ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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新たなる強敵とかつての強敵が現れるとき、物語は加速する!!

……なんていってみたりみなかったり。


第二部一章 12話

 その攻撃は、文字通り天を包み込んだ。

 

 駒王学園から遠く離れたところから放たれた雷撃は、空高く舞い上がっていた一誠を包み込み、そしてなお有り余る。

 

 文字通り天を埋め尽くすほどの雷撃によって、青い空は一瞬だけだが稲光の紫に包み込まれた。

 

「うわぁああああ!?」

 

「きゃぁあああああ!?」

 

 あまりの光景に悲鳴を上げる者達が続出する中、イッセーは其のまま墜落する。

 

「おい、兵藤が落ちるぞ!?」

 

「やば、あれ死ぬんじゃない!?」

 

「いや、死なないから!!」

 

 その悲鳴を耳ざとく聞きつけて反論しながら、一誠は素早く体勢を立て直しながら空中でとどまる。

 

 一瞬全身がマヒするほどの威力の雷撃だった。通常の鎧だったとはいえ、今の一誠を一瞬とは言え麻痺させるほどの攻撃は、あり得ないレベルの火力としかいようがないだろう。

 

 最上級悪魔クラス……否、少なく見積もっても土地神や魔王クラスの攻撃力。神滅具や複合禁手でなければ出せないような、文字通り最高峰の雷撃だった。

 

「イッセー! 大丈夫?」

 

 リアスも飛び立ちながら、イッセーと連携を取れる位置で滞空する。

 

 それに心強さを覚えながらも、一誠は敵に対する警戒をするほかない。

 

 今の一撃だけで断言できる。兵藤一誠の数こそそこそこだが密度の濃すぎる戦闘経験が、正確に告げている。

 

 先程の攻撃を放った者は、D×Dのメンバーでも上位陣でなければ対抗できないだろう。

 

「……どうやら、堂々とこちらに来るようだね」

 

「イッセーを一瞬とは言え麻痺させるとは、相手にとって不足はない!」

 

 祐斗が即座に対雷撃の聖魔剣を構え、ゼノヴィアもデュランダルではなくエクスカリバーを前にして構える。

 

 単純な威力で相手を責めるグラムやデュランダルでも、まともな打ち合いでは危険な相手。なら雷撃特化の聖魔剣や、支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)による雷撃干渉の方が対抗しやすい。そういう判断だろう。

 

 そうさせるほどの敵を前に、一誠達は皆警戒心を強める。

 

 ヴィクター経済連合。彼らはいまだ健在だ。

 

 宰相であるリムヴァンは死んだ。精鋭である英雄派は壊滅した。特殊部隊であるイグドラフォースも半数が死亡し、一人が捕縛された。

 

 だが、ヴィクターにはまだまだ精鋭がいる。実力を持つ者は残っている。一誠相手に太刀打ちできるだけの猛者まで存在している。

 

 その事実に、グレモリー眷属は皆が警戒心を強くする。

 

「ソーナは学園の異能保有者を指揮して、結界を張って頂戴! 敵は私達が相手をするわ!!」

 

「分かっています。ハヤルト様も来るでしょうし、無理はしないでくださいね、リアス」

 

 役割分担をはっきり決めて、そして一誠達は接近してくる敵を迎え撃つ。

 

 どうやら人間らしい。それも、女性だ。

 

 乳語翻訳と洋服崩壊を保有する一誠を相手に、女性だけで挑むとは相当の自信家かそれともただの馬鹿か。

 

 後者の可能性は低い。

 

 何故なら、今の雷撃は正真正銘神や魔王に匹敵する。最上級悪魔クラスですら出せないだろうか力であり、それほどの攻撃を前座で放つという事が、相手の実力を示している。

 

 ゆえに全員が警戒心を強め―

 

「よくも―」

 

 そして、現れた女性の顔を見て、全員が面食らった。

 

「な、ななななな!?」

 

「馬鹿な!?」

 

「そ、そんな……」

 

 狼狽するイリナ。驚愕するゼノヴィア。そして絶句するアーシア。

 

 D×Dに在籍する者達は皆絶句し、しかし一般学生はそれがどういう事か理解できない。

 

 それはそうだろう。彼女は人間世界の報道には映されていない。

 

 立場的にはある意味で重要だ。だが、同時に裏方に近い立場でもある。

 

 サーゼクス・ルシファー達政治に関わる者達とは違い、彼女はあくまで側近なのだ。政治家の顔を知る者も、その政治家秘書となると印象に残らないという場合は多いだろう。それと同じだ。

 

 そして、彼女がヴィクターに就く事だけはあり得ない。

 

 そして冷静に見れば別人だとも分かる。

 

 髪は黒髪だ。目の色も茶色だ。なにより目つきが微妙に釣り目である。体格も若干小柄である。

 

 だがしかし、それを踏まえても有り余るほどに―

 

「お、お姉様のパチモノ!?」

 

 ―リアスですら驚くほどグレイフィアと似ている要素が多すぎた。

 

 そして、その言葉に目の前の女は得意げな表情を浮かべる。

 

「ふふんっ。そうでしょうそうでしょう! なにせ、この天然「グレイフィアポイント」の高さゆえに、私はダーリンのハーレムに真っ先にスカウトされたんだから!」

 

 そして、その自慢で全てが分かった。

 

「あなた、ユーグリットの女ね!?」

 

「うっげぇ!?」

 

 リアスが驚愕し、ロスヴァイセが年頃の女性が断じてあげてはいけない悲鳴を上げる。

 

「ろ、ロスヴァイセちゃんが凄い悲鳴上げた!」

 

「え、なに? ぐれいふぃあぽいんとって、なに?」

 

 外野が混乱するのも無理はない。

 

 だが、この説明はできればしたくない。

 

 しかし、素直に説明する馬鹿がいた。

 

「グレイフィアポイントは、グレイフィア・ルキフグスに似てるかどうかを示すダーリンの女性選出規準だし! 私のポイントはかなり高いんだし!」

 

 えっへんと胸を張るその姿に、訳の分からない者が大半だった。

 

 訳が分かる者の大半は、とりあえず呆れている事を説明しておく。

 

 そしてそれとは別に変態三人衆は張られてプルンと揺れる巨乳に釘付けだった。

 

 そして、ロスヴァイセは心底嫌そうな顔をして、指を突き付ける!

 

「あ、あ、あんなシスコンこじらせた変態のハーレム入りして、何がいいんですか!? ああ、思い出しただけで鳥肌が……っ」

 

 ロスヴァイセが寒気すら感じて震えるが、女性はそれに対して首を傾げた。

 

 何言ってんだお前。目と態度が言いたい事をはっきりと言い切っていた。

 

「え? イケメンで金持っててヴィクターの重鎮じゃん? 他になんか、いる?」

 

 はっきり言い切った。嘘偽りなどまったくない、心からの言葉だった。

 

 凄まじい断言に駒王学園の生徒達も、「え? そんなすごい上玉?」などと考える者が出てきた。

 

「それがお姉さんのそっくりさんになるだけで玉の輿だなんて最高じゃん。整形手術の覚悟もできてんだからね!」

 

 ……この言葉で霧散したが。

 

「と、とりあえず凄い変態なのは分かった」

 

「兵藤達よりこじらせてるわね。あの三人スケベだけど方向性はまともだったわ」

 

「やばい。下には下があって見直すとかマジヤバイ」

 

 ドンビキだった。

 

 そして、その様子に全く気付かず、その女はマジギレの視線を一誠に向ける。

 

 そして、全身からバチバチと稲光を放ちつつイッセーに指を突き付けた。

 

「覚悟しなさい兵藤一誠! ダーリンを殺した報い、玉の輿を台無しにした報い、あんたの命で償ってもらうんだから!!」

 

 そしてその言葉と同時に、稲光の出力が増大化していく。

 

 そしてその瞬間、全員が目を見開いた。

 

 先程の雷撃も莫大だったが、しかし今回の雷撃も桁違いだ。

 

 最上級悪魔クラスですら、一瞬で消し炭になりかねない圧倒的な出力。

 

 既に高位の雷神に匹敵する出力。まず間違いなく一神話勢力のトップクラスの使い手の領域。神すら殺せる絶大な力だった。

 

「さあ、冥途の土産? ……に名前を教えてやるわ!」

 

 そしてとっさに紅の鎧を展開するイッセーに突撃しながら、その女は声を張り上げる。

 

「ヴィクター経済連合、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)運用者である天君が一人! ヤクサ・ライトアボイト!!」

 

「う、うぉぉおおおおおおお!?」

 

 全力で鎧を展開して迎撃しながらしかしイッセーは押し返される。

 

「ダーリンの仇と玉の輿失敗の恨み! 全部まとめてお返ししてあげるんだから!!」

 

 その雷撃が、イッセーを弾き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして上空に弾き飛ばされる一誠の姿に、全員が目を見張る。

 

 紅の鎧を展開した一誠の戦闘能力は、現状駒王学園にいる者の中でも最強格だ。

 

 技量や戦術、相性などを踏まえれば太刀打ちできる者もいるだろう。だが、単純な性能において対抗できる者は、一人としていない。

 

 身体強化系神器と神滅具を併用するリセス・イドアル無き今、駒王学園に紅の鎧の一誠を超える身体能力の持ち主は、一人としていないのだ。

 

 その一誠を、一撃で勝ちあげた猛者。ヤクサ・ライトアボイト。

 

 神滅具である煌天雷獄を移植している時点で、強敵という他ない。開幕速攻の一撃で、一誠を一瞬とは言え麻痺させただけでも、その圧倒的な力は分かっているつもりだった。

 

 だが、あの一誠を不意打ち気味とはいえ女性が凌いでいる。

 

 その事実に、全員が目を見開いた。

 

「……って呆けてる場合じゃなかったっす!!」

 

 と、そこでペト・レスィーブが我に返る。

 

 そして速攻で堕天の祝福受けし魔弾(スナイパー・ザミエル)を構えて、ヤクサに狙いをつける。

 

 ヤクサの戦闘能力が絶大なのは、この攻防ですでに分かっている。

 

 そして、その力が下手に振るわれれば、確実に駒王町が灰燼と化す。

 

 広域殲滅に優れている神滅具である、煌天雷獄。其の本質は広範囲攻撃にこそ真価を発揮する。ペトが敬愛していたリセス・イドアルのように、接近戦で暴れる事が主体の使い手の方が少ないのだ。

 

 神滅具の広範囲攻撃など、放射能汚染がしない核攻撃と形容してかまわない。しかも周囲の被害をあまり考慮しているタイプとも思えない。

 

 ゆえに、遠慮なく叩き付けるべく引き金に乗せた指に力を乗せ―

 

「させると思うか?」

 

「確かにな」

 

「そうですね」

 

 其の三人の声が響き、一斉にペトに攻撃が集中した。

 

 光力を中心とし、荷電粒子が追加された絶大な攻撃の群れ。

 

 一つ一つがペトを一撃で戦闘不能にして余りある絶大な威力。最低レベルで最上級クラスに届く領域に攻撃が、十数発にわたって一斉に放たれる。

 

 狙撃に意識を集中しすぎ、そして良くも悪くも狙撃特化型であるペトでは躱し切れず―

 

「させないわよ、皆!!」

 

 リアスの声と共に、一斉攻撃がそれを相殺する。

 

 消滅の魔力。雷光の龍。聖魔の融合したオーラ。絶大な聖なるオーラ。純粋な光力。仙術によって形成される火車。多種多様な魔法。大量の闇の浸食。

 

 それらの絶大な力が絶大な力を相殺し、そして空中で爆発する。

 

『『『『『『『『『『うわぁああああ!?』』』』』』』』』』

 

『『『『『『『『『『きゃぁああああ!?』』』』』』』』』』

 

 校舎から悲鳴が上がりながら、しかしリアス達は警戒心を消す事ができない。

 

 何故ならば、リアス達の眼前には大量のドーインジャーが姿を現していたからだ。

 

 ドーインジャーの運用技術は、事実上一極化している。

 

 すなわち、ヴィクター経済連合。彼らこそがドーインジャーを生み出し、そしてドーインジャーを研究する最前線。

 

 そう、ハヤルトは先行するヤクサを追いかける者達がいる事を伝えていた。

 

 そして、現時点で紅の鎧を展開するイッセーと渡り合っているヤクサと共に行動するという事は、彼らもまた精鋭であるという証明。

 

 そして何よりそれを証明するのが、目の前に立っている二人の敵。

 

 一人は悪魔の翼を広げた少女だが、彼女はまあいい。

 

 だが、残りの二人は忘れたくても忘れられない。

 

「まあ、二週間経ってないがリベンジしに来たぜ」

 

 イグドラフォース最後の1人、ジェームズ・スミス。

 

 そして、漆黒の十枚の翼を広げるは、ある意味で最も駒王学園と因縁深い男。

 

「ふん。まさかこの校舎で和平が結ばれるとはな。……意趣返しのつもりか、アザゼルめ」

 

 そう言い捨て、舌打ちするのは、この学園を起点に駒王町を滅ぼそうとした男。

 

 神の子を見張る者唯一の戦争再開派。堕天使のタカ派筆頭。そして、聖書にすら記された最強格の堕天使の1人。

 

「久しいな、リアス・グレモリー。いつぞやの借りを返しに来たぞ……っ!」

 

「ごきげんよう。悪いけど、今度こそあなたを滅ぼしてあげるわ、コカビエル……っ!」

 

 リアスの敵意の籠った視線を真っ向から受け止めて、コカビエルは戦意に体を滾らせて、壮絶な笑みを浮かべた。

 




リムヴァンすら倒したイッセーたちにどう対抗するかと思った人たちはいませんか?

残念! リムヴァンが強すぎただけなので、まだまだ対抗できる人は多いのです!!








新たなるヴィクターの精鋭、ヤクサ・ライトアボイト。ポンコツ臭を察した貴方、正解です、阿保の子です。

ちなみに名前の由来はグレイフィアのカップ焼きそば現象の人のアナグラムですwww
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