ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
この第二章。いうなれば赤龍帝覚醒編とでもいいましょうか……。とりあえず、VS旧魔王派偏といったところですね。原作でいうのなら、ヘルキャット編とホーリー編をやります。
ですが、双方ともに後半の展開は原作とは異なります。……なにせ戦争やってますから。思い通りに行くわけがない。
第二章 1 一周回って落ち着くってよくあるよね
……ヴィクター経済連合の設立から数週間。意外なほどに世界は静かだった。
ヴィクター経済連合は「民間人に罪はない」として、経済活動そのものは連合以外に対しても多少割高に行っていたからだ。
それも魔法を組み込んだことでより物価はむしろ安くなり、多くの国がその恩恵を受けてる。
その所為で、クーデターで独立したり政権奪取された国家以外にも、協力を表明する国家がいくつも出てきてた。
日本に関しては、敵に回すとややこしいことになると判断したのかアメリカがかなり優遇政策をとってるので今のところは落ち着いてる。
しかも平和ボケと揶揄されるこの日本。不安になってるやつもいるけど、夏休みってことで観光ムードになってるやつらもゴロゴロいる。
流石にちょっと安心しすぎじゃねえか?
憲法九条はこっちから殴りかからないってだけで、それをいいことに殴りに行く馬鹿はいくらでも出てくると思うんだけどよぉ。
「ま、平穏無事に過ごせるってのはいいことなんだけどよ」
「まあそうね。この国のいいところは世界でも有数に平和なことなんだし、それがなくなるのは寂しいわ」
俺のボヤキに、姐さんも同意する。
姐さん、もしかして結構荒れた地域に住んでたのか? 平和とか大事にしてるっぽいけど。
ま、英雄なら戦争を好むより平和の為に戦う方がいいか。そんな英雄が俺の輝きだってのは、最高にラッキーだぜ。
そんなことを思っていると、ペトが姐さんの持っている地図を覗き込んだ。
「お姉さま。それでイッセーの家は何処っすか?」
「そうね、地図ではこの辺りのはずなんだけど……」
「あ、其れなら俺行ったことあるから大丈夫だって。そこの角を曲がったところに……」
と俺は指を指して、固まった。
「んん? あんなビルあったか?」
なんか、イッセーの家がある方向に、どでかい建物があった。
何ていうか、明らかにビルじゃねーか?
「なんだ、あの場違いなビル」
「無駄に豪華っスね」
ペトと俺はぽかんとするが、姐さんは何かに気づいたのか苦笑した。
「あらら。グレモリー家は娘の仮住まいにも本気を出しすぎでしょ」
「「へ?」」
二人揃って首を傾げると、姐さんはクスリとほほ笑んだ。
「たぶん、あれが増築されたイッセーの家よ」
俺とペトは、その言葉に顔を見合わせて。
「「えぇええええええええ!?」」
一斉に絶叫した。
いや、増築しすぎだろうが!!
「いや、マジでびっくりしたって。朝起きたらいきなりでかくなってんだもん」
と、イッセーは感想を漏らした。
おいおい、肝心の本来の住人に何も言ってなかったのかよ。
「リアス。あなたはあくまで居候なんだから、もう少し礼儀というものを弁えなさい」
「い、いいじゃない。どうせ遅かれ早かれ私の家にもなるんだから……」
姐さんに説教されて、お嬢は口を尖らせる。
お嬢。あんたちょっとは自重しましょうや。自分のペースで活動しまくり。
この新生兵藤邸。地上七階建てで地下三階というものすごいスケールだ。
ちなみに俺や姐さん達は七階に住むことになってる。
地下には大浴場があるんだが、たぶん女性陣が占有するんだろうなぁ。ま、俺はシャワー派だからそこまで気にしねえけどよ。
「俺、自分
「つーか、お前の親父さんとお袋さん、こんな謎現象にパニクってないわけ?」
「なぜか平然と受け止めてた」
すげえ。大物だあの二人。
「それにしても、今年の夏はあまり楽しめないんじゃないかしら」
と、姐さんは呟いた。
それには俺も同意だな。
「それもそうだよな。せっかく教会の仕事から解放されたんで、夏はナンパでもしようかと思ってたんだけどよ」
「マジか! 俺も参加させてくれよ。松田と元浜の奴、童貞卒業して悟ったのか乗り気じゃなくてさぁ」
お、気が合うなイッセー。
平和ボケ日本万歳! 童貞卒業を試みるチャンスが、まさかあんな大事が起きた後に起ころうとは!!
俺達はそのまま馬鹿な話で盛り上がろうとして―
「あら? 私達は夏は冥界よ?」
お嬢から、そんなお言葉をもらいました。
「……………え?」
イッセーが、即座に地獄に落ちた人間のような顔をしやがった。
「イッセーくん、もしかして何か勘違いしてないかい?」
と、木場が苦笑して、イッセーの顔に表情が戻る。
「ただの里帰りだよ。故郷から離れてる学生が、夏休みに実家に戻るなんてよくあることじゃないか」
「あ!」
その言葉にイッセーはすぐに正気に戻ったらしい。
目に涙迄浮かべてほっとしてやがる。どんなこと考えてたんだよ。
「もう、イッセーったら。私とあなたは病める時も健やかなる時もずっと一緒よ? 千年万年単位で一緒にいるんだから」
お嬢、それもう告白っすよ?
「つーことは、当然眷属も連れていくっすか?」
「当たり前でしょ。上級悪魔の里帰りに眷属がついて行かないなんて、笑い話にもならないわよ」
ペトの軽口にお嬢は笑って答えた。
ま、貴族の里帰りなら側近は当然ついて行くわな。
「生きているのに冥界に行くなんて緊張します! 死んだつもりで行きます!!」
アーシア。君達悪魔なんだから死ななくても冥界行けるから。
「冥界には前から興味があったよ。だが、天国に行く為に主に仕えてきた私が悪魔になって冥界に行くとは。なんというか、皮肉を感じるよ」
ゼノヴィア。お前は自発的に悪魔になったんだろうが。
信徒悪魔二人が大ボケかましてる中、イッセーは少しだけ残念そうな表情を浮かべていた。
なんだ? 夏休み予定があったのか?
「そっかー。俺、夏休みもこっちにいるもんだと思ってましたよ。海行ったり温泉入ったりするつもりでした」
「其れなら大丈夫。うちのお城には温泉もあるわ。海はないけど、湖ならあるもの」
と、お嬢はイッセーに微笑んだ。
わーお。流石72柱の直系。格が違うぜ!
「それと前にも言ったけれど、同世代の若手悪魔が集まって、上役達に挨拶するから、それにも参加ね?」
「そういえば、四大魔王を輩出した世代と大王及び大公の後継者が同世代だったらしいわね」
お嬢の言葉に姐さんが、ふと思い出したかのようにそう言ってくる。
ああ、そういやそんなこと言ってたな。
出生率の低い悪魔で、そんな偶然が起こるとか、冷静に考えると驚くな。
「ちなみに俺も冥界行きだ」
と、そんな声が聞こえた。
俺達は驚いて顔を向けると、そこにはアザゼルが堂々とソファーに座っていた。
「そうなの? てっきりこっちで色々動くものだとばかり思ってたけど」
「ま、堕天使総督となると色々忙しいんだよ」
姐さんは平然と話してるけど、いつの間に!?
「あ、アザゼル? あなた、どこから入ってきたの?」
「あ? 玄関からに決まってんだろ」
平然とアザゼルは答えるけど、其れってつまりドア開けたのかよ!?
「全く気付きませんでした」
「そりゃ修行不足だな。俺は本当に普通に入ってきただけだぜ?」
「常態でそんなに気配消せるあなたは十分化物でしょうが」
木場に呆れるアザゼルに呆れる姐さんという、コンボが成立してやがる。
とは言え、最近のアザゼルにはめっきり助けてもらいっぱなしだ。
アザゼル自身が頭いい上、神器に対するアドバンテージが圧倒的に豊富だから、神器の性能向上に一役買ってる。
俺の場合、聖槍のオーラがあまり漏れ出ないようになって、なんていうか、より静かにより高出力になった。
これなら曹操ともっかいやり合った時はもうちょっと善戦できるたぁ思う。
木場やギャスパー、イッセーもだいぶ成長したみてえだしな。
「ぶっちゃけ俺はかなり忙しいが、其れでも面倒見てやるからありがたく思え。敬っていいんだぞ、エッヘン」
とても敬えない餓鬼っぽさを見せつけるアザゼルに、ペトが勢いよく右手を上げた。
「流石総督ッス! ついでに自分もご指導お願いするッス!!」
「いや、お前は今のスタイル完成してるから無理だな」
「酷いッス!!」
「だってお前、既に並の上級堕天使なら型にはめれる必勝パターン作ってんだろうが。最上級クラスとまでやり合えるレベル何て、もう俺が何か言うより自分で見つけた方が早いっつの」
なんだと!? そ、そんなレベルに迄高まってるってのか!?
思わず俺達は一斉にペトを見る。
その視線に気づいて、ペトはでかい胸を張った。ちなみに姐さんよりでかい。
「ふふっんス! 自分、これでもお姉さまの妹分やってるッスから!!」
すっげぇむかつくどや顔を見せつけるペトの後ろで、姐さんは苦笑してる。
「まあ、型にはまらないと同格相手じゃ勝率低いけれどね」
「あ、お姉さま酷いッスぅ!!」
おやおや、微笑ましい。
さて、それはともかくとして、冥界か。
実はちょっと興味があるな。俺も行けたら行ってみたかったんだが、流石に無理があるかねぇ。
「ああ、ヒロイもついでに来い」
「そうね、ついでに来るといいわ」
と思ったら、アザゼル先生とお嬢が同時にそう言った。
え? いいの?
「でも俺人間ですぜ!?」
「だったら俺がリアスの護衛として呼んだことにしてやるよ。ねえとは思うがヴァーリが仕掛けてくる可能性があるってことにしてな」
アザゼルがそういうと俺の頭をポンポンと叩く。
そんでもって、お嬢は俺の手を取ってくれた。
「あなたはもう、私達オカルト研究部のメンバーでしょう? それ位の我が儘は通せるわよ」
お、お嬢……っ
俺は、なんかぶわっと目に来るものが出てきてしまった。
「いよっしゃぁあああああ!!」
なんかすっげえレアな体験できるぜ!!
この夏休み、面白いことになってきたかもな!!
俺が思いっきりはしゃいでると、アザゼルはやれやれといわんばかりにため息をついた。
「そんなにいいことばかりでもねえだろ。お前ら、禍の団の事忘れてねえか?」
その言葉に、俺達は全員はっとなる。
そうだ。禍の団は宣戦布告を文字通り全世界に行いやがったんだ。
既に全世界の四割が事実上奴らの支配下に置かれている。
更に、突発的に反撃をしに行った国連軍は数時間で壊滅した結果、世界中で敗北ムードが漂ってるとのことだ。
無理もねえ。あのドーインジャーとかいう魔獣で乗り込んで、全ての軍艦を破壊することなく占領して勝っちまったんだからな。
実際、大半の連中は色々と落ち着いているというか状況を把握しきれてないたぁいえ、分かってる連中は割といる。
自殺者の数は、既に例年の数倍いってるし、キリスト教圏の国はかなり経済的にも混乱してるからな。犯罪件数だって軒並み急上昇だ。
ったく。ヴィクター経済連合め。なにもあんなことしなくていいだろうが。
「夏季休暇の最中かその後かは分からねえが、お前らはレーティングゲームを何度か経験する事になるだろう。俺はその方向でサーゼクスに打診してる」
アザエルは、そう俺達を見渡して言い放った。
いや、レーティングゲームってその名の通りゲームだろ? それも大人の悪魔の。
いろんな意味でお嬢達がやっていいのか?
「こんな時期にゲームなんて、していいの?」
「こんな時期だからだよ。転生悪魔は人間に堕天使、妖怪といった様々な種族が集まってるからな」
お嬢の怪訝な質問に、アザゼルはそう答えた。
なるほど。つまり様々な種族が集まっている禍の団との戦いの予行練習にはもってこいってやつか。
うっわぁ。俺もちょっとやってみたくなったぜ。
「しかも様々なルールでやり合うから、臨機応変に対応する能力も身につく。案外サーゼクス達はそこら辺を考えてこんなもん作ったのかもな」
そういうと、アザゼルはにやりと笑った。
ま、なんにせよ俺達は修行ってわけだ。
……俺の脳裏に、曹操の余裕ぶっこきまくりの表情が浮かぶ。
マジでむかつくが俺はあいつより弱い。少なくとも、あいつが本気出さずにおれをボコボコにしたのは間違いなく事実だからな。
だからって、そんな簡単に負けるわけにはいかねえ。
俺は、英雄になる男だ。あの時俺を照らしてくれたリセスの姐さんみたいに、人の心を照らす輝きになるって決めたんだ。
この夏休み、俺はフルに活用して強くなってやる。
ああ、待ってろよ冥界!! 俺は本気で修業させてもらうぜ!!
衝撃が強すぎて、一周回って落ち着いている世界。……ことが起こりすぎて誰も状況を受け入れられてないともいえます。
兵藤邸は上に一回分でかくなりました。そこにヒロイたちの住むスペースがあります。……メタ的に、主要オリジナルキャラはイッセーの家に住んでくれないと書きずらいというのがありました。
アザゼルですら手が付けられないぐらいに完成しているペトの戦闘スタイル。この子は本当に自分のペースに持ち込みさえすればかなり強い、神滅具の相方にふさわしい猛者です。おそらく初戦闘シーンは引くんじゃないかと思っております。