ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そしてカルディナーレとの大激戦です!!


第二部二章 14

 

 亜音速で接近する巨大な物体があった。

 

 全長は500メートル前後。それだけでも、異形技術を含めても巨大な戦闘艦艇だった。

 

 そして、それを直接見た事がある者が、極わずかにだが存在する。

 

「……おいおい。ここでこれがきちゃうのかよ」

 

 今回の追撃作戦の為に、天界から派遣された御使い(ブレイブ・セイント)の1人。ジョーカー、デュリオ・ジュズアルドだ。

 

 彼は、あれと似た姿の飛行戦艦を見た事がある。

 

 それはカルディナーレ聖教国が生まれる少し前。教会で起きそうになったクーデターを鎮める為、自分達が教会の戦士達と戦った時だ。

 

 大切な思い出を思い出しても、しかしそれゆえに悪魔に対する敵意を強くして徹底抗戦を決意した、相容れない者達。

 

 そんな彼らを助け出す為に乱入してきたのが、あの船と同型と思われるものだ。

 

 すなわち、カルディナーレ聖教国の戦力ということだろう。

 

「ジョーカー! 追撃の為の人間達軍事部隊との合流にはまだ時間がかかります!! 急がないと!!」

 

 新入りの御使いがそう言いながら、少しでも急ごうと飛行速度を上げる。

 

 気持ちは分かる。自分達は天使であり、信徒達を導き慈しむ役目がある。

 

 ならば、その自分達の不手際で生まれたカルディナーレ聖教国の者達によって死人が出る事は避けたいのだろう。

 

 だが、うかつに前に出れば―

 

『……御使い(ブレイブ・セイント)の諸君、聞こえておるか?』

 

 ―そのタイミングで、通信が届く。

 

 凛とした、若くしかし強さのある声が、焦る御使い達の心に響き、落ち着きを取り戻させた。

 

『余は日本所属、国外自衛隊第一異人部隊のハヤルト・アスモデウスである。既にそちらには余らが向かっているので、卿らは卿らの役目を果たすがよい』

 

 そう言いながら、ハヤルトは更に声を続けて放つ。

 

『現在、敵母艦からは飛翔物体及び降下物体を確認している。どちらも十数メートルはある上、どうも生物的な形状を取っている事からゴーレムの類と思われるが詳細は不明だ』

 

「だけど、敵さんの戦力って事は間違いないよねぇ」

 

 言葉を繋ぎ、デュリオは戦闘態勢を取りながら前を向く。

 

 どうやら、今回の戦力はあれを中心にして挑んでくるようだ。

 

 なら自分がやる事はただ一つ。

 

「じゃ、俺達は向かってくる連中から身を守る事を考えるのが一番かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、先ずは我々の相手をしてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、雷撃、灼熱、氷雪、暴風といった様々な属性の暴力が、デュリオ達に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なにあれ!? いや、なにあれ?

 

 僕はぽかんとしながらも、訓練のおかげで適切な速度で飛びながら、その飛行戦艦をまじまじと見つめていた。

 

 いや、飛行戦艦とかどこのSFだよ。ツッコミどころが多すぎるよ。

 

「……想起。確かカルディナーレが似たようなもので教会から離反を決意した者達を助けに来ていたな」

 

 福津兄が、横目でそれを確認しながらそう呟く。

 

 ってこれ、もしかして僕達が思ってたのよりカルディナーレは全力で潰す気だったりするのかな?

 

 シシーリア姉もプリス姉もそれに関しては同感なのか、少し冷や汗をかいている。後ろで追撃している小隊の人達も少し動揺していた。

 

 これは、ちょっとまずいかな?

 

『総員、聞こえるか?』

 

 あ、義兄さん。

 

 僕達が思わず気合を引き締め直すのと、義兄さんの言葉が続くのは同時だった。

 

『第一小隊は人類側の軍隊との合流を優先せよ。特務分隊はいったんそこで止まるのだ』

 

 ……なんか、嫌な予感がするんだけど。

 

 そして、その嫌な予感は実感できた。

 

 あ、聖なるオーラ。

 

『……敵だ』

 

「「「「了解!!」」」」

 

 素早く立ち止まると、僕は速攻で神滅の守護者(ノウブルボート・フルメイル)を展開。更にプリス姉が分隊と小隊を分断するように氷の壁を形成する。

 

 そのとたん、放たれたのは聖なるオーラを纏った光力の槍。

 

 規模が大きい。出力が大きい。質も非常に高い。

 

 しかも、あれは神殺し!?

 

「福津兄、シシーリア姉とプリス姉は任せた!!」

 

「無論! 迎撃は頼むぞ!!」

 

 流石にあれの直撃は福津兄でもまずい。なにせ聖なるオーラだから悪魔にとって天敵だ。

 

 余波でもシシーリア姉やプリス姉でもヤバイ。二人の防御力は上級悪魔クラスだから、ホントにキツイ。

 

 なので、ここは僕が出る他ない。

 

 神滅の守護者で活性化した黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の合わせ技なら……!

 

 全力を込めてオーラの槍を構え、更に煌天雷獄で聖なるオーラを活性化。

 

 それが間に合った瞬間、攻撃が来た。

 

 うわわわ……っ! 流石に凄いけど―

 

「―でも耐えた!!」

 

 凌いだよ!!

 

 そして、それと同時に放った相手も見えてきた。

 

 飛行魔法で接近してくるのは、一個小隊規模の敵部隊。

 

 ……まずいね、あいつ等、一人一人が中級天使クラスはある。しかも何人かは上級クラスだ。

 

 なにより戦闘にいるちょっとギャルっぽい人は、あれ最上級どころか神クラスだよ。本気でまずい……っ!

 

「皆! とりあえず一番強いのは引き受けた!!」

 

「了解です! あまり離れすぎないでください、私の戦力がダダ下がりなので!!」

 

 シシーリア姉が僕と共振して黄昏の聖槍を具現化させながら答えてくれる。

 

 そして、その返答を胸に、僕は速攻で砲撃体勢。

 

 とりあえず半分ぐらいは吹き飛ばす!!

 

「トリニティ……ブラスター!!」

 

 放たれる三門の砲門からの一斉砲撃。

 

 それを真正面から見据えながら、先頭の人が両手を交差する。

 

 そしてそこから神殺しのオーラを纏った光が放たれて、トリニティブラスターを真正面から受け止めた!?

 

 嘘!? 完全に防いじゃった!?

 

「甘く見ないでよね!!」

 

 そして突貫するその人は、両手から光の剣を生み出すと切りかかる。

 

 あ、全部聖なるオーラと神殺しのオーラ籠ってるよ。まずい!

 

「うわっとぉ!?」

 

 慌てて避けて、こっちもオーラの槍とシールドクローを展開。接近戦を開始する。

 

 そして同時に、神滅の守護者のセンサーが敵の神器を解析してくれた。

 

 ―天使の鎧(エンジェル・アームズ)黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の複合禁手(バランス・ブレイカー)の可能性、98%。

 

………はい?

 

「嘘でしょ!?」

 

 な、なんでカルディナーレ聖教国が黄昏の聖槍を持ってるんだよ!?

 

 そう思った瞬間、ガードが甘くて勢いよく弾き飛ばされた。

 




はい、カルディナーレはテロ組織としては三情すら超える超精鋭なので、かなり強敵になっております。

神滅具を保有している理由に関しては、あともう少しお待ちください。

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