ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
???Side
ふう。なんか疲れた。
数百人の敵に襲い掛かられるってのはだいぶ慣れたけど、数百人の一般人に注目されるってのは、なんか慣れてないから疲れたよ。
「サラト君、大丈夫?」
と、まったくもって平然としてるのはプリス
みんな僕よりかは疲れてないけど、プリス姉は全然意にも介してなかった。
すごい。いや、ホントに感心するよ。
「……賞賛。俺達も多少は緊張したんだがな」
福津兄も目を少し開いてそう言うけど、プリス姉は少し寂し気に苦笑する。
「まあ、アイドル目指してたから。数百人ぐらいなら、セミプロの時に何度も経験してたしね」
「謝罪。余計なところをつついちまったな」
地雷踏んだと思ったのか、福津兄は罰が悪そうな顔をする。
それに対して、プリス姉は何でもないように笑うと、片手を振った。
「あ、気にしなくていいよ。っていうか……」
そして、どこか遠い目つきになる。
「……全国生中継で、再現映像とか出てるしね」
「「「「確かに」」」」
ハヤルト義兄さんやシシーリア
バアルとグレモリーのレーティングゲームは僕らも見てたしね。いや、日本で特別にテレビ繋いでもらってだけど。
……こっそり夜中に見たVシネマ風だった。直接見せなかったのは、リムヴァンの奴も配慮したんだろうな。主に自陣営の民衆支持率を下げない為に。
「うむ。まあ過ぎた事は仕方がない」
と、咳ばらいをしながらハヤルト義兄さんが話を変える。
「とは言え、いずれ冥界に戻る事も考えればなれねばならぬ。例の件にも参加する予定である以上、数百人程度の注目で疲れていてはならぬだろうしな」
ああ、確かに。
例の件、本当に実行されたら僕らもハヤルト義兄さんと一緒に参加するからねぇ。そうなったら今のなんて目じゃないぐらい人の目があつまるか。
なんたって、義兄さんは魔王の末裔だし。
「でも、よかったの義兄さん。あそこ迄注目集めると、まだしつこくこびりついてる老害がうるさいかも?」
そこがちょっと気になる。
悪魔政府の老害の大半は、皇帝の告発でその権威が地に落ちた。
まあ、不正に八百長をやってたのが純血の旧家に偏ってたからね。純血貴族主義はもう終わりってぐらいのダメージだし。復活するにしても何百年かかる事やら。
でも、あの手この手で最低限の権利を確保してるやつらだっている。そして、かつて旧魔王末裔を排斥した彼らは、旧魔王末裔の義兄さんをよく思ってない。
独断でここまでの事をすると、流石に後々面倒な事になるんじゃないかな?
「気にするな。今だあの学園で勉学に励むリアス嬢とソーナ嬢から注目を逸らせたのだ。クルゼレイ達が迷惑をかけた詫びができたと考えるのなら、その程度の手間は喜んで背負うて見せる」
と、義兄さんは胸を張る。
あ、確かに。義兄さんの親族が多大なご迷惑をかけてたね。
「それに今回の件でグレモリーとシトリーに恩を売れたともいえる。衰退の道を止めれそうにない旧家の老害共より、未来を担う次期当主達の味方をした方が、打算的に言えば儲かるであろう?」
と、何か悪魔っぽい顔を浮かべるけど、信じる馬鹿は何処にもいない。
「苦笑。打算は半分にも満たないでしょうに」
「「確かに」」
福津兄にバッサリ切られて、そのままシシーリア姉とプリス姉にも軽く笑われる。
義兄さん自身受け狙いだったのか、怒ることもない。
「とはいえ、良い学び舎と生徒達だ。……リアス嬢やソーナ嬢が冥界の学び舎を選ばなかったのも頷ける」
確かになぁ。
良い人が多いっていうか、立派な人が多いっていうか。
そっか。あの人もあの学園の生徒だもんね。だったら納得かな。
「さて、それでは駐屯地に戻るぞ。卿らは好きに過ごしてよいが、あまり羽目を外しすぎるなよ? 魔王末裔の眷属として、恥ずかしくない程度にな?」
「「「「了解!」」」」
僕達は一斉に敬礼をしながら、駒王駐屯地に戻る。
あ、自己紹介がまだだったね。
僕はサラト・アスモダイ。ハヤルト・アスモデウス様の義理の弟で、彼の兵士だ。
駒価値は八。其れも結構反則技を使っていて、レーティングゲームの参加は許されてない。
階級は中級悪魔。一応下級の生まれなんだけど、ヴィクターとの戦いでこれでも旧魔王派の上級悪魔クラスを何人も撃破に貢献してるからね。魔王アスモデウス末裔の眷属悪魔ってこともあって、試験を受ける資格をもらって、しっかり合格したともさ。
まあ、義兄さんの眷属悪魔は、ここにいない一人を除いて全員中級なんだけど。ヴィクターとの戦いでそれなりに戦果を挙げてるから、試験受講資格は取ったし、しっかり皆合格したとも。
まあ、その魔王末裔が日本に出向してある意味都合の良い戦力扱い。冷や飯ぐらいと思っちゃうかもしれない。
だけどこれ、さっき義兄さんが言ったけど実績作りが目的の、自発的な参加でもある。
いや、僕と福津兄が護衛しながら亡命した時点で、要職で迎えたいとかいう悪魔達はかなりいたんだよ。
でも、義兄さんはそれを全部丁重に断った。
『かつて悪逆すら成し遂げた魔王末裔にして、なにも成し遂げなかった余が、血筋だけで要職に就くなどあってはならぬ!』
とはっきり言って、先ずは亡命先になってくれた日本で成果を上げる事にした。
実際、色々と厄介者扱いしてくる老害もあの時は権力持ってたしね。その辺いい判断だと思う。
まあ、その結果義兄さんは日本で結構こっそり大活躍してたりする。防人一型の開発にも、割と貢献してるからね。
そして、悪魔の王の末裔ならば武勇もなくてはならないと、今度はテロまで出てきて泥仕合化してきているヴィクターとの戦争に積極的に関わる気だ。
まあ、そんなことしないで偏狭でひっそり生きるって選択肢もあったりする。実際、義兄さんは偉そうなムーブしてるけど、あまり豪遊とか権力とかに興味ないし。
だけど、義兄さんは成し遂げたい事がある。それを成す為の実績を欲しがってる。
義兄さんの考えをアジュカ様は既に認めてくださってるけど、だからと言ってそれに甘えたりしない。
血筋だけの男がいきなり意見を言って、それがあっさり通るだなんておかしい。其れなりの実績を持ったうえで、意見を通したいってね。
何ていうか、かっこいいよこの人。
クルゼレイ達とは違う。魔王末裔である事を誇りにするんじゃない。魔王末裔として誇り高くいきたがってる。
僕らは皆、そんな義兄さんが凄いと思っている。主として立派だと思っている。
新参者も、古参で臣下として仕えている者も含めて、其の在り方の力になろうと思った。
因みにまあ、僕にとっては恩人だからね。
僕はヴィクターのある実験の非検体だ。
あ、言っとくけど無理やり実験されてたわけじゃないよ? 実験体として金はもらってたし、そもそもそれを理解したうえで自発的に参加した……らしい。
いや、義兄さんも言ってたからそうだと思うけど、その辺りの事覚えてないから。
まあ、そんなわけで結構なレベルではあるんだけど、色々面倒な事もあってね。下手したら死んでたかもしれない。
それを、義兄さんは僕を義理の弟にして助けてくれた。
そして義兄さんの研究で、僕はその実験の成果を最大限に発揮できる。
まあ、こんだけしてもらったら恩返しはしないとね。
そういうわけで、僕は義兄さんの眷属悪魔として活動してるわけだ。
……さて、それじゃあ、土地勘を鍛える為に、適当に街を散策するかなっと。
第二部主人公は、ハヤルト・アスモデウスの義弟、サラト・アスモダイです。
因みにサラトの名前の由来はできる限り早めに明かす予定です。
なお、以前第二部の展開でアンケートを取ったときに「大人のお姉さんと女装が似合うショタ」という意見があったこともあってショタにしました。年上系のお相手は誰だ!!