ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第二章 3

 

 

 

 

 で、着いた場所はものすごく巨大な城だった。

 

 何あれ? 何十階建てだよ。

 

「ぶぶぶぶ部長? あの……ものすっごい巨大な城って何ですか?」

 

 もう目玉が飛び出そうな顔で、イッセーがお嬢に質問する。

 

 それに対してリアスのお嬢はニッコリ笑顔。

 

「私のおうちの一つで本邸なの」

 

 家の一つ!? いくつもあるの、家って!?

 

 さ、流石72柱の直系。ものすごいセレブだ……。

 

 そんなこんなで馬車の扉が開かれてカーペットの上に足を置いた時だった。

 

「リアス姉様! おかえりなさい!!」

 

 そう言って、紅髪の少年がお嬢に抱き着いた。

 

 お嬢も優しそうにその少年を抱きしめる。

 

「ミリキャス! ただいま、大きくなったわね」

 

「部長? あの、この子は?」

 

 少年をなでるお嬢に、イッセー恐る恐る尋ねる。

 

 そして、お嬢は少年の肩を抱くとイッセーの前に進ませる。

 

「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様の子供なのよ。私の甥ってことになるわね」

 

 ―サーゼクスさま、子供いたのか。つーことはつまり結婚もしてるわけだな。誰が奥さんなのか少し気になる。

 

 ま、いずれ紹介してくれるだろ。

 

「ちなみに、私の次の当主候補でもあるわね。四代魔王は世襲制じゃないから、この子はあくまでグレモリーの子なのよ」

 

 なるほど。確かに称号となってる以上、世襲にする意味はねえわな。

 

 ミリキャスくんと手をつないで進みだしたお嬢を戦闘に、俺達は城の中に進んでいく。

 

「うっわぁ。でかいッスねぇ」

 

「まあね。仮にも魔王を輩出した72柱の本家だからさ」

 

 と、ペトと木場の会話を聞きながら、俺達は玄関ホールに到着した。

 

 まじででかい!! シャレにならないぐらい広い!! そしてメイドも多い!!

 

 いろんな意味で度肝を抜かれる。イッセーとアーシアもなんかふらふらしてるしな。

 

 むしろギャスパーがふらふらしてねえのが驚きだよ。なんだかんだで少しは慣れてるみてぇだな。

 

 などと思ってたら、階段から女性が下りてきていた。

 

「あら、リアス。帰ってきたのね」

 

 亜麻色の髪の猛烈美少女! しかも胸もでけえ!!

 

 お嬢とそっくりな顔つきだな。姉妹か何かか……?

 

「お母様、ただいま戻りましたわ」

 

 と、お嬢はにっこり微笑みながら挨拶する。

 

 ん? 今、お母様とか言わなかったか?

 

「お、おおおおお母様ぁあああああ!?」

 

 イッセーが絶叫するが、そりゃ当然だ。

 

 どう見ても母親って外見じゃねえよ。お嬢の歳考えろや。

 

「……むしろ女の子って言った方がいいんじゃないかしら。少し羨ましいわね」

 

 と、姐さんも流石に驚いてる。

 

「あら、女の子だなんて嬉しい事を言ってくれるわね」

 

「悪魔は年を経れば、見た目を自由に変えられるのよ。お母様はいつも今の私ぐらいの年恰好を好んでるわ」

 

 ―それ、若作りじゃ―

 

「何か仰いまして?」

 

 ハッ! 殺気!?

 

「悪魔の力は素晴らしいと思っていだけでございます、マダム!!」

 

 俺は速攻で久々の土下座を敢行した。

 

 ……あれ? でもサーゼクス様に子供がいるってことは、この人とお嬢っておばあちゃんとおばちゃん?

 

「「何か考えたかしら?」」

 

 俺は土下座を続行した。

 

 悪魔は読心能力持ってんのかよ! 思うだけなら自由じゃんかぁああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで夜になり、俺達は夕食をごちそうになった。

 

 なったはいいが、ものすごい豪華なコース料理で困ってんだが。

 

「お嬢!! 俺、そういった礼儀作法とか全く心得ないんすけど!!」

 

「ごめんなさい。私もそういったのは慣れてないから、無作法になりそうだわ」

 

 俺も姐さんも困り顔になるが、お嬢の親父さんであるジオティクスさんは朗らかな笑みを見せた。

 

「はっはっは。あまり気にしなくていいよ。しょせんこれは身内の食事なんだからね」

 

 おお、心の広いお人や……。

 

 お袋さんであるヴェネラナさんも、ニコニコ笑顔で気にしないでくれているようだ。

 

 しかし、何かに気づくと少しこっちに顔を向けた。

 

「とは言え、これからリアスと行動を共にするのならば会食の機会もあるでしょう。よければ執事に指導をさせましょうか?」

 

「「ぜひお願いします」」

 

 俺も姐さんも即答した。

 

 お嬢やサーゼクス様に恥かかせるわけにはいかねえ。戦闘の特訓ついでに礼儀作法も最低限習得しとかねえとな。マジで必要だこれ。

 

 まあ、そんなこんなで意外に朗らかに食事は進んでたんだが、しかし何やら方向性がおかしくなってきた。

 

「イッセーくん。これから私のことはお義父さんと呼んでくれたまえ」

 

 ………何言ってんだこのオッサン。

 

 いや、お嬢がイッセーに懸想してるのは知ってるけど、肝心のイッセーが気づいてないんだが。

 

 そんな状態でそんなこと言われたって反応に困るだろう。その辺何も考えてねえのか?

 

 っていうか、どっちにしてもいろいろ段階すっ飛ばしてんじゃねえか!!

 

 どうやらよっぽど気に入られてるらしいな、イッセーの奴。何があった?

 

「あなた、さすがに性急ですわ。物事には順序というものがあるでしょう?」

 

 さすがに急ぎすぎだと思ったのか、お袋さんが親父さんをたしなめた。

 

 だ、だよな! さすがにこれはいろいろ速いよな!

 

「し、しかし、赤と紅なのだ。ピッタリではないか」

 

「浮かれるのはまだ早いということですわ」

 

「そ、そうか……。ふむ、ライザー君の時といい、私は急ぎすぎるきらいがるようだ」

 

 あ、どうやら親父さんは奥さんの尻に敷かれるタイプだな。

 

 亭主関白の時代は悪魔でも終わってんのか。ま、いまの時代は男女同権だわな。いや、女性上位になってるきがすっけど。

 

 と思ってたら、お袋さんがイッセーに顔を向ける。

 

「兵藤一誠さん。一誠さんとお呼びしていいかしら?」

 

「は、はい!! もちろん大丈夫です!!」

 

「しばらくはこちらに滞在するのでしょう?」

 

 ふむ、確かに夏休みのあいだはずっといる予定だな。

 

 そもそもお嬢の眷属悪魔なんだから、理由もなくお嬢より先に帰るわけにもいかねえだろう。

 

「ぶ、部長……じゃなかった。リアスさまがこちらにいる間はずっといますけど……」

 

 と、イッセーが戸惑いながら言うと、お袋さんはぽんと手をたたいた。

 

「なら、あなたには紳士的なふるまいを身に着けてもらいましょう。すこしこちらでマナーの勉強をしてもらいます」

 

 その瞬間、お嬢がテーブルをたたいて立ち上がった。

 

「お父様もお母様も!! 先程から、私を置いてどんどん話を進めすぎですわ!!」

 

 ああ。俺もそう思った。

 

 なんで付き合ってもない時から、結婚することを前提とした話になってんだ?

 

 お袋さんも親父さんに負けず劣らず性急すぎんだろ。

 

 俺はそう思ったんだが、お袋さんは目元を鋭くした。

 

「お黙りなさい、リアス」

 

 なんというか、絶対零度だった。

 

 怖ぇえええええええええ!!!

 

「あなたは一度、ライザーとの婚約を解消しているのよ? それを私たちが許しただけでも破格の待遇だということを理解しなさい。お父様もサーゼクスも、他の上級悪魔の方々にどれだけ根回しをすることになったことか。……あなたはどうあがいても「グレモリーのリアス」であることから逃れられないのは理解しなさい」

 

 その言葉に、お嬢はうぐぅという顔になる。

 

「……一部の貴族には、「我儘娘がドラゴンの力で無理やり婚約を解消した」といわれてるのですよ? いくら魔王の妹とは言え、限度があります」

 

 さらにお袋さんは畳みかける。

 

 う、う~ん。これはどうしたらいいのか全く分からん。

 

 てか、ライザーって確かイッセーが殴り込みしたフェニックスの三男坊だよな?

 

 細かい事情は分かんねえけど、どういうこった?

 

 と、思った時だった。

 

「……お言葉ですが奥方さま。それもさすがに性急すぎですわ」

 

 と、姐さんが声をかけた。

 

「……と、言いますと?」

 

「子どもの恋愛に、余計な介入をしてももろくなことにならないということです」

 

 お袋さんの視線を真っ向から受け止めて、姐さんは告げる。

 

「考えてもみてください。今の年頃は恋愛についてつつかれるといろいろと変な反応を返してしまう年頃です。ましてや婚約どころか付き合ってもいない男女の関係について、善意にしても悪意にしても、周りが不用意に介入しても、いい結果は生まれません」

 

 そういうと、しかし笑みを浮かべる。

 

「もちろん、ほおっておけばいいというわけではありません。恋愛というものをよく理解していない年頃の子供は、それを獲物とする悪い獣に食われやすいものです。……まず気を付けるべきは、そういったものでしょう?」

 

「……なるほど、一理あります」

 

 お袋さんはそれに感じるものがあったのか、少し考えこんだ。

 

 さらにねえさんはたたみかける。

 

「まだお嬢さんは十代の高校生です。それも、一万年を生きる悪魔の生まれ。……いくら戦争が起きる以上何が起きるかわからないとはいえ、親がするべきは過度な干渉ではなく野犬から子供を守ることでしょう? それに―」

 

 そこまで言うと、姐さんはイッセーの方に向いた。

 

「イッセー。グレモリー卿にお義父さんと呼ぶように言われた理由、わかる?」

 

「へ? いや、気に入られてるんだな~ってことはわかりますけど……」

 

 と、イッセーは考えて込んだ。

 

 そして数分後。

 

「あ、そうか! 部長は眷属のことを家族と思ってるもんな! だから部長のお父様にとっても家族なのか!!」

 

 そんな頓珍漢な答えが飛んできた。

 

 その有様に、親父さんとお袋さんは目を丸くした。

 

 そして俺たちはいっせいにため息をついた。

 

「……まあ、そういうことで前途多難ですので、急いでも変な方向に行くだけですから」

 

 と、姐さんは苦笑するのであった。

 

「まずはイッセーに自覚を与えること。これが一番ですわ」

 

 そう、姐さんは締めくくった。




長命な割に急ぎすぎではないだろうか、悪魔という種族は。

そう言うツッコミを入れたくなることも、いくつもあります。
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