ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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後半戦のプロローグみたいなものなので、今回は短め。


第二章 19

 

「うぁああああああああ!!! アーシアぁああああああああああ!!!」

 

「………うるっせえええええっ!!!」

 

 早朝からの絶叫に、俺は渾身のツッコミを入れて飛び起きた。

 

 まだ五時だぞイッセーの奴。しかも何度目だよ。

 

 どうせまた、アーシアとディオドラの結婚式の夢でも見たんだな?

 

 あの馬鹿、なんでそんなことがあり得ると思い込めるのかが謎だ。どう見てもアーシアはお前に惚れてるだろうが。

 

 ったく。人がいい気分で寝てたって時に。

 

 あとちょっとで、夢の中とはいえ姐さんと一晩を共にするところだってのに、なんで男の絶叫で起こされなけりゃならないんだよ。

 

「ったく。こうなったらなんか食べるか」

 

 そう言いながらエレベーターで一階まで下りれば、そこには大量のプレゼントの山が今日もあった。

 

 冥界から帰還して、ディオドラがアーシアにプロポーズした日。そこから全てが始まり、今の今までプレゼントが絶えなかった日はない。

 

 愛をささやく手紙。食事の招待状。映画のチケット。高級な家具。宝石などのアクセサリー。更に缶詰詰め合わせなどの消え物。

 

 金が有り余っている元72柱の末裔。それも、技術職ゆえに更に金が集まってくるアジュカ・ベルゼブブの血縁に連なるアスタロト家。その圧倒的な財力による物量作戦。

 

 ちなみに、消え物は眷属の失態の詫びと言う事で俺も食べていいと既に言われている。気前がいいな、ディオドラ。

 

 そんなわけで今もストレス発散に高級チーズを食べていると、お嬢がため息をつきながら降りてきた。

 

「……そろそろアスタロト家に抗議を入れるべきかしら。イッセーのお父様とお母様に悪いわ」

 

「そうっすね。保存の効く食い物だけにして貰いましょうか。流石に毎回これは多すぎますわ」

 

「いえ、食べればいいと言うわけではなくてね?」

 

 冗談ですよお嬢。いや、食いたいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みも終わり、二学期がやってきた。

 

 いやぁ。また勉強ができる日々がやってきた!

 

「学生ってホント得だよなぁ。駒王学園(ここ)は名門校なのに学費も結構安いしよ。勉強し放題だ」

 

「あんた、学生とは思えないぐらい勉強好きよねぇ」

 

 桐生に呆れられるが、しかしやっぱり学生は勉強だろ?

 

「勉強できるってのは恵まれてる証拠だからな。せっかく勉強する機会に恵まれてんだ。授業ぐらいはきちんと受けねえと」

 

「アンタ、どんな生活送ってきたの?」

 

 それは知らねえ方がいいと思うぜ?

 

 ったく。態々名門校にまで来てんだから、勉強はきちんとした方が得だろうに。

 

 ……それはそれとして、なんかあか抜けたやつが多くなってんな。

 

 これがいわゆる夏休み明けってやつか。教会の施設だとあんまし見たことなかったぜ。

 

 しかし、落ち着いた感じで可愛かった子がギャルみたいになってんのはきついな。自分の持ち味殺すのはどうよ?

 

 男にしてもだ。なんか、松田や元浜みてねえなうぜえ感じの奴が増えてねえか?

 

 そんでもって松田と元浜は、静かに優雅にコーヒー牛乳をストローですすりながら話し合いをしていた。

 

「元浜さん? 隣のクラスの吉田は、夏休みにようやく三年生の人相手に決めたそうだぜ?」

 

「松田さん? 大場も今頃になって、一年の子を相手にしたそうだぜ?」

 

 大場に視線を向けると、さわやかな笑顔で手を振っている。

 

 ぶっちゃけマジでむかつくが、二人は平然と手を振ると、強者の余裕を見せていた。

 

「「ふっ。遅いな」」

 

「「「うざい! 果てしなくウザイ!!」」」

 

 俺と桐生とイッセーは、心からこの二人に対するうざさでつながり合った。

 

 ああ、なんでこいつらは遊びで童貞捨てただけで、彼女ができたやつと自分を同一視できるんだ。

 

 いや、言うな、わかってる。だって姐さんもペトもかなりレベルの高い女だからな。芸能界でも一線級で通用しそうなレベルだしな。

 

 ぶっちゃけ、並の彼女では相手にならないだろう。しかもこの二人、あの部屋の常連になって経験豊富らしいし。

 

 おかげで覗きをイッセー以外はしなくなったのは良い事なんだけどよ。

 

 ……すっげぇ、果てしなくウザイ!!

 

「ちょっとカッシウス。あんたの所為であの二人、とことんうざくなってるんだけど?」

 

「あのなあ、色々遭ってあそこ行けなくなってる俺にそれ言うか?」

 

 部屋そのものに魔術を掛けられたらしく、近づくだけでお嬢が携帯に電話入れてくるんだよ。おかげで近づけねえ。

 

 お嬢、イッセーに紹介したのはいい加減謝るから、俺が行く分には勘弁してくれねえっすかねぇ。

 

 そんなハッピーからブルーな気分に変転した俺と、そしてイッセーに桐生は声をすぼめて尋ねた。

 

「そういやさ、二人とも」

 

 桐生が聞きたい事はなんとなくわかった。

 

「アーシア。最近遠い目になる事があるんだけど、なんか知ってる?」

 

「え? いや、よくわかんないな」

 

 イッセーはそう言うが、そんなもんは一つだろう。

 

 ディオドラの求婚活動以外の何物でもねえ。

 

 ま、アーシアはディオドラと一緒になる気はねえから当然だな。イッセーの奴にぞっこんだしよ。

 

 だけどイッセーは自分が惚れられてる事に全く気付いてねえ。それがややこしくなってる。

 

 もうこれ、俺達が指摘した方がいいんじゃねえかって気分になるんだけどなぁ。

 

 ほら、アーシアは明らかにぎこちない笑み浮かべてるしよ。

 

 そんな時、どたどたとした音が響いた。

 

「お、おい! 皆大変だ! 落ち着いて聞いてくれ!!」

 

「まずあんたが落ち着くッス」

 

 ペト、ナイスツッコミ。

 

「おお! あれがゴ〇ラの名シーンだな!?」

 

 ゼノヴィアうるさい。

 

 あ、でもそのボケのおかげで相手も落ち着いたみたいだな。怪我の功名ってやつか。

 

 で、その生徒は呼吸を整えてから大声を出した。

 

「このクラスにまた転校生だ! それも、めちゃめちゃ美少女!!」

 

 このクラスにまた転校生かよ。

 

 あ、これもしかして、また異形関係?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、こんな時期に珍しいですが、このクラスに転入生が入ってくる事になりました。さ、入ってきて」

 

 担任に促されて、入ってきたのはよく見知った美少女だった。

 

 元気のよさそうな活気のある顔つきに、均整の取れたスタイルは野郎どもを魅了する。松田と元浜も久々にスケベな表情を浮かべやがった。

 

 が、童貞なので一番がっつくはずのイッセーが魅了されてない。

 

 ま、当然だろう。俺もゼノヴィアもアーシアもペトも驚いてるからな。

 

 首から下げた十字架が光を反射し、そしてそれをきっかけにしてそいつは頭を下げる。

 

「紫藤イリナです。皆さんどうぞよろしくお願いします!!」

 

 ……コカビエル襲来以来だな、イリナ。

 




童貞を卒業した瞬間に男として成長した気になる奴って、たぶん多いんだろうなぁ。

ことリセスもペトも外見においてはハイスペックですので、まず間違いなく自慢になる女性です。









ですが、遊びで卒業するのと恋愛で卒業するのとの間には大きな差があるのでご注意を。
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