ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
戦闘が勃発しているであろう所から何やら隕石群が堕ちてくるという、地球最後の日かと勘違いするかのような大惨事。
それをビルの屋上の飲食コーナーで見ながら、シシーリアたちは唖然となる。
「な、なにが起きたんですか!?」
「よくわからんが、さすがに自然現象ではないだろう。範囲が狭すぎる」
「ってことは、もしかして今度こそ宇宙人からの侵略!?」
慌てふためくシシーリアに、なぜか微妙に冷静なゼノヴィアとイリナの漫才が聞こえてくる。
とりあえず、今度こそとはどういうことだ。
「ま、まさか異星人に知り合いがいるんですか!?」
「いや、アザゼル先生がU・F・O! を作ってイッセーを襲撃してな」
ゼノヴィアの丁寧な説明には感謝する。だがそれはそれとして意味が全く分からない。
なぜUFOを作るのか。そして、なぜアザゼル総督は教え子を襲撃するのか。
ちんぷんかんぷんとはこのことだ。あとで他のオカルト研究部員に追加説明を求めるべきだろうか。
「アザゼル先生にも困ったものだ、イッセーがつまらなくなってしまった」
「ホントほんと。エロくないダーリンなんてご飯も具もないどんぶりだわ。物足りないわ」
とりあえずどこから突っ込めばいいのか本気でわからない。
シシーリアとしては、仮にも天使がその発言は微妙な話ではないのだろうかとふと思った。
と、そこまで来てシシーリアはふと我に返る。
そんなことを言っている場合ではない。
あの隕石群が何なのかはわからないが、しかし状況は大きく動いたはずだ。
とにかくこちらも何かしらの動きを見せるべきで―
そう思った瞬間、ゼノヴィアがいきなりデュランダルを引き抜いた。
一応言っておくと、まだここには民間人がいる。
そんなところでとても大きくて目立つデュランダルを引き抜く。当然のことながら目に付くのは当たり前だ。
結果として、注目を浴びた。
「ゼノヴィアさん!? 何を―」
「全員避難しろ!! こちらに何か向かってくるぞ!!」
其の声に、シシーリアは遅れながら殺気に気づく。
そして振り返ったその瞬間、イリナの振るったオートクレールが、シシーリアに迫った凶刃をはじき返した。
そのまま空中を回転して着地する少年をにらみつけながら、イリナとゼノヴィアは素早く構える。
「アーメン! 無事で何よりだわ!」
「油断するな! こいつは……できるぞ!」
「は、はい! お手数おかけしました!!」
すぐにハルバードを展開しながら、シシーリアは歯噛みする。
自分もだいぶ武闘派にはなったが、やはり幼少期から戦闘訓練を積んでいる生粋の悪魔祓いたちである二人には届かないようだ。
しかし、そんなことはどうでもいい。
わざわざ自分達をピンポイントで狙ってくるのだ。シシーリアはともかく、ミカエルのAであるイリナや、デュランダルとエクスカリバーの二つの担い手であるゼノヴィアは知名度も高いはず。
つまり、それだけ腕に自信があると考えるのが普通だろう。
そして、その顔を見てそれもすぐに納得した。
「まったく、貴様との因縁もいい加減清算したいものだな」
「同感だねぇ。終わりにしたいねぇ。俺が君たちを殺して終わりにできたら最高だねぇ!!」
舌打ちをしたそうなゼノヴィアに、その少年は舌を垂れ流しながら答える。
神父服を着こみ、そして特徴的な白髪を持つ少年。
この二つの組み合わせだけで、シグルド機関の出身であることがうかがえる。
そして、そのシグルド機関が生み出した戦士たちの中でも、精神面においてならば最も危険な者が、目の前の少年だった。
「ニーハオ! フリード・セルゼンだよーん! 四千年の歴史を君たちの墓標にしに来たアルよ!」
などとふざけたことをのたまうのは、フリード・セルゼン。
かつては少年天才悪魔祓いの名をほしいままにし、条件次第で神滅具の使い手からすらも逃げきって見せた猛者。
だが、そのあまりにも危険な性質ゆえに教会を離反し、
しかも恐るべきことに、バルムンクとノートゥングの担い手となり、果ては魔獣創造すら移植している。
神器を持たないただの人間という、数少ない攻略法が完全に克服されてしまっている。正直な話、他に人材はいなかったのかという意見を出すものは多いだろう。
だがしかし、一つだけ断言できることがある。
……目の前の少年は、間違いなくヴィクターの主戦力の一人だ。
「教会がらみの雌犬が三匹もいるんで、ちょっと殺しにきちゃったよーん。さ、この世からバイバイしましょうねー」
そんなふざけたことを言いながら、フリードは二刀流で切りかかる。
バルムンクとノートゥング。
ともにエクスカリバーとも打ち合える、伝説クラスの魔剣。
普通に切り結べばその時点で敗北確定。まともな人間なら数で押す戦いだ。
だがしかし、ここにいるのは若手の次元を超えた、規格外の戦力だらけである。
「ほざくな、外道!!」
その魔剣の双撃を、聖剣の双撃が弾き飛ばす。
それをなしとげるのは、ゼノヴィア・クァルタ。
聖剣デュランダルと聖剣エクスカリバー。
その二つを同時に扱う彼女からすれば、少なくとも今のままではフリードは戦いの土俵に乗っかってしまっただけである。
いかに伝説の魔剣といえど、伝説の聖剣が相手になれば対抗できるのは道理。
ゆえに、ゼノヴィアは一切動揺せず、素早く追撃を開始する。
だがしかし、フリードもさるもの。
先程の一撃は囮。その瞬間にドーインジャーを生成し、後方に射出させていた。
そしてゼノヴィアの攻撃を引き付けながら、ドーインジャーの砲身に狙いを付けさせ―
「させると思いますか!!」
そのドーインジャーを、シシーリアがエクスカリバーをハルバードにして切断する。
聖剣エクスカリバーは七つの機能をもった聖剣。そのうちの一つに、形状を自由自在に変更できる
ゆえに、あえてエクスカリバーを再現することで最も得意とするポールウェポンを再現して、シシーリアは対応した。
もはや、シシーリアは多少使える程度の半ば数合わせの眷属ではない。
状況次第では神殺しすらなしえかねないほどの、冥界でも有数の戦力になりえる逸材である。
それが、ハヤルト・アスモデウス眷属。ハヤルト・アスモデウスという魔王の末裔に使える、一人の騎士。聖槍すらその手に宿すことができる、聖という属性を操る担い手。
そのシシーリア・ディアラクが、何度も何度も無様をさらすわけには、行かなかった。
「チィ! 思った以上にやるじゃねえか! ディオドラのところの雌犬が!!」
「残念ですが、今の私は雌犬ではなく軍用犬です!!」
ドーインジャーを再生産して弾幕を張ろうとするフリードに、シシーリアは遠慮なく持っていた払魔弾入りの拳銃を発砲。
それを牽制として、今度はイリナがフリードに切りかかる。
「アーメン! 今度こそ裁いてあげるわ!!」
「ザケんな、このビッチ!!」
イリナの攻撃を凌ぎながら、フリードはまた一歩後退する。
その様子を確認しながら、シシーリアはあえて後退した。
あまりの事態というか、ハリウッドバリの戦闘に、避難がまだ追い付いていない。
この状況下で全員がフリードに集中するのは危険だ。ドーインジャーの伏兵なども考慮しなければいけない。カバー役は必須である。
なら、自分がカバーに入るのが一番だろう。
戦闘能力では一番低いと思われる。加えて、パートナーとして連携を取り慣れているゼノヴィアとイリナに割って入って、うかつに連携を崩すのも危険だった。
「避難誘導はこちらで引き受けます!! お二人とも、フリードは任せました!!」
「いいだろう! できる限り早めに頼むぞ!!」
「ミカエル様のAに任せなさい!! アーメン!!」
その二人の快諾を受け止めて、シシーリアは声を張り上げる。
「私は日本国の自衛隊のものです!! ここは危険ですので、誘導に従って避難してください!!」
そしてそのころ、プリス・イドアルは面倒ごとに巻き込まれていた。
駒王駐屯地で活動する都合上、まず間違いなくグレモリー眷属とは深い付き合いになる。それを抜きにしてもリセスの友人たちだ。
と、いうわけで親睦を深めることにしたのは良い。
その相手として、年長者であるロスヴァイセを選んだのもいい。
百円ショップがないことを愚痴っていたロスヴァイセに少し疲れたが、まあリセスがあれなので癖が強いのは想定内だ。そこまで言うほどの問題ではない。
そう、問題は―
「ふははははは! 快楽堕ちの経験を持つ稀有な人物と出会えるとは、我々はついている!!」
「プリス・イドアル。よければ我が三情にくら替えしないかね?」
「待遇は応相談よ?」
「「帰ってください」」
心底から頭痛を感じ、プリスとロスヴァイセは同時に吐き捨てた。
よりにもよって三情と出くわしてしまった。出くわしてしまったのである。
しかも、三情の人たちは全員が私服でがつがつとすっぽん料理を食べていた。
これは、あれである。作戦とかそういうのではなく、単純に精のつく食事を食べに来たとかそういった類である。
不幸な偶然というものは、ある時は本当にあるのだと痛感するほかない。
「……うん、たぶん興味惹かれるとは思ってたんだよね、ホント」
プリスは笑うほかない。
なにせ自分は、アイドル調教系エロゲから出てきたかのような来歴持ちだ。まじめな話快楽堕ちしかけている経歴だ。
三情としては興味がわくだろう。
一言言おう。身から出た錆だ。
だが、それ以上にロスヴァイセはげんなりとしていた。
眼はうつろで、明らかに一瞬ですさまじい疲労を得ている。というより、医者に相談した方がいいぐらい憔悴している。
そしてその視線は、一人の女性に注がれていた。
「……なんでいるんですか、ラーグリフ先輩」
「いや、私は今三情の幹部なんだけど」
さらりと答える謎の女性に、ロスヴァイセは肩を落とす。
「ええ、うすうすわかっていました。かかわっているなら参加しているとは思ってました……!」
「ろ、ロスヴァイセちゃん? 知り合い?」
プリスは思わずかわいそうになった。
ちなみに言っておくが、プリスはリセスと同年代、二十代半ばである。
ロスヴァイセは教師だが、学生でも通る年齢である。二十歳前後である。
なので、プリスがロスヴァイセを年下あつかいするのは正しい。外見年齢では逆転しているが、これは悪魔なので珍しいことでもない。
それはともかく。
「私は英雄と交わりたくてヴァルキリーを目指し、それがなせなかったからアースガルズを抜けた。なら、SEXし放題の三情に加わるのは当然じゃない」
「そうですよね先輩!! このヴァルキリーの面汚し!! わたしだってまだ処女なのにぃいいいいい!」
「ロスヴァイセちゃん!? ストレスたまっててもこんなところで言っていいこととダメなことがあるよ!?」
とりあえず、プリスは完全に状況に振り回されることが確定しそうな流れであった。
と、いうより彼女はいったい誰なのだろうか。真剣に気になる。
あの三情の幹部だというなら、間違いなく凄腕だろう。少なくとも
そしてそんなテロ組織を見逃すわけにもいかない。此処で叩き潰せるのならした方がいい。
そう思って構えたプリスに、ロスヴァイセも魔方陣を展開しながら並び立つ。
「気を付けてください。ラーグリフ先輩は本来なら今代のブリュンヒルデの襲名最有力候補だった猛者です!!」
「……あ、そうなんだ」
なんとなく納得できてしまった。
兵藤一誠。
ファーブニル。
ユーグリッド・ルキフグス。
名だたる変態たちがこの第三次世界大戦で名をはせた。誰もが超一流の変態であり、そして最高峰の戦士であった。
なら、彼女が最強のヴァルキリーであるブリュンヒルデの名を襲名できたかもしれない程度のこと、驚くには値しないだろう。
そこまで考えて、ふと気づいた。
「あ、毒されてる」
「ですよねぇ」
ため息を同時についたその時、三情が一切に攻撃を開始した。
「「「「「「「「「「うけろ、
「「きゃぁあああああ!?」」
二人は、条件反射レベルで男たちから闘争を開始した。
変態が登場した! ロスヴァイセとプリスは頭痛を感じた!!
三情は幹部を複数設定しているテロ組織でもあります。まだまだいろんなところに出てくるので、楽しみに待っていてください!!