ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ヴィクター経済連合の新たなる力、その一端をここに


第二部一章 13話

 

 コカビエル。彼は、ヴィクター経済連合の一員である。

 

 ヴィクター経済連合に所属してから日が浅いが、しかし彼はヴィクター経済連合に所属している堕天使達の長である。

 

 なぜなら、彼は最強格の堕天使だからだ。

 

 聖書にすら名を記された堕天使にして、神の子を見張る者(グリゴリ)唯一のタカ派。その求心力は、タカ派が中心となっているヴィクターに就いた堕天使の中では間違いなく高い。

 

 冷戦状態となっている三大勢力の関係性に不満をいだき、戦争を再開させる為に行動を開始。教会からエクスカリバーを奪い取り、それを利用して魔王の妹であるリアスとソーナごと駒王町を吹き飛ばそうとする暴挙を起しかけた。

 

 結果的に三大勢力が共闘して戦闘不能にまで追い込み、そこから開かれた駒王会談にて、三大勢力の和平は結ばれた。

 

 あまりにも皮肉な結果となってしまったコカビエルの行動。そして地方都市一つを手始めに吹き飛ばそうとした暴挙もあり、コカビエルはコキュートスで永久冷凍系に処される事となる。

 

 しかし、そのコカビエルは解放された。

 

 トライヘキサによる邪龍戦役最終決戦。その戦場の一つである、コキュートスでの戦い。

 

 この戦いにおいて、ヴィクター経済連合は、冷凍刑に処された者達の解放を行った。

 

 そのうちの一人がコカビエルである。

 

 彼が解放された意義はとても大きい。

 

 純粋な堕天使の中では十指に入るその圧倒的な力。聖書に名を記されたほどのネームバリュー。そして、ヴィクター経済連合に所属する堕天使達にとっては最高レベルのカリスマ性。

 

 それら全てがヴィクター経済連合にとって、垂涎物であった。

 

「くっくっく。まさか俺が起こした事を逆手に取って和平を結ぶとはな。そこまで戦争がしたくなかったとは、流石に見抜けなかったぞ」

 

「おあいにく様。おかげで私はイリナやピスのような友達ができたわ。礼を言っておくべきかしら?」

 

 自虐的な笑い声を出すコカビエルに、リアスは皮肉を持って返す。

 

 同情する義理も理由もない。結果的に大規模な恩恵を得たとはいえ、コカビエルは自分の担当区域を丸ごと滅ぼそうとした危険人物だ。

 

 むしろ、ここで再会した以上滅ぼす気で行くべきでもある。

 

 そしてリアスと睨み合うコカビエルをみて、ジェームズはため息をついた。

 

「……リーダーの指示を忘れないでくれ。セニカ、お前は戦場の空気に慣れるだけでいい」

 

「は、はい! 分かっています!」

 

 後ろの少女にそう言いながら、ジェームズはドーインジャーの結晶体を投げて展開。更に、己の神器である流星破装(メテオ・バスター)を具現化する。

 

 そして、ジェームズは匙に視線を向ける。

 

「リベンジしたいところだが、それは後だ。ここで敵を増やす気はない」

 

「言ってくれるじゃねえか。シトリー眷属(俺たち)だけならともかく、ここにはグレモリー眷属だっているんだぜ?」

 

 匙はそう吠えるが、ジェームズは静かに笑う。

 

「まあ、今回は勝つ気はないんだよ。本当ならヤクサを連れ戻せればそれだけで良かったんだがな」

 

「だが、挨拶ぐらいはしておかないと格好もつくまい?」

 

 にやりと笑いながら、コカビエルがジェームズの言葉を引き継いで構える。

 

 それに対して、グレモリー眷属は警戒を怠らないながらも、しかし同時にどこかで喜びすら感じていた。

 

 ……結局、あの戦いでリアス達はあまり役に立てなかった。

 

 コカビエルとの戦いで主力だったのは、井草とリセス。倒したのはヴァーリだ。

 

 駒王町を担当しているリアス・グレモリー眷属は、隙を作るなどの貢献はしたが、主力だったとはいいがたい。

 

 ある意味で、これは意趣返しだ。

 

 歴代最優にして最強の赤龍帝。兵藤一誠。

 

 その仲間である自分達が、足を引っ張るだけの存在ではないと証明する。

 

 その決意を決める為にも、リアス達はここで負けるわけにはいかず―

 

「ああ、だからこそいい機会だ。感謝するぞ、ユーヒティール」

 

 ―ゆえに、リアス達は読み間違えた。

 

「……この新たな力で、俺は俺の失態を(そそ)ぐとしよう!!」

 

 コカビエルが、ただそのままでリアス達に再戦を挑んだわけではない。

 

 彼もまた、ヴィクター経済連合の恩恵を受けている存在になったのだという事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 し、痺れる!? 感電する!? ビリビリ来る!?

 

 俺は雷撃を躱す為に、急いで離れるしかなかった。

 

 乳語翻訳を使うことを忘れてたけど、それよりもなによりも距離を取らないとまずい!!

 

 だって―

 

「逃げんなダーリンの仇ぃいいいいいいいい!!!」

 

 ―このヤクサってやつ、超強いよ!!

 

 あ、また雷撃がすごい勢いでぶっ放された。

 

「く、クリムゾンブラスター!!」

 

 念のためチャージしてたんで、クリムゾンブラスターでそれを相殺する。

 

 その瞬間、また同じぐらいの威力の雷撃がぶっ放された。

 

 うぉおおおお!? あぶねえ当たる!?

 

 慌てて回避するけど、すぐにヤクサはこっちに突っ込んできた。

 

 本当なら洋服崩壊(ドレス・ブレイク)で裸にしたいところだけど、それもできない。

 

 だって―

 

「当たれこの野郎!!」

 

 ―全身が雷撃で包まれてるからさ!!

 

 いや、ホントにやばいんだって。これやばいんだって。

 

 だってちょっと触れただけで失神しかけたもん! バラキエルさんや朱乃さんの雷光より威力でかいよ! ムジョルニア並みだよ!!

 

 それを全身に纏って接近してくるだけで脅威だって! 触れる前に俺が死ぬ!!

 

 しかも垂れ流してる感じだから、(アストラル)バージョンでも無力化できる自信がない。試す前に失神するから無理だけど。

 

 飛竜を使って試してみたけど、近づいただけで消し炭になった。あれ、結構強力なんだけどなぁ。

 

 ど、どうするドライグ!?

 

『落ち着け相棒。とりあえず乳語翻訳(パイリンガル)で相手の胸の内を知って戦術を把握しろ』

 

 そ、それもそうだね!

 

「広がれ、俺の夢空間!」

 

 全力で俺は乳語翻訳の空間を展開。

 

 よっしゃ! これでヤクサの胸の内は俺に正直に答えてくれる!

 

 さあ、覚悟しな!

 

「ねえ、ヤクサのおっぱいさん! 今何を考えているのかな?」

 

『「アンタを感電死させることだけよ!!」』

 

 ……ん、んん~?

 

 ダブって聞こえたおっぱいの声に、俺は嫌な予感を覚えた。

 

 なので、俺は別の質問をする。

 

「じゃ、じゃあどうやって?」

 

『「感電させてに決まってるじゃない!! 馬鹿なの!?」』

 

 …………うん。

 

「ドライグ。アイツ馬鹿すぎて乳語翻訳の意味がない」

 

『そうだな。提案した俺が悪かった』

 

 ドライグもお手上げだった。

 

 だってそうだよ!! 胸の内全部自分で言ってるよ!!

 

 乳語翻訳の意味がねえ! 隠す気ないじゃん!!

 

 っていうか、戦術のせの字もない。っていうかすごい単純なことしかかんがえてない。

 

 だめだ。アイツグレイフィアさんと外見は似通っていても、中身は全く似通ってない。残念なロスヴァイセさんのほうが、はるかにグレイフィアさんに近いよ。

 

 馬鹿すぎる!

 

「お前学校で何習ってきたんだよ!?」

 

『「行ったことないけどそれが!?」』

 

 なんかごめんなさい!!

 

 あ、この子あれだ。ヒロイと同じタイプだ。

 

 孤児とかそんな感じっぽい!! まともな教育を受けてないタイプだ!!

 

 なんかすごい悪い事を聞いた気分!!

 

 いや、そんなことを気にしている場合じゃない!!

 

 こいつ、マジで強い。

 

 テクニックとかはお世辞にもあるとは思えないけど、出力がでかすぎる。

 

 煌天雷獄使いの天君とか名乗ってたけど、雷撃しか使ってこないのを除けばシャレにならない。

 

 出力が桁違いだ。単純なパワーならデュリオはリセスさんを超えてるぞ、コレ。

 

「他の属性攻撃はしないのかよ!!」

 

「アンタ馬鹿? 一点特化で鍛えた方が出力高くできるでしょうが!!」

 

 うん、馬鹿だ!

 

 俺より凄いパワー馬鹿だ!! これ、神器の相性次第ではかなり有利に立ち回れるんじゃね? 対雷撃の聖魔剣とか用意できる木場なら、俺より太刀打ちできるんじゃないか?

 

 いや、でもこのパワーは厄介だ。まともに撃ち合ったら、それこそ神クラスでもヤバイ。

 

 神滅具の名に恥じない威力だな。これは、厄介だぞ……!

 

「ああもう! しぶとい! だったら禁手(バランス・ブレイカー)で叩き潰すし!!」

 

 しかもまだ通常状態だったのかよ!! ホントに雷撃だけならデュリオやリセスさんを超えてるな、オイ!!

 

 そんな事を思ったのがいけなかった。具体的には、禁手化が発動し始めちゃった。

 

禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

 その言葉と共に、雷撃がヤクサの手の中で圧縮される。

 

 ……あ、こりゃ分かり易いタイプだ。

 

 雷撃一点特化で鍛え上げた、煌天雷獄の禁手。それに恥じることない、雷撃一点特化の亜種禁手っぽいぞ、コレ。

 

 それも、性格的にヒロイみたいなテクニカルな運用をするタイプじゃない。もっとシンプルなタイプだ。

 

 これは、能力を発展させるとかそういう形じゃなくて―

 

超絶雷霆鎚(ケラウノス・ミョルニール)!!」

 

 その言葉と共に具現化したのは、ハンマーと槍が一体化したようなポールウェポン。

 

 うん。名前からしてあれだよね。

 

 めちゃくちゃ攻撃力有りそう。

 

『ゼウスの雷霆とトールの雷鎚だからな。恐ろしいほどに多様性を投げ捨ててるな、オイ』

 

 ほら、ドライグも呆れ顔だし。

 

 そしてその瞬間、ヤクサはこっちに雷霆鎚を振る被り―

 

「ダーリンの仇! 死ねぇえええええええ!!!」

 

 さっきの比じゃない雷撃がぶっ放されたよぉおおおおおおおおお!?

 




アホの子、ヤクサ・ライトアボイト。しかし阿保ゆえに乳語翻訳があまり効かないという利点があります。

そして彼女は雷撃特化型仕様。やろうと思えばほかのこともできマシが、雷撃に関しては桁違いに強力という、シンプルイズベストのパワータイプ。

そして禁手もさらに特化したもの。それだけの強化ですが、それゆえに強大という極めて分かりやすい亜種禁手です。
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