ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、D×Dで二月中旬となれば、これです!!

第五部の、メインイベントですとも!!


第二部二章 12 国際レーティングゲーム大会

 

 僕、サラト・アスモダイは、その映像を見て、やっとかと思った。

 

 一応義兄さんからある程度聞いていたけど、まだ公表されてない情報だからしゃべってしまいそうでちょっと怖かったからね。

 

 うん、でもその心配もないわけだ。

 

『……ピースキング和平連盟の中核組織の一つである、悪魔。その悪魔で行われているレーティングゲームがあるのは、この放送を見られる方々なら多くがご存じでしょう』

 

 そう告げるアナウンサーは、興奮を隠し切れない様子で、テロップに指をさす。

 

 そのテロップは、こう書かれていた。

 

『その国際大会が、今年四月からの開催を前提として、行われるという突然の発表が行われました!!』

 

 その光景に、リアス様達は目を見張っていた。

 

「……と、いうわけだ。因みに優勝賞品は「世界に混乱を生まない限りで、運営陣が用意する事ができる願い事を叶える」だそうだぞ?」

 

「そこまでしゃべっていいんですか?」

 

 良鈴(リャンリン)さんがそう言うけど、義兄さんは得に胃にも介していない。

 

「どうせすぐに分かる事だ。間違いなく参戦チームの中には神クラスも出てくるであろうしな」

 

「まあ、天帝はその優勝賞品でシヴァ神相手に誰にも文句を言わせずに勝負を挑むつもりですが」

 

 兄さんの言葉に、良鈴さんも苦笑する。

 

 その事情を知っている者の訳知り顔の言葉に、誰もがそれが真実なのだと理解する。

 

 とはいえ、事が事ゆえにどうしても驚いてしまう。

 

「あ、アジュカ様は本気でそんな事を考えているの!?」

 

 狼狽するリアス様の気持ちも分からなくはない。

 

 現在は大絶賛第三次世界大戦の真っ最中だ。いったん小休止状態になっているとはいえ、ヴィクターはいまだ健在である。

 

 冷戦状態ではない。あくまで戦争状態で、膠着しているだけなのである。

 

 その状況下での、新たな国際競技大会。それも、レーティングゲーム。

 

 まず間違いなく文句を言う者も出てくるだろう。余裕がないとも、空気が読めていないとも言う者は出てくるはずだ。

 

 しかし、ハヤルトはそれに対して平然としている。

 

「だからこそなのだよ、リアス嬢」

 

 そう前置きすると、ハヤルトは指を一本立てる。

 

「理由は三つ。一つは、必要不可欠である強者育成」

 

 それが、第一の理由。

 

「一の実戦は百の訓練に勝るとはいえ、実戦は常に死の危険が高いものだ。レーティングゲームのように実戦に近しい競い合いで鍛え上げられるのなら、それに越した事はあるまい。まだ見ぬ強者を発掘できる機会でもあるしの」

 

「二つ目は、まあ、天帝とかですね」

 

 と、苦笑しながら良鈴が二つ目の理由を語る。

 

「莫大な商品を餌に、天帝のように色々と考えている人を抑え込みたいんですよ。平和的に野望が叶えられるのなら、敵が少ない分リスクは少ないから乗っかる人は多いでしょう?」

 

 身もふたもないというか、その筆頭に仕えているお前が言うなという感情も出てきそうだが、確かに事実である。

 

 酔狂な人物でもない限り、リスクを避けて願いを叶える手段があるなら、そちらを選びたがるのは人情だ。

 

 そういう意味でも、馬鹿な事をさせない為の牽制にして誘導に使えるだろう。世界に混乱を生まないという釘も挿しているのが効果的だ。

 

 その言葉に頷いてから、ハヤルトは更に最後の理由を告げる。

 

「そして第三。いわばヴィクターの対する示威行動だ」

 

 そう、それこそが三つ目の理由。

 

 ヴィクターとの戦争がいまだ継続しているこの状況。だからこそ、できる事も存在するのだ。

 

「要はこちらの強大さを改めて示してやるのだ。そうすれば、戦意が削られる輩も少なからず出てくるだろう?」

 

「……要約。なめた事を言ってくる相手に喧嘩で鍛えた豪腕を見せてビビらせるというあれだ」

 

 と、福津がそう雑にまとめてくれる。

 

 雑故に分かる者も多いらしく、納得したのか頷いた者も多い。

 

「……とはいえ、面白い趣向といえば趣向ね」

 

 と、リアスは乗り気のようだ。

 

「同感だ。私とエクスカリバーとデュランダルがどこまで通用するか、興味はあるな」

 

「多分これ、私は転生天使でチームを組むことになるのかしら?」

 

「ファーブニルさんはどういったあつかいになるのでしょうか……?」

 

 と、教会三人娘も会話に花を咲かす。

 

 それを微笑まし気に見ながら、イッセーはふと気づいた。

 

 そういえば、この国際レーティングゲーム大会は、文字通り国際であるがゆえに悪魔以外も参加できるのだろう。

 

 帝釈天は参加するつもりなようだ。それで優勝賞品でシヴァと戦おうなどと考えているらしい。

 

 と、いうことは―

 

「良鈴さんでしたっけ? そちらは帝釈天……のチームで参加ですか?」

 

「いえ、天帝先陣は独自に参加する予定です」

 

 と、良鈴はそうにこやかに答える。

 

 それに対して、コンラとローゼンクロイツは戦意を明らかに燃やしていた。

 

 まだ見ぬ強敵、そして神。強者達との戦いに興奮する、戦闘狂の表情だ。

 

 元より英雄派は、戦闘における先駆者を目指す組織。中でも彼らは、幹部の戦死によって腑抜けた者達を見限って、より強者と戦えるだろう側に就いた者達だ。必然的に戦いに歓喜を覚える性質だろう。

 

 2人揃って、既に今か今かとワクワクし始めていた。

 

「天帝からも許可は得ている。そもそも、俺達に負けるようではシヴァ神には勝てないだろうしな」

 

「我も天帝と戦いたくて楽しみだぜ。接待試合など欠片もする気はないな」

 

 天帝に与した側なのに、天帝を叩き潰す気満々なのはいかがだろうか。

 

 誰もが大体そんな感じの感想を抱くが、2人揃ってまったく意にも介してない。

 

「……なんか、悪いな」

 

「いえいえ。そちらも苦労なさっているようで大変ですわね」

 

 いたたまれなくなって謝ってきたペルセウスに、朱乃が苦笑をしながらコップにお茶を注いだ。

 

「……そういえば、殆どの奴らには自己紹介をしてなかったな」

 

「あ、そういえばそうです」

 

 と、そこで白髪の男性と小柄の少女がはたと手を打つ。

 

 そして注目を浴びる中、男性がまず片手を上げる。

 

「……シグルだ。元々教会出身だが、主が既に亡くなられているからな。辞めたうえで天帝先陣にスカウトされた」

 

 それに合わせて、小柄な少女もちょこんと頭を下げる。

 

「壱与といいます。魏志倭人伝で卑弥呼の次代を担当した、壱与の魂を受け継いでいて、柴又で天帝にスカウトされました」

 

「天帝先陣は世界各地で天帝お呼びその使いがスカウトした人員が基本です。素質込みで拾われているのでまだまだの者もいますが、脚は引っ張らない事をお約束します」

 

 良鈴はそう告げて、そしてまだ残っているテーブルの料理を指しめした。

 

「それでは食事を続けましょう。この国は18歳以上なら飲酒ができますので、試し飲みをする気があるなら用意させますよ?」

 

「うむ! ちなみに余は実年齢は壱〇〇歳以上なので当然頼むのである!!」

 

 と、ハヤルトが真っ先に酒を頼んだりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれなりに楽しんでから、異人第一特務隊とオカルト研究部は日本へと帰還する事になる。

 

 そんな中、サラトは一応休暇出来ていた事もあり、夜空の下散歩をしていた。

 

 ……年齢的な都合で酒こそ飲んでいなかったが、少し食べすぎた。腹ごなしに散歩をしてから眠った方がいいだろうという考えだ。

 

 そんな中考えるのは、国際レーティングゲームだ。

 

 立ち位置故に国際レーティングゲームの開催そのものは、ハヤルト経由で既に知っていた。優勝賞品もきちんと知っている。

 

 ハヤルトは参加するつもりだ。そして、最低でも上位入賞を目標としている。

 

 優勝賞品が目的なのではない。相応の成果を上げるという事そのものが目的だ。その為に、ハヤルトは色々と考えている。

 

 サラトもその考えと目的に賛同しており、義兄(あに)の為に力になる事を決めている。

 

 とは言え、現段階ではその戦いは熾烈を極めるだろう。

 

 ハヤルトの推測では、神々の参戦も数多いと判断されている。加えて、良鈴の発言により帝釈天の参戦は確実だ。

 

 そして、若き英雄達D×Dの猛者達。特に、魔王化に至ったヴァーリ・ルシファーは全盛期の天龍に届く力を手にしている。

 

 勝ち残るのは至難の業だろう。少なくとも、今の眷属全員では上位に入賞は困難だ。

 

 そんな事を思うと少しため息をつきたくなったので、とりあえず少しついてみる。

 

「……いや、このままだといけないよね」

 

 直ぐに考え直した。

 

 この国際レーティングゲーム大会。ペトが参加するかは分からない。

 

 だが、間違いなく見るだろう。イッセー達も出るのだから当然である。

 

 ……無様なところは見せたくない。

 

 凄まじくくだらないプライドだ。自分でもそれぐらいは簡単に分かる。

 

 だがしかし。

 

 好きな少女の前でかっこ悪いところは見せたくない。恋する少年なら、大半が持っているだろう願望である。

 

「うん、これは、負けられないね」

 

 直ぐにそう考え直すと、サラトは息を吸って、気合を入れる。

 

 勝てるかどうかは分からない。だが、情けない戦いはを見せるわけにはいかない。

 

 いずれ本格的にペトの彼氏となる為にも、こんなところで躓くわけにはいかなかった。

 

「よし! 過剰にならない程度に少し走ろう!!」

 

 そう決めると、サラトは腹ごなしの散歩を通り越してトレーニングの為のランニングを敢行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ハヤルトは自室で静かに目を伏せていた。

 

 この大会。なんとしても好成績を残したい。

 

 欲しいのは優勝賞品ではない。優勝できるならそれに越した事はないが、それで叶えるような願いではない。

 

 必要なのは実績だ。それも、魔王の末裔に相応しいと誰もが認めさせれるほどの実績である。

 

 まあ、実際のところ必要性は薄いとアジュカには言われている。

 

 それだけ革新的だと言われているし、反対派閥が大幅に減衰している現状で、魔王直系のハヤルトのこの提案を飲まないという選択肢もないだろう。旧家にとっても悪い提案ではないとすら思っている。

 

 だが、それに甘えるわけにはいかなかった。

 

 そう、これはただの意地と言われればそれまでだ。

 

 ハヤルト自身が提案するこの政策。それをなすにあたって「ただ魔王の血を継いだだけの若造の思い付き」が通るのが納得できない。

 

 この提案を、「魔王の血を継ぎ、それに見合った実績と能力を示して見せた者」として通したいという、くだらない意地。

 

 しかし、それでも通したい。

 

 魔王アスモデウスの血を引いた者として。それだけに胡坐をかいていたクルゼレイを見限った者として。なにより、冥界の未来をよりよくしたいと願い一人の悪魔として。

 

 真に魔王の末裔を名乗るに相応しい存在として、正しい意味で冥界の未来をよりよくしたいと願うから。

 

「……この国際レーティングゲーム。必ず成果をなして見せる」

 

 静かに夜空を見上げながら、ハヤルトは決意を固める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……あと二月足らずに開催される、国際レーティングゲーム。

 

 その国際大会で要注目となるチーム。

 

 魔極の蠍チームの戦いは、既に今から始まっているのだった。

 

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