ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい。これで第一章はラストです。










……自分で書いててあれだけど、この作品消されないかちょっと不安になるなこの展開。


第一章 19 カーディナル・カタストロフィ

 その光景に、俺達は息をのんだ。

 

『まず謝っておこう。我々は三大勢力の和平という信徒に対する裏切りを阻止するべく立ち上がったが、力及ばず和平成立を止めることはできなかった。心より謝罪する』

 

 そう言って、リムヴァンは頭を下げる。

 

 ふざけやがって、あの野郎……!

 

「あの野郎、なんてマネをしやがった!!」

 

 アザゼル先生が机を叩く。

 

 そのあまりの力に机にひびが入るが、そんなもんを気にしている場合じゃねえ。

 

 あの野郎、とんでもないことをしやがった!!

 

「何てこと。我々異形社会でタブー視されていた、人間界への情報開示をこんな形で行うなんて……っ!」

 

 お嬢に至っては顔色が悪い。いや、ほかのみんなも真っ青だ。

 

「だけど、有効な手ではあるわね」

 

 そんな中、姐さんは苛立たし気に歯をかみしめるけど、納得したかのようにうなづいた。

 

「確かに異形勢力は、そのことごとくが人間世界に秘匿しながらもある程度の影響力を持っていた。それは、裏から支配されていると受け取られかねない……!」

 

 たしかに、堂々と活動している教会はともかく、悪魔と堕天使に関しては十分言える内容だ。

 

 リムヴァンの奴、自分たちのことをテロリストじゃないとか言ってやがったがこういうことか……っ! むしろ、俺たちに対抗するレジスタンスとでも言いたいのか!

 

 あれだけの協力者が一斉にクーデターを起した以上、もはやこれはテロリストとの戦いなんかじゃねえ。

 

 アイツは、テロリストどころか国作って宣戦布告しやがった。

 

『だが、この悪辣な支配に対抗する者たちは数多い。我々悪魔の派閥、旧魔王派は人類の解放のために立ち上がることをここに宣言する』

 

 そう告げると同時、魔法陣が発生して三人の人物が現れる。

 

 そのうちの一人はカテレアだった。

 

 ってことは、残りの2人も旧魔王派の奴か!!

 

『彼等四大魔王の末裔たちが、我々とともに立ち上がってくれた同士達だ』

 

 そして、言葉とともに霧が生まれ、さらに大量の人々が姿を現す。

 

 其の中には、曹操とゲオルクの姿もあった。

 

 英雄派の連中、ここにきて堂々と姿を現しやがったのかよ!!

 

「曹操……っ」

 

「まさか、彼も出てくるとは!」

 

 イッセーと木場が唸る中、リムヴァンはカメラに向かって笑みを浮かべる。

 

「世界各国に告げる。これから一定の猶予期間をあたえよう。それまでに、我々ヴィクター経済連合とともに人類の真なる発展のために立ち上がるか、傲慢たる神々に飼いならされるかを選ぶがいい!!」

 

 そして、リムヴァンは宣言した。

 

「宣言しよう。是こそが真なる世界の命運をかけた戦い、第一次真世界大戦であると!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この緊急事態に対し、聖書の教えでは急遽緊急会見が開かれることとなった。

 

 当然である。なにせ、悪魔とは聖書の教えに対する悪徳の象徴なのだ。

 

 その悪徳の象徴たる悪魔と和平を結ぶなどという事実に、すでに世界各国で大規模なデモが発生していた。

 

 本来鎮圧するべき警察も、デモが起きている国では大半が聖書の教えを信仰している。ゆえにその動揺はすさまじく、むしろ武器を提供して参加するものまでいる始末。

 

 さらにリムヴァンによってその神話的勢力とのつながりが示されたことで、数多くの国の国会議事堂などといった政治的重要施設を目標として暴徒が押し寄せているほどだ。

 

 一部の国に至っては、すでに国会議員などに死者が出ているほどの緊急事態。最早看過する余裕などなかった。

 

 会見に詰めかけた報道陣の中にも殺気立っている者がおり、一歩間違えれば大惨事が起きることもあり得た。

 

 ゆえに、会見場には多数の悪魔祓いが姿を現していた。

 

 聖水と聖書を使って悪魔を払う悪魔祓いではない。

 

 天使たちより光の力を借り、光の剣と銃で悪魔を殺す裏の悪魔祓いたちだ。

 

 その姿に、報道陣たちは戸惑うが、しかし注目するべきはそこではない。

 

 そんな緊張感のなか、教皇が姿を現す。

 

「……今回の、ヴィクター経済連合について、我々からの正式な見解を―」

 

 その、まさに同じタイミングで、ローマ教皇の背中に映像が映った。

 

 それは、どこかの学校の会議室を移していた。

 

 問題は、そこに映っている人たちだ。

 

 まるでお伽噺の世界から抜け出してきたかのような格好の者たちが集まっている。

 

 裏の業界になれているものなら、それが三大勢力の重鎮であることに気づいただろう。

 

『会談を始める前に、前提条件を一つ言っておこう』

 

 そして、紅の髪の男が口を開く。

 

 そして、其れに気づいた教皇は顔を真っ青にして叫ぶ。

 

「……待て、やめろぉおおおおお!!!」

 

 その狼狽ぶりに報道陣と護衛の悪魔祓いが唖然とする中、紅の髪に男は口を開いた。

 

『この場にいる者たちは全員、我々三大勢力の最重要禁則事項である、聖書の神の死を認知している』

 

『知ってるよ。うちのコカビエルがバラしたからな』

 

『もちろんわかっております。出なければ、この会談に参加することなどありえません』

 

 その瞬間、ローマ教皇は崩れ落ちた。

 

 その顔色は青を通り越して真っ青であり、呼吸も荒い。

 

 その反応が、今の言葉が事実であることを証明していた。

 

「お、おい。今……なんていった?」

 

「神が死んでる? 唯一神たる我らが神が!?」

 

「ど、どういうことですか教皇猊下!?」

 

 報道陣がカメラを取り落としながら口々にまくしたてる中、教皇は何とか口を開こうとして―

 

「どういうことも何も、何百年も前に聖書にしるされし神は四大魔王とともに死んだのよ」

 

 その言葉とともに、霧が生まれる。

 

 そして、其の中から一人の少女が姿を現した。

 

 金色の髪を伸ばした、一人の少女。

 

 その少女は、優雅に一礼した。

 

「初めまして、皆様。私、オルレアンの聖女であるジャンヌ・ダルクの魂を継ぐものです」

 

 その言葉とともに、ジャンヌ・ダルクを名乗った少女は微笑を浮かべた。

 

 しかし、それをすぐに消すと彼女はローマ教皇の前に立つ。

 

「さて、今まで信徒を騙していたことをバラされた気持ちはどうかしら、教皇猊下?」

 

「お前たちは……お前たちは、自分が何をしたのかわかっているのか!?」

 

 唾をまき散らしながら糾弾する教皇に、しかしジャンヌは平然としていた。

 

 何を言っているのかわからないとでも言いたげに、小首すらかしげる。

 

「あら? 本来速やかに公表するべき緊急事態を、今までセラフとともに隠してきたのはアンタたちでしょ? 私たちはその真実を公表しただけよ?」

 

 さらりと返答すると、ジャンヌは何処からともなく剣を生み出すと、それを大上段に振りかぶる。

 

「な、なにを―」

 

「決まっているでしょう? 20憶もの信徒たちをだまし、人類を裏から支配してきたものたちの小間使いになることで尊敬を集めていた、大罪人を罰するの」

 

 その言葉に、教皇は自分が何をされるのかを理解した。

 

 視線を周りに向けるが、しかし悪魔祓いたちは動こうともしない。

 

 それどころか、憎悪の視線すら向けて教皇を睨む。

 

「俺達を騙してやがったのか!!」

 

「今まで俺たちは、何のために生きてきたんだ……っ」

 

「返せよ、死んでいった同胞たちを返せ!!」

 

 糾弾すらする悪魔祓いたちは、教皇を助けようなどという意志をかけらも見せていない。

 

 もはや彼らに信仰心などありはしない。唯一絶対の存在を謳っておきながら、自分たちが生まれる前に死んでいたものなどを信仰してきたという無常さと、そこから反転した怒りと憎悪があるだけだ。

 

 あまりにもタイミングが悪かった。

 

 ただでさえ、これまで敵と教えられてきた悪魔や堕天使との和平で、彼等もまた気が立っていたのだ。

 

 それでもそれが主の決定ならばと我慢した。不満はあったがそれを飲み込んでいた。

 

 しかし、その主はとうの昔に死んでいたという。

 

 この急展開に、彼らははっきり言って血迷っていた。

 

 そして、それは取り返しのつかないところまで来てしまう。

 

「さあ、罰をうけなさい!」

 

 その言葉とともに、ジャンヌは剣を振り下ろす。

 

 その瞬間、世界中で絶叫がほとばしった。

 

 目の前で世界的に重要な立場であるローマ教皇が殺されたのだ。当然だろう。

 

 だが、それと同時に喝采もまたほとばしった。

 

 神の名を騙り、人類を先導してきた者たちの使いっパシリに裁きが下った。そう認識するものも数多くいた。

 

 そして、ジャンヌは教皇の首を切り落とすとそれを掲げる。

 

「今ここに! 我ら禍の団は最初の成果を上げた!! そして、偽りの支配から脱却する第一歩となる!!」

 

 その言葉に、報道陣は一斉にカメラのシャッターを切る。

 

 目の前で人が死んだことに対する恐怖はある。しかしそれは、それ以上の衝撃の事実の群れにかき消されていた。

 

 そして、その勢いで起こったこの断罪に、多くの者たちが興奮していた。

 

 悪魔祓いたちも、それがまるで正義の断罪であるかのように思い喝采を上げる者がいる。

 

「私はこの首とともに禍の団の本部へと凱旋するわ。……三十分だけ時間をあげるから、ついてきたい人はここをくぐりなさい」

 

 その言葉とともに、多くの者たちが躊躇する。

 

 なにせ、禍の団には旧魔王の末裔が存在している。

 

 いかに教えの根本が崩壊していたとはいえ、これまで敵対していた者たちと協力するのには躊躇いもあった。

 

 だが、やがて一人の悪魔祓いが一歩前を踏み出した。

 

「……俺はいくぞ」

 

「お前、何を言ってるんだ!?」

 

 止めに入る同僚を振り払い、彼は叫んだ。

 

「俺達は騙されてたんだ!! しかも、バチカンの連中はそれを知っていてずっと黙っていやがった!! 赦せるか!!」

 

 その言葉に、どよめきが起こり、同じように歩き出す者たちが次々と出てくる。

 

 また、会見場の外側にいた悪魔祓いたちも、次々と押し寄せてきていた。

 

「俺も行くぞ!! もうこんなところにいる意味なんてねえ!!」

 

「そうだ!! ヴィクター経済連合にこそ正義がある!!」

 

「俺達みたいな被害者を、出すわけにはいかねえんだ!!」

 

 彼らは意気揚々と声を張り上げ、霧の中へと入っていく。

 

 そして三十分が過ぎようとしたとき、ジャンヌはカメラに向かって深く一礼した。

 

「ヴィクター経済連合に与したいものはいつでも電話で連絡して頂戴。 私たちは、霧とともに迎えに行くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、世界は文字通り二分された。

 

 神々及びそれに従うことを良しとする勢力と、それを良しとせず、神々から独立することを選んだ勢力。

 

 大義と大義がぶつかり合う、文字通りの大戦が幕を開けることとなる。




曹操・リムヴァン「大義と戦果げっと!!」

はい。実は一度でいいから自分がやりたかった「聖書の神の死をばらす」をやってみました。

ぶっちゃけ、旧魔王派はまずこれをやるべきだと思うんですよ。そうすれば聖書の神の勢力はほぼ確実に大打撃を与えられますから。








とりあえず、これで第一章は終了しました。

次からは冥界合宿のヘルキャット編と体育館裏のホーリー編を続けざまに行う、話になると思います。

いまだ戦ってないペトがどういうタイプなのか。そして彼女が神滅具持ちであるリセスの相方として相応しい存在であるのかを刻み込んだりします。

それに、こっから魔改造キャラもポンポン出てきますので、お楽しみに!
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