ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
ミラリル姉は、軽く額に手を当てると、はっきり言いきった。
「単刀直入に言います。リアス様達には、そこに観光に行ってほしいのです」
「観光? 護衛ではなくて?」
リアス様が首を傾げるけど、ミラリル姉は首を振る。
「総理の護衛は本来
あ、そういえばそういう事になってた。
だけど、そのうえでミラリル姉は告げる。
「ただし、懸念材料が多いので、我々第一異人部隊は特別に与えられた休暇の名目でフードイベントの前売り券を貰っているのです」
そして、ミラリル姉は一つの箱を取り出すと、それを開ける。
……あの、前売り券の数が二十枚ぐらいあるんだけど。
「見てのように、手違いで大量に手に入れてしまいましたので、ハヤルト様の提案で、グレモリー眷属の皆さんにも手伝ってもらおうという形です」
「謝罪。俺達の主は、フリーダムな時はかなりフリーダム何だ」
速攻で福津兄が謝った。
「あの、それよりも懸念材料というのは?」
と、深く聞かない事にした木場さんが、話を先に進めてくる。
それに感謝したのか、目頭に光るものを浮かべながら、福津兄はうなづく。
「警戒。今中国は、帝釈天の仕込みか危険因子が多いんだよ」
「その通りだ。なんというか、帝釈天は自分の部下達を実戦で鍛え上げようとしている可能性がある」
そう繋げながら、ミラリル姉は更に映像を変える。
そこには、中国全土に赤い点がぽんぽんと浮かび上がってきた。
中には一つの県ぐらいの範囲が赤く染まっているところもある。
「現在、中国は多種多様なテロリストや犯罪組織が潜入して、中国軍及び須弥山と戦闘が頻発している激戦区となっている」
「確か、新秦っていう数万人規模のテロ組織が出てきてるんだっけ?」
「三情と敵対している貞淑委員会。大規模麻薬売買組織薬網などのテロリストや犯罪組織も中国に拠点を置いていると、この駄馬の耳にも入っています」
プリス姉やシシーリア姉がそう話すのも当然だ。
公安や国際警察関係からの情報提供で、かなりの犯罪者やテロ組織が中国に侵入していると聞いてる。
特に新秦は厄介だ。既に小国の軍事組織と同等レベルの戦力を確保しているとか言うし、真面目な話紛争レベルの脅威になってきている。
「……まさかと思うけど、帝釈天が手引きしたとかいうんじゃないでしょうね?」
「そこ迄はしていないでしょう。ただし、意図的に警戒網に穴を開けて侵入しやすくしていると、政府は考えています」
リアス様にミラリル姉が答える。
うん、これに関しては間違いない。
米国などのタレコミもあって、ほぼ確定。
中国は、もの凄く武闘派の犯罪者達が侵入しやすい環境になってる。入るだけなら難易度のレベルが一桁下がっているぐらいだよ。
そして、その原因は須弥山にあると、諜報機関関係は判断している。
「これは首脳陣の推測だが、帝釈天は中国政府に働きかけ、実戦で人員を鍛え上げるべく、比較的邪魔をされにくい国内で敵を数多く用意していると思われる」
ミラリル姉の言葉に、全員がげんなりした。
だけど、問題は更にある。
「それと、今回中国内に過激派クジラ保護団体「オーシャンズK9」が潜伏しているとの事です」
シシーリア姉がそう補足する。
「あの、それってシーシェパー〇のお仲間かなんかですか?」
イッセーさんがそう言うと、静かにシシーリア姉が首を振った。
「同類どころの話ではありません」
「そうだな。オーシャンズK9が文字通り海の軍用犬だとするならば、あれは愛玩犬だ」
ミラリル姉がそうはっきり言う。
「なにせ、奴らとは既に異能自衛官が何度もやり合っている。農林水産省の幹部の暗殺を十回は実行し、クジラ料理関係の人物にも爆破テロを敢行した武闘派中の武闘派だ。……総理がクジラを食べたと告げたその日のうちに戦闘部隊が暗殺を仕掛けてきた事もある」
……冷静に聞くとドンビキだよね。
どんだけクジラ好きなの? クジラの何が彼らの心に響くの?
宗教的に神聖視されている動物を食べられたからって、熱心な宗教家もテロは起こさないよ。君ら動物と人の区別はつけようよ。
割とドンビキのオカルト研究部の人達を見渡して、ミラリル姉は更にため息をつく。
「……とどめに、帝釈天殿は日本の鯨料理店と提携して、三店舗ほど参加させている」
「断言。……間違いなくオーシャンズK9はこのイベントで暴れに来るだろう」
福津兄も心底からため息をつく。
うん、あの武闘派クジラ保護団体は絶対に暴れるよね。
実際問題、分かりきっている爆弾なんだけど……。
「因みに、総理からは対処でこう言われてるんだよね。「ちょっといい加減うるさいから、出てきたら投降してくる前にぶち殺すノリで行け」」
プリス姉がそう言って、割とドンビキされてる。
でもまあ、気持ちは分かるかもね。
……いい加減、ガツンと叩きのめした方が、後が楽でいいような気がしてきた。
日本は一気に過激路線というか、武闘派路線に行ってるからね。それがどれぐらいかっていう見本は欲しい。ついでに言うと、いい加減その手の小物を相手するのも面倒くさいだろうし。
派手に見せしめを用意できるのなら、やってしまおうって感じかな、コレ。
「まあ、そういう事なので、お願いしたい。……何もなければ観光で終了。誰かいてもD×Dの代表格がいるとなれば脅しには十分。それでも出てくるのなら叩き潰し、迷惑料は日本政府がきちんと払う」
そこまで言い切ってから、ミラリル姉は頭を下げた。
「この危険度の高い観光旅行、ぜひ参加してほしい」
「で、どうなると読んでるんですかねぇ、帝釈天様?」
「HAHAHA。絶対暴れる連中が出るだろうさ。賭けてもいいぜ?」
「外れても当たっても何かほしぃんですがね」
「そんなに怒んなよ総理さんよぉ。提携した店舗にはきちんと一つ一つに一個分隊の護衛を付けるぜ? それも、
「まあいいんだがよ。ぶっちゃけこの面倒くさい時期に食文化で殺しするような連中、潰せる機会はあるに越した事はねぇしな。……ただ、正気か?」
「おうよ。なにせうちはそっちと違って実戦経験にあまり恵まれてないからな。ここらで咬ませ犬ぐらい狩っとかねえと腑抜けちまうぜ」
「神様ってのは人間を振り回しすぎだぜ。中国の政府の連中には同情するねぇ」
「いいじゃねえかよ。それぐらいしねえと今後の情勢乗り切れねえだろうしな。愛の鞭ってやつだ」
「………」
「そう睨むなよ。そっちも虎の子を護衛につけるんだろ? こっちも秘蔵っ子連中を出してやるからな?」
「へいへい、ま、お互いに顔見世させてるんだから当然か」
「無論です。我らがいる限り、テロリスト達は一網打尽にして見せますとも」
「……罪人にも意地があります。総理の身の安全は死守しますとも」
一方そのころ―
「なあファンネルの旦那? 中国に行くってマジかよ?」
「ああ。ちょっといい男を探しに」
「いや、そういう冗談は良いKARA! そんな事より、俺っちも参加していいかい? 答えはYESかOKで」
「別にいいぞ? ただ、条件がある」
「……え? まさか俺のお尻狙ってるの? やだ、やめてよ! 挿すのは俺がいいの!! ……剣だけどね!!」
「本気の殺意を見せないでくれ。俺はいつでも君のアナ〇を狙ってるんだから」
「いや、マジぶっ殺していい? っていうか、なんで俺と双璧をなす獣王がホモなの? 最悪なんですけど」
「決めているのさ。俺は、先祖の失敗を繰り返さないって」
「それ絶対方向性間違いだぜ、旦那」
帝釈天も大尽総理も知る由もなかった。
よりにもよって、ヴィクター経済連合までもが食の祭典に乗り込もうなどと考えているなど、流石に想定外であったのだ。
だが、それは決して悪い事ばかりではない。
この騒乱によって、須弥山は大きな宣伝をする事ができる。
のちにアザゼル杯で猛威を振るう、人間主体の最高レベルのチーム。須弥山が誇る最高クラスの尖兵集団。高みを、極みを、先を目指す者たちを取り込んだ、純粋な人類における最強クラスの精鋭部隊。D×Dの準構成員となる規格外の若手達。
アザゼル杯登録チーム名、天帝先陣。その華々しいデビュー戦に、この上ない咬ませ犬が舞い降りてくれるのだから。
数が多いことをいいことに、実戦主体で鍛え上げようという帝釈天。餌を用意してテロリストを釣りに来ました。
しかしヴィクターもちょっかいを掛けに来たのでさあ大変。みんな大好きフリード君も再登場です。