ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
イッセーSide
とりあえず、放課後俺は久しぶりに松田や元浜と一緒にハンバーガーを食べに行った。
最近はこいつらとだけつるむって事もなかったしな。いい機会だと思ったんだよ。
結局、俺達オカルト研究部や生徒会はそれぞれ質問攻めが確定。堂々と名乗った百鬼とかも質問付けにされてるとか。
そんなわけで、俺達はそれぞれ別行動しながら質問に答えて言ってる形だ。俺は松田や元浜たち担当だな。
「それでだなイッセー。お前、何がどうして悪魔になったんだ?」
「ああ、デートの最後で殺された時に、リアスに救ってもらったんだ」
俺はそう言うと、速攻で一発パンチが飛んできた。
とっさにかわすと、松田が凄く殺意の籠った視線で睨みつけてくる。
「おい。二つぐらいマジギレしそうな事があった案だけどよ?」
「なんだよ!? 二つってなんだ!?」
「「デートと呼び捨て」」
な、其のセットかよ!?
「いや、デートつっても「危険な神器を持っているかどうかの確認」だったし、結局馬鹿にされて殺されるし……」
「それはともかくだ。リアス先輩を呼び捨てという事は、そういう事か?」
こ、怖い! 元浜の眼鏡が光って怖い!!
まずい。返答を間違えれば、俺は死ぬ。
その気になれば魔王クラスとすら戦える俺だが、しかし勝てる気がしない。
これが、嫉妬の炎。これが、妬みという暗黒の力!! 俺が、モテる事でこんな力を受ける側になるだなんて!!
「まあ、もうキスまでした仲なんだけどね」
でも正直に答える!!
結果的に真実が知れ渡ったんだ。もう嘘をつく気は欠片もない。
男には、命を掛けなければならないと気があるんだ!!
「「ぶっ殺すぞてめえ!!」」
ああ、そうなるだろうな。
だが、俺も受けて立つ。そして生き残って見せる!!
俺は、童貞を、卒業するんだぁああああああ!!
「あの、愚か者が言うのもあれですが、お店で騒いだらいけませんよ?」
と、そこに割って入る声があった。
俺達が一斉に顔を向ければ、そこには私服姿のシシーリアがいた。
「あ、さっきの人だ」
「その節はどうも。シシーリア・ディアラクです」
松田にそう答えて、シシーリアは俺達の隣に座ると、ハンバーガーの包みを開く。
「駄目ですよ? 公共の場では騒ぐのには限度があります。何事も節度です」
そう言ってにっこりたしなめる姿に、俺達はほっこりする。
ああ、どれだけ彼女ができても美少女を愛でるのは良いものだ。こればっかりはやめられねえ。
しかも元聖女。ディオドラの奴はとてもむかつくけど、アイツの選球眼は確かだというしかねえな。
「あれ? でも自衛隊員が駐屯地から離れて大丈夫なのか?」
「結構特別な立ち位置ですので。もっとも、駐屯地の方々から買い物なども頼まれましたけど」
元浜にそう答えるシシーリアは、確かに結構たくさん荷物を持っていた。
凄いな。まるでバーゲンから帰ってきた主婦だ。
「駐屯地内部の売店だけだと買えないものもあるんですよね。福津さんが大半は受け持ってくれたんですが、全部任せるのも心苦しかったので」
「へ~。でも、これどんだけあるんです……か……」
俺は袋の中身をのぞき込んで、ちょっと固まった。
……なんか、エロDVDとかあるんだけど。
普通、女の子にそんなの買わせたりしないよな?
「ああ、福津さんはそういうのと縁がないので。私が自発的に引き受けました」
「いや、そこは男に任せとけよ」
松田も思わずツッコミを入れる展開だ。
ま、まあ、他にも色々あるし、いいのかな?
だけど結構いろいろあるな。これ、重くないか?
「これ、一人で運ぶのかよ」
「ええ。これでも前衛が基本の転生悪魔なので、割と筋肉はあるんです」
確かにそうなんだろうけど、しかしこれを見て女の子に持たせ続けるのもあれだよな……。
俺が松田と元浜に視線を向けると、2人とも頷いてくれた。
「よし、駐屯地の入り口まで俺達も持ってやるよ」
「そうだな。女の子には優しくしないとな」
「え!? いえ、そんな、私みたいな駄馬がそんなこと、悪いですよ!?」
素早くハンバーガーを食って荷物を持ち始める松田と元浜に、シシーリアが慌て始める。
そして、すぐに表情を暗くする。
「理由はどうあれ、ヒロイさん達を死地に送り込んだのは事実ですし―」
「ああ、それはもういいから」
バッサリ切ると松田はさっさと荷物を持つ。
「悪いって思ってるなら、今度一緒にカラオケでも行ってくれよ。毎回毎回ゼノヴィア達と行っても、もうイッセーの女だからなんか虚しくなりそうだしよ」
「同感だな。アーシアちゃんも昔からイッセーにぞっこんだし、イッセーの女だけだと本当に虚しくなる」
と、元浜もそう言いながら荷物を持つ。
……ったく。これだから俺は、こいつら友達やってんだよなぁ。
「どうだよ。いいやつらだろ?」
俺はにやりと笑うと、シシーリアに2人を自慢する。
シシーリアはちょっとぽかんとしてたけど、やがて苦笑した。
「はい。ヒロイさんのご友人だったのがよく分かります」
ああ、そうなんだよなぁ。
祐斗Side
ふぅ。なんとか解放された。
結局あの後、ものすごい勢いで質問付けにされた。
何とか言える範囲内で説明して、とりあえず一息つく事ができた。
……皆が心配だから、少し休憩したらフォローに行こう。
この調子だと、トスカが中等部に入った時が心配だ。
あの子は僕の関係者だからね。何らかの対策をしておかないと質問攻めになるかもしれない。
「……あれ? こんなところで何してるの?」
と、そんな声が届く。
振り向いてみれば、そこにはたくさんの買い物袋を手に持ったプリスさんだ。
「そちらこそ、どうしてここに? 駒王駐屯地に戻ったと聞きましたが」
「ああ、ハヤルト様から「土地勘を身に着けておけ」と言われたからね。ついでに駐屯地の人達の買い物を引き受けたりしてたの」
……なるほど。どうやらハヤルト様はここに長い間腰を落ち着けるつもりみたいだ。
てっきり短期間だとばかり思ってたけど、どうやらそうでもないらしい。
「もしかして、割と長く逗留する予定ですか?」
「そんな感じかな。一応、これはアジュカ様と日本政府が交わした契約で、年単位の予定だから」
そうなのか。まあ、言われてみれば納得だね。
仮にも亡命した魔王血族だ。ヴァーリみたいな自由人ならともかく、彼は結構そういうのを自発的に手続しそうだし、大尽総理もアジュカ様もしっかり契約書は用意するだろう。
だけど、それにしても思い切った選択だと思う。
「言っては何ですが、あなたを眷属にすると決めた事といい、中々リスキーな決断をしますね」
正直そう言う他ない。
シシーリアさんはまあいい。彼女はディオドラが離反しようとした時、かなりいいタイミングで彼から離反して情報を送ってくれた。
ディオドラとシャルバに踊らされた形にはなった。だけど結果的にはそれそのもので被害は出なかったし、彼女の情報のおかげでヴィクターとの戦いでこちら側に亡命する者達を増やせた事もある。アジュカ様が直々に擁護してたしね。
だけど、プリスさんの場合は少々異なる。
なにせ非常に注目されていたリアス部長とサイラオーグ氏のレーティングゲームを妨害する形で目立って登場。しかも、アジュカ様をダイレクトに狙った勧誘に参加し、その後の戦闘でも僕達を割と追い込んでいる。そして天界での襲撃だ。
割と色々やらかしているので、結構処遇は揉めたらしい。
しかもグラシャラボラス家は割と被害を受けているうえに、ゼファードルを擁護する側はゼファードルがヴィクターに就いた事もあって、残存している側がかなり激怒した為、保釈金などのフォローができていなかった。
それらの問題点を含めて、プリスさん自身が刑に服する事を望んでいた事もあって、リアス部長達も無理に手を貸したりはしなかったんだけど……。
「二回ぐらい断ってたんだけど、三回もスカウトに来られちゃって。なんでも「卿のような被害者を刑に服させ、自発的に参加したヴァーリがほぼ無罪などというのでは人類に示しがつかぬ」って言われると……その……ね?」
まあ、確かに。
まあ、ヴァーリはヴァーリで積極的なテロ活動はあまりしてないし、僕達グレモリー眷属との共闘も多い。
単純な比較はちょっと難しい気もするけど、確かに積極性では確実にヴァーリの方が上だね。
それに、英雄派のゲオルク撃破に貢献した彼女は、十分恩赦を受ける権利もあるだろう。そこに前魔王末裔であるハヤルト様が眷属に迎え入れたいとなれば、流石に文句を言うのも難しい。
実際、彼女はかなり振り回された人生を送ってきたからね。これは良い事だと僕も思うよ。
「それで、ハヤルト様の眷属になる事を選んだんですね?」
「うん。ちょっと迷ったんだけど……ね」
そう言いながら、彼女はコーヒーに口をつける。
そして苦笑を浮かべた。
「ニエ君からも罪を問われなくなって、正直、ちょっと困ってた」
確かにね。
こういう生き方をすると決めていたものが、それが意味がないと言われれば少し迷うだろう。そう言う人は確かにいる。
僕も、復讐しなくていいと言われても結構エクスカリバーに拘っていたからね。ちょっと違うけど引っ張られているって意味じゃ同じだ。
それに対して、プリスさんはどんな答えを出したかを、僕達はついさっき聞いたばかりだ。
「そんな時に、シシーリアちゃんと顔合わせをして、シシーリアちゃんの夢を聞いてね」
……なるほど。それで影響を受けたのか。
シシーリアさんは、ディオドラの眷属だった人だ。
ディオドラ・アスタロトは、シスターや聖女を言葉巧みに惑わして、自分のコレクションにすることを好んで行う外道だった。
教会と敵対していた時ならば個人の趣味の問題で済んだ事だろう。和平が結んだ状況でならば、辞めればそれ以上はつつかれなかったかもしれない。
しかし、彼はやめようなどと考えなかった。そしてその才能をリムヴァンに見い出された事もあり、手早くヴィクター経済連合に内通した。そして、大規模な亡命計画を主導したほどだ。
ヒロイくんと再会してシシーリアさんが勇気を取り戻さなければ、アーシアさんも連れ去られたままだっただろう。
彼女は確かにヒロイ君が
だけど、それは優先順位の問題だ。
その道をもう一度進む事ができる機会を手にして、彼女もまたその道をもう一度進む事を決意した。
同じようにディオドラによって道を踏み外した者達。シシーリアさんにとっての
がなかったばかりに、そのままディオドラについて離反し、収監されている者達。
彼女達が罪を償って出所した時の為の居場所を作る。それが、シシーリアさんが目指している道だ。
ヒロイ君が輝く事を優先したとはいえ、それが大事な夢だった事に変わりはない。だから、堂々と彼女はそれを宣言した。
「「せっかくのチャンス、活かしたいと思ったんです」って言われて、だったら私はこのチャンスでどうしようかと思って……ね」
「それで、ああいう結論に至ったわけですか」
かつての自分と同じような事になった者達を、助け上げたい。
かつて堕落して罪を犯したからこそ言える、プリスさんの決意。
それは、きっと尊重されるべきものだ。
ただし、ちょっと問題もある。
「……リセスさんのような方向性は、無しでお願いします」
「……流石に、あそこ迄開き直ったりは、できないかな?」
僕らの脳裏に、一周回って好色家として覚醒したリセスさんの姿が浮かぶ。
あの人、近いトラウマを持っている相手に「男の選び方」を教えて性欲を押さえる事なく安全に発散させる方向で行っていたからね。
結果として、駒王学園で変な男に引っかかる手合いはごっそり減った。反面、性に開放的な人達がものすごく増えた。っていうか、ビッチが増えた。
男子生徒に関しても、ものすごく一周回った人達が多くなっているのが実情だ。結果的に学内で発散がすんだ者達がいろんな意味で仲良くなっている。そしてそれらが人生に余裕を生んで、松田君や元浜君のように落ち着いた者達も多いのがあれだ。
その所為で駒王学園の生徒会や教師陣も、中々説教できなかった。なにせ風紀が乱れているようで、逆に人間的に丸くなった者が多いからだ。
……いや、やっぱり問題が多すぎるよ! リセスさんの妹分であるペトさんは監視しないといけない!!
最近は羽目を外し気味だし、ちょっとリスキーな事もしている。
敬愛するリセスさんや、同胞ともいえたヒロイ君を失った事もあるから多少は大目に見てきたけど、そろそろ注意するべきだね。
というより、ヒロイ君とリセスさんがいなくなった事で、今のイッセー君の家でイッセー君を愛しているわけではないのは彼女だけだ。ご両親はこの際除外する。
……勢い余って襲いかねない。なんで僕は、今までこの危険性について気が付いてなかったんだ。
そんな事になれば、サーゼクス様の事もあって壮絶に負担があるリアス部長も変な暴走をするかもしれない。そして連鎖反応で、朱乃さん達まで暴走する恐れがある。イッセー君もちょっとつらいところもあるだろうし、ペトさんの誘い方次第では乗っかる可能性も……いや、これは朱乃さんの事を上手く断った事もあるしないか。
ちょうどいい。此処にはリセスさんの幼馴染でもあるプリスさんがいる。
「プリスさん。まだ時間があるなら、ちょっと相談に乗ってもらいたいのですが……」
ちょっと、真剣に対策を考えないといけないね。
ペトさん、頼むからイッセー君を狙ったりしないでくれよ!!
なんだかんだでなじんでいきそうな、日常を過ごすシシーリアとプリス。
そして、祐斗が懸念するペトについては、次の話で!!