ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そんなわけで、下級の事態になってまいりました。


第二部一章 4 駒王学園緊急集会

 Otehr Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その驚愕の声を聴きながら、ハヤルト・アスモデウスは駒王学園に体を向ける。

 

 事実上敵に背を向ける行為だが、それは決して油断ではない。

 

 何故なら、自分の背後は眷属である四人がカバーしている。なら、背後を気にするだけならともかく過剰に気を付けるのは眷属の力を信頼していない事に他ならない。

 

「五分もかけぬ、頼むぞ?」

 

「「「「はっ!」」」」

 

 其の声が確約そのものだ。

 

 ハヤルトは満足げに頷くと、静かに優雅に一礼する。

 

「お初にお目にかかる、駒王学園の諸君!! 余は原初の悪魔の長である、四大魔王が一人、初代アスモデウスと庶子の間に生まれた者、ハヤルト・アスモデウスである」

 

 その言葉にぽかんとする者達に苦笑しながら、ハヤルトはその視線を木場達に向ける。

 

「グレモリー眷属の一部の者達よ、余が亡命を行った時は支援をしてくれたそうだな。礼を言わせてもらう」

 

「あらあら。面と向かって言われると、少々恐れ多いですわ」

 

 いつも仲間達に見せる笑顔で対応する朱乃だが、少々ぎこちない。

 

 当然といえば当然だろう。相手は真なる魔王の直系だ。

 

 かつて四大魔王の末裔達と袂を別った現魔王政権ではあるが、その影響度は根強く残っている。ましてや、ハヤルトは自ら現政権の側に舞い戻った魔王の末裔なのだ。

 

 其の影響力は日々急上昇しており、生半可な元72柱の当主を凌ぐほどに達している。保有する権力に限れば、ほぼ確定とは言え次期当主の最有力候補でしかないリアスやソーナより上だろう。

 

 今更アジュカが自分達をぞんざいに扱うとは思わないが、彼の機嫌を損ねれば色々と揉め事になるかもしれない。

 

 そんな警戒心がわずかばかり浮き上がり―

 

「……ハハハハハ! そう緊張せずともよい!」

 

 ハヤルトは、それを笑って一蹴する。

 

 そして苦笑に変えると、静かに肩をすくめた。

 

「余は所詮血筋だけの男だ。それに見合った能力を示してもおらぬのに、強権を振るうつもりはない。クルゼレイのような輩と一緒にされるのは心外であるぞ?」

 

 そうおどけて言うと、視線を三情の者達に向ける。

 

 そして、今迄の朗らかな雰囲気を一蹴して、強い敵意を込めて殺意すら浮かび上がらせた。

 

「……卿ら、今すぐ引くというのならば、こちらも用意が足りぬ故見逃そう。だがこれ以上絡むというのならば、余らは全力をもって卿らを討ち果たすが?」

 

 その言葉に嘘偽りは一切ない。

 

 その証拠に、駒王駐屯地がある方向からは多数の悪魔が近づいており、その気になれば戦闘を行うことは十分可能だ。

 

 しかし、そうなれば駒王学園は愚か周辺に被害が発生する事は明白。

 

 かの赤龍帝兵藤一誠の大技を相殺するような猛者を相手にすれば、被害をできる限り押さえたとしてもそれ相応の被害は生まれるだろう。物的被害なら悪魔の妙技で直せば済むが、人的被害は完全には治せない。

 

 そして、それ位のことは三情も把握していた。

 

「いいだろう。こちらも、どうやら準備が足りてなかったようだ」

 

 ニースペがそう頷き、そして指を鳴らす。

 

 そして、三情の者達は即座に離脱を開始した。

 

「あ、コラ待て!!」

 

 思わずイッセーは追撃を仕掛けようとする。

 

 しかし、それをハヤルトは手で制した。

 

「よすが良い。今この場で戦えば、少なからずこの街にも被害が出る」

 

「で、でも! あいつらかなりやばい連中ですよ!?」

 

 まさにその通りである。

 

 なにせ強引に駒王町の結界をぶち破ったうえ、クリムゾン・ブラスターすら十人がかりとは言え相殺したのだ。

 

 しかもド級の変態。イッセー達と性的に関係を結びたいと、この大多数の人間が見ている中で言い放つその精神性は、明らかに異常だと言ってもいい。

 

 しかし、ハヤルトは首を振った。

 

「あれほどの者達、おそらく後詰もいるだろう。これ以上の戦闘は、民草に無用の被害を生み出しかねぬ」

 

 そう言いながら、ハヤルトは更に視線を周りに向ける。

 

 この駒王町の周辺は住宅街だ。そして昼時である為、人そのものは少ないが、しかしゼロではない。

 

 急激すぎる変化についていけていない者も多いこの状況下で、即座に動くのは返って危険でもある。

 

「確かに、ハヤルト様の言う通りです。……イッセー君達の正体がばれましたし、その辺りの混乱も含めると騒がしい事はできません」

 

 ソーナはそういうと、視線を校舎に向ける。

 

 そこには、生徒達の色んな意味で戸惑っている顔があった。

 

「え? あの、蒼菜先輩もアザゼル先生の関係者なのか?」

 

「いや、確かにゼノヴィア会長とかイリナ先輩とかも教会の戦士だったらしいけど……」

 

「っていうか兵藤だよ兵藤。なんか兵藤が中心になってねえか?」

 

「あの変態が? 確かに後輩の面倒見は良かったらしいけど……」

 

 ………間違いなく、状況は色々大変である。

 

 三情の考えなしの行動で、イッセーは色々と面倒な事になったのかもしれない。

 

 思わずイッセーが冷や汗を流す中、ハヤルトは苦笑を浮かべると片手を上げる。

 

「……この学園の校長先生とやらと話がしたい。ここは余の責任で、事情をある程度開示する必要があるだろうて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして三十分後、体育館で緊急集会が開かれる事となった。

 

 本当なら、集会の時はクラスで一列に並ぶもんだけど、今回俺達オカルト研究部と新旧生徒会は別口で集まってる。

 

 その所為で視線が集まって集まって大変だよ。いや、冥界でおっぱいドラゴンやってる時とは比べるまでもないんだけどさ?

 

「なんで、こんな事なってんだろう?」

 

 俺、冗談抜きで注目されてんだけど。

 

 あっれ~。一応表向きは一般生徒のはずなのに、俺に一番視線が集中してんのはなんで?

 

「そりゃお前、散々覗きとかやってんだから悪い意味で有名人だろうが」

 

 匙。そこはっきり言わないでくれよ。

 

 これでも、最近はリアス達と一緒にいる事が多いし、松田と元浜が童貞卒業した所為であまり関わらないから、むなしくなって回数は激減してんだぜ?

 

 え、完全にやめろ? ご、ごもっともです……。

 

 とは言え、ちょっと皆ぎこちない感じだ。

 

 ま、そうだよな。俺達、駒王学園では普通の学生として暮らしたかったし。

 

 正体ばらしたゼノヴィアやイリナは平然としてるけど、こっちの様子をうかがってる。

 

 どうしたもんかなぁ。これ、下手したら駒王学園にいられなくなるとかあるんじゃないかって気になっていたぞ?

 

 それは、ちょっと、やだな。

 

 俺がそう思ったその時、体育館の扉が開かれた。

 

 そして、三十人ぐらいの悪魔が、ハヤルト……さんが引き連れる形で歩いてくる。

 

 ハヤルトさんのすぐ後ろを歩くのは、四人の転生悪魔。

 

 プリスにシシーリア、そしてミルたん達を助けてくれた、2人の悪魔だ。

 

 そして彼は壇上に上がると、ハヤルトさんを先頭に、その眷属悪魔がすぐ後ろ、そして残りが辺りを警戒する感じで並んだ。

 

 ………しんと、体育館内が静まりかえる。

 

 皆が皆、ハヤルトさんの持つオーラに沈黙した。

 

 まるで湖畔の朝のように、涼しく目が冴える様なオーラ。一見するだけでただものじゃないって分かる。

 

 間違いないよ。あの人、シャルバやリゼヴィムとは格が違う。

 

 そして、ヴァーリとも方向が違う。

 

 なんていうか、ヴァーリはドラゴンらしい自由気ままな奴だ。何物にも縛られないって感じのカリスマ性がある。

 

 だけど、目の前の魔王の末裔は違う。いろんなものをしょい込んで、そして皆を引っ張っていうような人のオーラがある。

 

「……改めて挨拶しよう。余はハヤルト・アスモデウス。人間とは異なる種族である悪魔の長、四大魔王が一角であるアスモデウスの直系である」

 

 そう前置きして、ハヤルトさんは笑みを浮かべた。

 

「とは言え、庶子との間に生まれた者だ。もう少し肩の力を抜いてよいぞ?」

 

 そう笑いながら言うと、皆の緊張が少し解けたみたいだ。

 

 俺は視線をシシーリアに向ける。

 

 シシーリアは、周囲を軽く警戒する形で視線を左右に向けていた。それは、プリス達他の眷属も同じだ。

 

 だけど、俺達に視線を向けられている事に気づくと、気まずそうに逸らす。

 

 ………ああ、気にしてんだな、やっぱ。

 

「……隠しようがなくなり、これ以上の隠匿は困難であるがゆえにあえて言おう。この駒王学園には多くの異形の存在や異能の使い手がおる。其の中でも二大巨頭は、前生徒会およびオカルト研究部だ」

 

 やっぱり、そこは言うのか。

 

「そも、オカルト研究部前部長であるリアス・グレモリーと、前生徒会長である支取蒼菜ことソーナ・シトリーは、それぞれ元72柱の家系、グレモリー家とシトリー家の次期当主だ。その上、リアス嬢は兄君、ソーナ嬢は姉君が現四大魔王のそれぞれルシファーとレヴィアタンを襲名しておる」

 

 結構ペラペラしゃべってるな、オイ。

 

「悪魔は現在転生悪魔制度をとり、他種族からスカウトした者を悪魔に転生させて上級悪魔の側近とおるが、前生徒会は全員がソーナ嬢の眷属悪魔、オカルト研究部も、残存メンバーはレイヴェル嬢とイリナ嬢を除いた全員がリアス嬢の眷属悪魔である」

 

 その言葉に、生徒達が結構ざわめく。

 

 まあな。ゼノヴィアやイリナが教会のエージェントなのは自分でばらしてた。レイヴェルについてもヴィクターの襲撃でばれてた。

 

 だけど、それが氷山の一角だったなんて流石に衝撃だろう。

 

「この学園は異形の者や異能使いが数多く学生生活を送って居っての。現生徒会の者も全員が何らかの形で異能を持って居る。初期の百鬼黄龍など、この国異能集団最大手、五代宗家の次期当主で―」

 

「―自粛。流石に他勢力の者達の事までペラペラしゃべるのはどうかと」

 

 と、眷属悪魔で最年長の人が、ハヤルトさんに物申した。

 

 ハヤルトさんはそれに怒る事なく、口で手を塞ぐと苦笑する。

 

「確かにそうだな。すまぬすまぬ、つい口が滑った」

 

 そう言って謝罪するハヤルトさんの視線の先、一年生の少年が首を横に振る。

 

「いえ、気にしないでください。俺もフェニックスを狙ってきたヴィクターとの戦いで暴れてますから」

 

 ああ、そういやレイヴェルを助けようとした一年生を助ける為に、割って入ったんだったな。

 

 ヴィクターの良識派の人達がいたから手加減するつもりだったみたいだけど、それでもかすり傷ぐらいは負いそうだったからな。あの時は助かったぜ。

 

「……まあ、如何に民草にその存在を示す事を決定したとはいえ、それでも順序というものがあるのでな。いざという時そういう者達が守ってくれる者と考えてくれればよい」

 

 そういうと、ハヤルトさんは体育館の中を見渡した。

 

 そしてその生徒達の顔を見ると、ハヤルトさんは立ち上がると頭を下げた。

 

「とはいえ、我が親族であるクルゼレイを筆頭にヴィクター経済連合が迷惑をかけた。とある事情ゆえに一時帰属していた者として、謝罪をしたい。すまなかった」

 

 その行動に、後ろについていた悪魔達が一斉に頭を下げる。

 

 そして少しざわつくけど、そのざわつきが収まるまでハヤルトさんは何も言わなかった。

 

 そしてざわつきが収まってから、ハヤルトさんは頭を上げる。

 

「それで、何か質問でもあるか? 応えれる範囲内で答えよう」

 

 その言葉に、たくさんの人が顔を見合わせる。

 

 う~ん。これ、色々ありすぎてそもそも何を質問したらいいのかも分からない感じだな。

 

 悪魔について知っている人達も、そう簡単には質問できそうにない感じだ。

 

 でも俺が質問するわけにもいかないし―

 

「あ、じゃあ質問しまーす!」

 

 と、そこで桐生が手を上げた。

 

 おお! 桐生ナイス!

 

「うむ! そこの美少女よ、なんであるか?」

 

「あらら、お上手」

 

 っていうか対応軽いな、2人とも!!

 

 ハヤルトさんも大物の風格だし、桐生は桐生で根性座ってるな。

 

 で、何聞く気なんだ?

 

「いや、私兵藤達が悪魔やってるのはゼノヴィアっちから聞いてたけど、もしかしこの学園って、スカウトの為に創られたとか?」

 

「否。結果的にソーナ嬢の眷属は大半が生徒会から集められたが、リアス嬢の眷属は半分がもっと昔からスカウトされたものだ。八割方偶然だな」

 

 あ、そういうのでいいのか。

 

「あ、じゃあ俺も質問!」

 

 と、そこで更に手が上がった。

 

「ふむ、なんであるか?」

 

「悪魔や堕天使って、やばいことになる人間を殺したりするってヴィクターが言ってたけど、……もしかして、口封じされる?」

 

「ないのである」

 

 即答だった。

 

 そしてハヤルトさんは肩をすくめると、苦笑を浮かべる。

 

「確かにかつてはそのようなこともあったが、駒王会談による和平をきっかけに、それをしなくてもいい土台作りは急速に進んで居る。勝手な都合で人間を振り回す悪魔は大半が失脚しおったし、神器の制御技術も発展した事で、神器の暴走を防ぐ為の暗殺も必要なくなってきておるしの」

 

 ああ、確かにそうだ。

 

 皇帝ベリアルの大告発が原因で、そういうことをしそうな旧家の悪魔達は大半が隠居する羽目になった。

 

 中にはやけを起こして暴れまわった悪魔もいるけど、そっちはトライヘキサとの決戦が起きる前に鎮圧出来た。

 

 だから、昔みたいに一部の悪魔が強引な手段でレアな能力を持った他種族を奴隷のように強引に転生悪魔にする連中は動けなくなる。

 

 それに技術も発展したから、俺みたいに危険な神器を制御できそうにないって理由で殺される可能性も激減してる。

 

 この調子なら、そういった人達が二度と出てこなくなり日も近いだろう。

 

 それもこれも和平のおかげだ。やっぱり平和が一番だよな。

 

「かつての取らざるを得なかった悪行も、和平による影響で大きく改善できた。その手の汚れ仕事をする必要は、限りなくゼロに近くなっているとだけ言っておこう。……次はあるかの?」

 

「「はい!!」」

 

 そして、今度は松田と元浜。

 

 勢いよく手を上げると、なんか視線が俺にむけられた。

 

「「兵藤が超注目されてんのはどういうことですか!?」」

 

 ついに来たかー! ここで来るかー。お前らがいうかー。

 

「それはそうであろう。兵藤一誠殿はこの世界の英雄、五英雄の1人であるからな」

 

『『『『『『『『『『なにぃ!?』』』』』』』』』』

 

 オイコラぁ!! なんだその在りえないものを見るかのような絶叫は!!

 

 そりゃ、同じ学校の生徒が英雄扱いされてりゃ驚くだろうけどさ、それとこれとは別の感じだったぞ、オイ!!

 

 っていうか匙たちもなんで目を伏せてるんだよ。なんであっちに同情してるんだよ、オイ!!

 

 ハヤルトさん、なんか言ってやって!!

 

「確かに、兵藤一誠殿は一見すると人間の屑と称されてもおかしくない」

 

「ちょっとぉおおおおおお!?」

 

 なんでそっちのフォロー!?

 

「覗きの常習犯であり、堂々と春画の類を校内で広げるのは、人間世界での非常識極まりない類だな。此処だけ見れば、毛嫌いするものが多いのも納得だろう」

 

 うんうんと頷きながら、ハヤルトさんは生徒達を見る。

 

「だが生憎、異形というものは意外とその辺がおおらかなのでな。いいところの方に目が向くのだよ」

 

 その言葉に、視線が俺に集中した。

 

「同胞に対して面倒見がよく、名前の通り誠実。人は命の危機に陥ると本質があらわになるというが、色狂いという皮をはがしてみると、これほどの好漢もそうはおらぬ。ゆえにこそ、リアス嬢のように多くの者達が想いを寄せるのだ」

 

「ええ、その通りですわ、ハヤルト様」

 

 リアスはそういうと、堂々と胸を張る。

 

「兵藤一誠は、リアス・グレモリーの生涯の愛を捧げるに値する男。覗きをするのも、女を女として見てくれているということだもの。ある意味で誇らしいことよ」

 

 後半は駒王学園のみんなに言い聞かせるように言ってくれた。

 

 リアス。俺のことをそこまで思ってくれているだなんて!!

 

 大好きだリアス!! 百年先でも千年先でも一緒だぜぇええええ!!!

 

「まったくだな。確かに悪魔らしくいやらしいが、そのいやらしさはまっすぐだ。私の女の部分も刺激してくれる」

 

「っていうか、エロくないイッセー君ってご飯だけのどんぶりよね。なんていうか物足りないわ」

 

「まったくですわ。イッセー君が私たちの胸をまじまじと見つけてくる時こそ、私達は女であることを実感できますもの」

 

 と、ゼノヴィアもイリナも朱乃さんも俺のことをべた褒めしてくれている。

 

 ああ、俺は良い嫁さんたちを持ったぜ! みんなまとめて大好きだぁあああああ!!!

 

「まあ、今後は節度を持つ必要はありますけどね」

 

「性犯罪はいい加減やめてくれないと、冥界が人間に叩かれますし」

 

 ロスヴァイセさんと小猫さまの容赦ない言葉がキツイ!!

 

 でも反論できない!! 確かにそうだよね、ごめんなさい!!

 

「大丈夫です、イッセー様。わたくし達はイッセー様についてきますわ」

 

「はい。いつものイッセーさんが一番大好きです」

 

 レイヴェルとアーシアの慰めが身に染みるぜ。

 

「っていうかちょっと待て!! ってことは兵藤ってマジであの美少女達に好かれてるのか!?」

 

「俺、マジで洗脳されてるものだとばかり思ってたんだけど……」

 

「リアス部長、男の趣味が悪しゅ………独特」

 

 微妙にドン引きの視線が向けられるのは流石に悲しいな!!

 

 っていうか洗脳説ってまだ根深かったのかよ!!

 

 あと最後の女子。言葉を選んでくれたのは嬉しいけど、何言いかけた!? 悪趣味か!!

 

「質問! でも一人に絞らず周りの女の子にいい顔しすぎているのはあれじゃないですかー?」

 

「いや、冥界では実力者が配偶者を何人も囲うことに問題はないぞ? リアス嬢の元婚約者も眷属悪魔を全員ハーレムにしていたからのぉ」

 

『『『『『『『『『『!?』』』』』』』』』』

 

 さらりと返答したハヤルトさんの言葉に、かなりの数の生徒が色めき立った。

 

 っていうか、女子迄反応してんのはなんでだ!?

 

「て、っていうことは、俺も眷属悪魔になればハーレム作れるんですか!?」

 

「逆ハーレムはどうなんですか!?」

 

「っていうか眷属悪魔でもそんなことできるんですか!?」

 

 すごい勢いで食いついてやがる。しかも、女子迄いるよ。

 

「ふむ、全部まとめて答えるが、まあ不可能ではないな」

 

 ハヤルトさん!? 火に油を注がないで!! いや、事実だけど!!

 

「とは言え楽な道のりではないぞ? 一誠殿は一年足らずで上級昇格の話まで来たが、三回ほど死にかけておるからな」

 

 その言葉に、熱気に包まれていた体育館が一気に冷え込んだ。

 

 ハヤルトさんの目は静かに、そしてたしなめるように生徒達を見ている。

 

 そこに怒りはない。だけど、気遣いがあった。

 

「眷属悪魔とは、いわば上級悪魔の近衛兵のようなものだ。主を襲う者があれば命を懸けて守り、時にヴィクターとの戦いに駆り出されるのだ」

 

 そう言いながら、ハヤルトさんは指を鳴らす。

 

 そして後ろに映像が映し出され、全員が息をのむ。

 

 それは、トライヘキサが後ろで映し出された、あの時の戦いだった。

 

 ドーインジャーが何体も吹っ飛ばされてるけど、中には悪魔の体に弾丸が当たって鮮血が飛び散る。

 

「……あの戦いにおいて、転生悪魔になった者も数多く死んだ。異形の戦いは大火力が飛び交うが故、死体が残らぬ事など日常茶飯事だ」

 

 ハヤルトさんはそう言いながら、俺に視線を向ける。

 

「そこの兵藤一誠殿は、悪魔になってから一年足らずで何度も死にかけておる。つい最近では多臓器不全を起こし、治ってからも数日程認識障害があったそうだ」

 

 ああ、あれは酷かった。

 

「……おっぱいに触れたら激痛が走って、泡吹いて気絶したりしました」

 

『『『『『『『『『『なにそれ?』』』』』』』』』』

 

 おい、なんだその異口同音の呆れ顔は!!

 




イッセーからすれば非常に大変なことだけど、普通の人たちからすれば「なんだそりゃ!?」である。
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