ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして、駒王町駐屯地の地下にあるトレーニング空間に僕達はオカルト研究部を招待していた。
「結構広いな。しかも頑丈そうだ」
「そうですね。ゼノヴィアさんやイッセー君が暴れても、そう簡単には壊れないような気がします」
見学しているゼノヴィアさんやロスヴァイセさんが感嘆するぐらい、ここは結構頑丈な造りになっている。
なにせ、神滅具を二つ持っている僕や、神滅具を再現できるシシーリア姉が暴れる事も考慮している特別空間。頑丈じゃないと大惨事になる。
そして、そんな空間を作っているのは悪魔と日本の重要人物。
「おお! 見学に来てくれたのか!」
嬉しそうに振り返るのは、我らが主にして僕の義兄。ハヤルト・アスモデウス。
この駒王駐屯地の施設の多くは、義兄さんの手によって大幅に改良されている。
この駐屯地は、日本の国防のある種の要だ。
最も異形との戦いに慣れている精鋭が待機する最重要拠点。もっとも悪魔と密接な付き合いをしていると言ってもいい政治的拠点。そして最高峰の技術者による技術開発も行われている技術的拠点。
単刀直入に言って、この駒王駐屯地はめちゃくちゃ重要な拠点だったりする。
魔王の末裔が所属し、勢力圏内に魔王の妹二人が住んでいる。
うん、普通に桁違いだ。
「見るがよい! 余が直接手掛けて開発したトレーニング空間だ! 中でツァーリ・ボンバが爆発しても堪えきれるぞ!!」
エッヘンと胸を張る義兄さんに、リアス様は微笑を浮かべる。
「やるわねハヤルト。アザゼルやアジュカ様にも匹敵する技術だと思うわ」
既にだいぶ打ち解けているのか、口調も大分フランクだ。
まあ、義兄さんは結構愛嬌があるからね。根本的にフランクだし。
そんなこんなで和やかにムードになっていると、義兄さんはぽんと手を打った。
「そうだ。これからもグレモリー眷属には世話になるしな。連携を取る為にも余達の力を知るべきか」
「納得。確かに、最低限の手札は知らせるべきですね」
福津兄も頷くと、少し離れてから静かに構える。
「要望。誰でもいいから、こっちに攻撃を叩き込んでくれ」
「え?」
凄い事を言ってのけた福津兄に、アーシアさんが首を傾げる。
というより、少し心配している。
まあ、グレモリー眷属は既に最上級悪魔クラスの戦闘能力を持っている人もいるからね。
たぶん、火力だけなら魔王眷属にだって引けを取らない。悪魔が誇る最精鋭集団だ。
そんな人達の攻撃を受けたら、並に上級悪魔なら消し飛ぶのは確実。最上級悪魔だってただじゃすまない。
だけど、福津兄は大丈夫なんだよねぇ。
「無用。心配しなくても俺は一発程度なら問題ない」
「ふむ、そう言われると少し意地になるね」
そういって、ゼノヴィアさんがデュランダルを展開する。
……うん、大丈夫だけどホントに加減がないね。
火力馬鹿といわれるグレモリー眷属でも、トップクラスの火力保有者がいきなり出てきたよ。
「ぜ、ゼノヴィア? ちょっと
「安心しろ、本気は出さない」
イリナさんが止めるのを聞かずに、ゼノヴィアさんは切りかかる。
「それに急所は避ける!」
「了承。ならここを狙うといい」
そして福津兄が右手を突き出す。
そこに勢いよくゼノヴィアさんがデュランダルを叩きつけ-
「……ほぉ」
「……感嘆。まさか切込みが入るとは」
そうお互いに感心する中、福津兄の手から火が飛んだ。
ただしその火は一瞬で消えて、元通りの皮膚が映る。
「やるな。加減したうえで福津に傷をつけるとは」
「いえ、この駄娘よりは強いんですよ?」
「リセスちゃんと肩を並べられるからね?」
ミラリル姉にシシーリア姉とプリス姉がそうツッコミを入れる。
正直ちょっと僕も舐めてた。福津兄に手加減して負傷を与えられるとか、正直驚いたよ。
流石グレモリー眷属の攻撃力筆頭格。攻撃力だけなら最上級悪魔クラスでも上位レベルじゃないだろうか。
「福津は生まれ持った神器と移植した神器の二つによる圧倒的耐久力が持ち味だ。余の眷属での基本担当は、盾役だな」
「そのようね。まさか加減したとはいえゼノヴィアの一撃でかすり傷程度だなんて……」
ふふんと解説するハヤルト義兄さんに、リアス様が感心する。
ふふん。僕達もちょっと得意げだよ。
「説明。俺の神器は
そう、福津兄はとにかく硬くてしぶとい。
防御力もかなり高いけど、更に傷がすぐに治るのが凶悪だよ。どんな攻撃を喰らってもぴんぴんしているからね。
「ではまあ、次は駄犬が能力を説明するべきですか」
と、今度前に出るのはシシーリア姉。
そして苦笑すると、近くの威力試験用の金属塊に歩み寄る。
「まあ、大した事ではないんです。既に知っている方も多いとは思いますが―」
そういうなり、シシーリア姉は無造作に腕を振るい―
「―こんな事ができます」
―具現化したデュランダルで、金属塊を両断した。
そして次の瞬間、今度はエクスカリバーを具現化し、
「
そう言いながら、シシーリア姉は金属塊を細切れにすると、プリス姉に放り投げる。
そして次の瞬間、プリス姉が苦笑しながら両手を前にかざす。
そして、一瞬で加速した金属塊が、遠くにある射撃訓練用に的を粉砕した。
「今のは、ヒロイさんのマスドライバー・スティンガー……?」
「ううん、ちょっと違うかな?」
アーシアさんにそう答えながら、プリス姉は微笑する。
「私の禁手は
そう、プリス姉の能力は、ちょっとひねっている。
確かゼーベック効果……だったかな? 金属と熱量差を利用して発電する現象。
そういう現象を使っているわけじゃないけど、とにかく大出力の電気エネルギーを生み出せるのがプリス姉の亜種禁手。
そしてプリス姉の十八番は、神器の特性を魔力で歪めてコントロールする事。
さっきのはレールガンとして運用したってわけだね。
「……ということは」
ぽんと、木場さんが手を打った。
「あの時の反射速度は生体電流を操作して?」
「うん。あれぐらいが限界なんだけどね」
うん。マジでそういうことができるんだよねぇ。
「で、サラトは神滅具二つ持ちかよ。……反則じゃねぇか」
イッセーさんにそう言われるけど、確かに反則だね。
なんたって、神滅具の中でも二強といわれる
一点特化と広範囲殲滅。この二つで桁違いに強いってだけで、もう何でもありだしね。
「と言っても、これでも大変なんですよ?」
まあ、ホント大変だよ。
煌天雷獄は取れる手段が多すぎるから、何をどんな時に使えばいいか分からないところがあるし。
それに、黄昏の聖槍だって結構変則的っていうかなんて言うか……。
「聖槍は亜種で具現化してるんです。ようは、堕天使の光の槍みたいな感じでしか展開できなくて」
「それはそれで便利じゃない?」
イリナさんがそう言うけど、だけど必ずしも良い事ばかりじゃない。
「単純出力だとどうしても劣るんですよねぇ。汎用性なら煌天雷獄で大体足りるし、できればもっと一点特化型の形になってほしかっです」
うん、ホントちょっとね。
僕、そんな天才的に頭いいわけじゃないから、手札がいっぱいあってもどれを使えばいいか迷うっていうか、ね?
「まあ、我々がフォローすればカバーできる範囲内だ。あまり気にするな」
ミラリル姉はそう言ってくれるけど、だからって言ってもねぇ。
「そう言えば、ミラリル様はどのような形の戦闘能力をお持ちなのですか?」
「ああ、私は大した事はない。純血悪魔の基本通りの魔力運用スタイルだな」
レイヴェルさんにそう答えて、ミラリル姉は魔力を放出する。
うん、普通に上級悪魔のそのまた上レベルの魔力量。普通に凄い上級悪魔だよ。
実際、邪龍戦役後半のトライヘキサ戦でも冥界の前線で戦ってたからね。イグドラゴッホやイグドラグウィバーとも一対一で戦えてたぐらいだから。
「邪龍戦役では冥界で戦っていたのだが、その時ハヤルトにスカウトされてな」
「うむ! 将来の伴侶としても誘ったのだが、そちらは保留されておる!!」
サラリと義兄さんが凄い事言っているけど、慣れているのでそこはスルー。
リアス様達にも、全員が身振り手振りで「気にしないで」と示しておく。
ここでこじれると長くなるからね。
まあ、そんなこんなで僕らは僕らでそれなりに強いわけだよ。
邪龍戦役では冥界でトライヘキサ達の足止めを担当。量産型イグドラシリーズや邪龍達を相手に一生懸命闘ったわけさ。
その戦果もあって、僕達ハヤルト・アスモデウス眷属は全員が中級悪魔以上。まあ、魔王血族の眷属悪魔にはそれなりの格がいるって判断もあるけどね。
でも試験はしっかり受けた。そのうえできちんと合格した。そこに反則は一切ない。
だから自信満々で胸を張って言える。僕達はそれなりに優れていると。
まあ、それより強い人が何人もいるから厄介なんだけどね、この世界。
「なら、ついでに連携のトレーニングもするべきね。ちょっと模擬戦でもしてみない?」
と、そこでリアス様がそんな事を提案してきたので、僕達はそのままトレーニングとして連携戦闘や模擬戦をしてみる事になった。
そして、模擬戦の大一番に、僕が選ばれてしまった。
そして相手はグレモリー眷属の大一番。歴代最優の赤龍帝、兵藤一誠。
イッセーさんと模擬戦かぁ。これ、模擬戦じゃなければ命がけだったよ。
そんな事を思いながら、僕とイッセーさんは鎧を展開。
「よっしゃ! 行くぜ、サラト!」
「いいですよ。来てください!!」
言うが早いか、イッセーさんは即座に拳を構えて殴り掛かる。
それを左腕の盾で防ぎながら、僕は聖槍を具現化。
聖槍は悪魔にとって天敵。まとも当てる事ができれば、それだけで一気に優勢になる。
だけど、そんな簡単に事が運ぶわけがない。
イッセーさんはアスカロンを展開すると、それを受け止めてくる。
反応が早い! 流石はヴィクターの精鋭部隊を数多く倒してきた歴代最強にすらなっている赤龍帝! グレモリー眷属のトップエースは伊達じゃない!!
だけど、ただの赤龍帝の鎧ぐらいなら!!
「でぃやぁ!!」
「うぉっと!?」
強引に膂力で弾き飛ばすと、そのままオーラの槍を投げつける。
それをイッセーさんは素早くかわすけど、そこをついて僕はシールドクローを展開。一気に掴みかかる。
そして掴んだその場で一気に超高熱を発動させるけど、その瞬間僕の全身にオーラの弾丸が叩きつけられる。
痛たたたた!? な、なに!?
「悪いな。そっちは
『赤龍帝を相手にするのに、
この声、確か赤龍帝ドライグ!?
そうか、飛竜!
感心しても隙は見せないようにしたけど、攻撃を喰らって緩んだところをついてイッセーさんは拘束から脱出する。
そして次の瞬間、赤くなった飛竜がイッセーさんにくっついた。
「反撃行くぜ!」
「なんの!」
シールドを元に戻してガードするけど、その防御を無理やり押し切って、イッセーさんは僕を殴り飛ばす。
こ、これはキッツい!!
義兄さんが調べた限りでは、基本性能なら赤龍帝の鎧より神滅の守護者の方が上なのに。それでも飛竜を使えばポイントポイントで越えられるのか!
あ、しかも真女王に移行したよ。これで性能でも上回れた。
「流石に、そう簡単にやられるわけにはいかないからな!!」
「こっちのセリフです!」
突撃してくるイッセーさんに、僕はカウンターでシールドによる抜き手を繰り出す。
それを鎧を太くして防御するイッセーさんだけど、僕の一撃は鎧にヒビを入れた。
よし! まだ届く!!
「真女王を突破した!? っていうか冷たい!」
ああ、そうだろうね。それぐらいはやってのけるさ。
「なるほど、教えたのはプリスさんだね?」
「うん。
木場さんにプリス姉がそう答えた通り、これはプリス姉から教えてもらった技だ。
熱衝撃。急激な温度差にさらされた物体はもろくなるという法則。
流石にプリス姉ほど細かい操作はできないけど、相克天秤を超える出力を発揮する煌天雷獄は、単純な熱衝撃だけでも十分な効果を発揮する。
さっき掴んだ時の灼熱はこの為の布石。本当はある程度時間をかけてから過冷却で一気に砕く予定だったんだけど、あっさり抜けられたからね。
まあ、熱が自然に冷める前に打撃を叩き込めて良かったよ。おかげで効果は充分あった。
「まだまだ行きますよ! 兄さん達の前で無様は晒せないってね!」
「こっちもさ! リアス達の前でかっこ悪いところを見せられるかよ!!」
お互いに戦意を見せながら、僕達は全力でぶつかり合った。
結局その時は押し切られたけど、だけど善戦はできたと思う。
煌天雷獄と黄昏の聖槍を禁手に至らせる事ができたのなら、きっと今度は勝てると思うね、うん。
サラト達の能力説明会といったところです。
サラトはもちろん、他のメンバーもグレモリー眷属とまともにやり合えるレベルです。最強戦力のサラトは、イッセーでも通常禁手では性能で負けるレベル。
そして、ハヤルト達はトライヘキサ戦では冥界で戦っておりました。
そっちはそっちで量産型のグレンデルやラードゥン、イグドラグウィバーやイグドラゴッホがあるので十分難易度は高いわけです。