ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

34 / 324
第二章 2

 で、冥界に出発するその日になって、俺達は近くの家の駅に集合することになった。

 

 ちなみに、アザゼルと姐さんはスーツ姿だが残りは駒王学園の制服だった。なんでも、グレモリー眷属にとってはこれが一番の正装だとか。

 

 聖槍使いの正装……我ながらだせえおやじギャグ考えついちまったぜ。

 

「つーかお嬢。冥界行くのに、なんで人間界の駅に向かってんすか?」

 

 マジでそこが疑問だ。

 

 普通に考えりゃぁ、魔方陣使って転移とかじゃねえのかよ?

 

「すぐにわかるわ。まずはイッセーとヒロイとアーシアとゼノヴィアがついてきて頂戴」

 

 と、そういわれて俺たちはエレベーターに乗り込む。

 

 そして、お嬢はポケットからカードを取り出すと、エレベーターの電子パネルに向けた。

 

 そして、エレベーターは下に降り始める。

 

 ふんふん。ここまでは何の問題もねえな―

 

「ぶ、部長。このエレベーターって地下とかないはずじゃありませんでしたっけ!?」

 

 イッセーが驚いてお嬢に質問する。

 

 あ、そういうことか。

 

 イッセーはまだド新人だから、こっちの事情には詳しくねえもんな。

 

「悪魔と契約してる場所には、悪魔関係者しか入れない特殊な場所ってのが用意されてんだよ」

 

「そういうこと。ここは悪魔専用のルートだから、普通の人間には一生たどり着けないわ」

 

 悪魔と密接につながっている場所にはこういうのがいっぱいあるからなぁ。

 

 俺も、悪魔祓い時代にはそういうところに逃げ込まれて任務失敗になりかけた例が多かったぜ。特に聖書の教えが広まってないところだとそういうの多いし。ま、聖槍で無理やり結界をぶち壊してぶっ倒したんだがな。

 

「そういうこと。普通の人間には一生かかってもたどり着けない場所よ」

 

 そうそう。普通の人間には必要ない場所でもあるからな。知らなくても何も困んねえ。

 

 だが、お嬢は苦苦しげな表情でさらに続ける。

 

「それも、今後の流れ次第では公表していくことになるでしょうけどね」

 

 その言葉に、俺達は沈黙する。

 

 禍の団を擁するヴィクター経済連合によって、異形の存在はばらまかれたといってもいい。

 

 今はまだ半信半疑な連中だらけだ。火消も一生懸命されている。

 

 だが、間違いなく数年のうちにばらされるだろうな。それもどの勢力も大々的にだ。

 

 なんたってもう隠せねえもん。隠しようがねえもん。禍の団も隠す気ねえもん。だから、どうあがいてもばらす以外の選択肢はねえ。

 

 あとはいつばらすかってだけの話だ。

 

 ため息つきたくなる空気の中、エレベーターが停止する。

 

 そしてドアが開いた先には、そのしみったれた空気をぶっ飛ばすぐらいでかい空間が広がってやがった。

 

 なんつーか、でかい駅のホームを思わせるなこれ。線路もあるし。

 

 でもって少しすると、姐さんたちもやってきた。

 

 そんでもって俺たちは、専用列車のある三番ホームとやらに向かっていく。

 

 ちなみに、イッセーは朱乃さんと手をつないでいた。

 

 それをお嬢とアーシアはぷくーってかんじで見据えてる。

 

 ……おのれイッセー! なんでその奇跡的な優遇に対して全く気付いてねえ!!

 

 漫画の主人公とかで異性からの好意に全然気づかない奴とか多いけど、現実にいるとマジ害悪だな! 色んな意味で問題多すぎだろ。マジ殴りてえ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 んでもって、俺達は列車に乗って揺られている。

 

 お嬢は主であるということで一番前の車両に乗ってる。俺たちはだいぶ後ろの方だ。

 

 なんでも、眷属は中央から後ろの車両に乗らなきゃならねえ決まりらしい。護衛関係者の俺たちも、それに倣う。……めんどくせえな。悪魔のしきたりってやつか?

 

 ちなみにイッセーとアーシアが一緒の席。でもってその対面席に朱乃さんとゼノヴィア。その隣の席にはギャスパーと木場で、俺と小猫ちゃんがその対面席。その後ろで姐さんはペトといちゃついてる。

 

 んでもってアザゼル先生は端っこの方で爆睡中。

 

 速いだろうが! あんた、悪魔のルートで冥界に行くのは楽しみだとか言ってなかったか!?

 

「それで、どれぐらいで冥界につくんですかい?」

 

 俺は一番慣れてそうな朱乃さんに、時間を聞いた。

 

 電車の移動って結構時間かかることが多いからな。もしかしたら丸一日とかあるんじゃねえかと心配になってんだけど……。

 

「一時間ほどでつきますわ。この列車は、次元の壁を正式な方法で通過するので、そんなにかかりませんの」

 

 お、其れなら退屈しないで済みそうだ。

 

「てっきり、魔方陣を使っていくんだとばっかり思ってました」

 

「普通ならそれでいいのですけれど、イッセーくんたち新しい眷属の悪魔は、一度正規なルートで入国する決まりなのです。婚約パーティの時はサーゼクス様が直々にご招待なさったので特別ですわ」

 

 ふーん。冥界もいろいろあるんだな。

 

 つーか婚約パーティって何なんだ? いろいろあるみたいだな、オイ。

 

「ああ、ヒロイくんたちはアザゼルの要望もあってサーゼクス様から正式に認可が下りていますので、安全は保障されておりますからご安心くださいな。堕天使でも大丈夫ということです」

 

 と、朱乃さんは追加した。

 

 最後の堕天使の方にいささか嫌悪感が込められてた気がするけど、何なんだ一体?

 

 まあ、悪魔と堕天使は長年敵対してたんだから、嫌悪感の一つや二つぐらいあってもおかしくねえけどよ。和平そのものには特に反対してる風には見えなかったがな。

 

 などと思っていると、朱乃さんがイッセーに乗っかって何やら密着してきた。

 

 う、うぉおお。これは見てるだけでも波動砲がエレクトするぜ!!

 

 そのまま朱乃さんはイッセーの手を自分の胸にまで持っていこうとするが、そこにアーシアがブロック!!

 

「……朱乃さんのせいで、イッセーさんが変態さんになってしまいます」

 

「いや、もとから変態だと思うぞ?」

 

 俺はつい突っ込んだ。

 

「あらあら。男は少しぐらい変態な方がいいですわ」

 

 朱乃さん、それは暴論っす。

 

「そうね。変に皮をかぶって下劣な発散方法を考えてくるよりかは、女として素直に好感を見せてくれる方がいいわね」

 

「むしろペトはエロい子っすから!! 女は男に見られて輝く生き物っす!!」

 

 おお、このスールは堂々としてやがるな。

 

「いや、おれが変態なの前提で話するのやめてくれませんか!?」

 

「いや、変態ッスよね?」

 

 ペト、イッセーの渾身のツッコミなんだからもうちょっとオブラートオブラート。

 

 っていうか、そういえばこういう時は小猫ちゃんがツッコミ入れるのが基本じゃなかったっけか?

 

 そんな気がして視線を向けると、小猫ちゃんはずっと外を見てだまっていた。

 

 ……なんだ、一体?

 

「朱乃? 下僕のスキンシップは主の仕事よ? なんであなたが出るのかしら?」

 

 あ、お嬢が来た。

 

 この後、激戦が繰り広げられたことだけは言っておくぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、いざ冥界にご到着。

 

 グレモリーの領地が日本の本州並の広さだってのにはマジで驚いたが、ポンと眷属に領地をプレゼントしたのにも驚いた。

 

 あの年で土地持ちとかむちゃくちゃ勝ち組じゃねえか。くそ、俺も眷属になればよかったか?

 

 などと思いながら駅に到着すれば、なんていうかコレものすごい歓迎なんだけど。

 

 空には騎士が舞う。楽隊が一斉に豪華な音楽を慣らす。更に花火迄打ち上げられる。

 

 こ、これが72柱の歓迎か。なんつースケールだよ。

 

「ギャスパー。大丈夫ッスか? 顔色蒼いっスよ?」

 

「だ、大丈夫ですぅうううう」

 

 ペトにそう答えるギャスパーだけど、俺から見てもマジで心配になるんだが。

 

 そんな中、お嬢は平然と対応している。これが貴族の常態ってやつか。

 

 スケール違いすぎだろう。亡きローマ教皇だってここまでの待遇そうそう受けねえぞ。

 

 と、そんなこと考えていると、いつの間にやらグレイフィアさんが一歩前に出ていた。

 

「おかえりなさいませお嬢様。道中、ご無事で何よりでした」

 

 そう言ってグレイフィアさんは深く一礼する。

 

 そういや、この人引く手数多っぽいけどまだ結婚とかしてないんだろうか?

 

 間違いなくもてるよな。いや、魔王の眷属だから逆に引けてんのか?

 

「本邸までの馬車をご用意させております。眷属の皆様もお乗りください」

 

 おお、馬車もすっげえ豪華だ!! こりゃもてなしも期待できそうじゃねえか?

 

「お姉さま! グリゴリもこういったイメージが大事な気がするッス!」

 

「そうね。研究者肌が多いからこういう方向性はなかったものね」

 

「そ、そうなんですかぁあああ。それはそれで怖そうですぅうう」

 

 いつの間にやらギャスパーは姐さんとペトの手をにぎってた。どうやら対人恐怖症を抑えるために人の力を借りたらしい。

 

 ま、そんなこんなで馬車に乗って運ばれるが、乗り心地もいいな。

 

 つーか良すぎて逆に落ち着かねー。ほかのメンバーも結構違和感感じてるみたいだ。

 

「ギャスパー。よく耐えたわね」

 

 と、姐さんがギャスパーを褒めていた。

 

「ひ、人が多くて気分が悪くなりましたぁあああ」

 

 まだ顔色の青いギャスパーに苦笑しながら、姐さんはかがみこんでギャスパーに視線を合わせる。

 

「ギャスパー。弱いのはだめ。心にしても体にしてもね。でも、あなたには停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)という強さがある」

 

 そういって、姐さんはギャスパーの肩に手を置いた。

 

「まずはそれに寄りかかっていい。いつか強くなりなさい? この世界、寄りかかる物すらない心の弱いものは、家畜に堕ちることが多いのだから」

 

「は、はい……」

 

 真剣な表情で姉さんが告げる言葉に、ギャスパーはきょとんとしながらもうなづいた。

 

 俺たちは、それをちょっと意外な感じで見る。

 

 ……そう言えば、姐さんは英雄の強さにあこがれを抱いているような印象だった。

 

 神滅具を金で買ったといったし、強さに渇望があるんだろうか。

 

 なんか、すごく気になった。

 

 姐さんは、何がきっかけで英雄を目指したんだ?

 

 

 

 




ケイオスワールドの兵夜とは違い、ヒロイはイッセーのトラウマに気づいてません。

まあ、美人局されて殺されたのが悪魔になったきっかけとか普通は誰も言わないですので仕方ないです。リアスたちだってイッセーの嫌な思い出を人に見せるような奴じゃないですしね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。