ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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戦いは終わり、そして祝賀会が始まる―


第二部二章 11

 

 戦闘は、終了した。

 

 フードフェスタを狙った新秦は、戦闘中にヴィクターの強襲を喰らう事になり大打撃を受ける事となる。

 

 それと同時にオーシャンズK9も攻撃部隊が大打撃を受ける事となり、組織としては大きなダメージを負う事となる。

 

 貞淑委員会も実働班にある程度のダメージを受け、こちらも組織的に規模がいったん縮小。中華人民共和国からはいったん手を引く流れになった。

 

 それ以外にもいくつものテロ組織が動いていたが、その殆どは圧倒的な迎撃態勢によって壊滅。上記三組織を遥かにしのぐ打撃を受けた。規模が小さい事もあって、再興には何十年もかかる可能性すらある。

 

 ほぼ無傷なのは三情ぐらいだろう。薬網などといった犯罪組織は其の在り方ゆえに今回は手を出していないので、そもそも損傷を受けていない。ヴィクターに至っては使い捨ての兵器であるドーインジャーが殆どなので、ダメージという程の事もない。

 

 とは言え、かといって何の問題もないかといえばそういうわけでもない。

 

 ヴィクター経済連合による軌道降下戦術は、その危険性ゆえにどうしても対策が必要になるだろう。しかし、同時に完全な対策は不可能に近い。

 

 転移妨害などの術式は急激に発達している。それゆえに、転移での強襲はそう簡単にはいかなくなったのが現状だ。

 

 非常に優れた転移能力を持つ者が、しかしある程度の中小規模の部隊編成でしか転移は困難なのが、要所要所の状況だ。スパイなどを入れて情報を手に入れるという抜け道はあるが、そう簡単にいかないのが現状でもある。

 

 しかし、軌道上からの強襲戦術は全く違った対策が必須だ。

 

 新たに開発されたドーインジャーは脅威だ。軌道降下戦術専用に開発された、O型ドーインジャー。人間サイズのドーインジャーによる、大気圏外からの強襲戦術に完全に対抗するのは不可能であろう。

 

 流石に衛星軌道上への転移を完全妨害する事など不可能。かといって対空網を強化するにしても、人型サイズが相手ではそれも難しい。

 

 この対策を取り難い敵の新たな戦術に、首脳陣は頭を悩ませる事になるのは確定的な事実だった。

 

 しかし、同時に新たな戦力の存在が心強くさせてもくれる。

 

 須弥山が抱え込んだ特殊部隊。その名を、天帝先陣。

 

 彼らの戦闘能力により、地方都市各部で起きたテロは即座に鎮圧された。

 

 ピースキング和平連盟が誇るD×Dと肩を並べる戦いすらしてのけたその実力は、まさに強大。一人一人がヴィクターの精鋭とも戦える実力者だった。

 

 そして、帝釈天はこのテロの数日後に、天帝先陣の一部をD×Dとの連携の為に、構成組織として出向させる事を正式に発表。

 

 一部ヴィクター経済連合に所属していた英雄派のメンバーがいた事が発覚して揉める時もあったが、当人の了承のもと徹底的な安全対策を取ったうえ、彼らが攻撃を仕掛けた各都市に賠償金をローンで払う事を確約した為、それも薄まっていく。

 

 そんな新たな若き戦士達の活躍もあって潜り抜けた、地方都市では、一部VIPや根性のある人達が、フェスタを再開させてもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オッス、俺、イッセー!!

 

 おっぱい大好きで高校生のジョブである覗きをたしなむ、男子高校生だ。

 

 今日はそんな覗きの所為で殺されかけたけど、いくらなんでも殺されるほどの事してないよな? いや、毎回バレたらボコられるけど、それでも殺されるほどの事はしてないと思うんだけどなぁ。

 

 ま、それはともかく俺達は、特別に用意された部屋でフェスタで出されてる食事を取り寄せて簡単な祝勝会をしてる。

 

 異人第一特務隊と、オカルト研究部でのパーティで、美味しい食べ物がいっぱいあって結構楽しみたい。

 

 そう、楽しみたいんだけど―

 

「どうした赤龍帝。箸が進んでないぞ?」

 

「いや、誰の所為だよ!!」

 

 俺がツッコミ入れたのは、英雄派の影使い。

 

 さっき名乗ってもらったけど、コンラっていうらしい。

 

 まあそれは良いんだけど、こいつらも普通に参加してるんだよなぁ。

 

 もぐもぐとシチューを食べながら、コンラは肩をすくめる。

 

「何を怒鳴ってんだ。制約として術式を掛けられて、しかも共闘した仲だろうに」

 

「そんなところまでケルト風にせんでもよいだろうに」

 

 呆れ顔でハヤルトさんがそう突っ込んでくれた。

 

 え? ケルトってそんなノリなの? マジかよ。

 

 俺がぶっちゃけドン引きする中、堂々と飯食ってるゼノヴィアが、ムッとした表情を向けた。

 

「何を言うか。ヴィクターの中でも頭のねじが外れていたお前達英雄派が、何故堂々と帝釈天の傘下に収まっているんだ」

 

「堂々と喰いながら言うか、普通」

 

 ヒロイとやり合った奴。ローゼンクロイツと名乗った男のツッコミが正論すぎて泣ける。

 

 ゼノヴィア。お前、もうちょっと警戒してようよ。

 

「ま、そりゃ確かに曹操達は色々やらかしてたからなぁ」

 

 そんなことを言いながら、ペルセウスはペルセウスで、饅頭を食ってるし!

 

 緊張感持ってくれない!?

 

「まあ、確かに警戒心が出るのは仕方ないでしょうが、そこはご安心ください」

 

 と、天帝先陣のリーダーをやっている良鈴(リャンリン)さんが、苦笑しながら両手を前に出してまあまあとしてきた。

 

 割と額に汗が浮かんでいる辺り、この人も苦労してるんだろうなぁ。

 

「とりあえず、須弥山の高位の術者による裏切り防止の術式はかけられております。何かすればすぐさま術が発動するので、裏切りたくても裏切れないですから」

 

「まったくだ。それに裏切るまでもなく好待遇だからな」

 

 と、コンラがはっきりそう言う。

 

 そこには、もの凄いヴァーリっぽい戦闘狂の雰囲気があった。

 

 何だろう、凄い嫌な予感がする。

 

「いずれ天帝が起こすシヴァ神との戦い、その一番槍などという名誉があるんだ。投げ捨てるなんてもったいないだろ?」

 

 ……今凄い事言ったよ。

 

「あ、安心してください!! 比較的文句を言われない方法で起こす算段は付いていますので!! コンラも、誤解を招く事を言わないでください!!」

 

「いや、算段が付いてなければ本当に戦争起こしかねないだろ、あの天帝」

 

 良鈴さんが慌てるけど、それを台無しにする発言をペルセウスが言っちゃったよ!!

 

 おい帝釈天! あんた何考えてるの!?

 

 もう勘弁してくれよ! ヴィクターだけでも手いっぱいだってのに、そのあと更に戦争あるの!? マジ勘弁してぇえええええ!!!

 

「……まあ、当面は大丈夫であろう。その算段には心当たりがあるし、その算段で辺りを付けられないのでは、帝釈天殿はシヴァ陣営には勝てぬだろうしな」

 

 と、ハヤルトさんがそう言い切った。

 

 え? 心当たりあるの?

 

「……ハヤルト。いったい何があるのかしら?」

 

「安心せよ、そろそろ発表される頃だろう。……後十分もせんだろうな」

 

 と、リアスの質問にハヤルトさんは言葉を濁す。

 

 何だろう。ハヤルトさんとは短い付き合いだけど、こういった事に悪意を向ける人じゃないから酷い事にはならなそうだけど……。

 

 と、話が安定化したのか、ローゼンクロイツがウーロン茶を飲んでから話を戻した。

 

「まあ、話を戻すぞ。単純に言えば、英雄派は腐敗しやがったんだ」

 

 そう、苛立たし気にローゼンクロイツは吐き捨てた。

 

 ……腐敗した?

 

「どうしたのよ? 曹操達が死んだ事で何かあったの?」

 

 イリナが代表して質問すると、コンラが肩をすくめる。

 

「腑抜けたともいえるな。曹操達が死んだ事で、英雄派の六割は先駆者(英雄)になる事を諦めたのさ」

 

 思い出すのも嫌なのか、コンラの額には青筋が浮かんでる。

 

 な、なにがあったんだ?

 

「ま、そこの天使さんの言う通り。頭が抜けた事で、意識が低くなったのさ」

 

 ペルセウスが肩をすくめてそう言ってくる。

 

 英雄派。英雄の末裔や神器保有者で構成された組織。

 

 中にはコンラのように、神器の所為でまともに生きられなかった奴もいる。っていうか、どうも恵まれた出身の方が少ないっぽい。

 

 そんな奴らは、指南役としてリムヴァンが復活させた森長可の指導と話で、一つの道を見つける。

 

 英雄。戦国乱世をいろんな理由で駆け抜けた、歴史に名を遺したり残せなかったりした、人より前に進んだ者達。

 

 英雄派は、そういう先駆者になりたいというロマンに生きる集団だった。少なくとも曹操はそういう組織として運営していた。

 

 俺には先駆者になりたいなんて気持ちはないけど、そこに女体があるなら覗きたいって気持ちはある。そういう意味じゃあ同類だ。

 

 それが、変わったのか。

 

「……曹操達がいなくなった後の英雄派は、心が折れたりした者が多くてな。末端の比較的安全な下部組織に逃げ込んだりした連中が大多数だ。……生き抜いた曹操達に憧れず、怯えた連中がゴロゴロと出てきやがった」

 

「有力な受け皿となったクヌート組合(ギルド)に与した連中も、金稼ぎで動くようになっちまった。それを否定する気はないが、先駆者たらんとするロマンを追求を前提とした、我達英雄派の在り方とはもう反している」

 

 と、コンラとローゼンクロイツは苛立たし気に吐き捨てる。

 

 な、なるほど。今の英雄派の残党達は、属っぽくなっちまったってわけか。

 

 いや、そっちの方がある意味世間様にとっては良い事かもしれないけど。覗きにロマンを感じる俺からすれば、思うところもあるな。

 

 ロマンは大事だろ、ロマンは。

 

「ま、そういうわけで、曹操が残していた天帝へのホットラインを使って、残った連中は天帝に自分達を売り込んだんだよ」

 

 そして肩をすくめながら、ペルセウスはそう言う。

 

 そして、良鈴さんもそれに頷いた。

 

「はい。天帝に「シヴァに対抗する為の尖兵」として自分達を売り込んだコンラ達は、自ら進んで逆らえないようにする術式を刻み込んだうえで、こうして私が統括する事になったわけです」

 

 そう苦笑する良鈴さんだけど、その時何かにふと気づく。

 

「……っと。そろそろ時間ですね」

 

「む、もうか? もう少し時間があると思ったのだが」

 

 と、ハヤルトさんがそう言ってきた。

 

 それに対して、今迄モムモムと日本食を食べていた女の子が首を傾げる。

 

「たぶん、時差を計算に入れてないと思うです」

 

「まあいい。ちょうどテレビがあるからな。それを見りゃいいだろ」

 

 そう言って、フリードやジークフリートになんか似ている白髪の男がテレビをつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……凄い事が始まっちゃってるよぉ

 




時期的には二月中旬。

そう、あのイベントの発表が遂に行われます!
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