ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そんなこんなで、主人公の告白も終了。

此処からはほとんど事後処理だったりします。


第二部一章 18

 振るわれるのは、光の剣。

 

 それがコカビエルを狙う聖槍を受け止めると同時に、プリスに向かって大量の魔力砲撃が放たれる。

 

 一発一発の威力が、並の上級悪魔の全力に届く。そして、その数は二桁にも及ぶ。

 

 最上級悪魔クラスでなければ出せぬ領域の攻撃を、その少女は成し遂げて見せた。

 

 それを回避しきったプリスもまた、非常に優れた戦闘能力を持っているだろう。

 

 性能(ステータス)で言うならば上級悪魔の領域に到達しているだけだろう。プリス・イドアルという少女は、そこまで卓越した悪魔としての身体能力を保有していない。

 

 だが、技量(テクニック)で言うならば、彼女は最上級とも戦える。それだけの戦闘勘を保有しているのが、プリス・イドアル。上級の血統を多く保有する、サイラオーグ・バアル眷属とまともに渡り合ったのは伊達ではない。

 

 瞬間的に蜃気楼を生み出して狙いをそらさせながら、素早く安全圏へと退避。一呼吸で乱れた心を落ち着けながら、再びの戦闘態勢を取り直す。

 

 そして攻撃を防がれたシシーリアも素早く下がり、聖槍を構え直す。

 

「そういえばもう一人いたね!」

 

「……上級悪魔の血統ですか」

 

 警戒しながら仕掛けるタイミングを計るプリスとシシーリアに、その少女は息を呑んだ。

 

「ま、負けませんからね!!」

 

 そう言いながら魔力を展開しつつ光の剣を構える少女だが、その動きは何処かぎこちない。

 

 どうやら、戦闘経験はあまり高くないようだ。

 

 しいて言うならプリスの逆。技量は低いが性能で補っているタイプだろう。加えて経験も少ない新米だと思われる。精神面でも未熟である事が分かってしまう。

 

 しかし、裏を返せば経験を積めば化ける可能性がある。それほどの脅威でもあった。

 

 ましてやコカビエル達と共に現れた時点で、その素質はただものではない。

 

 神滅具か複合禁手、そのどちらかを保有している可能性は非常に大きかった。

 

「先制。さっさとここは潰しておくか!!」

 

「「了解!」」

 

 状況を把握した福津が突貫、彼を盾にするようにシシーリアとプリスが並んで突貫する。

 

 戦術的には若干不都合だが、しかし彼らの戦闘スタイルを考慮すればこれが最も好都合だ。

 

 桁違いに頑健で更に桁を一つ上乗せできるだけ死ににくい福津を盾にして、攻撃力でしのぐメンバーが接近する。

 

 ずば抜けた耐久力を持っている福津というチームメンバーを利用するからこそできる戦法だ。

 

「な、なな舐めないでください!!」

 

 そして、少女は戦い方を誤る。

 

 回り込むのでも、包囲するのでもなく、正面から不屈に攻撃を集中させるという、最悪の選択しをとっさに取ってしまった。

 

 あらゆる勝負ごとにおいて、人道を完全に無視したうえでの最適な選択とは「相手がしてほしくない事をする」事である。

 

 真逆である「相手が最もしてほしい展開」を取った時点で、少女の敗北は決定的で―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着け、こういう時は自分が移動するのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―それをどうにかするのは、新たなる参入者に他ならない。

 

 あらゆる属性を持った曲射砲撃が、三人を包み込むように発射される。

 

 それに全員が勘付き迎撃を行うが、砲撃は止まらない。

 

 あらゆる迎撃手段を、それに最も相性のいい属性となる事で打ち砕きつつ、その砲撃は八割が襲い掛かる。

 

「させません!」

 

 その瞬間、アーシアが禁手を発動させなければ無効化する事はできなかっただろう。

 

 絶大なる回復の力による、あらゆる攻撃も事実上の無効化。それこそが、アーシア・アルジェントが至らせた聖母の微笑(トワイライトヒーリング)の亜種禁手、聖龍姫が抱く慈愛の園(トワイライト・セイント・アフェクション)

 

 神器無効化能力(セイクリッド・ギア・キャンセラー)を持つリゼヴィムの攻撃すら防ぎ切った、絶大な防御の力がその砲撃を完全に無効化する。

 

 そして、その光景を見た新たなる乱入者は、ため息をついた。

 

「たかが転生悪魔一人の防御も突破できないか。是ではオリュンポスを滅ぼせるのは何時になる事やら」

 

 そうぼやくのは、人間の青年を思わせる、一人の男性。

 

 だがしかし、全身から神々のオーラを立ち上らせる其の在り方は、間違いなく強者の一人だろう。

 

「……ここに来て、神格ですって!?」

 

 リアスが警戒するのも無理はない。

 

 その男が纏うオーラは、主神クラスにも匹敵する。

 

 その上、彼が放った砲撃の正体は複合禁手だ。

 

 万象の殲滅砲兵(バスター・オブ・マテリアル)。遍く属性を網羅し、砲撃そのものが触れた物体を最も効率よく破壊する属性へと変化する、万物殺しの砲撃型複合禁手。

 

 大多数の神々を相手に渡り合った、リムヴァン・フェニックスの戦闘特化型複合禁手。

 

 それすらも継承されているという事実。そして、それを継承した者が神だという緊急事態に、リアスは歯噛みする。

 

 しかし、それに対して最も不快感を見せたのは、その青年そのものだった。

 

「神の側面がある、確かにそれは否定しない」

 

 そう前置きをする青年は、しかし明らかにそれに対して不満をあらわにする。

 

 半ば殺意にすら届いたその嫌悪。それだけで、彼が神々というものを嫌っている事が分かる。

 

「だが、私を神と呼ぶな。私はアルケイデスの盟主にして、神器継承者部隊「滅継者」のリーダー、ユーヒティールだ」

 

 そう言い放った青年は、少女を庇うようにしながら、コカビエルとジェームズに視線を向ける。

 

「そろそろ潮時だ。……帰るぞ」

 

「ふむ、まあいい戦いができたからな、いいだろう」

 

「了解した。次は禁手になってからだな」

 

 そう言う二人の返答を聞いてから、ユーヒティールは鋭い視線をヤクサに向ける。

 

 そして、ヤクサはその視線にビクリと肩を震わせる。

 

 明らかに、それは苦手にしている人物に怯える者のそれだった。

 

 あの兵藤一誠すら圧倒したヤクサ・ライトアボイト。煌天雷獄を移植した、天君が一角は伊達ではない。

 

 その彼女が、明かに苦手意識を抱いている。

 

 それだけでも、ユーヒティールがただものではないという証明だった。

 

「我儘は終わりだ。これ以上暴走するなら極刑もあると思え。……帰るぞ」

 

「わ、分かった! 分かりました!! だから許してほしいんだけど!?」

 

 明かに狼狽するヤクサにため息を突きながら、ユーヒティールは視線をかばう少女に向ける。

 

「まあ、空気は感じたようで何より。とっさに動けたのも評価しよう。……あとは手札の取捨選択を鍛えるといい」

 

「は、はい! 不肖セニカ・ベ―」

 

「不用意に情報を敵にしゃべるな」

 

 名前を言いかけたセニカという少女に、ユーヒティールのため息交じりの叱責が飛ぶ。

 

 そして、その言葉と共に霧がヴィクターの者達を包み込む。

 

 その正体を、リアス達は嫌というほど知っている。

 

 上位神滅具が一角、絶霧(ディメンション・ロスト)。神の攻撃すら防ぐ事ができる結界系神器の最高峰にして、神々すら強制的に転移させる事も理論上可能な、最強の転移能力の一角。

 

 その絶無すら継承した者がいるという事実の証明に、リアスは歯噛みする。

 

「……覚えておくわ。ヴィクター経済連合は、リムヴァン・フェニックス亡き今も、私達ピースキング和平連盟の大敵だとね……!」

 

「ああ、よく覚えておくといい」

 

 それに対して強気の姿勢を見せながら、ユーヒティールは告げる。

 

「我らヴィクター経済連合。いまだその戦力は貴様らの仇敵に相応しいとな。油断をすれば寝首を掻かれると知るがいい」

 

 その言葉と共に、五人は全員が霧に包まれる。

 

 そして、その霧が消え去ると五人の姿は見えなくなっていた。

 

 状況的に考えれば、逃げたと考えるべきだろう。

 

 実際問題、この駒王町は駐屯地がすぐ近くにある日本の軍事的な要所の一つだ。

 

 そして、駒王駐屯地は日本の対異形の最重要拠点。おそらく日本の軍事的施設でも最精鋭だ。

 

 そんな施設の目と鼻の先で暴れるなど、基本的には正気の沙汰ではない。それは事実だ。

 

 だが、それをなしえるだけの力が彼らにはあった。

 

 煌天雷獄を移植した、天君。そして、リムヴァン・フェニックスの力を継承した滅継者。

 

 問答無用で強力無比。更に、滅継者のメンバーには、歴戦の実力者すら存在する。初見であった者達も、十分な素質を持った者揃いだ。

 

 断言できる。この戦いは、あくまでガス抜き代わりの様子見だ。

 

 我慢の限界に達したヤクサのストレスをある程度発散させ、そのついでに現段階のグレモリー眷属の実力を測りに来た。そんな程度なのだろう。

 

 その程度でにすら精鋭中の精鋭を投入する事に呆れるべきか、それともそれだけの実力があると判断されている事を誇ればいいか。

 

 リアスはそう考えながら、静かに目を伏せる。

 

「アザゼル、お兄様……」

 

 つい先日、自分達に後を託し、千年を超えるだろう永い戦いへと向かった者達。

 

 彼らの期待に応えるのは、並大抵の難易度ではないようだ。

 

 これからの戦いもまた、熾烈な激戦となる。その予感は確信も同様だと、リアスは覚悟を決めざるを得なかった。

 




リムヴァンの力を受け継いだ、ヴィクターの精鋭集団、滅継者。

彼らも含め、オリジナルや魔改造などの強敵がヴィクターにはごろごろいます。イッセーたちの苦難は続く。









次の話でエピローグです。そして、サラトに試練が襲い掛かります!
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