ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そしてこの騒動はどんどんヒートアップしていきます!!


第二部二章 6

 

 そしてそのころ、ハヤルト達は一応の指示を出してはいた。

 

 新秦との小競り合いが勃発している戦場を確認するべく、何人か戦力を送り込む程度のことはしていたのだ。

 

 ハヤルト側から派遣されたのは、時草福津と一個分隊。

 

 リアスもまた戦力を派遣。こちらは木場祐斗と塔城小猫だった。

 

「……意外と数が多いです。結構なぶつかり合いですね」

 

 猫又としての本性をだし、仙術で敵を確認しながら、小猫はそう告げる。

 

 それを双眼鏡で確認しながら、福津と祐斗は眉をひそめていた。

 

 戦況そのものは帝釈天側が有利である。新秦はこの調子なら敗走することになるだろう。

 

 しかし、それはそれ、これはこれ。気にするべきところは数多い。

 

 まず一つは、新秦の戦力だ。

 

 彼らは中国を収めた大国である、秦の在り方を再びおこなおうとしている。

 

 簡単にまとめれば、知識の一極集中。知識を持つものを限定し、船頭多くして船山に上るといった真似を避けることが目的だ。

 

 独裁政治は古来より愚策の一つとなるが、条件次第では数多くの政治の問題点を解決することもできる。そう言う意味では新秦の在り方は全否定はできないだろう。

 

 だが、この時代で一般人に知識を広めないことは愚策になる。ポルポトの失敗がそれを認めているようなものだ。

 

 知識とはある程度広めて共有されることで文明が発達する。そして発達した文明で人民が生活を維持するには、一定の知識が広まっていることは必要不可欠。それが人類社会の限界ともいえる。

 

 この時代で知識を徹底的に一極集中させるのは、多くの人間を死に至らしめかねない。

 

 ゆえにそんな思想の持主たちに多くの人が集まることは危険視されるべきなのだが、しかし賢帝による独裁政治はある意味で理想的な政治体制であることも事実。

 

 結果として、それを求める人材は数多く集まっている。

 

 その結果として、戦力もかなり強大であり、戦闘は割と戦いにはなっていた。

 

「頭痛。これだけの戦力を保有しているとは、独立国家を名乗るだけのことはあるな、新秦め」

 

「そうですね。これは、相当の技術流出が行われていると判断するほかないでしょう」

 

 福津に頷きながら、祐斗もまた頭が痛くなる気持ちがわかっていた。

 

 冥界は新たな発展を遂げようとしている。

 

 利益の独占を図っていた旧家が、ディハウザー・ベリアルの告発によってその地位を大きく削がれたことに由来する。

 

 それによって、軍学校としての側面が中心だったアウロス学園はさらに大型発展。旧家の抑え込みがなくなったことで、教育をまともに受けられなかった悪魔たちが教育を受けられるようになり始めている。

 

 学を修めることで人生の選択肢を増やした悪魔たちは、これからの冥界の未来を大きく変えていくことだろう。それが、学問の持つ力である。

 

 それら勉学の力を示してきたのは人間である。

 

 個々の能力では大きく劣りながらも、知恵をもってして乗り越えてきた人間。魔法などの悪魔の能力の再現は、今でも異形たちに対抗する大きな力である。科学文明の発展も、人類の力の筆頭だろう。

 

 だが、新秦のあり方はその真逆である。

 

 それに対して、人間から悪魔になった祐斗としてはなんとなくだが不満を覚える。

 

 偏った知識しかなかった頃より、いろいろな視点でものを見れるようになった今の方がいいと思う身としては、やはり複雑だった。

 

「それで、どうします? 僕たちも参加しますか?」

 

「躊躇。俺たちはあくまで休暇の名目で来ている。うかつに介入すれば、中国側のメンツを傷つけるだろうしな」

 

 その意見には一理があるが、しかし余計な被害者が生まれるかもしれないと思うと、気になるところもある。

 

「……面倒ですね」

 

「自粛。プライドを完全に投げ捨てるのもあれだしな。俺たちだって、主のメンツを傷つけるのは躊躇するだろう?」

 

 小猫にそういいながら、福津はしかし目を伏せる。

 

 そこにはどこか、何かに耐えるもの特有の苦悩があった。

 

「そう、眷属は主に忠誠を誓う者だ。それは忘れちゃいけないしな」

 

「福津さん?」

 

 その何かがこもった声に、祐斗が反応したその時だった。

 

「……祐斗先輩、福津さん!!」

 

 小猫が、急に上を向いて声を荒げる。

 

 何事かと二人は視線を上に向け―

 

「「―は?」」

 

 思わず一瞬ぽかんとしてしまったのは、決して彼らが責められるものではないだろう。

 

 信じられないような光景を見て、隙を見せてしまうのは人の性だ。決して努力すれば必ず直せるなどというものではない。

 

 いうなれば初見殺し。そんな隙を大量に生み出しかねない、厄介なものがそこにはあった。

 

 それは、まるで流星群だった。

 

 大量に降り注ぐそれは、一見するととても美しい光景にも見える。

 

 だが、それに見惚れていては確実に死ぬ。

 

 それは、真っ赤に染まりながら大量に高速でこちらに向かって降下してきていた。

 

 しかも、気づけば大量の光弾を乱射していた。

 

 断言してもいい。

 

「き、軌道降下戦術?」

 

「唖然。SFの世界だったか、ここは」

 

「……誰ですか、あんな突拍子もない戦術を思いついたのは」

 

 三者三葉にあきれ半分感心半分の驚愕を示す中、戦場に軌道上から襲撃を仕掛けた来た者たちが、着弾した。

 

 ……ちなみにドーインジャーであったことを追記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オッス! 俺イッセー。

 

 ハーレム王を目指して日進月歩。一生懸命努力していて、上級悪魔に昇格が確定するかもしれない、中級悪魔さ!

 

 悪魔になってからまだ一年もたってないのに上級悪魔になるかもしれない。そこまで出世速度が速いのは冥界でも前代未聞らしい。

 

 まあそうだよね。俺、この一年で何度も死にかけてるし。っていうか、二回ぐらい死んだし。

 

 毎回毎回大変な目にあって、何とか頑張って生き残ってきてるもんな。そりゃ出世もしないと嘘だよな。

 

 中級堕天使のレイナーレにもボコボコにされたのが懐かしい気持ちになる。なんたって、中盤ぐらいで神様と戦ったからね!

 

 そのたびに、日々の努力と仲間たちとの絆とおっぱいの力で生き残ってきた。

 

 ……そこ、意味が分からないとかいわないでくれ。じぶんでも時々おかしいと思うから。

 

 フェニックスの涙でもアーシアの力でも回復できなかったのに、母乳につけたら治るとか、俺の身体ってどうなってるんだろう。いや、乳製品飲むと体調良くなるけど、それそんなレベルじゃないよな。

 

 まあ、なんだかんだで俺ってば、おっぱいの力で状況を打破することも多いんだよ。

 

 神器ってのは想いの力で駆動するからね。俺、スケベだからね。二つが合わさってこんな感じだよな!!

 

 でもまあ、俺はハーレム王の道をどんどん進んでるけど、普通の人間の女子からは蛇蝎のごとく嫌われることが多い。

 

 俺は、ただちょっと人よりスケベなだけなのに。覗きなんて高校生のジョブだと思うのに、なんでだ?

 

 しかも変態集団から神様扱いされかけるし。京都で覚醒するために、何百人も痴漢にしちまうし。っていうか最近開き直ったけど、おっぱいドラゴンってどうよ? 流行る冥界の方がおかしいよな。っていうか異形社会おかしいよな。

 

 そういう意味じゃあ、異形社会に適応する俺の方がおかしいのかなぁ。

 

 いやいや、今はそんなことをしている場合じゃない。

 

「急ぐぜ、アーシア!」

 

「はい!」

 

 おれとアーシアは、今急いでペトと合流しに向かってる。

 

 俺は熾烈な争いの果てに勝利したアーシアとデート。ペトはつい先日告白してセック〇フレンドから始めることになったサラトとデート。お互いに邪魔しないのが一番だ。

 

 だけど、状況はそんな場合じゃない。

 

 もともと何かが起きたときのために呼ばれていて、しかも本当に何かが起きてしまった。

 

 新秦との戦闘が勃発して、今まさに離れたところでは戦闘が勃発している最中。みんな避難を開始しているところだ。

 

 だから、そのために呼ばれた俺たちは動くことになっている。

 

 今は、ペトとサラトがいる鯨料理店に向かってる。

 

 なにせ、今回のフェスタにもぐりこんだ可能性のあるテロリストの中には、過激派クジラ保護団体がいるって話だ。

 

 あいつらがこれに触発されて動き始めたら、何が起きるかわかったもんじゃない。

 

 ペトとサラトはその防衛が担当。で、念のために俺とアーシアも合流することになった。

 

 ほかのみんなもそれぞれやばそうなポイントに移動して待機だ。みんなそれぞれ半分休暇だったこのフェスタを楽しんでたけど、まあそれは仕方ない。

 

 だから急いで合流しようとして―

 

「―見つけたぞ、我らが怨敵」

 

 ―すごい殺意が、俺にたたきつけられた。

 

 とっさに振り返りながら鎧を展開すれば、そこには武装した集団が数十名いた。

 

 剣を持っている男がいる。槍を持った女がいる。斧を構えた少年がいる。鎌を持った老人がいる。

 

 そんな連中が、俺をにらみつけていた。

 

「覚悟するがいい、変態の頂点よ。……我らは性犯罪者の生存を認めない!!」

 

 あ、なんかヤバイ。

 

 これ、めちゃくちゃやばくね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やばいやばいやばいやばいやばい。

 

 僕は、目の前の光景を見てやばいと確信した。

 

 この地方都市、実はめちゃくちゃ研究して開発されている。

 

 半年前から須弥山が裏でスポンサーになっている企業が参加して、一首の企業城下町になっている。

 

 そして、そこから始まった大改革によって、めちゃくちゃ発展している。

 

 具体的に言えば、新しく建設されたビルにはすべて地下室があり、しかもシェルターとして運用できるようになっている。

 

 加えて意図的に開発時に空きテナントを作るように用意されており、そこに軍やPMCが入れるようにできている。

 

 そもそも道路などの都市構造が京都並みに術式都市であり、防護結界を張ることによって外部からの攻撃に非常に強い結界を張れる。ブロックごとに障壁も晴れるので、大量破壊兵器の類があまり効果をなさない。

 

 そこから世界各国の諜報部は、必然的に結論を導き出していた。

 

 ……この地方都市は、帝釈天が意図的に何かトラブルを起こすためにつくった地方都市だ。

 

 住んでいる住民に関しても六割ぐらいが過去に何かしらある。

 

 借金だったり、理不尽なパワハラだったり。いろいろあるけど、とにかく帝釈天が間接的にかかわる形で転落人生をつなぎとめた人物たちだ。

 

 おそらく、この何かあることが確定している街に住むことを条件に助けてもらったんだろう。下手すると定期的に訓練を受けている可能性もある。

 

 とにかくそんなわけでスムーズに避難が進んでるなら、僕たちは増援が来るのを見た。

 

 装甲車が一台こっちに向かっている。

 

 どうやら、帝釈天も鯨料理が出てくる此処にテロリストが来ることは想定内らしい。其のための対策はきちんと用意しているようだ。

 

 とりあえず、事情を説明して僕たちもサポートに回ろう。

 

 この店は日本が出店している。つまり日本も守る義務がある。此処に自衛隊員()がいる以上、僕は積極的に協力する責任がある。

 

 そんなわけで、僕は手を振って合図をしようとしたその瞬間―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助け助助けて助けっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 剛速球で飛んでくる人間が、装甲車のタイヤに激突した。

 

 ミンチになった人間がタイヤにつまり、装甲車をスピンさせる。

 

 そしてスピンした車がこっちに向かってくる。

 

 あ、まずい。まだ避難が完了してないのに―

 

「サラト! 大量の雪!!」

 

 ―ペトさんの声が、的確な指示を出してくれたおかげで助かった。

 

 とっさにいわれたとおりに大量の雪を前面に展開。

 

 それがクッションになって、ギリギリのタイミングで装甲車が止まる。

 

 適度に減速されたみたいで、装甲車の中の人も無事だった。

 

 たぶん異能の訓練も積んでたんだろうね。普通なら骨折とかで動けなかったりしただろう。だけど打撲程度で済んでる。

 

 ふう。よかったよかった。

 

 ……じゃない!!

 

「ペトさん下がって!」

 

 即座に神殺の双腕を展開しながら、僕は人が飛んできた方向をにらみつける。

 

 そこには、何人もの殺意満々の人たちが、おびえている人たちを構えながらこっちをにらみつけていた。

 

 いや、なにこれ。

 

 なんで人間を構えてるのさ。武器を構えなよ。

 

「我々はオーシャンズK9! これよりその店と従業員とその客を全員この世から消し去る!!」

 

「無関係なものは今すぐ立ち去れ! 我々は鯨を守護するための断罪をするだけで、罪なき者たちまで殺す気はない!!」

 

 よし、頭がおかしい

 

「いや、そこで大絶賛捕まえている人たちは何だ!!」

 

「こいつらはクジラ保護団体を語る屑共だ。見かけたので制裁をくわえに来た」

 

 うん、頭がおかしい。

 

「鯨の保護のために海洋汚染物質をばらまく意味不明な連中が」

 

「漁船に嫌がらせ? せめて殺してから声を上げるがいい、屑が」

 

「そもそも偉大なる鯨が住まう海を荒らすな。陸で殺せ」

 

「その気になれば爆薬ぐらいいくらでも作れるだろうに。火炎びんで漁協を燃やすぐらい出来んのか、塵め」

 

 すさまじいディスりぐあいだ。殺意と侮蔑が悪魔合体している。いや、悪魔なのは僕だけど。

 

「そう言うわけだ、貴様らはせめて砲弾として役に立つがいい。身体強化術式の力で役立たせてやろう」

 

「人体とは投擲向きなのだ。これが人間の力と知れ」

 

「飛ばせ闘魂! 守れ鯨!!」

 

 あ、この人たち話を聞いてくれそうにない。言葉は通じるけど話は全く通じない。

 

 よし、テロリストには容赦しない。遠慮なく本気でいこう。

 

「我らは海の守護者! 汚染するのはあくまで地上!!」

 

 思想が極端すぎる!!

 

 その瞬間、剛速球で人間が飛んできて―

 

「死ねぇ、変態がぁ!!!」

 

 そのまま飛んできた魔法攻撃で、彼らは吹っ飛んだ。

 

 ……ヤバイ、哀れすぎる。

 

 そして、一体何!?

 

「新手か!?」

 

 オーシャンズK9が目を見開いて振り向く中、そこから大量の魔法砲撃が飛んでくる。

 

 そしてその弾幕をかいくぐりながら、イッセーさんがアーシアを抱えながら鎧姿で飛んできていた。

 

 っていうかイッセー!? こういうエグイ真似はしないと持ってたんだけど、どんな増援を連れてきてるのさ!?

 

 そんな話は聞いてない。たぶんだけど、想定外の合流をしてきたんじゃ―

 

「サラトにペト、マジでゴメン!!」

 

 あれ? イッセーさんが謝ってきたよ?

 

 ど、どういうこと?

 

「なんか変なのに襲われてる、助けてくれ!!」

 

 ……はぃ!?

 




大惨事に見舞われる中国。

そして、イッセー達は半分ぐらい自業自得な過激派を凌ぎ切ることができるのか!!
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