ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第二部は真D×Dの進行を慎重に見ながら書いていかねばならない感じですね。

ケイオスワールド2

とはいえ、この辺に関しては投稿しきりたいところです。






あ、ちょっとD×Dのアンチ・ヘイトにたいしてなかなか興味がわく考察がじぶんのところに届いたので、活動報告に乗せてみました。興味がある方はぜひご一読を。


第二部一章 5

 

 一瞬空気が軽くなったけど、ハヤルトさんは咳払いをして空気を戻す。

 

「それだけではない。一誠殿はハーデス神に目をつけられた結果、人としての肉体は文字通りチリとなった。今の彼の肉体は、龍の細胞を素にして作られたもので、なんとかジャンボ宝くじとやらを十回連続で一等を取るような幸運に恵まれての事だ」

 

「過小。そんな程度の大きな確率ではないと思います」

 

 転生悪魔の人がそう言うけど、まあ確かに超幸運だったよなぁ。

 

 体消滅して生き残るって、どんな奇跡だよ。普通ないだろ、普通。

 

「それにこれは悪魔史上でも異例の事態だ。転生後一年足らずで上級悪魔への昇格を試験を飛ばして確定など、前代未聞の記録であろう。数百年前から転生して、中級にすら昇格できていない者が一体どれだけいるか」

 

 うん、確かにそうだよね。

 

 俺が行った中級試験会場も、だいぶ空いてたからなぁ。

 

「単刀直入に言おう。軽はずみな気持ちで転生すれば、後悔するのは卿らの方だ。転生悪魔はなった時点で現役であるゆえに、軍学校のような訓練期間抜きで実戦に参加する事も多いのだからな」

 

 き、厳しいけど確かに事実だ。

 

 俺なんて、転生悪魔になって数週間でマジの殺し合いを経験してるもん。赤龍帝の籠手に目覚めなけりゃ、死んでたよ。

 

「そう言うわけだ。軽はずみな転生はやめた方がよい。……次はあるか?」

 

 微妙に沈黙が響いた。

 

 いや、確かにこれは結構きつかったしな。誰も次の質問をする空気になってない……けど。

 

「あ、じゃあ俺が聞いていいですか?」

 

 色々聞きたい事もあったし、ここで聞いた方がいいかな?

 

「なんだ、一誠殿」

 

「あ、そんな堅苦しくなくていいです。イッセーって呼んでください」

 

 何ていうか、付き合い長くなりそうだからそれ位でいいかな。

 

 サーゼクス様ともそういう関係だし、この人、口調は硬いけどフランクだから結構いけるかも。

 

「よし、ではイッセー。何か聞きたい事があるなら、遠慮なく言うがよい」

 

 おっしOK出た! やっぱこの人話しやすい!!

 

 ま、結構色々あるんだよな~っと。

 

「あ、じゃあまず気になってたんですけど……」

 

 うん。まずはこれだよな。

 

 俺の視線は、シシーリアとプリスに向けられる。

 

「なんで、そこの2人が結構近いところにいるんですか?」

 

「うむ。余がスカウトして眷属悪魔にしたのだ」

 

 即答だったよ。

 

「言わんとする事は分かる。シシーリアもプリスも理不尽な運命に巻き込まれたからとは言え、ヴィクター経済連合に与していた事もあった」

 

 その言葉に、生徒達がちょっとどよめいた。

 

「だが、それを言えばヴァーリ・ルシファーの件もあるしな」

 

 そして映し出されるのは、駒王会談で激突する俺とヴァーリの戦いだった。

 

 うわぁ。なんか懐かしい。っていうか、傍から見るとこんな戦いだったのかよ。

 

「あ、ヒロイだ!!」

 

「リセスさんも戦ってる!!」

 

「っていうかあの白いの、兵藤が着てた鎧と似てないか?」

 

「うむ、その辺についてはまた話すが、それは後でな?」

 

 そう前置きしてから、ハヤルトさんはため息をつく。

 

「この男、ヴァーリ・ルシファーは平和を望むアザゼル元総督に育てられておきながら、「神様と戦える」などという理由でヴィクターを手引きして和平会談を潰そうとした阿呆だ。しかも奴が盗聴器を持ち込んでいた所為で聖書の神の死が示された事に説得力が生まれ、ヴィクターの快進撃の大きな助力になった事は言うまでもない」

 

 うん。確かに。

 

「しかもだ、ヴィクターに行ったら行ったで組織の命令は殆ど聞かない。そこなリアス・グレモリー嬢を討つ好機を妨害する。神殺しの獣を手にしながら、組織の作戦に運用させない。挙句の果てにリアス嬢とそのはとこの試合を妨害すると言った時は、「邪魔したら敵とみなす」と言い放ったほどだ。組織に属する者として、あまりにどうしようもない」

 

 うん。確かに。

 

「え~。ないわー」

 

「残念なイケメンなのね」

 

「顔は良いけど、なんか付き合ったら苦労しそう」

 

「兵藤とは別の意味でどうしようもないなぁ」

 

 ぼろっかすだよ。

 

 まあ、ここだけ聞くと問題児でしかないもんな、俺も結構苦労したし。

 

「……で、ヴィクターと手を切った後、彼奴は北欧の主神であるオーディンの養子となり、この度最上級悪魔として迎え入れられた。今頃書類手続きを行っている頃だろうな」

 

 …………

 

『『『『『『『『『『はぁあああああ!?』』』』』』』』』』

 

 体育館中が絶叫で響いたよ。

 

 俺も流石に驚いた。

 

 あいつ、最上級悪魔に昇格したの!?

 

「如何にかのものが兵藤一誠達と同じ五英雄の1人とは言え、問題行動を連発しておいて最上級悪魔という事だ。人間世界の観点からすれば、信じられぬだろう?」

 

「ねえ、これって本当に仲良くして大丈夫なの?」

 

「悪魔と神ってフリーダムすぎねぇか?」

 

 すっげえ不安視する言葉が出て来まくってるよ!!

 

 ヴァーリぃいいいいいい!! お前、そこは断っとけよぉおおおおおおお!

 

「因みに、当人は面倒と一回は断ったそうだが、現冥界政府がどうしてもと頼み込み、アザゼル元総督も隔離結界領域に向かう前にそれを望む旨を伝えていた為、向こうが折れた形だ」

 

「あの! 本当に悪魔って大丈夫なんですか!?」

 

 そんな意見まで出てきちゃったよ!!

 

「まあ安心せよ。少々……かなりフリーダムな者が主権を握っておるが、老害の類からはほぼ実権を奪う事ができた。時々頭痛に悩まされる事はあるかもしれぬが、悪行三昧になる事は当面なかろうよ」

 

 そう前置きしてから、ハヤルト様は視線を俺に戻す。

 

「まあよいイッセー殿。卿は二人がどうしてヴィクターにつく羽目になったのかは知っておろう?」

 

「は、はい……。ディオドラとゼファードルの所為ですよね」

 

 あいつ等、ホントろくでもなかったからなぁ。

 

「うむ。ディオドラは所謂鬼畜を地でいく男。ゼファードルもその素行の悪さを実力で押し切り、手痛い敗北を受けた時のトラウマを克服する為、リアス嬢のはとこであるサイラオーグ殿を倒す為の力を得るべくヴィクターについた阿呆共だ」

 

 バッサリ切ったよ。確かにそうだけど。

 

「眷属悪魔の扱いは主の裁量に委ねられる。ディオドラの眷属悪魔であったシシーリアはもちろん、ヴィクターが条件としてゼファードルに差し出す事を指名したプリスも、自力で断る事は出来ぬ事だった。……これを責めるのは酷であろう」

 

 確かになぁ。

 

「ハヤルト様。ここからはこの駄馬自ら説明させていただきます」

 

 あ、シシーリアが前に出た。

 

「お初にお目にかかります。私は、ハヤルト・アスモデウス様の騎士(ナイト)、シシーリア・ディアラクと申します」

 

 そして、深く一礼した。

 

 いや、あれはお辞儀じゃない。

 

「そして、ヒロイ・カッシウスとリセス・イドアルを死地に誘った死神です」

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はっきりと、シシーリア・ディアラクはそう言い切った。

 

 その瞬間、一斉にどよめきが起こる。

 

 それをあえて受け止めながら、シシーリアは口を開いた。

 

「あの二人は、日本攻防戦の数日前、ヴィクター経済連合の基地攻防戦の際に呪いを受けていました。主神クラスでも解呪に百年かかり、全力戦闘を行なえば、半日で死に至る程に寿命を削る呪いです」

 

 そう。つまりは戦場に出すという選択肢が存在しなかった。

 

 緊急事態であったがそれでも出すわけにはいかない。其れで満場一致していたし、その為に監視まで用意した。

 

「話はそれますが、ディオドラが鬼畜だというのは、駄娘である私が話す前からハヤルト様が言及しておりました。……端的に言うとシスターを堕落させる事を趣味とする鬼畜エロゲ主人公です」

 

「エロゲー!?」

 

「うそ、リアルにそんなのいるの!?」

 

「し、シスターとエロい事を!? な、なんてうらやまけしからん!!」

 

「おい、今欲望に忠実な奴がいたぞ!!」

 

「赦すな!」

 

「吊るせ!!」

 

 ……五分ほど話が脱線したが、すぐに戻る。

 

 そして、シシーリアは咳払いをしてから話を進める。

 

「……三、四年程前、私はディオドラに心の隙をつかれて彼の眷属になりました。聖女として祭り上げられていた私は、しかしその重責に耐え切れず、その甘言に乗っかってしまったのです」

 

 そう。シシーリアはあの時苦しんでいた。

 

 聖女という重責は彼女には重く、そこから逃れられるという甘言は、抵抗するには甘美すぎた。

 

 だが、その前にも救いはあったのだ。

 

「その更に前に、私はヒロイさんに元気づけられていたのにも関わらず、です」

 

 再会した時は軽蔑されるのではないかとも思った。

 

 それも仕方がないと思い、心のどこかを痛めながらも諦めて―

 

「それでも、彼は私を輝き(英雄)として照らしてくれた」

 

 それがシシーリアを救った。

 

 彼女の心は自分が照らされている事を自覚させる。そして、勇気を覚悟を与えてくれた。

 

「……結果としては失敗でしたが、私は彼に感謝しています。女として愛情すら抱いておりました」

 

 だから―

 

「―そして、それ以上に彼が輝く事を望んでいました」

 

 あるだろう反論より先に、はっきりとその真相を告げる。

 

 そう。シシーリア・ディアラクはヒロイ・カッシウスという()()を愛している。

 

 彼が輝けない状況を、許す事はできない。

 

 

「輝く事を望んでいる彼に、戦場へと誘う手引きをしたのは私です。強引に戦場に行かないようにする為の結界を抜ける装置を用意し、冥界から戦場まで移動する為の足も用意しました。そこに嘘偽りは一切ありません」

 

 そこからぶつけられるのは、敵意と戸惑いだ。

 

 ヒロイ・カッシウスは割と人気がある。

 

 英雄であろうとするヒロイは、それゆえに人から嫌われにくい人物であろうとしてきた。かつてヴィクターが駒王学園を襲撃した時なども動いていたし、そこから好感を抱いている者も多い。

 

 リセス・イドアルは人気者だ。エロすぎる問題点があるが、それゆえに多感な男子生徒からの人気は絶大。女子生徒からも人気はそれなりにあった。

 

 ゆえに、敵意を向けられるのは当然で、だからこそ戸惑いもある。

 

「……私には、願いがありました」

 

 その視線を受け止めながら、シシーリアは告げる。

 

「私と同じようにディオドラに惑わされ、そしていまだに心を閉ざしている彼女達。……彼女達が罪を償った後、彼女達が人並みに生きれる程度の居場所を作りたかった」

 

 そう。その為に一生懸命努力をした。

 

 ディオドラの件で多少の責任を感じていたアジュカの下で、使いっパシリをしながら成果を上げた。

 

 いずれ上級悪魔になり、彼女達を眷属にする事で居場所を作る。

 

 だが、その夢を彼女は自ら遠ざけた。

 

「天秤に乗せて、私はヒロイさんが輝く事を望みました。そして、その咎は私が夢を諦める事で受けるべきだとも思っていました」

 

 そう。それ位はしなければならないだろう。

 

 だが―

 

「―ここから先は引き継ごう」

 

 ハヤルトは、そんなシシーリアの肩に手を置くと、一歩前に出る。

 

「卿ら駒王学園の者達からしてみれば、シシーリアに怒りを抱く者は多かろう。ヒロイ・カッシウスとリセス・イドアルを確実に死ぬであろう状況に誘ったのだから」

 

 それは事実だ。怒りを向けられるに値する事だろう。

 

 だが、ハヤルトはまっすぐにそれを受け止め、そして首を横に振る。

 

「しかし、シシーリアは二人の命ではなく、二人の矜持を守った。矜持というのはな、人によっては自分の命如きでは代えられないぐらい重いのだ」

 

 ……それを理解するのは、日常に生きる日本人では困難だろう。

 

 知識としては知ってはいる。創作物でそう言う類は多い。

 

 だが、それがフィクションではなく現実にいるという事は受け入れづらい。

 

 ゆえに戸惑いの声が上がり、しかしハヤルトは言葉を続ける。

 

「彼女を恨むのはよい。許せなどとも言わん。だが、ヒロイ・カッシウスとリセス・イドアルの矜持を守り、我らピースキング和平連盟の勝利に貢献した彼女に私刑を行う事だけは認めん」

 

 はっきりと、ハヤルトはそう告げた。

 

「彼女はその咎と、教皇猊下を殺害した英雄派のジャンヌ・ダルクを討ち取った功績を差し引いて、莫大な罰金を背負った。余はそれを立て替えて後見人となる代わりに、眷属悪魔として取り入れたのだ」

 

 そう。それがシシーリアがハヤルトの眷属悪魔になった経緯だ。

 

「余はピースキングに亡命し眷属悪魔を持つにあたって、眷属は最低限に抑え、そして冥界に未来を担うにあたう者達を見定めて後援者とするべく駒を使うと決めた。そして、それと同時に初期の眷属には人生を歪められた者の中から、しかし輝く者を持つ者を救い上げる事も決めていた」

 

 そう、それがシシーリア・ディアラクとプリス・イドアルを眷属悪魔にした理由。

 

「矜持の為に生きる者に、矜持の貫き場所を用意した事。余も命より大事なものを持つ身として、それをどうしても責める事はできなかった」

 

 だから、シシーリアにチャンスを与えたかったのだ。

 

「故にシシーリアに私刑を加える事は余が認めん。……恨むなら余を恨むがよい。魔王の末裔として庇護する民の恨みをあえて受けるのも務めであると覚悟している」

 

 その言葉に沈黙が響き……。

 

「……なあ、シシーリアさんだっけ?」

 

 一人の少年が、一歩前に出た。

 

「あ、確かヒロイさんの友人の……」

 

「あ、松田っていうんだ」

 

 その少年は前に出ると、静かに聞いた。

 

「……ヒロイ、その時、どんなこと言った」

 

「………感謝と謝罪を向けられました。ですが、どこか生き生きとしてました」

 

 嘘偽りなく正直に答える。

 

 そして、松田は―

 

「そっか、なら仕方ないか」

 

 ―そういうと、振り返って元居た場所に戻っていく。

 

「……それだけ、ですか?」

 

 生徒達からもどよめきが出る中、シシーリアはそう言い縋る。

 

 恨んでいい。怒ればいい。ハヤルトは私刑を認めぬと言ったが、一回殴られる程度の事はされるべきだとも思っていた。

 

 だが、松田は苦笑すると肩をすくめる。

 

「いや、アイツ馬鹿だし。多分どんな事してでも戦場に出てきたかもしれなかったしさ」

 

『『『『『『『『『『確かに』』』』』』』』』』

 

 相当数が一斉に頷いた。

 

 どうやら、この学園でもヒロイは分かりやすい人物だったらしい。

 

「確かにな。アイツならそんな状況下で黙って見ているなんてできんか」

 

「怒るならこの子じゃなくてヒロイとリセスさんに怒るべきよね」

 

 と、松田の近くで眼鏡をかけた少年と少女がそんなことまで言ってくる。

 

「そうなのよね。ヒロイとリセスなら、絶対に戦って死にたがるのよ」

 

「そう言う意味では一番心意気を組んだのはシシーリアさんなんですよね」

 

 と、リアスとソーナも苦笑する。

 

「あ~。確かに」

 

「あの二人、馬鹿だもんなぁ」

 

 なんとなく、生徒達は苦笑すら浮かべ始める。

 

 そんな雰囲気を笑みを浮かべながら、松田ははっきりとシシーリアに言い切った。

 

「だからまあ、色々あるけど、俺はあんたを殴ったりしねえよ。ヒロイが迷惑かけて悪かったな」

 

「………ご厚意、感謝します」

 

 シシーリアは、それだけしか言うことができなかった。

 

 そして、同時に嬉しかった。

 

 ヒロイ・カッシウスには、素晴らしい友人がいてくれたのだ。

 

 自分を照らしてくれた輝きは、そんな素晴らしい友を持つこともできていた。

 

 故に決意を決め、シシーリアは前をむく。

 

「約束しましょう。このシシーリアは、必ず上級悪魔に成り上がり、権力をこの手に掴みます。その時あなた達に理不尽が迫っていたのなら、私を頼ってください。貴方方のご学友を奪った咎を対価に、必ず助力する事を誓います!!」

 

 それが、シシーリアのけじめだった。

 

「いえ、72柱の末裔より権力を手にするのはさすがに難しいのでは?」

 

「確かにねぇ。ヒロイの友達の危機なら、まず私達がどうにかするのが筋だもの」

 

「愚者の言葉にマジレスするのはやめていただけないでしょうかー!」

 

 苦笑交じりのソーナとリアスのツッコミに、シシーリアが半泣きになったのはまた別の話だ。

 




冷静に考えると、D×Dって自由なところはかなり自由ですよねぇ。
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