ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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今回は原作とそう変わらないですね。ほぼヒロイ視点ということだけです。


第二章 20

 

 そしてオカ研部室にて、俺たちはイリナを迎え入れた。

 

「貴女の来訪を歓迎するわ、紫藤イリナさん」

 

 お嬢がにこやかにイリナを迎え入れ、イリナも改めて一礼する。

 

「はい! 初めましての方もいれば、もう会った方の人も多いですね。教会の……いえ、天界の使者として、駒王学園にやってまいりました!!」

 

 パチパチパチと、拍手が鳴り響く。

 

 まあ、確かに考えてみりゃそうだよな。

 

 この駒王学園。三大勢力の和平の象徴みたいなもんだ。天界からも一人ぐらいスタッフが来たっていいもんな。

 

 ほら、俺一応追放されてるから教会の所属じゃねえし。

 

 ちなみにイリナは「主への感謝ー!」「ミカエル様ー!」とかいつも通り。

 

 ……だけどよ?

 

「なあ、イリナ。聖書の神は……」

 

 ああ、すでにばらされてるとは言え、それでもちょっと気になっちまう。

 

 聖書の神は、すでに死んでる。

 

 それをヴィクター経済連合は堂々とばらしやがった。どうやらヴァーリに盗撮させて、それを公表したようだ。

 

 だから、もう知ってないとおかしいんだが、イリナの信仰心だと記憶をねつ造してもおかしくねえ。

 

 俺たちはものすごく心配なんだが、イリナは静かに首を振った。

 

「大丈夫よ、ヒロイ君。私はすでに主の消滅を受け入れてるわ」

 

 そ、そうか。

 

「意外にタフなんだな」

 

「ああ。信仰心が人一倍タフだったのに」

 

 イッセーとゼノヴィアが感心する。

 

 ああ、俺もそこそこ付き合いがあったが、正直意外だ。

 

 下手したら、精神病院に入院してる可能性すら考えてたからな。

 

「まさかショックを受けずにここまで来れるたぁ―」

 

「ショックに決まってるじゃないぃいいいい!!!」

 

 反応するまもなく、俺は胸ぐらをつかまれてぐわんぐわん前後にゆすられる。

 

 しかも勢いよく涙を流してるから、飛び散って顔が濡れる…‥っていうか口に入った!!

 

「心の支え! 宇宙の中心! あらゆるものの父がすでに亡くなられてるとかショックに決まってるでしょ!? 私は知ったとき一瞬で気絶して七日七番寝込んだし! そのあと二週間ぐらい、やけになってヴィクター経済連合に入ろうか悩んだし!?」

 

 あ、やっぱりショックだったか。

 

 あとすいません。勢い良く揺さぶられすぎて、後頭部とかがガンガンぶつけられていたいんですぜ嬢ちゃん!!

 

「はいはい、そこまで。とりあえず落ち着きなさい」

 

 姐さんありがとう。イリナを取り押さえてくれなかったら、俺気絶してた。

 

 そしてイリナはそのまま大号泣。やっぱショックはひどすぎるレベルか。よくひと月そこらで立ち直れたな、オイ。

 

 あまりに同情を誘うその泣きっぷりに、ペトはあたりを見渡し、お茶請けのクッキーを取り出した。

 

「ほら、ヒロイにたんこぶができてるッス。クッキーあげるから落ち着くッス」

 

「あ、ありがとう。うぅ、美味しさが心にしみるわ」

 

 ようやく泣き止んだイリナに、アーシアとゼノヴィアも思い出し涙目になりながら隣に寄り添った。

 

「わかります、その気持ち」

 

「ああ。私もやけを起こしかけたからな。……どこかの誰かのせいで持ち直した意味もなくなったが」

 

 マジごめんなさい!!

 

「ああ、ゼノヴィア、アーシアさん!! この前は二人ともごめんなさい!!」

 

 イリナは別の意味で涙を流しながら、二人に謝った。

 

 ……ああ、アーシアは最初にあったときの魔女扱いか。

 

 ゼノヴィアに関しちゃぁ……別れ際に揉めたとか言ってたな。

 

「いえ、気にしないでください」

 

「そうだ。あれは何の説明もしなかった私も悪かった」

 

 二人とも、気にせず笑顔で許してくれた。

 

 それにさらに感動したのか、さらに別の意味で涙を浮かべながらイリナは手を組んだ。

 

「ああ、主よ! この慈悲深い二人に祝福を!!」

 

 いや、その主はもう死んでるんすけど、イリナさんや。

 

 しかしなんか妙なテンションに同調したのか、アーシアとゼノヴィアもお祈りを開始する。

 

「いえ主よ。なにより今でも信徒として頑張ってるイリナさんにお慈悲を」

 

「その通りです主よ。まずはイリナにこそお慈悲を」

 

 ああ、そういや二人とも、もうお祈りできるようになってたよな。

 

 ホントに二人が祈れるようにするとは、ミカエル様も太っ腹だ。

 

 それもこれも、イッセーがミカエル様に直談判したからだな。大勢力のトップに直談判するとか、並の根性じゃできねえ。マジすげえぜイッセー。

 

 ゼノヴィアはイッセーにばかりモーションをかけてるし。イッセーのやつゼノヴィアをあれで堕としたしな。おのれむかつく!

 

「で、お前さんはミカエルからの使者ってことでいいんだな?」

 

「はい、ミカエル様はここに天使側からのスタッフがいないことを懸念されておりました。三大勢力の平和のシンボルにして、ヴィクター経済連合に名指しで指定されたこの場所を、天使側が守護しないのは問題だと」

 

 ああ、そういうことか。

 

 確かに、三大勢力の重要要素が集まって戦争寸前の事態になり、三大勢力のトップが集まって和平を行い、そしてそれを名指しで指摘されて第一次真世界大戦とすら呼称されているこの戦いの勃発の場所となったこの駒王町に、天界側が一人もいないってのは問題だな。

 

 俺、一応悪魔側の食客になってるし。

 

 ま、資金面とか結界の調整などではものすごい支援を受けてんだけどな。バックアップ体制だけならおつりがくるぐらい受けてるぜ。

 

「今いる人員だけでも充分なんだがよ。お人よしすぎるぐらいのバックアップで十分だろうに」

 

 アザゼル先生も苦笑してる。ま、確かに同感。

 

 ……しかし、だとするとちょっち疑問だな。

 

「でもよ。それなら信徒1人ってのも形だけすぎねえか? どうせ和平成立の場所として名指しされてんだし、枢機卿とかセラフとか言わないまでも、もっとお偉いさんが出てきたっておかしくねえんじゃねえか?」

 

 俺としちゃぁそう思うんだが、その辺どうよ?

 

 いや、イリナも聖剣使いという実力者なわけで、そういう意味じゃあ護衛としちゃ十分なんだがよ?

 

「それに関しては、すでに例の廃教会を改修中よ。それに、今の私は一信徒なんてレベルじゃないわ」

 

 ふふんと得意げに笑ってから、イリナは祈りをささげる。

 

 その瞬間、背中から後光が指す。

 

 さらに、頭上に光輪が浮かび、背中には一対の白い翼すら生えてきた。

 

 な、なんだなんだ!?

 

「すっげえ! まるで天使じゃねえか!」

 

「いや、こりゃマジで天使だな」

 

 イッセーが感嘆の声を上げると、アザゼルがそれに同意する……にしちゃなんか否定のニュアンスがあるんだが。

 

 その言い回しに視線が集まってることに気づくと、アザゼル先生はイリナに顔を向ける。

 

「理論段階では最近提唱された転生天使の技術。もう完成してやがったのか」

 

「その通りです! 悪魔の駒の技術をベースに、トランプをイメージした御使い(ブレイブ・セイント)と称す配下12名を、十四柱のセラフの方々が王の立場で編成することになりました!」

 

 て、転生天使!

 

「あらあら。天界も技術革新が進んでいるようですわね」

 

「転生悪魔の応用で転生天使だなんて、三大勢力和平の象徴になりそうだわ」

 

 二大お姉さまがそう感心するが、確かにこりゃすげえ。

 

 アザゼル先生も、素直に感心してた。

 

「こっちが提供した人工神器の技術も入ってんな。早速面白いもんを開発しやがる」

 

 しげしげとイリナを見ながら、アザゼル先生は考え込み始めた。

 

「悪魔がチェスなら天使はトランプか。トランプには切り札って意味もあるが、まさに増えなくなった天使にとっての切り札ってことか。組織合同のジョーカーとかいそうで気になるが、先ずはお前さんのスートだな」

 

「ミカエル様の(エース)をやらせてもらってます!!」

 

 えっへんと胸を張りながら、イリナは右手の甲とそこに浮かび上がったAの文字を見せつける。

 

 おお、セラフのトップでもあるミカエル様のエースとは、ものすごい名誉だな。

 

「くそ!! 私も破れかぶれで悪魔にならなければ転生天使になれたかもしれん。リアス部長には悪いが、ちょっと後悔が再燃してきたぞ!!」

 

「うらやましいでしょゼノヴィア! 私はこの栄誉だけで死んでいいわ! これからはミカエルさまのAであるという事実を糧に生きていくのよぉおおおお!!!」

 

 心底うらやましがるゼノヴィアに、イリナは勝ち誇った。そしてついでに祈りをささげた。

 

「……今度の生きる糧はミカエル様ってか」

 

「まあいいじゃない。生きる糧っていうのは、必要なものだと思うわよ」

 

 ちょっとあきれるイッセーをたしなめるように、姐さんがそう言ってフォローする。

 

 確かに、生きる目的ってのは重要だよな。俺や姐さんにとっての英雄しかり。イッセーにとってのハーレムしかり。

 

 うん、そういう意味じゃ、少しほっとしたぜ。

 

 そして、なんかほのぼのした空気の中、イリナは告げる。

 

「ぶっちゃけ、いい悪魔なら仲良くしたいと思ってました、紫藤イリナです!! ミカエル様も「みんな仲良くヴィクター経済連合を叩きのめしましょう」とのお達しですので、真剣に頑張らせていただきます!!」

 

 おう! よろしくな、イリナ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで新しい日常がやってきた。

 

 現在絶賛にらみ合い状態の第一次真世界大戦。日本は基本的に平和である。

 

 世界各国ではパニックが起き、そのはけ口として反撃を行っては返り討ちという流れができているが、日本は他国に仕掛けないという憲法があるから平和そのものだ。仕掛けてないから反撃もされてないしな。

 

 いや、他国からの輸入品が価格上昇ということで、経済的にはそこそこダメージがあるんだが、それを総理大臣が解決した。

 

 ……真っ先に異形の存在との交流を図るといい、枢機卿に使者を送ったのだ。

 

 さらに、日本の異能組織の存在を公表。彼らを筆頭とした防衛体制の確立に全力を尽くしている。

 

 その結果、三代勢力とのパイプが大きくなると同時、日本国民の精神的動揺も大幅に減衰。日本は正真正銘平和な時と同じぐらいの状況になっていた。

 

 いや、勢い余って落ち着きすぎな気もすんだけどよ。平和ボケってやつじゃねえか?

 

 ま、そのおかげで俺は体育祭に参加できるというラッキーな出来事に恵まれたわけだが。

 

「はいはい、それじゃあ、希望の競技を言ってきてねー」

 

「はいはーい! 私は―」

 

 と、桐生が自薦で参加する人を募り、イリナが勢いよく真っ先に名乗りを上げるなか、俺はどれに参加するか悩んでいた。

 

 やっぱここは綱引きか。悪魔祓いの身体能力なら、確実に力になれる自信があるぜ。

 

「……わ、私は二人三脚がいいです」

 

 と、そこでアーシアが手を上げた。

 

 そして顔を真っ赤にして視線をイッセーに向ける。

 

 ……その瞬間、このクラスの心は一つになった。

 

「イッセーイッセー。脇が破れてるっすよ?」

 

「え、マジで!?」

 

 考え込んでいたイッセーに、ペトが指摘する。もちろん本当に敗れてるわけじゃない。

 

 しかしイッセーは素直に反応して手を上げる。

 

 その瞬間、俺たちはカメラ機能を全開にした携帯やスマホでその証拠写真を撮った。

 

「実行委員! ブツは確保しました!!」

 

「はいよ~。其れじゃ、兵藤とアーシアは二人三脚っと」

 

 松田の声に即座にうなづき、桐生はイッセーとアーシアの名前を二人三脚の下に書き込む。

 

 ……しかし、ちょっと意外だったな。

 

 ゼノヴィアはイッセーに惚れてしまったと思ったんだが、張り合う気がなさそうだな。

 

 いや、アーシアのこともものすごく大事に思ってるし、アーシアとやりたがるという可能性もあったんだが。

 

「ゼノヴィア、お前は良いのか?」

 

「ん? ああ、そういうことか」

 

 そういうと、ゼノヴィアはふふっとほほ笑んだ。

 

「アーシアには借りもあるしな。イッセーを一番最初に好きになったのは彼女なんだし、それ位の役得はあっていいだろ?」

 

 ……ああ。最初にあったときの一件か。

 

 アーシアはもう全然気にしてなさそうだけどよ、それでも考えるあたり、こいつもいいやつではあるんだよな。

 

「そうだな、じゃ、先ずはディオドラのこと何とかしねえとな」

 

「ああ。まあ、私達はもめ事にならないと動けないんだけどね」

 

 そうなんだよなぁ……。

 

 いっそのこと、業を煮やしたディオドラが喧嘩でも売ってくれりゃぁ都合がいいんだけどよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、体育祭に向けての練習が始まった。

 

「勝負だイリナ!」

 

「負けないわよゼノヴィア!!」

 

「漁夫の利をいただくッス!!」

 

 ゼノヴィアとイリナのデッドヒートになるかと思われたかけっこで、隙をついてペトが追い抜いた。

 

 ……転生悪魔と転生天使とハーフ堕天使によるかけっこか。しかも体育祭の練習。

 

 なんかこれ、三大勢力の和平の象徴とみるべきかねぇ? それとも一種の代理戦争?

 

 なんか、マジすごい光景だよなぁ。数か月前じゃ考えられねえよ。

 

「しかし、高速で動かれるとおっぱいの動きが把握しづらいな」

 

「だな」

 

「やはり適度な速度が一番だよな」

 

「確かに風情がねえな」

 

 俺たちはそうしみじみと同意した。

 

 ああ、松田も元浜も、最近うざかったが根っこは変わらねえ。こういう時の馬鹿話に関しちゃ問題ねえな。

 

「……何してんだ、お前ら?」

 

 と、そこに匙がメジャーやらなんやら抱えて通りがかった。

 

「おう、匙。揺れるおっぱいを観察中だぜ!」

 

 とあほな返答しやがったイッセーと一緒に、俺は匙に近づいた。

 

 イッセーや。そこは嘘でも「速い走り方を足の速いやつ見て考えてた」とか言えねえのか。

 

 そんなんだからお前もてねえんだよ。いや、モテてるけど。

 

「相変わらずだな、お前ら」

 

「いや、おれも確かにそうだけど一緒にしないでくれねぇか?」

 

 同類扱いして勝手にドン引きする匙に、俺は文句を言う。

 

 ……プレイボーイの作法は心得てんだよ。俺は覗きはしねえ。

 

 ん? なんか腕に包帯が巻き付けられてねえか?

 

 イッセーもそれに気づいたのか、気づかわし気に視線を向けた。

 

「どうしたんだよ、その包帯? アーシアよんでこようか?」

 

「いや、怪我じゃないんだよ」

 

 そういって匙は包帯をめくる。

 

 ……そこには、大量の黒い蛇がのたうってるかのような入れ墨っぽいのが浮かんでた。

 

 一言いうけど、マジでキモイ。

 

「……呪いの文様?」

 

「やめろ兵藤。ヴリトラは良い伝説残してないんだよ」

 

 心底いやそうに匙は反論した。

 

 いや、呪われてもねえのになんで生徒会役員がそんなもん入れてんだよ。

 

「アザゼル先生に聞いたら、禍の団の襲撃でヴァーリ相手にラインをつないだのが原因じゃないかってさ」

 

 ああ。

 

 血を吸ってたな。二天龍の血を。

 

 オーラも流し込まれたな。反転した白龍皇のオーラを。

 

「なんか、やばいことになんねえかそれ?」

 

 俺は心底不安になったが、匙はあまり気にしてないみたいだ。

 

「いや、悪影響はないみたいなんだよ、特に不都合もないしな。で、お前らは何の競技に出るんだ?」

 

「ああ、綱引きだ綱引き。目立たず確実に貢献できるからな」

 

「俺はアーシアと一緒に二人三脚だ。仲よくゴールしてやるぜ!!」

 

 にやけるイッセーに、匙は心底嫉妬の視線を向けてきた。

 

 激しく同意だ。一万年ぐらい末永く幸せな生活を送ってから大爆発しやがれ。むしろ核爆発しやがれ。

「ケッ! うらやましい奴め。俺はパン食い競争だよ畜生め」

 

 そんだけ文句をついてから、匙は遠い目をした。

 

「……俺は、いつになったら主様の胸を揉めるんだろうな。お前は揉み放題だってのに」

 

「……俺も、姐さんと混浴したかったなぁ」

 

 二人でジト目でにらむと、イッセーは何を言ってんだって顔になる。

 

「いや、俺だってそんな毎回揉めてるわけじゃねえし、リセスさんと毎回風呂に入ってるわけじゃねえよ。普段は部長やアーシアと一緒に風呂に入ってるんだ。幸運が重なって何とか揉めてるんだ」

 

「「死ね!!」」

 

 渾身のツッコミを入れた。

 

 そんなことを言ってたら、いつの間にか鋭い視線が突き刺さる。

 

 振り返ると、そこには生徒会長と副会長だ。眼鏡が光って怖い!!

 

「匙、これからテントの設営個所のチェックだといったでしょう?」

 

「男手が少ないのですから、ちゃんと働いてくださいな」

 

「はい! じゃ、俺はこの辺で……」

 

 完璧にしりに敷かれてるな。上下関係が二重で成立してっから当然だけどよ。

 

 これじゃあ、できちゃった結婚なんて夢のまた夢だな。アーメン。

 

 んなこと思ってると、ドライグの声が響いた。

 

『ほう。ヴリトラの魂が濃くなってきたようだな、あの坊主』

 

「え? なに、どういうことだよ?」

 

 イッセーがよくわからないって顔になる。

 

 ……そういや、あいつの神器はヴリトラの魂を宿してるって、アザゼルが言ってたな。

 

 しかし、ドライグは詳しい説明をしてくれない。

 

『気にするな、白いのとの直の接触が影響を与えたらしい。俺も近くにいたしな、さすがは邪龍といったところか』

 

「……匙に変な影響は出てこないだろうな」

 

 なんか、すごく不安になってきたんだが

 

『流石にそこまではないだろう。なにせ、奴が宿しているのは魂のごく一部だ。まあ、ファーブニルやヴリトラが近くにいて、タンニーンに鍛えられるとはな。相棒は龍王に縁があるようだ』

 

「マジか。じゃ、ほかの龍王とも会うのかもしれないのかよ」

 

 ドライグは俺を安心させるつもりだったみたいだが、逆にイッセーが不安そうになった。

 

 た、確かにそんな大御所と連続して出くわすのは、心臓に悪いな。

 

 たしか、あとは中国と北欧とシュメールだったか?

 

『……相棒、ティアマットにだけはかかわらないでくれよ。奴とだけはまだ会いたくない』

 

 ……ドライグ。ティアマットは雌のドラゴンらしいが、まさか付き合ってたんじゃないだろうな。

 




イリナ「本気でヴィクター経済連合に入ろうかと思ったわ」

ペト「身体能力は一応上級クラスあるんッス」

ドライグ「いや、借りたものを強奪されてな……」
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