ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ヴァーリチーム壊滅の危機。

それを救う伏兵は、現段階におけるヴァーリチーム最後の1人!

そう、魔女っ子です!!


第二章 11

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と、着弾は同時だった。

 

「あうっ!?」

 

 放たれた攻撃は、更に追撃が放たれる。

 

 それを乱数回避で無理やり避けながら、ペトはそれを見た。

 

 神器、万象見通す眼(ガナ・フライ・アイ)

 

 人間と上級堕天使の間に生まれたからこそ手にしたこの神器は、視力を強化する。

 

 ヴァーリとは違い、これは一般人の世界でも流通するレベルの神器だ。神器全体で言ってもレベルが低い神器だ。

 

 しかし、それは伸びしろが非常に高い神器でもある。

 

 自覚して、ちょっとした自慢で、実際努力してきたこともあって彼女の視力は、安物の天体望遠鏡に匹敵する。更に動体視力も桁違いに上昇した。

 

 しかし、彼女の戦闘技量は上級堕天使の子であるにも関わらず低かった。

 

 特に接近戦は致命的と言ってもいいだろう。神器ほどではないが人並程度の努力は行ってきた。その結果、中級堕天使と人間のハーフ相手に二回に一回は組み伏せられる程度にまで伸ばせた。

 

 中距離戦でも駄目だった。これも同待遇の中では最低ランクで、防戦に徹されれば格下相手に長丁場になる事もしばしばだった。

 

 そんなことでくさりかけ、人間の友達と一緒に戦場から離れて生きてきた時、それは起こった。

 

 当時ペトは、親の仕事の都合で京都近辺で活動。近くのさびれた神社の娘と友達になっていたのだが、その神社をはぐれ者の妖怪がねぐらにしようと襲撃してきた。

 

 かなり強力な部類の鬼達が相手で、両親達は目の前で殺され、子供達であった自分も酷い目に遭った。

 

 ……時々思うが、普通エロい子にはならないよなぁとは自分でも思う。

 

 おそらく自分はそれで壊れて、しかも現在進行形で、たぶん一生そんな感じなのだろう。

 

 だけど、壊れ切ってはいない。

 

 それは、リセスが助けてくれたからだ。

 

 そして、彼女の話を聞いて人間界の戦闘職についてある程度知った。

 

 その中の狙撃手という役割なら、自分はまだ役に立つのではないかと思った。

 

 リセスの役に立つ自分になりたい。敬愛するお姉さまの足手まといになりたくない。その一念で頑張りたいと思った。

 

 ……そして、その決意は馬鹿らしくなるぐらいあっさり形になった。

 

 圧倒的なまでの遠距離から放つ光力は、10km離れたバスケットボールにも簡単に当たった。

 

 その狙撃手としての圧倒的な一点特化の才能は、環境次第では全く役に立たないだろう。屋内戦や、結界内などの狭いフィールドでは無意味に近い。

 

 だが。広い範囲での戦闘ならば、自分は上級堕天使どころか最上級堕天使でも突破できないレベルの戦術的価値を発揮できる。

 

 アザゼルが、専用に人造神器を開発してくれたというのは伊達ではない。リセスから、戦力として頼りにされているというのも酔狂ではない。

 

 狙撃という土俵において、ペトを凌ぐ者など神の子を見張る者には存在しない。

 

 しかし、それは狙撃という土俵に持ち込まれなければ、彼女は上級堕天使の名折れだということだ。

 

「……他にもいたッスか!?」

 

 狙撃とは、本来狙撃手以外に観測手と護衛をつけて行う作業だ。

 

 しかし状況が状況なので単独行動で狙撃ポイントに移動していたが、それが見事に仇になった。

 

 そこにいるのは、古くからの魔女と現代の魔法少女を足して二で割ったような少女。

 

 箒に乗って高速で突撃している彼女は、既にペトから数百メートルの距離にまで近づいていた。

 

「此畜生がッス!!!」

 

 ペトは人造神器を使わず即座に光の槍を多重展開して放つ。

 

 まっすぐ直線的に仕掛けてくるなら、いくらなんでも当てられる。

 

 何の遠慮もなく、全力で十本以上の光の槍を放つ。

 

 ……しかし、相手が悪かった。

 

 彼女の名は、ルフェイ・ペンドラゴン。

 

 アーサー・ペンドラゴンの妹にして、サーゼクス・ルシファーの眷属であるマクレガー・メイザースが深く関わる黄金の夜明け団に所属していた、近代魔術や他の魔法使い組織が躊躇するような魔術すら習得する才女。そしてヴァーリ・チームの最後の1人。

 

 彼女は非常に優秀であり、そしてかなり怒っていた。

 

「よくもお兄さまをっ!!」

 

 敬愛する兄を追いかけて禍の団に入ったルフェイからしてみれば、その兄が殺されかけているなど看過できる事態ではない。

 

 そして、ペトはその撃った女。

 

 とどめに、今の自分以外に状況を打破出来る者もいなかった。

 

 それら全てが、ルフェイに思い切った選択をさせる。

 

 すなわち、防御範囲を極端に狭めて防御力を向上させた結界を展開しての特攻。

 

 迎撃を選択したペトは、これ以上ないほど選択を間違えた。

 

 攻撃全てを負傷しながらも防いだルフェイと、そんなやり方に一瞬とはいえ狼狽したペトが激突する。

 

 そして、其れゆえにルフェイが更に攻撃をするチャンスは出来た。

 

「……受けてください!!」

 

 ゼロ距離で、いくつもの魔方陣が展開される。

 

 ……僧侶の駒二駒を消費するマクレガー・メイザースが関わる魔法。そのフルバーストがこの距離で放たれる。

 

 その相打ち覚悟の攻撃に、ペトは寒気を感じた。

 

「ちょ、ま―」

 

「待ちません!!」

 

 そして、空中で大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその瞬間を、白龍皇の同胞達は見逃さない。

 

支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)よ!!」

 

 アーサーが、鞘に刺した剣を引き抜いて全力を込めると、彼の体が即座に動く。

 

 足の腱が切れている状態で立ち上がり、そして同時に黒歌も動いた。

 

「SS級はぐれ悪魔を……舐めないでよね!」

 

 木の根が仙術によって動き、そしてコールブランドを弾き飛ばす。

 

 それを受け取ったアーサーは、素早くコールブランドを振るいながら黒歌を抱え上げる。

 

「美候! ルフェイを頼みます……!」

 

 支配の聖剣は、あらゆるものを支配する。ゆえに使い手が受け入れれば、無理やり使い手の体を操作すること程度は可能。

 

 そしてそれを理解していたからこそ、黒歌も渾身の力でこの場から離脱する為にコールブランドをアーサーへと投げ渡したのだ。

 

 お互いがお互いの能力を把握し、信頼していなければ成り立たない連携。その点において、ヴァーリチームはまるで主人公の仲間達のような力を発揮していた。

 

 だが、二人揃って時間が掛かれば死に至ることが確実な負傷を負っている。これ以上戦闘を行う事などありえない。当然、美候とルフェイの足を引っ張る事は確実。

 

 だからこそ、これ以上足を引っ張らない為に二人は逃げを選択する。

 

 そして、それを美候もまた理解していた。

 

「まっかせろぉおおおおお!!!」

 

 筋斗雲を呼び出し、美候は即座に空を駆ける。

 

 突然の展開に虚を突かれたイッセー達は反応が遅れた。

 

「いかん! 兵藤一誠、リアス嬢達を守っていろ!!」

 

「あ、オッサン!?」

 

 その場を一誠に任せ、タンニーンは全力で空を飛ぶ。

 

 ……仲間を傷つけられ、挙句ヴァーリを投降させる為のだしにされた。

 

 とどめに、そんな自分達の窮地を助ける為に、最後の仲間が特攻まがいの戦法を選んでいる。

 

 まず間違いなく、美候はかなり怒り狂っている。

 

 そして、その懸念はまさに現実となる。

 

 ゼロ距離からの打ち合いに対して、ペトもまたそれをあえてなすことに光明を見出していた。

 

 爆発するがゆえに自他共にダメージを負うルフェイの攻撃に対し、光の槍の投擲は突き刺さるがゆえにこちらのダメージはほぼないと言っていい。

 

 無理に振りほどこうとするよりそれは正解で、ゆえにそれは功を奏した。

 

「離れるッス!!」

 

「きゃぁ!!」

 

 即座に腕を刺して力を抜けさせ、強引にペトはルフェイを引きはがす。

 

 そして再び狙撃体勢に入った時、既に美候は彼女を間合いに収めていた。

 

「延びろや如意棒!!」

 

「ぐはっ!」

 

 伸びた如意棒を叩き付け、美候は強引にペトを叩き落す。

 

 衝撃で一瞬意識が飛んだペトを、しかしタンニーンが受け止める事で地面への激突だけは免れた。

 

 しかし、受け止めるという事は攻撃しないという事だ。その間美候はフリーになる。

 

「しっかりしろよルフェイ! ここは逃げるぜ!!」

 

「は、はい……」

 

 全力で美候は距離を取り、そしてその進行方向の空間が裂ける。

 

 更に避けた空間から霧が大量に生まれ、攻撃の狙いをつけさせない。

 

「ルフェイ!」

 

「美候、急いで!!」

 

「おうよ!!」

 

 そして美候が突入した瞬間に、裂けた空間は即座に閉じた。

 

「……逃がしたか」

 

 それをタンニーンは確認して、しかし念の為に周りを警戒する。

 

 あれが黒歌と美候の独断行動だというなら、ヴァーリチーム以外の干渉は薄い。

 

 しかし、ペトは肩の骨が砕けている。リアスと小猫もまた、毒の影響はまだ残っている。

 

 万が一の強襲を警戒するのは当然だった。

 

「おい、堕天使の娘。致命傷ではないから気をしっかり持てよ」

 

 タンニーンは、あえてペトを一誠達の方に運ぶ。

 

 赤龍帝の鎧を身に纏った一誠なら、背中を預けるに値する。即座の治療が必要でない以上、リアスと小猫の警護も同時にできるあそこに行くのが妥当な策ではあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『聞こえるか、リセス嬢。お前の妹分はダメージを負っているが、致命傷じゃない。リアス嬢の眷属ならすぐに治せる』

 

「……そう。ありがとう、タンニーンさん」

 

 タンニーンにそう答えると、リセスはため息をついてバックステップを行う。

 

 それをあえて受け入れながら、ヴァーリは静かに苦笑を浮かべた。

 

「……まったく。数度の見当違いの模擬戦で勘違いした結果がこれか。あいつ等には本気で謝らないとな」

 

 そうため息をつくと、ヴァーリは静かにリセスを見据える。

 

 そこには、静かな怒りと心からの謝意、そして正真正銘の尊敬が込められていた。

 

「リセス。ペトに言っておいてくれ。君の本質を見誤って軽んじたことを、心から謝罪する……と」

 

 そう、ヴァーリは心からペトを低く見積もっていた事を申し訳なく思っていた。

 

 その実力が発揮できない状況で勝負を挑んで、その実力を測る事などできはしない。

 

 むろん、仕方がないと言えばそれまでだろう。

 

 超遠距離での狙撃に先鋭した超特化型と、自分のような相手とのまともな撃ち合いや殴り合いを求める手合いでは、戦闘の形を成立させる事は困難だ。

 

 超遠距離からの不意打ちで一撃で沈むか、狙撃できない状況下に持ち込んで蹂躙するか。この二択に終わるのが当然だ。

 

 しかし、伏札にされていたとはいえどそれを知らずに馬鹿にしていたのは完全な失態だ。

 

 ゆえに、ヴァーリは心から謝罪し―

 

「―ただし、俺の仲間をここまで痛めつけてくれた以上、それ相応の落とし前をつけさせてもらおうとも伝えておいてくれ」

 

 それはそれとして割と怒りに燃えていた。

 

「させると思うかしら?」

 

 その言葉とともに、リセスはオーラを放って殴り掛かる。

 

 それをヴァーリは鎧を展開して受け止めようとして、しかし回避を選んだ。

 

 攻撃が僅かに鎧にオーラが触れる程度にとどまり、しかしそのオーラが鎧にひびを入れる。

 

 そして、回避したヴァーリはそのひびを面白そうに触れる。

 

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)はあらゆる属性を支配する……か。まさか龍殺しの属性すら使えるとは思わなかったよ」

 

「イッセーからアスカロンを借りて徹底的に参考にしたわ。煌天雷獄(これ)の出力なら、更に上を狙えるわよ」

 

 静かに睨み合う二人は、いつ攻撃に入ってもおかしくなかった。

 

 ヴァーリは神滅具を禁手にまで至らせているが、リセスに特別効く攻撃を持ってない。リセスは神滅具を禁手に至らせてないが、ヴァーリに特別効く攻撃を行うことができる。

 

 リセスは上位神滅具の持ち主だが、素体はただの人間である。ヴァーリはただの神滅具の持ち主だが、素体は魔王の末裔である。

 

 お互いに優れた面と劣った面を持つのが今の2人。ゆえにまともに戦えば、お互いにただでは済まない。

 

「和平会談を台無しに仕掛け、人類まで巻き込んだ戦いを起こすテロリストとなったあなたとその仲間に遠慮するわけないでしょう? テロリストには容赦も譲歩もしない。人間世界を巻き込むなら、人間世界の国際常識も理解しなさい」

 

「なるほど、確かに正論だ。だが、仲間を痛めつけた者を、作戦の範囲内で痛めつける程度はどんな戦争でもやっているんじゃないかい?」

 

 静かに言葉をぶつけ合いながら、二人は攻撃を再び放とうとし―

 

「待ってくれ、ヴァーリ」

 

 其の間に、魔帝剣グラムが差し込まれる。

 

 かなり不満げな表情を浮かべながら、ジークはヴァーリに非難の視線を向けた。

 

「彼女は僕の得物だ。君の得物は妹分の方なんだろう? 横取りはやめてくれ」

 

 するようならば切る。それを言外に殺意を込めながら、ジークはヴァーリを止める。

 

 その様子を見て、ヴァーリは肩をすくめると後ろに下がった。

 

 そして、其れを見てリムヴァンは苦笑した。

 

「……一時はどうなることかと思ったけど、とりあえず本来の役目に戻るとするかな」

 

 そういうと、リムヴァンは指を慣らす。

 

 そして、いくつもの映像が宙に映し出された。

 

 そこにいるのは、文字通りの混成軍。

 

 悪魔祓いがいる。堕天使がいる。妖怪がいる。吸血鬼もいる。巨人もいる。魔獣もいる。

 

 多種多様な種族が、軽く見積もっても万を超える数で集結していた。

 

「第一ラウンドの駒王会談襲撃作戦は失敗。第二ラウンドのヴィクター経済連合設立戦は大成功。……てなわけで、第三ラウンドに行ってみようと思うんだよ」

 

 そう言うと、リムヴァンは声を張り上げる!!

 

「御観覧の皆様!! 彼らは威勢よく禍の団の快進撃を続ける為、貴方方の首を取らんと息巻いている我らの軍団です!! この建物に進軍中でございまーす!」

 

 その言葉に、全員が魔方陣を展開しながらそれを確認する。

 

 確かに、この場を目指して進軍中なのが確認できた。

 

 ヴィクター経済連合は、最初にまず三大勢力の和平を阻止するという方法を取った。

 

 そして次は、足場作りとして人間世界で同時多発クーデターを行い、成功させた。

 

 そして三番目。今度は悪魔達の重鎮を狙い、大規模な戦闘を仕掛けてきたのだ。

 

 それを貴族達が理解している隙に、リムヴァンはジークとヴァーリも含めるように、霧を生み出して展開する。

 

「それでは皆さん! ぜひこの窮地を潜り抜けていただきたい!! 出来るものならやってごらんなさい!!」

 

 その言葉とともに霧は彼らの姿を隠し、そして消え去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 




と、言うわけでルフェイの頑張りによって、ヴァーリチームは大損害から辛うじて脱出。もてるものすべて使ったヴァーリチームが、かろうじて生存をつかみ取った形です。


 一方ペトの来歴と神器の説明もしました。ちなみに神器の名前は最近連載再開した漫画の目のいいボクサーの「あれ、武器だったんかい!!」からです
 ペトの両親が殺された事件についてもある程度説明、まあ、濁していますがそういうことです。


 そしてリセスはリセスで独自トレーニングにより新たな力を確保。これによりヴァーリたちに対して神器の到達段階では劣りながらも優勢に立ち回ることができるようになりました。因みに彼女の禁手はライオンハート編までお待ちください。




そして二章中盤の山場、一万を超える軍勢によるパーティ会場襲撃戦。

とはいえ、この作戦、リムヴァンの本命は別にあり………?
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