ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
第二部一章 1 まだいたのぉ!?byイッセー
イッセーSide
トライヘキサとの戦いから、9日ぐらい経っていた。
龍神化の影響も、オーフィスが力を貸してくれた事で何とかなった。龍神化そのものが使えなくなったけど、それで俺は回復した。
おっぱいを認識できる。これが、どれだけ俺達にとって祝福だったのか思い知ったぜ。あれを認識する事ができないというのがどれだけ地獄の苦しみだったか……!
そして、ヴィクターとの戦いも新しいステージに入ったみたいだ。
俺達三大勢力は、インド神話と日本政府の協力の元、ピースキング和平連盟を設立。より強固な連盟として、ヴィクターに対抗していく事を宣言した。
それに伴い、日本政府はなんと憲法九条を一時凍結して、国外派遣を前提とした国外自衛隊の設立を決定。こっちは前から準備してたらしく、少数だけど部隊が発足してるとかなんとか。
で、ヴィクターの方も最近は色々と騒がしいらしい。
なんでも、リムヴァンが抜けた事で抑えが効かなくなって、一部の組織や国が暴走して独立を宣言したとか。
そして、テロリスト達も良く動いている。
教会からの離反者の大半が集まって出来たカルディナーレ聖教国。中国で「秦」の復活を謳う新秦。シーシェパードとは別口でクジラ保護の為にテロ活動を行っている、オーシャンズK9。
他にも色々なテロ組織が活発的に活動してるそうだ。それも、もう警察では手に負えないレベルの戦闘能力を発揮しているとか。
それもこれも、この第一次真世界大戦が原因だ。
異形技術や異能を積極的に公表するしかない状況に追い込まれて、どこの勢力も程度はともかくある程度の開示がされている。だけど、そんな前代未聞な事をして、流出しないわけがない。
そのせいでテロ組織に技術が流出したり、はぐれ悪魔やヴィクターの脱走者が技術を売り込んだりして、一気にどこの勢力も活発化してきやがったんだ。
幸い日本はまだ影響を受けてないけど、オーシャンズK9とかはクジラ保護とかを名目にしてるから、クジラを食べる日本には突っかかってきそうなんだよなぁ。
それに、あの戦いの被害も大きい。
サーゼクス様。セラフォルー様。ミカエルさん。オーディンの爺さん。そして、アザゼル先生。
それ以外にも各勢力の偉くて強い人達がたくさんいなくなった。
それはトライヘキサをどうにかする為だ。トライヘキサはすっごく強くて、普通に倒そうとしたら地球が壊滅する上に何千年もかかるらしい。
そこで、専用の隔離結界領域に封印する事になった。
でも、その結界領域から脱出される可能性だってある。
だから、それを引き留めて確実に倒す為の生贄が必要だった。
アザゼル先生達はその役目を引き受けたんだ。
……二度と会えないわけじゃない。俺は悪魔だから、トライヘキサが倒されるまで待つ事は出来る。
だけど、それは少なく見積もっても何千年も後。父さんや母さん、松田や元浜に桐生は、たぶんもう二度と会えない。
それに、ヒロイとリセスさんにはもう会えないだろう。
全力で戦えば、半日で死ぬ呪い。
それを、2人は解呪しないで戦った。そして、リムヴァン・フェニックスを倒してそのまま行方不明だ。
たぶん、もう死んでる。俺達もそう思うしかない状況だ。
それぐらい2人は生き切った。たぶん、リムヴァンを倒した瞬間に二人は満足し切ってたはずだ。だから、生き残ってる可能性は、低い。
二人はそれで良かったのかもしれない、いや、良かったんだろう。それ位晴れ晴れとした表情で、最後の一撃を出し切った。
だけどさ。俺達は悲しいよ。
二人は人間で、転生する気もないから、いつか来るのは分かってた。
でも、やっぱり失うのは悲しいんだ。
……俺は、覚悟を決めた。
俺達の平和を邪魔する奴は、神が相手だろうと滅ぼすつもりで挑む。
そうしないと、誰が今度の犠牲になるか分かったもんじゃない。俺達の敵は、いつもそういう滅茶苦茶強い奴らばかりだからだ。
ああ、だから今も本気で挑みたいんだ。
今、俺は戦闘に巻き込まれている。
そしてそこで戦っているのは、俺のお得意様と俺の仲間だ。
だから本気で戦わなきゃいけない。
いけないんだけど………。
「ミルキー! スパイラル! ナッコォ!!」
「「「ぐはぁああああ!?」」」
魔法(筋肉)で吹っ飛ばされる魔女っぽい魔法使いを見てると、なんだかすっごくやる気が失せるんだよなぁ。
っていうか、ミルたんから緊急で依頼が来たんで、緊急だからとチラシで転移したらこれだよ。
え? どういう状況?
「イッセー! いいから自分とミルたんを助けるッス!!」
と、弾幕を張って敵を接近させないでいるペトが文句を言ってくる。
あ、ごめん。ちょっと微妙な空気になってた。
とりあえず鎧を展開して、敵の使い魔らしき魔獣を殴り倒しながら、俺は冷静に考える。
……なんでミルたんとペトがいるんだろう?
「で、これどういう状況なんだよ」
「一言で言うと、ガールヴィラン生きてたっす」
が、ガールヴィラン?
それって確か、あれだよな?
以前ヒロイとリセスさんが、有明でやり合ったヴィクターから離反した勢力だったな。
………。いや、今は感傷に浸ってる場合じゃない。
とりあえず。ガールヴィランはヴィクターに関わっている魔法使いでも、特に一部の思想に凝り固まった連中が集まって出来た勢力だ。
簡単に言うと、「魔女の概念を汚す魔法少女死すべし」。
うん。頭悪いよね、コレ。しかもこいつら、有明の魔法少女フェスタに参加していた人々をゾンビにして、魔法少女アニメを作っている会社を襲わせようとしたんだから、ホントに酷い。
ギャグ的にもシリアス的にも頭が痛いよ。しかも快楽堕ちした魔法少女こそ至高とか頭の痛い事を言ってくる連中まで現れた。ヴィクターは事態収拾の為にこっちに協力してくれるしで、散々な戦いだったはずだ。
まったく。俺がライザーとリアス達の裸をかけてシリアスな激戦を繰り広げてた時に、なんでそんな頭のおかしい戦いが同時に起きてるんだよ。真面目にやれってんだ。
「イッセー達よりは真面目な戦いだったッスよ?」
ペトさん。小猫さまみたいに俺の心を読むのやめてくれない!?
と、とにかく!! こいつらはその時の有明の戦いで壊滅してたはずだ。自衛隊の防人一型のお披露目相手として、カマセ犬になったはずだ。
まだ残党が居やがったのかよ!?
「おのれ、魔法しょ……少女め!!」
強引に魔法少女扱いにして、ガールヴィランの残党が魔法攻撃を仕掛けてくる。
こいつら、魔法少女大好きなセラフォルー様対策なのか、炎系の魔法を得意としてるんだよなぁ。
そして、それを豪快に近くにあった土管で迎撃しながら、ミルたんは吠える。
「魔法少女を馬鹿にする悪い子さんは、ミルたんがお仕置きするにょぉおおおおお!!!」
「色々な意味で魔女の文化を貶めすぎなんだ、お前らはぁあああああ!!!」
お前ら!? 一緒にして欲しくないんだけど!?
と、思ったけど、よく見ると周りではミルたんの同好の士が同じく筋肉に物を言わせて激戦を繰り広げていた。
っていうか、なんでペトがここに!?
「そういやペト、なんでここに!」
「……
何を考えてるのかな、この子は!!
馬鹿か、馬鹿なのか! おバカの子なの!?
心に純粋な魔法少女を忘れない、ミルたん達にそんなことしちゃいけません!! 後で説教だ!!
っていうかペトは、あんなUMAな姿を見て性的に興奮できるのかよ!? 阿保だろマジで!!
俺が一瞬頭痛を感じたその時だった。
「おのれ、せめて一人だけでも!!」
そうボロボロで吠えた魔法使いが、一瞬で消える。
転移か! いったいどこに―
「―とったぞ!!」
―まずい、アイツ、ペトの後ろに回り込みやがった。
ペトは狙撃特化型の才能で、それ以外の戦闘だと性能頼りの戦いしかできない。
最近は制圧射撃とか戦い方にも変化が出てきたけど、あんな近距離戦闘じゃそれも生かせない!?
「後ろだ!!」
「ッスぅ!?」
振り返ってペトが攻撃しようとするけど、間に合わない。
俺も、位置が悪くて助けに入れない。
……嘘だろ、こんなところで、こんな奴らに、俺の仲間を―
「吠えろ、
その瞬間、聖なるオーラで出来た槍が、その魔法使いの腕を貫いた。
「ぐぁあああああ!? 新手か!?」
その魔法使いは炎の壁を作って防御態勢に入るけど、しかしそれも意味がない。
「なら冷気の拳で殴る!」
「がは!?」
真正面から躍りかかる少年が、冷気を纏った拳でその壁ごと、魔法使いを殴り飛ばした。
……あいつ、できる!
反応が早いし、動きも素早い。そして何より攻撃力も高い。
たぶんだけど、D×Dのオフェンス陣と戦ってもいい勝負できるんじゃないか? 上級悪魔クラスが相手なら、余裕をもって相手ができるだけの実力はあるぞ。
その黒髪の少年は、即座に氷の壁を周囲に創りながら、ペトに視線を向ける。
「無事?」
「は、ハイっス!!」
戸惑いながらもすぐ返事をし、ペトはそれでも射撃を止めなかった。
うんうん。流石に激戦続きのD×Dのメンバーだもんな。戸惑う状況でも戦闘態勢は崩さないか。
そしてその姿を見た少年はというと―
「………」
なんか、目を見開いてちょっとだけぽかんといている。
ん? 知り合い?
俺が首を傾げながら、ドラゴンショットで魔法使いを吹っ飛ばしていると、更に乱入者が現れた。
「油断。実践慣れしてないからって、そんなところでつっ立ったままでいるのはまずいぞ、サラト」
「ハッ!! ごめん、福津兄」
新たに乱有してきた黒髪の兄ちゃんに指摘されて、サラトと呼ばれた少年がすぐに謝る。
そして、両手の籠手を構えながら彼は魔法使いに接近戦を仕掛けに行った。
おお、中々動きが速いな。近接戦闘の技術なら小猫ちゃんに匹敵する戦闘技術だ。
それにあの両手の籠手の能力もすごい。人工神器っぽいけど、出力だけなら下手な神器の禁手を超えるって。
右手の籠手からは聖なる力を出して、左手の籠手は炎や冷気や雷とか、色んな属性を放っている。
どっちも接近戦が主体だけど、多少は飛び道具として使う事もできるみたいだ。
っと。そんなことをしてる場合じゃなかった。ガールヴィラン退治に集中しないとな。
「愚行。駒王町の近辺で暴れるのに、その戦力はダメすぎだろ」
呆れ半分のそのお兄さんに攻撃が集中するけど、その人はまったく意にも介さない。
すっげえ! 頑丈にもほどがあるだろ、あの人。
『だな。あの男、頑丈さだけなら紅の鎧に匹敵するぞ』
マジかドライグ。紅の鎧って、最上級悪魔クラスの頑丈さのはずだろ?
それ位の頑丈さって、どんだけ丈夫なんだよ。
「速攻。サラト、片付けるぞ」
「わかってるよ、福津兄」
そして、さっきの少年と一緒に連携でガールヴィランを叩き伏せる。
っていうかできるな。二人とも上級悪魔以上あるんじゃないか?
『だろうな。二人とも、歴代の赤龍帝でも殆どの連中は倒すのに苦労するレベルだろう』
マジか。歴代の赤龍帝でも、一対一ですら殆どが苦戦するレベルかよ。
それってマジで凄くないか? 歴代の赤龍帝って、普通の赤龍帝の鎧なら俺より強い奴が殆どだろ?
それが倒すのに苦労するって、どっちも最上級悪魔クラスってことかよ?
『と、いうより若い方は末恐ろしいな。オーラの質だけなら、今の相棒でも紅の鎧抜きでは到達不可能なレベルだ。もっとも、どこかちぐはぐだが……』
「2人とも! ちょっと真剣に戦闘するッス!」
と、ドライグの言葉をさえぎって、ペトから頼まれてしまった。
おっといけない。決意を固めたところでこれはまずいよな。
真剣にいくか。どっちにしても、俺達の平和な日常を邪魔するなら、遠慮なく叩き潰して後悔させねえとよ!!
そして十分ぐらいして、俺達はガールヴィランの連中を片付けた。
結構てこずったな。上級悪魔クラスの連中も何人もいたし、町中で全力出す訳にもいかないから苦労したぜ。
ただ倒すだけなら余裕でどうにかできる自信はあるけど、街に被害を出さないようにしないといけないしさ。俺が本気を出すと、殴っただけで結構な範囲が吹っ飛ぶし。衝撃波だけでブロック塀とか粉砕するとかないだろ、普通。
ほんと、悪魔になってからたった一年で強くなったよなぁ。
今回の連中だって、半分以上はレイナーレと同レベルかそれ以上の連中だし。悪魔に成り立ての俺だったら、一人相手にするのも大変だったはずだ。これだけの数を相手にするとか、普通に考えて自殺行為だ。
それが、転移でペトが一瞬ピンチになったぐらいでほぼ完勝。一年足らずで俺が至ったレベルがこれだよ。
以前曹操がドンビキしてたけど、確かにそうだ。普通はこんなにすぐに強くならないよ。
……これだけ強くなって、それでも死ぬかもしれない大変な目にあったのがあの戦いだったんだよな。第一次世界大戦、頭おかしいだろ。
「終了。とりあえず、無事なようで何よりだな」
「ありがとうにょ。おかげで助かったにょ」
と、さっき助けてくれたお兄さんとミルたんが握手してる。
ちなみにお兄さんは額に汗が流れてる。もちろん戦いで生まれた汗じゃなくて、ミルたんに気おされてるんだろう。
ちなみに年下の方はミルたんの同輩に囲まれて涙目になってる。アイツ、ギャスパーほどじゃないけど女装似合いそうだし、ミルたんとは別の意味で魔法少女にされそうで怖い。
「ふ、福津兄ぃ! そろそろ帰ろうと思うんだけど!?」
「……了承。ハヤルト様も待っているだろうし、寄り道はこの辺にするか」
と、2人は足早に帰ろうとする。
ま、まあ。この漢の娘の群れの中に居たがる人はいないだろう。俺だって慣れてなけりゃ帰りたくなる。
「あ、ちょっと! まだお礼も言ってないっす!!」
ペトがそう呼びかけるけど、2人ともとにかく距離を取りたかったのか、すぐに転移の魔方陣を浮かべる。
なんだか見覚えのない魔方陣を展開しながら、その人達は振り返った。
「ま、それはまた後日、……ほんとにまた会おうね!!」
「再会。近日中には会えるから、その時にな」
そんな気になる言葉と共に、2人はすぐに消えていった。
そして記念すべき敵がこれかよというツッコミはノーサンキューです