ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
さあ、新主人公のその力が明らかになります!!
「「
その言葉と共に、彼らは本格的に第一次世界大戦にはせ参じる。
魔王末裔、ハヤルト・アスモデウス。
そして、その眷属筆頭戦力、サラト・アスモダイ。
この二人を中心とし、のちのアザゼル杯において魔極の蠍チームの中核となる、ハヤルト・アスモデウス眷属。
その華々しい真なるデビュー戦が、今ここで行われる事となった。
「目覚めよ、
その言葉と共に変化するのは、ハヤルト・アスモデウスにあらず。
変化したのは、同乗する兵藤一誠。
その全身を禍々しいオーラが包み、そして鎧が変色する。
有機的な外見の、黒と赤が混ざる鎧。
その姿を見て、ヤクサが目を見開いた。
「あれは!? 噂の
驚愕するのは当然だろう。
通称龍神化は、あまりに大きな反動故に、使用しない事を前提にせざるを得ない。
一回目の使用では多臓器不全を引き起こし、そこから持ち直した後も後遺症が残った。
二回目の仕様では血を吐いて倒れ、十本以上の聖槍の加護や、オーフィスの力添えがあって何とか回復したのだ。
それをここで使用するなど、自殺行為。
だがしかし、発動させたイッセーはぽかんとしていた。
「あれ? 負担が……ない?」
どういう事かと混乱する一斉に、ドライグとハヤルトが告げる。
『いや、これは似て異なる形態だ。龍神化したのではなく、今の俺達が疑似的に同等の状態に移行したというべきか?』
「うむ! この
その言葉に、一誠もヤクサも目を見開く。
確かに、言われてみればできるのだ。
英雄派が開発に成功した、神器のドーピング剤である
その原材料は旧魔王血族の血液。
そして、ハヤルト・アスモデウスは正真正銘初代アスモデウスの血を継いだ血族。
その血族が使用する人工神器の究極系として、これは確かに納得できる能力だった。
そして、それをお互いが理解して―
「だからってぇ!!」
「いよっしゃぁ!!」
二人は同時に激突する。
莫大なオーラと雷撃がぶつかり合い、空を包み込む。
しかし、その激突は一誠が押され気味ではあったが、ほぼ拮抗していた。
「この! 流石はダーリンを倒しただけの事はあるわね!!」
「まあな! 偽物野郎に負ける気はないって!!」
真っ向勝負ができている事に、イッセーは笑みを浮かべる。
そして、至近距離からの雷撃をオーラで受け止めることができたことで、イッセーは勝機を見出した。
そして幸いな事に、取っ組み合いになった事で一誠はヤクサに触れる事に成功している。
この好機、逃がすわけには、行かないな。
思わず川柳を作りながら、一誠は吠えた。
「行くぜ必殺!
そして、そのオーラの奔流がヤクサの衣服を細切れに引き裂いた。
あらわになる美しき裸体。
ユーグリッドが高評価しただけの事はあり、グレイフィアに近く、しかし僅かに違うプロモーション。
断言しよう。芸術品だった。
「ありがとうございま―」
「みぎゃぁあああああああああ!?」
その直後、全力の悲鳴と共に振るわれた
「
サラトの身に纏われるのは、機械的な印象を持ちながらも、騎士を思わせる青い鎧。
右腕には巨大なフィンが展開され、左腕には指を伸ばした手を思わせる楯が装着されている。
ペト・レスィーヴを守るかのように空に浮かぶサラトを見て、ジェームズは警戒の度合いを高める。
断言しよう。目の前の敵は強大だ。
ハヤルト・アスモデウスはヴィクターでもそれなりの知名度を持っていた。
年齢的にはクルゼレイと同年代でありながら、眠りの病に発症して、目覚めたのはリムヴァンが複合禁手で治療を行ってからの為、事実上十代後半程度。
虚弱体質ゆえに魔王クラスの戦闘能力を発揮する事はあり得ないとされ、実際家系の魔力体質を発現する事も出来なかった事から、クルゼレイからは見放されている。
だがしかし、彼は腐らず己を目覚めさせた。
ハヤルト・アスモデウスは技術屋として優れた才能を持っていたのだ。
独自のアプローチで神器継承者の実験にも協力を行い、複合禁手や神器移植に関しても非常に有効となる論文を作った事もある。そういう意味ではヴィクターにとっても貢献している。
しかし元の性格がヴィクターと相容れなかったのか、結局は亡命すらして現政権に逃げ込んだ。
おそらくは戦術歩行機である防人一式も彼が関わっているだろう。かろうじて回収に成功した残骸を見た技術者がそう言っていたと聞く。なんでも「技術者としてのクセが、彼と似通っている」とか言っていた。
そのハヤルトが、亡命時に誘いをかけて連れ込んだ、サラト・アスモダイ。
彼の厄介な特性を知っているからこそ、ジェームズは警戒度を高めるしかない。
「速攻で仕掛ける。発動して見せろ」
言うが早いか、ジェームズは聖槍化させた流星滅装で攻撃を仕掛ける。
普通にあてればほぼ確実に勝てる。それぐらいに桁違いの威力である。
ゆえに、対抗するのならサラトはジェームズの想像通りの方法を取るしかない。
そいて、サラトはそうした。
即座に右腕を突き出すと、それと同時に右腕のフィンからオーラが放出される。
それらは右手の平に収束する。そして、オーラで構成されたシンプルな槍を形成した。
「
いきなり想定外だった。
まさかこれが来るとは思っていなかった。いや、理論上はあるとは言われていたが、しかし本当になる可能性など砂漠の中にある砂金一粒程度だろう。
それが、よりにもよって敵であるサラト・アスモダイだとは―
「ついてなさすぎだろ、ヴィクターは!」
「だろうね!」
聖槍同士がぶつかり合い、衝撃波を放つ。
むろん、有利なのはジェームズの方だ。
聖槍同士の出力なら互角。加えて、単純火力なら神滅具にも匹敵する、流星滅装に上乗せしている。更にイグドラヨルムの性能があるのだ。
だが、それはあくまで今までの話。
ジェームズは知っている。目の前の男は、自分達の試作型にして先輩だと。
そう、それゆえに、持っているのだ。
「
その言葉と同時に、左腕のシールドが展開する。
先端部が五つに分かれ、巨大な手となった。
そして、その手が莫大な雷撃を放つ。
「まさか、
勢いよく弾き飛ばされながら、ジェームズは舌打ちをする。
サラト・アスモダイ。神器移植で煌天雷獄を移植した物であり、本来ならば天君の一人となるはずだったもの。
それと同時に神器継承者実験も行うなど、強気の姿勢が災いして、記憶喪失になった存在。
神器継承者は継承可能になったとしても、必ず神器が継承できるわけではない。ゆえに神器を保有する者が死亡するのを待つ必要もある。本来の目的はリムヴァンが不慮の事態で死亡した場合における、戦力低下を下げる為の賭けじみた実験だった。
それが、よりにもよって下地作りの為の試作型に、所有者が全員死亡したはずの聖槍が与えられる事になるとは―
「まったくもって、ついてない!!」
「だろうね!!」
放たれる雷撃を、ジェームズは因果律を操る事で強制的に的外れな方向に飛ばす。
だが、いかに神滅具とは言え相手も神滅具。
究極の羯磨といえど、上位神滅具を相手に干渉できるレベルはそこまで高いわけではなく、黄昏の聖槍はほぼ完全に攻撃が通る。
それを威力及び強化されている身体能力でしのぎ切るが、しかし状況は悪くなる。
理由は極めて単純明快。
青い機械鎧を纏ったサラトの身体能力は、明らかにイグドラヨルムを凌いでいた。
「……どういう仕組みだ!」
「言う気はないよ!!」
その言葉と共にお互いの薙ぎ払いが交錯し―
「「……チィ!」」
双方ともに、外装に大きな裂傷を刻み込んだ。
とは言え、武器の威力差から傷が深いのはサラトの方ではある。
加えて悪魔であるサラトは、聖槍のダメージがさらに倍増する。
その辺りを考えれば、まともに戦えばこちらが有利なのだが―
(……なにか、嫌な予感がする)
そう、嫌な予感をジェームズは覚えていた。
単純明快に言おう。これは、あれだ。アガレスと戦った時に感じたあれに近い。
戦闘中に馬鹿をやらかしたアガレスの娘。あれに近いことが起ころうとしている。
そして、実際に起こった。
黄昏の聖槍と煌天雷獄の合わせ技。それをなした神器移植者にして神器継承者。
サラト・アスモダイの戦闘能力は、ヒロイとリセスのあとの主人公ということでこうなりました。とはいえ、これだけのチートをノンリスクでどうにかできるほど、世の中は甘くないのですが、それはまた後程。ただ、そのための人工神器である神殺の双腕だといっておきます。
そして、神器を業魔化させるハヤルト・アスモデウス。業魔化は12巻でしか見れなかったのが残念なので、これでどんどん出していこうと思います。それぐらいいる敵ですし。