その事実に、ヴァーリは絶望すら覚えている。

 

 そして、その隙にリムヴァンは一瞬でヴァーリを拘束する。

 

「ヴァーリきゅん。一応裏切り者には制裁をくわえとかないと、こっちも立つ瀬がないわけでね」

 

 そう言いながら、リムヴァンは聖槍を構える。

 

 合計十一本の聖槍を共鳴させ、リムヴァンは手に持っている聖槍の出力を向上させた。

 

 その攻撃力は、疑似的に覇輝に匹敵するレベルに到達している。

 

 直撃を喰らえば、ヴァーリでも一撃で死ぬだろう。

 

 そして、その一撃をリムヴァンは躊躇しない。

 

「さようなら、ヴァーリきゅん。アザゼルの願いを叶える事なく、散ってくれ」

 

 その絶望を生む言葉と共に、聖槍は突き出された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、お前は少なくともここで終わりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と共に、聖槍が消えうせる。

 

 そして、真上から雷鳴と共に()()()()が襲い掛かる。

 

 リムヴァンはそれをたやすく結界で受け止めるが、しかし明確に驚いていた。

 

「……うわお。何してんの、君」

 

 色々な意味で驚いている。

 

 この絶妙なタイミングでの攻撃に。自分達の専売特許といえる事を、即興でやったとしか思えない行動に。そして何より、彼らがここにいる事に。

 

 その隙をついて、閃光のように輝く女性が、ヴァーリをかっさらって距離を取る。

 

 それを庇う少年に助けられながら、彼女はヴァーリをイッセーのところにまで連れて行った。

 

「まったくもう。貴方のそんな顔を見るとは思わなかったわよ」

 

「リセス・イドアル? なんで、お前がここにいる?」

 

 ヴァーリは、戦場に出たら死ぬと確定しているリセスがここで全力を出している事に驚き、そして同時にすぐに納得した。

 

 ならば、彼がここにいる事も当然だろう。

 

 だがしかし、同時に疑問も残る。

 

 何故彼が、聖槍を三本も操っているのかが分からない。即興で神器を移植して操るなどという真似、普通不可能だろう。

 

 そのヴァーリの珍しい表情を楽しげに見つめながら、ヒロイ・カッシウスは不敵に笑う。

 

「決まってんだろ。俺も姐さんも英雄だからだよ」

 

 そう答え、そしてヒロイは視線をリムヴァンに向ける。

 

「……言っとくけど、死ぬよ、君達」

 

「「それが?」」

 

 リセスと共に即答する。

 

「出なかったらそれこそ死ぬわよ。私達の魂が」

 

「俺ら、最終的に命より魂を取るんでな」

 

 心からの笑みと共にそう告げ、そしてヒロイは聖槍を展開する。

 

 ()()()の黄昏の聖槍を展開し、ヒロイ・カッシウスはリムヴァン・フェニックスと対峙する。

 

「俺は、世界を照らす英雄(輝き)、ヒロイ・カッシウス!! お前という闇をかき消しに来たぜ、リムヴァン・フェニックス!!」

 

 此処に、最終決戦の火ぶたが切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




 リムヴァンの性根そのものは浅いです。この辺はD×Dの敵キャラの基本原則に終始しています。モットーは「下らん奴がシャレにならない力を持ってしまった結果、事態がシャレにならない方向に至った」ですね。

 しかし同時に契約に関しては誠実。一度交わした契約は自分からは裏切るのを好まず、相手が破滅するかどうかは別にして、相応の配慮もきちんと行う。そのためならちょっとぐらい楽しくない過程や結果であろうと、途中で反故にしたりはしない。

 そういう快楽主義の契約主義者という頭のいかれた二面性がリムヴァンの在り方です。この辺に関してはかなり初期から固まっていたため、土壇場で決定したとかではないですが、かけていたかはちょっと不安。









 そして圧倒的なまでの防御力。これこそがリムヴァンの切り札です。

 絶霧13個の複合禁手による防御力は、天龍クラス程度ではビクともしない圧倒的防御力。防戦限定なら、龍神クラスでも苦労する圧倒的防御力こそがリムヴァンの真骨頂。さらにその上でフェニックス家由来の再生能力まであるので、龍神クラス以下が正攻法で倒すことはほぼ不可能です。しいて言うならリスクをある程度求めるリムヴァンの性格上、常時発動はしないところですが、既に発動しているのでもはやどうしようもありません。








 しかし、ここに例外は存在する。

 真の禁手に目覚めたヒロイ登場。主人公として恥ずかしくない乱入です。

 彼こそがこの窮地を打破することができる最後の切り札。










 次回、第一部ラストバトル
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