ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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切りどころに苦労しました!!


第二章 8

 そんなこんなで一月弱の時間は過ぎ、そしてイッセー達が帰ってきた。

 

 俺は、早朝のランニングを終えて戻ってきたタイミングでそれに出くわす。

 

「お、木場!」

 

「久しぶり、ヒロイくん」

 

 まず真っ先に出くわしたのは木場だ。

 

「……なんか、見た目はあんまり変わらねえな」

 

「ははは。僕は筋肉が付きにくいタイプだからね。そういうヒロイ君もあまり体格は変わってないけど?」

 

 そりゃ、俺はどっちかっていうと研究とか勉強中心だったからな。

 

 第一訓練は毎日やってんだ。一月弱で変わるほど、俺はなまってねえよ。

 

 ま、イッセー辺りはかなり変わってるだろうがな。あいつは元が一般人だし、鍛えてねえから伸びしろがでけえはずだ。

 

 と、思ってたら、何か少し離れたところにタンニーンさんが舞い降りた。

 

 そんでもって、一分ほど経ったら飛び上がっちまった。

 

「おいおい。出来りゃぁ挨拶ぐらいしたかったんだがな」

 

 そう言いながら、俺はタンニーンさんが運んできたらしいイッセーへと近づき―

 

「其れなら大丈夫よ。今夜のパーティに運んでくれるって言ってくれたから」

 

 なんで姐さんがいるんだよ!?

 

「ヒロイ! 木場! リセスさんのおかげで俺は文明人の暮らしをかろうじて送ってきたぜ!!」

 

「自分もちゃんと数えてほしいっす!」

 

 なんでペトまでいるんだ……って、姐さんがいるならペトがいても不思議じゃねえか。

 

 っていうか文明人の暮らしって、どんな目にあってたんだ?

 

 しかし姐さんの世話になるとは羨ましい。俺も山に篭って修行するべきだったか。いや、そんなことしたら今の発展はあり得なかったから無理か。

 

 くそ! 俺も姐さんとおまけのいる修行がしたかった!!

 

 などと俺が思ってたら、木場がなぜか顔を染めている。……イッセーを見て。

 

 頬を染める相手が違うだろ。姐さんやペト見て染めろって言いたいんだが。お前ホモか何かか?

 

「ふむ、皆修業はきちんとしてるようだな」

 

 そんなことを言いながら合流してきたのは、包帯まみれのゼノヴィアだった。

 

「「なんでそんな格好?」」

 

 俺とイッセーの声がハモる。

 

 ああ、やっぱりイッセーと俺は波長が合うな。童貞同士だもんな。

 

 で、ゼノヴィアはなぜか胸を張った。

 

「ああ。修行して怪我して包帯を巻いての繰り返しでこうなった」

 

「ミイラにでもなる気かよ」

 

 イッセーのツッコミももっともだ。

 

 そんなことをしながらだべりつつ城に向かっていると、そこにはお嬢達が集まっていた。

 

 なんだこれ。最終決戦前の集合シーンかよ。

 

「眷属が集結するのは何週間ぶりかしら。……みんな、おかえりなさい」

 

 そう言ってお嬢は微笑んだ。

 

 ま、何はともあれグレモリー眷属は全員集結したわけで、おまけの俺達も修行は完了ってことか。

 

 さて、どれだけ頑張れるのかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アザゼル先生の馬鹿野郎!! なんで俺だけあんなサバイバル生活だったんだよ!!」

 

 アザゼルまで迎えての修行の過程についての話し合いの前に、イッセーがキレた。

 

 ま、当然っちゃぁ当然だわな。

 

 一人だけ生活水準が圧倒的に低いだろ。なんだその原始人一歩手前の生活は。

 

 イッセーって冥界には慣れてねえし、サバイバル技術も特に習得してねえはずだろ? なんで食い物とかの準備ができてねえんだよ。

 

 気を利かした姐さんがナイスフォローすぎる。俺の姐さんは気の利く素晴らしい英雄だぜ。

 

 しかし姐さんとの露天風呂とは許せん!! お嬢達も嫉妬心剥き出してイッセーにツッコミを入れたぜ。その所為で少しボロボロのイッセーだが気にしねえ。

 

 ま、それはそれとしてイッセーの修行の成果はあまり出てねえ方なんだがな。

 

「なんであんな酷い修業したのに、俺は禁手に至れなかったんでしょう、先生」

 

「そりゃお前。禁手なんてそう簡単になれるわけねえだろうが。ぶっちゃけ想定内だ」

 

 イッセーの沈んだ声に、アザゼルは特に気にせず答える。

 

 酷い話だが仕方がねえな。

 

 木場を思い返せばよくわかる話だ。

 

 まず間違いなく全世界トラウマランキングで上位に入賞するだろう酷い過去を持ち、それで生まれた憎悪を数年間くすぶらせ、それが一気に解消されたことで至った。

 

 悪魔祓いにも神器持ちは多いが、禁手にまで至ったやつはごくごく僅か。

 

 日本じゃ何が近いんだろうな? ……あ、卍〇だ。神器を具現化させるのが始〇だな。

 

「ぶっちゃけ修業期間が足りねえってことだ。あと一月ぐらいは―」

 

「絶対ヤダぁああああああ!!! 部長のおっぱいから離れたくないですぅうううう!!!」

 

 イッセーがギャスパー化しやがった。

 

 お嬢の胸に顔を埋めて、号泣して嫌癒してやがる。

 

 ま、気持ちはわかるな。

 

 龍王とマンツーマンで山に篭りながらスパルタ特訓とか、普通に考えなくても地獄だろ。死んでもおかしくねえハードトレーニングだな。

 

 ちょっと前までただの高校生だったイッセーにそれはキツイ。俺も流石に同情するわ。

 

 しっかしだったらどうやって禁手になるってのが重要だよな。

 

 こいつのスケベ根性から考えて、童貞でも卒業したら覚醒しそうだが……。

 

 誰が卒業させるかでどんな戦いになるかわかったもんじゃねえ。下手したら死人が出る。

 

 なんかゼノヴィアもイッセーに重点を絞ってるからな。どうやらミカエル様に直談判したのが相当きたらしい。

 

 ま、一国のトップに直談判してるもんだから、根性ねえと無理だもんな。男見せたぜイッセーは。

 

 さて、シトリーとのレーティングゲームはどうなることやら。

 

 場合によっちゃぁ、それでさらにモテ始めるとかありえそうだな。最近は俺が目を光らせてる上に松田と元浜が童貞と共に覗きを卒業したから、めっきり覗きも少ねぇしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを思ってた、かつての俺をぶん殴りたくなるのは、パーティが開催した数時間後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティ会場に行く前に、俺は駒王学園の制服を着ていた。

 

 なんでも、それが正装だと言われたんでな。ま、女性陣はドレス着るみたいだけど。しかもギャスパーもドレスで行くらしい。

 

 しっかし上流階級のパーティか。ちょっと勘弁してほしいぜ。

 

「うっへぇ。ちょっと乗り気にならねぇ」

 

「す、すごく嫌な感じだな」

 

 イッセーには引かれるがよ? お前、考えてみろよ。

 

「元ストリートチルドレンの俺が、そんな礼儀作法に慣れてっと思ってんのか?」

 

 いや、あるわけねえだろそんなもの。

 

 そりゃ教会で礼儀作法とかは練習してっけどさ? お嬢のお袋さんのサポートあったけどさ? 

 

 それでも付け焼刃だから心配だっての。

 

「そういうイッセーこそ大丈夫なのかよ?」

 

「ああ、俺は部長のお母様に教えてもらったから……っていうか、ストリートチルドレン?」

 

 ああ、そういや言ってなかったか。

 

「ああ。俺は元ストリートチルドレンだ。その上はぐれ者の吸血鬼の所為でリアルバイオハザードに巻き込まれてな」

 

 よく考えりゃぁ、俺、何で生き残ってんだ?

 

 いくら姐さんに助けられたとはいえ、それまでしのげた俺が怖いって。あの時は神器にも目覚めてなかったはずなんだが。

 

「お、兵藤にヒロイじゃねえか」

 

 と、そんなことだべってたら匙も来た。

 

 こっちもこっちで学生服。会長も同じ判断ってわけか。

 

「よう、匙。レーティングゲームの準備はできてんのかよ」

 

「おうよ! 一生懸命特訓したぜ?」

 

 俺の挑発じみた挨拶に、匙は元気よく答える。

 

 ま、会長もお嬢と同じタイプだからな。そりゃトレーニングぐらいはしてっだろ。

 

 それはそれとしてイッセーのドラゴンとのワンツーマンは想定外だったのか、少し引いてたがな。

 

 ……しかもイッセーの女体関係の圧倒的格差に絶望してやがったし。

 

 匙、マジで頑張れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、俺達はタンニーンさんや眷属のドラゴンに乗って、パーティ会場近くまで飛行中。

 

 いやぁ、俺達ってすげえ経験してるな、オイ。

 

 悪魔の長い人生ならあってもおかしくねえだろうが、俺は人間だからな。こりゃ奇跡に近いだろ。

 

 で、俺はイッセーに付き合ってタンニーンさんの頭の上に乗って話してた。

 

 そこで聞いたのは、タンニーンさんが転生悪魔になった理由だ。

 

 なんでも、ドラゴンアップルとかいう果実が冥界にしか生息してないからだそうだ。

 

 元々地球にもあったんだが、環境の変化で絶滅。しかもそれしか食えないドラゴンもいて、マジで絶滅の危機。

 

 かといってドラゴンは悪魔にも迷惑をかけてたから、ただでくれるわけがねえ。

 

 そこで、龍王クラスが傘下に入ることでどうにかしようってことだ。

 

 実際上級悪魔になり、さらに最上級悪魔にもなってっから、領地貰えてるしな。

 

 しかもドラゴンアップルの量産の研究もしてるとか。マジですげえ立派なドラゴンじゃねえか。

 

 二天龍はこの人の爪の垢呑め。煎じずに垢ごといけ。

 

「すっげぇなぁ、オッサン」

 

 イッセーもそれに感心してた。

 

「俺なんて、ハーレムを作りたいってだけだからさ、なんかすごいぜオッサン」

 

「はっはっは。若いうちならそれでいいさ。雄ならば富や雌を求めるのは当たり前だ。それが原動力になるのなら、それでいい」

 

 おお、しかも世俗的なものに理解まである。

 

 なんつーか、この人マジでまともすぎね? むしろまともすぎて苦労背負いこんでね?

 

 なんて思ってたら、タンニーンさんの口調が真面目になった。

 

「だが、それを最終目標にするのはもったいないぞ? 強くなれば雌が寄ってくるのは当たり前だ。問題はその後だろう」

 

 ……その後、か。

 

 俺は、英雄になりたい。

 

 姐さんのように心を照らす輝きになりたい。

 

 だけど、英雄になった後はどうするんだろうな。

 

 そこは、考えてなかったぜ。

 

 イッセーはタンニーンさんの話を聞いて考えこんでたし、俺も考えた方がいいのかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティ会場で、俺はもうへばってた。

 

 こういうのは慣れてねえんでマジ疲れる。つーか、こういうところでの作法は慣れてねえからうかつに飯も食えやしねえ。

 

 途中で抜け出して下の階で飯屋でも探すか? いや、普通に考えりゃぁこんな高級ホテルならどこもかしこもマナー重視だろう。無意味だ。

 

 ……終わってからお嬢に頼んでサンドイッチでも作ってもらうか?

 

「ん? ヒロイか? どうしたんだ?」

 

 と、ゼノヴィアがドレス姿でかなり食事を喰っていた。

 

 流石にガワが良いだけあるな。あんな格好でも絵になってやがる。

 

「いや、こういう場所には慣れなくてな。うかつに飯も食えねえ」

 

「なら私に隠れて食べるといい。食べないと持たんだろう」

 

 おお、ありがてぇ。

 

「ヒロイさんもいっぱいいっぱいでしたか。私は目が回りそうです」

 

「僕も限界ですぅ」

 

「だよなぁ」

 

 俺はアーシアちゃんやギャスパーと、苦労を分かち合う。

 

 分かち合う。……だけどギャスパー。お前は、貴族出身だから比較的慣れてないと駄目じゃね? いや、この状況下で段ボールに入らないだけ回復してるのか?

 

 ああ、なんか俺も混乱してきた。

 

「で、そういやイッセーはどこ行った? お嬢と木場と朱乃さんは一緒に行動してるんだろうけどよ?」

 

 そういやイッセーの姿が見えねえな。

 

 お嬢は挨拶回りで忙しいだろうし、側近である朱乃さんも同様。そして木場はフェイス的にも能力的にもその護衛として適任だ。

 

 普通に考えりゃ、慣れてねえイッセーはそろそろ一回休憩してると思うんだけどよ?

 

「それが、イッセーさんは個人的な知り合いを見つけたから挨拶してくると走っていきました」

 

 ……こんな場所で走っていった?

 

 どういうこった……あ。

 

 今気づいた。そういや小猫ちゃんもいねえ。

 

 いや、小猫ちゃんもお嬢の古参眷属だし、対人恐怖症のギャスパー以外が挨拶回りってのも納得の組み合わせなんだが……。

 

「……ようやく見つけたわ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

 その、緊張感のある声に俺達は振り向いた。

 

 そこには、微妙にマジ顔をした姐さんがいた。

 

「リセスさん? どうしました?」

 

「……その様子だと、もしかして気づいてないようね」

 

 姐さんは、俺達に顔を近づけると小声で呟いた。

 

「小猫が外に出て、それをイッセーとリアスが追っていったわ」

 

 なんだって?

 

「それは本当かい? イッセーは知り合いと会うと言っていたが?」

 

「余計な騒ぎにしたくなかったんでしょうね。適当ぶっこいたのよ」

 

 ゼノヴィアに姐さんはそう答えると、視線を外に向ける。

 

 おいおい。最近小猫ちゃんは調子が悪かったんだぞ? それが急に外に出ていくとか、何があったんだ?

 

「一応ペトに追いかけるように言ったから何かあったらわかるはずだけどね。あの娘は目がいいから」

 

「……一応追いかけてみるか、姐さん?」

 

 俺はそう言うけど、姐さんは首を振った。

 

「余計な騒ぎになる方がまずいわね。こんなパーティが台無しになったら、悪魔のメンツに関わるでしょ」

 

 あ、そっちも気をつけなきゃいけねえのか。

 

 大騒ぎになって、結局大したことが無かったら貴族連中が何て言ってくるかわかったもんじゃねえ。

 

 一応俺の直属の上司はお嬢だし、その辺のメンツも考えねえとな。

 

 つっても、ペトってそんなに大丈夫なのか?

 

 なんていうか、戦ってるところを見たことがない。だからどれぐらいできるのかが不安なんだが。

 

 ぶっちゃけ、身体能力は高いけどそこまでできる風に見えねんだが……。

 

 そう思ったその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっはっはぁ!! パーティ中に失礼するよん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉とともに、霧がパーティ会場を包み込んだ。

 




ここから、ヘルキャット編はオリジナル色が強くなります!!
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