ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そして戦闘はさらに激化。


第二部二章 9

 避難を終え、シシーリアはすぐさま援護のために屋上へと戻る。

 

「避難誘導終わりました!! そちらは?」

 

「大絶賛苦戦中よ!」

 

 イリナがそう答えながら、オートクレールを振るう。

 

 それを上体を逸らして躱しながら、フリードは嬉しそうに頬を歪めた。

 

 殺せる相手が増えたということに、テンションが上昇しているのだ。

 

「いいねえ。信徒共がより取り見取り。殺し甲斐があるってもんだぜ」

 

「言ってくれるな。私達三人を同時に相手にして、勝てると思っているのか?」

 

 ゼノヴィアがそう言いながら、デュランダルとエクスカリバーを構える。

 

 挑発でも文句でもなく、現状を真剣に認識しているからこその言葉だった。

 

 ゼノヴィア達の戦闘能力は、若手悪魔という次元ならば最高峰。そうでないとしても、非常に高いレベルに到達している。上級悪魔の上から、最上級悪魔クラスだ。

 

 伝説の聖剣と適合しているというのは、それだけの効果を発揮している。ゼノヴィアもイリナも、更にその中で上位の使い手に至っているだろう。シシーリアも、あの英雄派のジャンヌを倒したのは伊達ではない。

 

 それだけの実力者を前に、あまりにも傲岸不遜という他ない態度を、フリードはとっていた。

 

 そして、ゼノヴィアも馬鹿ではない。

 

 フリード・セルゼンという男は、基本的に下衆の類だ。

 

 自分が勝てる状況下での殺し合いにこそ快楽を見出すタイプなのは明白である。少なくとも、勝ち目のない戦いに嬉々として参加するタイプではない。

 

 そのフリードが、ここ迄殺せるといわんばかりの態度をとっている。

 

 断言してもいい。フリードは、何らかの切り札を既に手にしている。それも、最上級悪魔クラスは愚か、魔王クラスにすら届きかねない切り札をだ。

 

 三人全員それを悟り、静かに警戒心を一段階上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、足元がいきなり爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、祐斗達は戦闘を開始していた。

 

 軌道上から降下したドーインジャー達によって、戦線は混乱状態に陥っていた。

 

 流石にこのままでは余計な犠牲者を生む事になる……以前に、こちらの位置も把握していたのか、ドーインジャーは攻撃を開始してきていた。

 

 自衛は必須。そして、自衛という名目ならば広範囲攻撃などで新秦を()()()()にしても言い訳はできる。なにせ命がかかっているのだ。

 

 なので、慣れない広範囲攻撃や遠距離攻撃を中心に戦闘を行い、ドーインジャーごと新秦の兵器を攻撃する。

 

「苦笑。我ながら三流の言い訳だな」

 

「……ですが、犠牲者は減らせます」

 

「その通り。なら、やるしかないね」

 

 三者三葉に苦笑しながら、遠慮なく新秦を巻き添えにしてドーインジャーを吹き飛ばす。

 

 それがに十分ぐらい続いただろう、その時だった。

 

「なるほど。かのグレモリー眷属と噂のアスモデウス眷属か」

 

 其の声に三人は視線を声のする方向へと向ける。

 

 そこにいたのは、一人の槍を持った優男。

 

 しかし、その動きに隙は全く見えない。

 

 明かに強敵。それも、最上級悪魔クラスすら単独で打倒しかねない、高水準の強敵だった。

 

「ヴィクター経済連合かい?」

 

「ああ。俺はファンネル・マックール。ヴィクター経済連合の獣王が一人にして、フィン・マックールの末裔さ」

 

 フィン・マックール。それはケルト神話の英雄の1人。

 

 痴情の縺れで名誉を失墜させた英雄だが、その功績は世界的に見ても大英雄というほかない。

 

 そして、彼は頬を赤らめて祐斗と福津を見る。

 

 祐斗と、福津を見る。

 

 一応言おう。小猫には目もくれてない。

 

「いい男達だ、ぜひケツの穴を掘りたい……」

 

 瞬間的に祐斗と福津がバックステップで下がったのは悪くない。

 

 頬を赤らめて、息を荒げて、陶酔した表情でそんなことを言われれば、その気のない男は恐怖すら感じるだろう。

 

 小猫は素直に二人に同情して、白音モードを発動させると割って入る。

 

 途端に、ファンネルは不快気な表情を浮かべた。

 

「すまない。俺は男にしか欲情しないから女は帰ってくれないか?」

 

「……馬鹿ですね、貴方」

 

 小猫の半目での毒舌が飛ぶが、しかしファンネルは意にも介さない。

 

 むしろ、得意げにふふんと笑っている。

 

 一言言おう。濃い。

 

「先祖の失態は繰り返さない。反面教師にしてこそだ」

 

「……サハラ砂漠から南極に行くような真似」

 

 小猫のツッコミが的確過ぎた。

 

 しかし、ファンネルは聞いてすらいなかった。

 

 そして、槍を構えると深く腰を落とし、突撃体制をとる。

 

「まあ、ヴィクターの仇敵を倒すのに変わりはないか」

 

 その佇まいに、三人は正気に戻るとすぐに構え直す。

 

 その構えには一分の隙もない。そして、強者だけが放つすごみというものが放たれていた。

 

 修羅場を何度も潜り抜け、そして勝利をつかみ取ってきた者だけが放つ、強者の気配。それを見抜ける程度には、三人もまた、強者だった。

 

 断言してもいい。彼もまたヴィクターの精鋭。神滅具を移植されるに足る存在。自分達ピースキング和平連盟の実力者を相手取るに、相応しい強敵だった。

 

「では、挑ませてもらうとしよう。……勝ったら掘らせてもらう」

 

「断行、絶対に勝つぞ」

 

「勿論です!!」

 

 ……絶対に負けられない激戦が、今ここに繰り広げられる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで、終わりだぁあああああ!!!」

 

「輝け、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)!!」

 

「「「「「「「「「「ぐぁあああああああ!?」」」」」」」」」」」

 

 僕とイッセーさんの渾身の一撃が、オーシャンズK9を吹き飛ばす。

 

 時間はかかったけど、これで終わりだ!!

 

「イッセーさん! 頑張りましたね!」

 

「でも油断しないっす! まだ変態共が残ってるッス!!」

 

 ペトさんとアーシアさんの声を受けながら、僕達は振り返って変態の戦いに視線を向ける。

 

 そこでは、数多くの変態達が股間からオーラの剣をはやしていた。

 

 ちなみに、男女共にだ。

 

「な、なんだ、この力は!?」

 

 イニスカとか言った女の人が、狼狽する。

 

 その槍とぶつかり合ったオーラは一時的に縮小するけど、相手が変わっている間にすぐに回復する。

 

 ……縮小するって事は、不能になると弱くなるの? どういう理屈。

 

「無駄だ! 我らが欲情の力は、不能の呪いなどはじき返す!!」

 

「発情式戦闘技法、ビンビンセイバーはこんなことで無効化されたりなどしない!!」

 

 キメ顔で凄いこと言った人がいるんだけど。

 

 うん、明らかにおかしい。何がおかしいって頭がおかしい。あとなんというかあんなのが力を手にするこの世の中がおかしい。

 

 何だろう、凄く関わり合いになりたくない。

 

「……俺、あんな連中に生き神扱いされてるんだよなぁ」

 

 イッセーさんが遠い目になった。気持ちはよくわかるけど、たぶんイッセーさんよりひどい気持ちにはなれないような気がする。

 

 だって、イッセーさん三情(あんなの)にスカウトされてるわけだしね。あんな組織の生き神扱いされたんだしね。っていうか、入ってくれると思われてたわけだしね。

 

 心の底から同情するよ。頭がおかしいうえに、それを形にする能力があるんだから。

 

 あれ? でも、僕達あれが敵の一つだよね? あれと、戦うんだよね?

 

 ……ちょっとへこむ。

 

「おのれぇ! この戦力では打倒しきれんか!!」

 

 舌打ちすると同時に、イニスカは指を鳴らして飛び退る。

 

 それに合わせて、周囲の貞淑委員会のメンバーが煙幕を展開した。

 

 これは、逃げる気か!!

 

 まあ、戦況不利なら逃げるのは当然だよね。僕も、勝ち目がなさそうな闘いは逃げるよ。いろんな意味で死にたくないし。

 

「覚えているがいい、変態共!!」

 

「必ず不能にしてくれるわ!!」

 

「後兵藤一誠、お前は必ず殺すからな!!」

 

 最後にイニスカがイッセーさんを名指しして逃げていった。

 

 うん、どんだけイッセーさんを敵視してるんだろう。

 

 いや、彼も覗きという性犯罪の常習犯らしいけどね? 覗きって殺されなきゃいけないほどの罪?

 

 そんな疑問が僕を支配する。どんだけ性犯罪者に厳しい世界を作る気なんだろうと、なんか嫌な予感を覚えてくる。

 

 そんな人が強くなってしまったんだから、世も末だよなぁ。世紀末は十年以上前に過ぎ去ったんだけどなぁ。

 

 そんなことを思ったその時、周囲の三情がこちらに向き直った。

 

「さて、ついでにここにいる者達に我らが色欲をお見せするか」

 

「ああ、それいいな」

 

 ………はい?

 

 え、いや、その………。

 

「「「「「「「「「「いくぞぉおおおおおおお!!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「嘘だろぉおおおおおおおお!?」」」」」」」」」」

 

 中国の人達やイッセーさんと一緒に、僕は絶叫した。

 




三情はテロリスト勢力としては二番手レベルの精鋭集団です。D×Dは変態が強いのです。
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