ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、ちょっと切りどころが見つからなかったので長めでございます。








ちなみに、これを投稿した後の段階で書き溜めは180kb弱でございます。感想がたまり次第即更新するんで、ぜひプリーズ!!


第二章 9

 出てきた霧を見て、俺たちは警戒心を底上げする。

 

 これは、絶霧!?

 

 っていうか、この声はよく覚えてる。

 

 ………リムヴァン! こんな時に来るのかよ!?

 

 そして霧があつまると、そこから数人の人影が出てきた。

 

 一人はリムヴァン。ご丁寧にドレスコードを意識した、パーティ用のタキシードでご登場しやがった。

 

 妙なところで空気を読んでやがる。こいつマジでむかつくなオイ。

 

 一人はヴァーリ。こっちはいつも通りの私服で登場だ。まだ鎧も展開してない。

 

 こっちも余裕を感じさせやがる。マジでむかつく。

 

 そして最後の一人は、白髪の男。

 

 ……最悪だ。寄りにもよってアイツが出てくるのかよ。

 

「馬鹿な。まさかあの男が禍の団に属しているのか……っ!」

 

「……アイツ、あの時の?」

 

 ゼノヴィアと、ついでになぜか姐さんもアイツを見て警戒心を強める。

 

 いや、ゼノヴィアはわかるけどなんで姐さんも知ってんだ?

 

「ゼノヴィアさん? あの方、御存じなんですか?」

 

 アーシアの質問に、ゼノヴィアはアーシアをかばうようにしながらうなづいて答える。

 

 まあ、悪魔祓いなら一度は聞いたことがある有名人だからな。

 

「あの男は魔剣(カオス・エッジ)ジーク。フリードと同じ戦士育成機関の出身で、日本で堕天使側と揉めたときに負傷して以来、精神の均衡を崩して出奔した男だ!」

 

 ゼノヴィアの言う通り。あいつはかなりやばい。

 

 なんで、あの男がこんなところに出てくるんだよ!!

 

「……え”?」

 

 そしてなぜか、姐さんはものすごく気まずそうな顔をした。

 

 あまりに大きな声に、その場にいた全員がぎょっとして顔を向ける。

 

 そして、ジークもまた其の声で姐さんの姿を目にとめた。

 

 そして数秒後。俺たちは、姐さんがなんでそんな声を出したのかを理解する。

 

「……見つけたよぉ」

 

 まるで数年間合ってなかった愛する人を見たかのような声色で、ジークは嗤った。

 

 一言言おう。マジで怖い。

 

「ああ、リセス・イドアルっていったっけ? 君の名前を知ってから、すぐにでも会いたくてたまらなかった」

 

 よだれをたらしそうなぐらい喜色を浮かべて、ジークは姐さんを見る。

 

 その目は、同じ戦士育成機関らしいからか似た外見をしてるフリードを思わせる。

 

 そして、其れとはまったく違う狂気を感じさせた。

 

「ああ、安心してくれ。今度は失望させない。僕の剣を余すことなく味合わせてあげるよ」

 

 そして、ジークは一振りの剣を取り出す。

 

 赤黒い禍々しい魔剣。奴を魔剣(カオス・エッジ)と称させる要因となった、最強の魔剣。

 

 その名を、魔帝剣グラム。

 

「さあ! 僕を見てくれ、リセス・イドアル!!」

 

 そしてその瞬間、ジークは姐さんにとびかかった!

 

「リセスぅううううううう!!!」

 

 ジークは俺たちに目もくれず姐さんに魔剣を振り下ろす。

 

 その狂気っぷりに俺たちは反応が遅れ、しかし姐さんは即座に対応してのけた。

 

「アザエル特性超合金シールド!」

 

 即座に盾を取り出すと、姐さんは魔剣を受け流す。

 

 直接ぶつけるのではなく、斜めに受け止めることで攻撃をそらすやり方。そしてそれはとても重要だった。

 

 まるで氷を削るかのように、楯が一瞬で大きく削れる。

 

 もしこれを直接受け止めていたら、姐さんはそのままぶった切られていただろう。

 

 その証拠に、斬撃の直線上にいた壁は綺麗に切られて外の様子を少しだけ見せやがった。

 

 壁際にいたからよかったものの、下手したらこれで犠牲者大量に出てたぞ!?

 

「てめえ!!」

 

 そしてようやく反応した俺は速攻で聖槍をぶちかます。

 

 遠慮なく首を狙った刺突は、しかしグラムによって受け止められた。

 

 さすがは世界最強の魔剣! 聖槍とも打ち合えるってか!!

 

「……邪魔しないでくれないかな? 僕はリセスと殺し合いたいだけなんだけど?」

 

「いや、姐さんは俺たちの仲間なんだからさせるわけが―」

 

「―ないだろう!!」

 

 即座に俺は伏せて、そこからゼノヴィアが横凪に剣を振るう。

 

 それはデュランダルじゃなくてアスカロン。

 

 そう、アザゼルが指導した新たな聖剣とは、イッセーがもらったアスカロンだ。

 

 デュランダルのシャレにならない攻撃力の高さから生まれる被害を防ぐため、アザゼルはアスカロンを利用するという方法を取った。

 

 アスカロンは単体でも比較的強力な聖剣だ。さらにイッセーの龍のオーラを受け取ったことで、かなり強化されてる。とどめにデュランダルのオーラだけを与えることで攻撃力をさらに上昇させることも可能だった。

 

 そんな超パワーアップを果たしたアスカロンを、しかしジークはグラムで捌く。

 

 チッ! これだけ上乗せされててもグラムの方が圧倒的に各上か!

 

 そして次の瞬間、ジークは俺たちに攻撃を放っていた。

 

 しかも動きも早い!! これは防げ―

 

「待ちなさい」

 

 しかし、その攻撃は灼熱の炎によって遮られる。

 

 灼熱をまとった剣が、ジークを向かって振るわれたことで、ジークは攻撃を回避する羽目になったのだ。

 

 姐さんの動きがものすごくよくなってる。さすがは姐さんだ、むちゃくちゃ特訓の成果が出てる!!

 

 ……いや、姐さんの特訓は異界の倉の練習だったはずだ。今回は動きを鍛えるのは中心じゃねえはず。

 

 それなのに動きまで抜群に良くなってるのかよ。それと並行して鍛え上げてきたのかよ。すげえな姐さんは!!

 

 そしてその攻撃をかわしたジークは、バックステップでリムヴァンたちのところまで戻ると、心底嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「ふふふ。やはり君も強くなっていたようだ。これはとてもうれしいことだね」

 

「……やっぱりあなた、あの時の魔剣使いね」

 

 ジークと姐さんは、そういって何かをわかり合う。

 

 おいおい、まさか知り合いかよ。

 

「いやいやジークフリート。そろそろ落ち着いてくれないかい?」

 

 と、そこでリムヴァンが割って入る。

 

 そして、リムヴァンは周りを見渡すと謝意の一例をして見せた。

 

「申し訳ない、貴族の方々。どうしてもリセスちゃんと会いたいというから連れてきたんだけど、まさか挨拶をする前に切りかかるとは非礼の極み。禍の団を代表してお詫びしよう」

 

 優雅に謝意を魅せるが、それが演技なのは誰が見ても明らか。

 

 相変わらず、ふざけた連中じゃねえか……っ!

 

「お初にお目にかかるものも多いので自己紹介を。まずは彼は禍の団英雄派のサブリーダーである、英雄シグルドの末裔ジーク。魔剣(カオス・エッジ)ジークやジークフリートと呼ばれてるね」

 

 ジークはそういわれながらも、全く気にせず視線を姐さんに向けていた。

 

「なあリムヴァン。早くリセスと殺し合わせてくれないかい?」

 

「はいはい。今回は顔見せって約束だったでしょ? 護衛に徹してくれよん」

 

 ……護衛として不向きじゃね?

 

「そして、隣の彼はヴァーリ・ルシファー。そこのまがい物のサーゼクス(ルシファー)君じゃなく、正真正銘本物のルシファーの末裔にして、今代の白龍皇だよ」

 

「……まあ、一応よろしく頼む」

 

 その言葉に、悪魔たちが一斉にどよめいたのがわかる。

 

 ま、話には聞いてただろうがマジモンのルシファーの末裔を見たのは初めてな奴も多いだろうしな。

 

 そして―

 

「そして初めまして諸君! ぼくの名前はリムヴァン・フェニックス! 禍の団の宰相を務めさせてもらってるよん♪」

 

 その言葉に、全員が警戒心を大幅に引き上げる。

 

 奴が禍の団を大はば強化しているもう一人の元凶なのは事実。

 

 さらに、このタイミングで絶霧を使っているということにより、上位神滅具を大量に確保しているということも可能性がでかくなりやがった。

 

 そのせいで、誰もがうかつに仕掛けられない。

 

 なにせ奴は、聖槍も二けた保有しているとか言いやがった。

 

 聖槍は悪魔にとって天敵の一つ。最強の神滅具でもある。

 

 つまり、死人が大量に出ることが確実。

 

 だから誰もうかつに手が出せない。

 

 そんな中、人込みから姿を現すのは四人の男女。

 

 サーゼクス様とレヴィアたん。さらに二人の男。

 

 こりゃ、あの二人がアジュカ・ベルゼブブとファルビウム・アスモデウスか。

 

「……初めまして、リムヴァン・フェニックスを(かた)る者。俺がアジュカ・ベルゼブブだ」

 

 と、片方の男がそうリムヴァンに告げる。

 

 やっぱり、奴がアジュカ・ベルゼブブ。レーティングゲームや悪魔の駒をはじめとする、今の悪魔の根幹を作った男。

 

 ん? リムヴァンを(かた)る?

 

 その言葉に、リムヴァンも苦笑した。

 

「ま、その結論に至っちゃうのも当然だよねぇ。そうでなきゃおかしいし」

 

「その通りだ。フェニックス家分家の系譜に連なるリムヴァン・フェニックスは、数百年前に死亡が確認されている。……俺が死なせたといわれても仕方がないから、よく覚えている」

 

 リムヴァンの言葉に、アジュカさまはそう答えた。

 

 ……ってことは、リムヴァンはフェニックスじゃない?

 

 そう思ったが、しかしリムヴァンは静かに首を振る。

 

「いや、僕は正真正銘リムヴァン・フェニックスだよ。少なくともそう名乗るにふさわしい存在ではある」

 

 なんか訳が分からねえ。

 

 少なくともリムヴァンは、名乗る理由があるってことか?

 

「……そうか。なら、俺は君を殺そう。それがリムヴァン()に対する罪滅ぼしとなる」

 

 その言葉とともに、アジュカ様は一歩前に出る。

 

 そして、その間に入るようにジークとヴァーリが割って入る。

 

「悪いが、今回は護衛という名目で顔を見に来たんでね。そう簡単にはさせない」

 

「僕も同感だ。せっかく彼女に僕の成長を見させてくれたんだ。これぐらいはしないとね」

 

 最強の白龍皇と最強の魔剣を前に、アジュカ様も一歩止まる。

 

 そして、その向こう側でリムヴァンは寂しそうな笑みを浮かべた。

 

「……できればあなたには殺されたくないね。あなたは僕の命の恩人なんだから」

 

 ん? どういうことだ?

 

 俺はそれを疑問に思うが、しかしリムヴァンはそれにこたえるわけがねえ。

 

 リムヴァンはにやりと笑うと、パーティ会場とそこに参列する者たちを見渡し―

 

「―ほほう。お主がリムヴァンとやらか」

 

 その時、声が響く。

 

 其の声を放ったものは、ローブをまとった長いひげを生やした老人。

 

 俺は、その男を知っている。

 

 あいつは―

 

「やあ、北欧アースガルズの主神、オーディン。まさか貴方がゲストで来るとは思わなかったよ」

 

「ホッホッホ。若造共の悪あがきを笑ってやろうと思ってな。そしたらその元凶が来てるとは、面白いわい」

 

 オーディン神は面白そうに笑うと、その偽眼を輝かせる。

 

 リムヴァンはそれを平然と受け止めるが、しかし其の場は緊張に支配される。

 

 当然じゃねえか。あれは正真正銘の主神クラス。普通に考えりゃぁ、この場で最強の存在だ。

 

 それが、何を考えているのかわからない。それもリムヴァンが出てきてるというタイミングで。

 

 その場の貴族たちが誰も動けない中、オーディン神は視線をジークに向ける。

 

「しかし、我らが神話を代表する英雄の末裔が、教会の悪魔祓いからテロリストのメンバーとはの。これを日本では諸行無常というのじゃったか?」

 

「ええ。しかも魔帝剣グラムもセットですからね。……良ければあなたも切りましょうか? リセスの前の試し切りにはもってこいだ」

 

「まてジークフリート。彼は俺も戦いたいと思っている相手の一人だ。勝手にとらないでくれ」

 

 ものすごい余裕というか楽しそうな表情を浮かべてジークとヴァーリ。それを見て、オーディン神もまた興味深そうに頬をゆがめた。

 

 おい、この爺さんマジで楽しんでねえか?

 

「この儂を前座扱いにし、さらに取り合いとはのぅ。歳はとってみるものじゃわい」

 

 そう言いながら、オーディン神は一歩前に出ようとし―

 

「下がってくださいオーディン様。この不敬者をオーディン様に近づけるわけにはいきません!!」

 

 そう言って、銀髪の鎧を着た女性が割って入った。

 

 ……まさか、半神で有名なヴァルキリーか?

 

 この場でオーディンのおつきをするということは、相当の実力者だろうな。たぶん、低く見積もっても上級悪魔クラスはあるんじゃねえか?

 

 その女性は鋭い目つきでリムヴァンたちをにらむが、後ろでオーディン神は詰まらなさそうな顔をした。

 

「ロスヴァイセ。こんな若造共に儂が後れを取ると思っとるのか? 少しはあの搾りかす共に、真の神を見せつけさせんか」

 

 すっげえ不服そう!!

 

 それを聞いて、ロスヴァイセと呼ばれたヴァルキリーは不服そうな顔をする。

 

「駄目です! オーディン様は主神なのですから、こんなところでおふざけにならないでください!!」

 

 あ、あの人お堅そう。

 

 そんでもって、オーディン神はこの状況下でいたずら小僧みたいな笑みを浮かべると、わざとらしくため息をつく。

 

「……そんなだから、その年になっても彼氏の一人もできん処女のままだろうて」

 

 その言葉を聞いて、ヴァルキリーは崩れ落ちて号泣した。

 

「それは関係ないじゃないクソジジイぃいいいいいい!!! わたしだって、好きで処女なわけないじゃないですかぁああああ!!」

 

 ………すんません。空気読んでくれませんか?

 

 ほら、ジークとヴァーリも何とも言えない表情になってるじゃねえか。リムヴァンは興味深そうにしてるけどよ。

 

「愉快な側近ダネ! 僕にくだサイ!」

 

「ほっほっほ。断るわい」

 

 緊張感がねえなぁ、オイ。

 

「……まあ、こちらとしては我々の神話の実在を堂々と公表してくれたようなもんで、ある意味感謝するべきなんじゃがのぅ」

 

 そう髭を撫でつけながら微笑み―

 

「―人間に無用の混乱を生んでおいて、それを野放しにするのは神としての怠慢じゃのう。……わしが直々につぶしてやろうか?」

 

 ―その瞬間に絶大な殺気を放った。

 

 一瞬でヴァルキリーもジークもヴァーリも緊張感を取り戻し、しかしリムヴァンだけは余裕の表情を崩さない。

 

 むしろ面白そうに、一層笑みを深くした。

 

「はっはっは。かつては英雄を集めるために、戦争を引き起こしマッチメイク迄していたアース神族が、まさか戦争を起こしたことで怒りを見せるとは。歳を召されて牙が抜けましたか? 英雄を集め放題かもしれませんよ?」

 

「かもしれんのぅ。じゃが、ラグナロクを迎えずに済むのなら、そんな必要もなくなるじゃろう?」

 

 そんな言葉の応酬が交わされ、そしてリムヴァンもまたオーラを集める。

 

 オーディン神もまた、槍をどこからともなく取り出すと構え―

 

「―いえ、オーディン神様の出番はまだ後です」

 

 姐さんが、携帯電話を耳にあてながら一歩前に出た。

 

 それに機先を制された二人の視線が姐さんに集まる。

 

 姐さん、何考えてんだ?

 

 底の見えないリムヴァンと、主神のオーディン神の戦いに割って入るとか、下手したらマジで死ぬって!!

 

「別嬪さんじゃのう。名前を聞いてもいいかの?」

 

神の子を見張る者(グリゴリ)総督アザゼルの護衛役という名目で戦闘要員をやっております、リセス・イドアルです。……オーディン様、その戦いの前に、邪魔者を排除させてください」

 

 そう言いながら割って入ると、姐さんはヴァーリに視線を向けた。

 

「ヴァーリ。……単刀直入に言うわ」

 

「なんだい? こんな面白そうな戦いが始まるかもしれないっていうのに、まさか投降しろだなんて、言わないだろう?」

 

 何をするのか楽しみにしながら、ヴァーリは姐さんに向き直る。

 

 そして、戦闘が勃発しようとしたその時―

 

「……アーサー・ペンドラゴンと黒歌のどちらかもしくは両方を殺されたくないなら、今すぐに投降しなさい」

 

 そう、はっきり言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 は? 黒歌って、小猫ちゃんの姉貴のはぐれ悪魔だよな?

 

 それにアーサー・ペンドラゴンって、あのアーサー王の末裔のペンドラゴン家の関係者か?

 

「……どういうつもりだ?」

 

 ヴァーリは口調に感情をこめずそう聞くが、その時点で動揺してるのが明らかだ。

 

 今までの余裕が消えている。それも、少しの間沈黙してる当たり結構動揺してる。

 

 っていうか、その二人とヴァーリにどんな関係が?

 

「この会談を黒歌と美候がこっそりのぞきに来てたようね。そして、あなた達がドッキリを仕掛けるとか言ってたみたいだけど、他にも何かあるんでしょう?」

 

「……リセス、一体何を言っている?」

 

 どんどんヴァーリの声から感情が消えていく。

 

 それを無表情に見ながら、姐さんはさらに説明を続けていく。

 

「……黒歌の使い魔を発見した小猫が外に飛び出し、それに気づいたイッセーとリアスが追跡。そして二人が発見されて、結界に閉じ込められ、ぎりぎりで間に合ったタンニーンさんとともに戦闘が勃発したわ」

 

 はぁ!? あいつらそんなことになってたのかよ!?

 

 っていうか、いくらタンニーンさんがいるっちゃぁいえ、生き残れたのか。

 

 と、とりあえずそこは一安心か。

 

 そして、次の言葉を紡ぐ前に姐さんは微妙な表情をした。

 

 あ、イッセーが乳ギレでヴァーリぶちのめしたときと同じ顔だ。こりゃ、イッセーの奴なんかあほなことしやがったな? 乳でも舐めたか?

 

「なんでも、リアスの乳首をつついてイッセーが禁手に覚醒したそうよ。黒歌が攻撃力低めとはいえ、まったく攻撃が通用してなかったみたいね」

 

 その瞬間、空気がものすごく弛緩した。

 

 いや、もっとひどかったわ。

 

「あっはははははははははははははは!!! あの子またやったの!? うっわぁ、生で見たかった!!」

 

 リムヴァンが大笑いするなか、姐さんはため息をついた。

 

 ま、まあ、そんな方法で禁手とか、いろいろとあれだよな。

 

 ってかイッセー、木場に謝れ。これまで禁手に目覚めたすべての連中に土下座しろ。

 

 せめて童貞卒業で覚醒してくれや。

 

「で、迎えにアーサー・ペンドラゴンが来たわけね。最後のエクスカリバーをいつの間にやら回収してるとか、貴方方もやるわね」

 

 と、そんな空気の中、姐さんはそれでもさらに説明を続けてくれた。

 

 いま、さらりと重大情報が出てたけどどう反応したらいいんだよ。

 

 そして、そんな弛緩した空気の中―

 

「……そのアーサーと黒歌はペトが致命傷を与えたわ。早く投降しないと、二人とも死ぬわよ?」

 

 そう、言い切った。

 

 その言葉に、会場の空気が一瞬で冷え切った。

 

「………何を言っている? ペトごときが、あの二人を相手に致命傷を与えるだと?」

 

 ヴァーリは、怒りすら込めて姐さんをにらむ。

 

「あの、遠距離から正確に攻撃を当てるしか能のない一芸しか持ってない奴が、アーサーと黒歌をそこまで追い込めるわけがない。……寝言で冗談を言えるとは、驚いたよ」

 

 ヴァーリは、鋭い視線で姐さんを見据える。

 

 そこには、二人に対する絶対の信頼があった。

 

 なるほど、その二人はヴァーリのチームメンバーってわけか。

 

 白龍皇のチームメンバーなら、それ相応の化け物だろう。少なくとも、並の上級クラスでは苦戦必須の化け物のはずだ。

 

 言っちゃなんだが、ペトが勝てるイメージが浮かばねえ。

 

「笑わせるな、俺はあの女相手に鎧は愚か光翼を使用せずに余裕で勝てる。あの二人なら遊びでも―」

 

「―当然でしょう。そもそもあなたとペトでは勝負にならない」

 

 ヴァーリの言葉をさえぎって、姐さん自身がそれを肯定した。

 

 そして、不敵な笑みを浮かべる。

 

「だって、戦いの土俵がかみ合ってないもの。よっぽどちらかが手加減しなければ、どちらかのワンサイドゲームしか成立しないわ」

 

 その言葉を合図にしたのか、ヴァーリのすぐ近くに通信を目的とした魔方陣が届く。

 

 そして、そこから聞こえたのは美候の悲鳴だった。

 

『ヴァーリぃ!! まずい、このままだとアーサーと黒歌が死んじまう!!』

 

 その言葉に、ヴァーリは絶句する。

 

 それを見て、姐さんは不敵に笑った。

 

「ね? 私の妹分は、相手を戦闘の土俵にすら立たせないのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は、其の数分ほど前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 俺は、ついに至った。

 

 そう、赤龍帝の籠手の禁手、赤龍帝の鎧を完全に発動させた!!

 

 そのきっかけは、アザゼル先生の言葉だった。

 

 乳首はつつくといやーんとなる。女の乳首はある意味でブザー。女の胸はオーフィスよりも可能性にあふれている。

 

 その言葉に魅了された俺は、部長の胸をつつきたいと考えていた。

 

 そして、禁手の覚醒は心に大きな影響があってこそ。

 

 ああ、だから気づいたんだ。

 

 俺が禁手に至るために必要なことはたった一つ。リアス部長の乳首をつつくことなんだって。

 

 じぶんでもこの状況下でするのはどうかと思ったけど、部長はそれを了承してくれた。

 

 つついた時は感動ものだったね! ああ、宇宙の始まりが見えたとも!!

 

 だから、至れた。だから、戦える!!

 

 実際、黒歌の本気の攻撃は俺には通用しない。そして勢い余って森をごっそり削って山すら吹っ飛ばした。……ま、ちっさいけどね。

 

 真の赤龍帝の鎧スゲー!! 是なら十字架と聖水がなくてもライザーの奴に負ける気がしないぜ!!

 

「……この、ガキっ」

 

 黒歌は飛び退って俺をにらみつけるけど、ビビってるのが丸わかりだ。

 

 そりゃ、渾身の攻撃が全然効いてなかったんだから当たり前だろう。俺だってそんな状況じゃちょっとはビビる。

 

 ホントならそのまま一発ぶんなぐってもよかったけど、それはやめといた。

 

 なんたって小猫ちゃんの姉だしな。まずは警告で充分だろ。

 

 これで帰ってくれりゃあいいんだけど……。

 

「ひゃはははは!! こいつはいいや。ドラゴンの親玉が二匹!! こいつぁ本気で楽しめそうだぜぃ!!」

 

 その光景を見て、美候の奴はやる気になりやがった!!

 

 なんでだよ! 相方むっちゃビビってたじゃん!!

 

 くそ、これが戦闘狂ってやつか。そんなに強い奴と戦いたいのかよ。

 

 おれには理解できない!!

 

 ヴァーリもそうだ。俺は部長のおっぱいに倍加を譲渡するのに夢を感じた。だけど、あいつは部長のおっぱいを半減させるという。

 

 間違いない。俺とこいつらはわかり合えない。合えるとするならそれは神の奇跡だ。

 

 だけど、今の攻撃で部長と小猫ちゃんを苦しめてた毒ガスも吹っ飛んだ。外側からの感知も通信も突入も妨害する結界も吹っ飛んだ。ついでに山も吹っ飛んだ。

 

 なら、きっと悪魔の増援も来てくれるはず。下手すりゃリセスさんとヒロイがタッグでやってくる。

 

 そこまでしのげば、行けるか!!

 

 俺は闘う姿勢を取り戻し、そしておっさんもまだまだやる気だ。

 

 なら、何とかしのいで見せる!!

 

 そう決意したその時―

 

「―そこまでです。美候に黒歌。ほかの悪魔たちも気づきますよ」

 

 そんな言葉とともに、空間に裂け目が生まれた。

 

 そっから出てきたのは眼鏡のイケメン。なんか手にも腰にも剣がある。しかもオーラから言って聖剣だ。

 

 そして、黒歌も美候もそっちに視線を向けた。

 

「アーサーじゃねえか。お前はルフェイと一緒に待機してたんじゃねえのかよ?」

 

「あなた達が遅いからようすを見に来たんですよ。そしたらなんですか、この光景は」

 

 なんか親しげに話してんな。やっぱお仲間?

 

 緊張感が微妙に緩んだけど、オッサンだけはなんか戦慄してた。

 

「三人とも! その男に近づくな!!」

 

 かなりやばげに危険視してる。

 

 やっぱり、あの聖剣が原因なのか?

 

「奴が持っている聖剣は危険だ。選定の剣カリバーンこと最強の聖剣、聖王剣コールブランド! まさか白龍皇の元に下るとはな……」

 

 まじか! 最強の聖剣!!

 

 つまり、ゼノヴィアのデュランダルよりすごいってことか。そんなのまであるだなんて、禍の団は戦力集めすぎだろ!!

 

 てことは、腰に差してる剣もすごいのか?

 

 俺の視線に気づいたのか、アーサーはその剣も引き抜いた。

 

「こちらは行方不明になっていた最強のエクスカリバー、支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)です」

 

 最後のエクスカリバーまでかよ! どんだけ聖剣集めてんだこの男!

 

 おいおい。聖剣って悪魔の天敵だぜ?

 

 そんなのの持ち主が出てきたら、増援が来るまで持ちこたえられるのかよ!!

 

 まだ部長と小猫ちゃんは回復しきってない。戦闘ができるかといわれるとちょっと厳しいはずだ。

 

 俺とオッサンだけで、ヴァーリのチームメンバー相手に持ちこたえられんのか?

 

「そんなに話して平気なの?」

 

「大丈夫ですよ黒歌。それに、私としてはリアス・グレモリーの眷属であるデュランダル使いと聖魔剣使いには興味がありましてね」

 

 おいおい。俺がヴァーリに、小猫ちゃんが黒歌に目をつけられてるように、木場とゼノヴィアもあの野郎に目をつけられてるのかよ。

 

 白龍皇のチームはマジで俺たちの宿敵だな、おい。

 

「リアス・グレモリー。あなたの眷属の2人に、私が一剣士として相まみえたいといっていたことをお伝えください。その代わりといっては何ですが、我々はここでお暇させていただきます」

 

 それだけ言うと、アーサーはコールブランドを後ろに振り向きながら振り下ろして、空間に裂け目を作って―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いや、それは無理な話ッス』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉とともに甲高い音がして、アーサーの腕が大きく切り裂かれた。

 

 




前に行ったひどい目に合う精鋭部隊は、ヴァーリチームの黒歌とアーサーでした! 黒歌についてはぼろぼろにされる詳細は次の話になります。

次の話にて、ペトの本気が垣間見れます。ドンビキタイムは近いぜ!! 被害者も増えるぜ!!











……で、この作品における精神的魔改造2トップの片割れ、ジークくん。

リセスと因縁ができており、間接的にペトとかかわっております。っていうか、リセスがペトと知り合った事件でジークは精神を病みました。

なんつーかヤンデレになっておりますが、これにより魔改造が伝染することとなります。狂気のストーカーとなった魔剣ジークフリートにご期待ください!!
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