ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第二部一章 11

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだか、ペトの様子が変だ。

 

 どこかスッキリしたような、それでいてどこかイライラしたような表情だ。

 

「……どうしたペト。なんというか、スッキリしたようなムカついているようなわけの分からない感じだが」

 

 流石に気になったのか、ゼノヴィアがそう聞きに行った。

 

 うん、ホント行動力あるよな、ゼノヴィアって。

 

 まあ、俺達も気になってはいたんだよ。

 

「ペトさん、昨夜から様子が変ですよ?」

 

 アーシアの言う通り、ペトは昨日の夜に帰って来てから様子がおかしかった。

 

 さっきも言ったけどスッキリしているかのような、イライラしているかのような、どっちだよって感じだ。

 

 昨日男あさりした時に何かあったのか?

 

「いや、ちょっと男あさりをハヤルト・アスモデウスの眷属に邪魔されて……」

 

 ……何やってんの!?

 

 いや、ペトの男あさりはいつもの事だけど!! それはともかくハヤルトさんの眷属にご迷惑かけたらいけないって!!

 

「まあ良かったじゃないか。今までは気を使っていたが、最近お前は男あさりが荒いからな。見かねたんじゃないか?」

 

「そうよ! 正直私達もそろそろ止めようかと思ってたわ! ペトはちょっと暴走しすぎよ」

 

 と、ゼノヴィアがバッサリ切ってイリナも乗っかってくる。

 

 まあ、最近のペトの男あさりは結構荒いっていうかリスキーだったからな。見かねて説教されてもおかしくないだろ。

 

 いくらペトがビッチで有名だからって、危ない橋を渡る必要はないだろうしな。

 

 見れば、クラスメイトがほぼ全員うんうんと頷いている。

 

 みんなペトのことを心配してくれているとほっこりするべきなのか、ペトのビッチっぷりを全員知ってるって事実にあきれるべきか。

 

 いや、ペトがビッチなのは俺がスケベなのと同じぐらい有名だしな。今更だろ。

 

 だけど、ペトはイライラを隠す事なく首を振った。

 

「いや、そこは良いんすよ。問題はその後っス」

 

「その後……ですか?」

 

 アーシアに促されて、ペトは頬杖を突きながら頬を膨らませる。

 

「その後ちょっと鬱憤晴らしに愚痴ったんすよ。お姉様とヒロイの事で」

 

 うんうん。

 

 確かにあの二人、最終決戦で二人していい空気吸ってそのまま好き勝手に死んでいった感じあるからな。ちょっとはムカつくだろ。

 

 ペトからすれば置いて行かれたようなもんだ。もう助からないのがほぼ確定だったとはいっても、もうちょっと他になんかなかったのかと思いたくもなるだろ。

 

 ……俺のおっぱい好きと二人の英雄への焦がれは同じ……か。

 

 俺はヒロイの言葉を思い出して、ちょっとフォローを入れたくなった。

 

「そういや、最後に俺、ヒロイに「俺たちの英雄好きはおまえのおっぱい好きと同じ」って言われてたから、俺はちょっと怒りづらいかもな」

 

 ああ、俺もおっぱい好きをやめろなんて言われたって無理だ。絶対に無理だ。

 

『『『『『『『『『『ヒロイ……そこ迄卑下しなくても……』』』』』』』』』』』

 

 オイクラスメイト。泣くぞ。

 

「まあ、そこら辺も含めて愚痴ったんすよ。愚痴ったからお門違いなんすけど……」

 

 そういうと、ペトは歯ぎしりまでした。

 

「帰り際に、こっそり呟いた形だったすっけど確かに聞こえたッス」

 

「なんて言ってたんだ?」

 

 何かそいつが言ってたのは分かるんだけど、一体何を言われたらそんなイライラするんだよ?

 

 そしてペトは、ぷくーっと頬を膨らませるとー

 

「……クソッタレだな、その二人とか言ってたっす」

 

『『『『『『『『『『……あ~』』』』』』』』』』

 

 なるほどぉ。そりゃ、ねえ。

 

「まあ、見方によっちゃクソッタレではあるよな」

 

「でもペトさんの前で言う? デリカシーなくない?」

 

「いや、小声で言ってたから聞こえてたとは思ってないんじゃないか?」

 

 と、教室中で議論が巻き起こる。

 

 ま、最終的にペトと最期まで一緒にいるんじゃなくて、自分達の目指した英雄の在り方を貫き通したわけだしな。嫌いな人は絶対出てくるだろ。

 

 つっても、小声でもペトの前で言う事じゃないと思うんだけどな。

 

「ただ、相当向こうもイラついていたみたいだからプッツン行くのが遅れて、結局帰っちゃったす……」

 

 そう、複雑そうな表情でペトがため息をついた。

 

 まあ確かに。ちょっと素直に反応しづらいからなぁ、この問題。

 

「おのれあのショタっこめ!! 今度会ったら文句の一つぐらい言ってやるッス!!」

 

 って、ショタの方かい!!

 

 てっきり年上の男の人の方だと思ったんだけど、ショタの方だったのか……。

 

「あ、そういえばあの子なんて名前だったっけ?」

 

 そう言えばサラト……なんだったっけ?

 

 俺が首を傾げていると、アーシアが指を口元に当てながら思い出してくれた。

 

「……渡された資料によれば、サラト・アスモダイさんだそうです。年上の方は時草福津さんだそうですよ?」

 

 あ、そんな名前だったっけ。

 

 でもあの二人、魔王の末裔の眷属だっていうなら結構な人達なんだろうなぁ。

 

 プリスもヒロイと一対一で渡り合うぐらいの凄腕だし、それぐらいあるだろ。っていうか実力が伴ってないとうるさい上役達がなんか言ってきそうだ。

 

 不正に関わってない残った上役達も、魔王末裔のヴァーリとかに拘っているところがあるっぽいからな。ハヤルトさんに関しても、眷属にはそれなりの実力者を求めるだろうし。

 

 シシーリアがちょっと不安だけど、最終的に英雄派のジャンヌ・ダルクを倒したのは彼女らしいから、ギリギリセーフだったんだろうな。

 

 まあ、ガールヴィランの連中相手に大立ち回りしてたんだから、弱いわけがないだろ。

 

「しっかし、駒王町も悪魔がたくさんいるところなんだな、そのサラトってショタも悪魔なんだろ?」

 

 と、話を微妙に変えながら松田がそう言う。

 

 まあ、上級悪魔が三人もいるんだしなぁ。

 

 人間界でここまでいるってのも、そうはないんじゃないか、これ?

 

「まあ、実際駒王町(ここ)って日本どころか世界的に見ても三大勢力の影響が大きいもの。当然ね」

 

 と、イリナは言い切った。

 

「確かにそうだね。旧家の不正の影響もあって、リアス元部長の担当地区として選ばれたうえ、ソーナ前会長も人間界の教育を知る為、リアス元部長に誘われて駒王学園に入学。そして眷属を連れてきたり眷属を作ったりしているわけだ」

 

 うんうんと、ゼノヴィアが頷く。

 

 そして、懐かしむように遠い目をした。

 

「そして戦争再開を目論むコカビエルが奪ったエクスカリバーを追いかけて、私とイリナ、そしてヒロイが派遣されてきた」

 

「懐かしいですねぇ」

 

 と、アーシアも懐かしそうに目を細める。

 

 そして、その時を思い出して俺は苦笑した。

 

「そういやあの時は大変だったぜ。和平前だったとはいえ、悪魔になってたアーシアを、ゼノヴィアが介錯しようとして揉めたっけなぁ」

 

「む、昔の事だろう!? 今更蒸し返さないでほしいぞ、イッセー!」

 

 顔を真っ赤にするゼノヴィアに、俺はちょっと笑う。

 

 そして松田達は、そんな事があったのかといわんばかりの顔で驚いていた。

 

 ま、確かにそうだよな。気持ちは分かる。

 

 今じゃゼノヴィアはアーシアの大親友だからな。それが一度は殺そうとしたとか、聞いても信じられないだろ、そりゃ。

 

「うんうん。これも三大勢力の和平のたまものだわ。主よ、三大勢力の方々にお慈悲を!!」

 

 そしてイリナは天使の翼を広げながらお祈りをしている。

 

 正体隠さなくて良くなった事を良い事に、好き勝手しすぎじゃないかな?

 

 ほら、周りのクラスメイトも、流石に天使の翼には面食らってるよ。驚いているよ。

 

 あ、興味本位でツンツンしてる奴がいる。度胸あるなぁ。

 

「で、結局コカビエルのオバカはお姉様やヴァーリが介入した事もあってボコボコにされ、しかもそれがきっかけで起きた駒王会談で和平成立ッス。ぶっちゃけ裏目ってるっすねぇ」

 

 うんうんと頷きながら、ペトはだけどなんか急に頭を抱えた。

 

「……問題は、邪龍戦役のどさくさに紛れてコカビエルがコキュートスから連れ出された事なんすけどね」

 

「「「「ああ~」」」」

 

 そうなんだよなぁ。

 

「そのコカビエルって人、そんなに強いの?」

 

 桐生が聞いてくるけど、実際強いんだよなぁ。

 

「その気になれば、一人でこの駒王町を吹き飛ばせるぐらいには強いぜ?」

 

「あの時はお姉様とヒロイが二人掛かりでもなお手こずったッス」

 

 うんうん。腐っても神の子を見張る者の幹部だから、結構手ごわいよね。

 

 普通に最上級悪魔クラスの戦闘能力があるし、あれを一蹴したヴァーリはあの時点で桁違いに強かったからね。

 

 いまでも一対一で勝てるグレモリー眷属のメンバーってそんなにいないんじゃないか?

 

 いや、紅の鎧を使えば俺はちょっと手こずるぐらいでどうにかできそうだけど。いやいや、油断しないで最初から全力で来られたら、流石に負ける可能性もあるかな?

 

 龍神化が使えれば確実に勝てるだろうけど、あれは本当に反動がでかいからなぁ。

 

「そういえば、コカビエルはヴィクターの堕天使側に救出されて、今は彼らの代表になっているらしいな」

 

「ええ。なんだかんだ言っても統括組織の幹部だったもの。それなりに組織運営能力もあるみたいね」

 

 と、ゼノヴィアとイリナがちょっと真剣な表情で話し合い、教室中も少し緊迫感が漂う。

 

 ゼノヴィアとイリナが真剣な表情で危険視する相手だもんな。実際、堕天使全体で言ったら今でも十位以内には入るだろう実力者だろうし。

 

 へたすりゃ、あの戦いで俺たちの誰かが死んでもおかしくなかった。今の俺でも紅の鎧以上にならないと苦戦しそうな相手だもんな。復讐しに来たら気を付けないと―

 

 そう思った、その瞬間だった。

 

『聞こえるか!?』

 

 そんな大声が、いきなり響いた。

 

 な、なんだなんだ!?

 

 この声って確か、ハヤルト様の声だよな!?

 

 い、い、いきなり、何事だ!?

 

 俺達が慌てるけどクラス中どころか学校中が騒がしくなっている。

 

 ど、どういうこったよー

 

『今術式で駒王学園全体に聞こえるような方法を取っておる! 聞こえているならすぐに臨戦態勢を取るのだ!!』

 

 なんか慌ててるっぽいハヤルトさんは、そのまま続ける。

 

『今現在、ヴィクターの者と思しく神器使いが単独でまっすぐ駒王学園(そちら)に向かって居る! 更に離れたところから増援らしき者も向かっているぞ!!』

 

 ……昨日の今日でまた襲撃かよ!!

 

 白昼堂々駒王学園を狙いやがって! リゼヴィムもリムヴァンも倒されたってのに、えげつない手を使いすぎじゃねえか!?

 

 俺は素早く鎧を纏いながら外に出る。

 

 そして、空高く舞い上がると誰がどこから来るのか警戒した。

 

『そして気を付けよ。更に武装勢力が複数動いておる。それに―』

 

 ハヤルトさんはかなり警戒している。

 

 っていうか武装勢力が複数この近くで動いているんですか。そんなにここは気になりますか!

 

 ……それもそうだね! だって赤龍帝()魔王の妹(リアス)がいるんだもんね! 重要地域だよね!!

 

 真剣に転向した方がいいんじゃないかと思ったその時、ハヤルトさんの言葉が続く。

 

『―増援らしき者の一人は、コカビエルだ!!』

 

 その言葉に俺が驚いた瞬間―

 

「ダーリンの仇ぃいいいいいいいいい!!!」

 

 もの凄い雷撃が、俺を包み込んだ。

 

 




注:攻撃したのは断じてコカビエルではありません。

始めてみる相手にいきなり御指名を受けて攻撃されたイッセー。

イッセーの明日はどっちだ!?
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