ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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こっから一気にオリジナル展開です!!


第二章 23

 

 ま、まさか総理大臣がこの学園に興味があるとは思わなかった。

 

 つい失礼な口をきいちまったが、仕方がねえだろ此畜生。

 

 だって俺、外国人だよ? 別の国の政府関係者の顔を覚えてなくても問題ねえだろ。

 

 ……ま、日本に住んでて総理大臣の顔知らないのは確かにツッコミどころがあるかもしれねえけどな。

 

 しっかし、総理大臣は何考えてんだろうな。

 

 あの総理は、ヴィクター経済連合が異形の存在を公表してから、かなり早い段階でそれを認めた国家首脳陣の一人だ。

 

 野党からはかなりの批判を浴びたそうだが、国民からの受けはいい。

 

 他の国はいまだその事実を認めることが遅れてることも多い。聖書の教え方面に至っては、とにかくヴィクター経済連合ぶっ潰せで進んでるからな。そして返り討ち。

 

 ぶっちゃけ、出遅れてるといっても過言じゃねえ。

 

 そういう意味じゃあ、とりあえず異形の存在を認めることから始めたのは、まあ堅実だろ。

 

 しかも大まかな日本の異能関係組織などについてもある程度開示して、政府が異能とかかわりを持っていることも公表。隠してきたことを土下座で謝罪した。

 

 この潔い対応が高評価なのか、与党の支持率は10パーセントほど上昇したとか。

 

 思い切りがいいというべきか、深く考えてねえというべきか。

 

 ま、どっちにしても今のところは良い感じに進んでんな、あの総理。

 

 しっかし、お嬢やアザゼル先生に接触することまで考えてるようだし、これはあのオッサンとまた会う時も近いかねぇ。

 

 それを伝えるために、イッセーは部室に急いで向かったしな。

 

 ……さて、俺はジュースでも飲んでから行くとするか―

 

 その瞬間、俺は感じ慣れてない気配を感じて立ち止まった。

 

 なんだ? 悪魔の気配がするな。

 

 ……たぶん来客だと思おうが、一応見てみるか。

 

 そして俺は校舎裏を走り、そして―

 

「ひ、ヒロイさん!!」

 

「しまった! 聖槍か!!」

 

 ―アーシアが、見知らぬ悪魔にとっつかまっているところを目撃した。

 

 ………はぁ!?

 

「おいコラァ!! ウチの奴に何してやがる!!」

 

 俺は相手が反応するより早く、飛び蹴りを敢行。

 

 即座に魔剣を足に展開。ちなみに拘束重視で呪いをかけるタイプだ。

 

 このために黒魔術を勉強して組み込んだ特注品。喰らっとけや!!

 

 そして、その悪魔はもろに喰らった。

 

 ―自分から体当たりしてきやがった。

 

「真なる魔王のために……行け!」

 

「わかった。その犠牲は無駄にはしない!!」

 

 しまった! 伏兵がいたのか!!

 

 俺はすぐに追いかけようとするが、それより先に魔剣が刺さった悪魔が爆発した。

 

 体勢が体勢だったので、もろに俺は宙を舞う。

 

 う、うぉおおおお!?

 

「ヒロイくん!!」

 

 と、木場が俺を抱きとめる。そして翼を広げて軟着陸した。

 

 男に抱きしめられるのは残念だが、とりあえず助かった。

 

「木場! アーシアが悪魔にさらわれた!! 俺にかまわず急げ!!」

 

「わかってる! すでにイッセーくんとシトリー眷属が追いかけてる!!」

 

 そうか! なら大丈夫か―

 

 その瞬間、黒い霧が俺たちを包み込む。

 

 そして、気づいた時にはイッセーとシトリー眷属が勢ぞろいしていた。

 

「あ、あれ? アーシア!?」

 

 しまった! また絶霧か!!

 

 くそ、っていうことは―

 

「敵は、ヴィクター経済連合か!!」

 

 ゲオルクとかいうやつか、それともリムヴァンの糞野郎か。

 

 どっちにしても、この調子だと……!!

 

「アーシア……アーシアぁあああああ!!!」

 

 イッセーが地面をたたきながら叫ぶ。

 

 クソッ! ディオドラの野郎が何か言ってくるのが目に見えるし、アーシアに何されるかわかったもんじゃねえ!!

 

 いったい、どうすればいいんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちは、部室に集まってすぐに会議を開いた。

 

 くそ! 俺の目の前でアーシアがさらわれちまった!

 

 守るって言ったんだ。ディオドラはもちろん、それ以外のアーシアをひどい目に合わせようとする全てから。

 

 なのに、ちょっと目を離したすきに……。

 

「すまんイッセー。俺が付いていながら―」

 

「ヒロイ先輩のせいじゃありません。むしろ、敵をひとり倒せただけでも僥倖です」

 

 ヒロイを小猫ちゃんがかばうけど、俺もヒロイを責める気はない。

 

 だって出くわしたのは偶然だ。ヒロイはただあそこの自販機にお気に入りのジュースがあっただけだ。それがたまたま、アーシアの誘拐現場に近かっただけだ。

 

 悪いのは、守るといっておきながら目を離した俺だ!!

 

「……イッセー。自分を責めるのはやめなさい」

 

 俺を抱きしめて、リアス部長は苦しげな表情を浮かべる。

 

「最近強化されたばかりだからって、この学園の結界を過信していた私にも責任はあるわ。……まさか、結界を担当していた人員が内通者だったなんて……」

 

 俺たちがアーシアの誘拐に気づいたのはたまたまだ。

 

 俺が部室に入ったちょうどそのタイミングで、天界から連絡があったんだ。

 

 ……教会から派遣された結界を担当するスタッフが、ヴィクター経済連合に亡命したって。

 

 教会は今でも大混乱で、時折離脱したりラシアみたいに出戻りする奴もよく出てくる。それ位聖書の神の死のショックは大きかった。

 

 そんな中、真っ先にヴィクター経済連合を批判していた人たちを中心に教会からのサポートスタッフは編成されていたけど、まさかその中に裏切り者がいたなんて……!

 

 念のための身辺捜査の見直しで怪しいところが出てきたため、念のために確認しようとしたその瞬間に逃げ出されたらしい。それで急いで連絡してきたんだ。

 

 くそ! ヴィクター経済連合は、どんだけこのために準備してんだよ。内通者の準備も万端だったってわけか!!

 

 とにかくそういうわけで急いで結界を調べようとしたら、うちのクラスの女子生徒が魔力で精神を操作されてるのがわかった。しかもアーシアと親しい子だ。

 

 それで急いでアーシアを探したけど、間に合わなかった……!

 

 くそ! あいつ等、一体なんでアーシアを……っ!!

 

「先生。それで誘拐されたアーシアさんの足取りは?」

 

「現在捜査中だ。とはいえ、絶霧が相手だと難航するし、何よりヴィクター経済連合の勢力圏内に転移されてたら、即座の救出作戦の許可なんておりそうにねえな……っ!!」

 

 木場の質問に、アザゼル先生は苦虫をかみつぶした表情で答える。

 

 そんな! アーシアを助けに行けないって!!

 

「正論ね。いくら72柱の時期当主の眷属とは言え、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)は保有者がほかにも確保されてる。言っては何だけどここで敵の勢力図に突入するほどの救出価値があると、上が判断する可能性は低いわ」

 

「悪い、現段階では堕天使の勢力を積極的に動かすのも困難だ。組織の長としてそんな横暴は通せねえ」

 

 リセスさんがいやそうに納得し、アザゼル先生は頭を下げる。

 

 た、確かに。アザゼル先生が無理を言えば堕天使は動かせるだろうけど、いくら俺たちのためだからって、組織のトップがそんなことをしたらいろいろ問題だ。

 

 普段は勝手に暴走するけど、こんな時はトップとしての責任感が出てくるのか。こんな時だけどちょっと感心した。

 

「おそらくこちらの上役たちも難色を示すはずだわ。最悪、変異の僧侶の駒を渡して、それで新しい下僕を探せとか言い出しかねないわね……っ!!」

 

 本当ですか、部長!?

 

 なんだよそれ、上役は、俺たちのことなんだと思ってんだ!!

 

「サーゼクス様といえど……いえ、サーゼクス様だからこそ、それに異を唱えるのは困難でしょう」

 

 朱乃さんまで!! いや、あのサーゼクスさまだと、確かに組織のトップとしてそんなことは言えないだろうけどさぁ!!

 

 みんな暗い顔をする中、ゼノヴィアはデュランダルを持つと、決意を決めた顔をする。

 

「ならば私達だけでも行けばいい!! 少なくとも、私ははぐれ悪魔になってもアーシアを助けに行かせてもらうぞ!!」

 

 ゼノヴィア。お前、そんなにアーシアのことが……。

 

「あんなにひどいことを言った私を、アーシアは受け入れてくれた。友だといってくれたんだ!! その友のためならば、私はいかなる不名誉も受け入れるからな!!」

 

 安心しろ、ゼノヴィア。その時は俺も一緒に行くからな。

 

 俺にとってもアーシアは大事な女の子だ。はぐれになる覚悟を決めてでも、アーシアを助けに行こうとしたのは俺だからな。

 

 ……ちょっと嫌なことを思い出して背筋に寒気が走ったけど、だけど俺の決意は変わらない。

 

 上が何を言っても、俺とゼノヴィアはアーシアを助けに行かせてもらう!!

 

「で、でも、アーシア先輩は一体どこに連れていかれたんでしょう……」

 

「そうっス。それがわからなけりゃ助ける助けないなんて話にならないっすよ」

 

 あ、それもそうだ。

 

 ギャスパーとペトの言う通りだ。そもそもどこに行けばいいのかわからねえ!!

 

 さすがにこの街に残ってるだなんてオチはないだろうし、どうすんだよ。

 

「……天界も、責任をもって探しているところだけどまだ見つかってないわ」

 

「堕天使側もだ。いや、怪しい奴はいるんだが、さすがに今の段階じゃ速攻で動かすには証拠がない」

 

 イリナとアザゼル先生もそういう。

 

 そんな。其れじゃあ手詰まりじゃ……ん?

 

「あ、アザゼル先生? 怪しい奴って、いったい誰なんですか?」

 

 それってつまり、ヴィクター経済連合の誰がアーシアを求めてるのか、ピンポイントでわかってるってことじゃないですか!!

 

 いつの間にそんな情報を!

 

「ああ、それは―」

 

 アザゼル先生が口を開きかけたとき、携帯の着信音が鳴った。

 

「……すまん。電源切ってなかった」

 

 ヒロイがすごく申し訳なさそうな顔で、携帯を取り出した。

 

 いや、まあ気にすんな。

 

 そんなことを気にしてる状態じゃなかったもんな。俺も確認しとこう。

 

「こんな時にいったい誰……だ……ぁあ!?」

 

 と思ったら、いきなりヒロイは大声をあげた。

 

 な、なんだなんだ?

 

 みんなの視線がヒロイに集まり、ヒロイはアザゼルに視線を向ける。

 

「……おいアザゼル。その怪しい奴って、まさかディオドラじゃ、ねえっすよね?」

 

「な、なんでわかった!?」

 

 え、ええええええ!?

 

 ディオドラって、ディオドラ・アスタロト!?

 

 いや、あいつ一応こっち側じゃん!! 裏切る必要ないじゃん!!

 

 なんでそんなことを!?

 

「ヒロイ、なんでそんなことが分かったの?」

 

「そのメールが関係してるの、いったい誰から……」

 

 部長に同意しながら、リセスさんがヒロイの携帯をのぞき込んだ。

 

 ……そして、ヒロイとリセスさんの顔が真っ赤に染まった。

 

「アザゼル。悪いが俺は今回の作戦に参加させてもらう」

 

「というより、すぐに悪魔の政府に打診しなさい。今回の件、思った以上に大ごとよ」

 

 な、なんなんだ?

 

 アーシアの誘拐が、悪魔のお偉いさんを動かすほどの大ごとになるのか?

 

 俺としては大助かりだけど、いったいどういうことなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ヒロイは携帯のメールを見せてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな……そんなことって………っ




ゲームを待たずに動いたディオドラ。其れにはある事情がありますが、それはまた後程。




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