ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

56 / 324
評価上がったと思ったらまた下がったぁあああああ!?

くそ、本当に7か8でいいんだ。ファンの方々、おらに評価を分けてくれー(懇願


第二章 24

 Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元72柱の一つ、アスタロト家はかなり有力な家系である。

 

 現ベルゼブブであるアジュカ・ベルゼブブを輩出したことで、政治的な権力は大幅増大。さらにアジュカによってもたらされた技術革新により、其の影響力は桁違いに上がっている。

 

 さらにその特許料などにより財政的にも豊かになり、レーティングゲームが国際的にも行われる可能性が出てきたことで、その注目度はうなぎのぼりだ。

 

 それゆえに、ベルゼブブ家の中には、レーティングゲームを利用した専用の異空間を持っているものも何人かいる。

 

 現ベルゼブブ家の次期当主、ディオドラ・アスタロトもその一人だ。

 

 彼が保有する異空間の居城。そこに、多くの悪魔が眷属を連れて集まっていた。

 

 そして、その周囲を大量の悪魔が警護していた。

 

 そこに関しては問題というほどではないだろう。

 

 これだけの催しを行っているのならば、警戒は厳重になって当然。派手に警戒することによって、威圧するというのも一つの手段である。つい先日に襲撃があったのならなおさらだ。

 

 問題は、その警護を担当している悪魔の八割が旧魔王派の悪魔だということだ。

 

 そして、来訪している悪魔たちにも大きな問題があった。

 

 その多くの悪魔には、一つの共通点がある。

 

 彼らが和平によって不都合な目にあっていること。そしてその方向性が似通っていることだ。

 

「お集まりの皆さん! この僕、ディオドラ・アスタロトの誘いに乗ってくださってありがとう!!」

 

 そんな悪魔たちの集まる広間で、ディオドラは笑みを浮かべて一礼した。

 

「お互い、現魔王や重鎮の勝手な判断で実に困ったでしょう。僕もです」

 

 その言葉に、来訪した悪魔たちの(キング)達は口々に現政権に対する不満を漏らし、それに反発するかのように、一部の悪魔が暗い顔をする。

 

「まったく困ったことです。天界との和議のせいで、僕たちは趣味のコレクションができなくなってしまいました」

 

 そうディオドラはあえて告げた。

 

 ……そう、この場に集まった悪魔の王たちの共通点とはただ一つ。

 

 悪質な方法で、人間を集めている者たちだ。

 

 あるものは、人間を誘拐して無理やり眷属にしている。

 

 あるものは、人体改造を行って人間を強化してから、成功したものだけを下僕にしている。

 

 そしてまたある者は、信徒を惑わして、下劣な遊びを教え込んでいる。

 

 眷属悪魔にしろ、それ以外のコレクションにしろ、そう言ったことを趣味としてやっている貴族は何人もいた。

 

 彼らにとって人間とはすなわち放し飼いの家畜。欲しいときに欲しいものを好きに奪うことに、良心の呵責など感じない。

 

 しかし、それも和平によって大きく制限された。

 

 信徒相手にスカウトするときは、大きな監視や制限がつくだろう。少なくとも意図的に悪辣な手段をとることは不可能だ。

 

 さらに進行している他の神話との和議。これが進めばその影響は他の神話体系の勢力圏でも起こるだろう。そうなれば趣味を楽しむことができなくなってしまう。

 

 それに困り果てた者たちは、ディオドラの誘いに乗ってここに集まった。

 

 そして、それをディオドラは改めて言葉にした。

 

「……今日、僕たちはヴィクター経済連合に亡命します。旧魔王派の幹部たちが、その受け入れ先を用意してくれました!!」

 

 その言葉に、悪魔の王たちが歓声を上げる。

 

 旧魔王派は旧来の悪魔の在り方を良しとする者が多い。

 

 ならば、自分たちの行動を阻害することはないのではないかという希望をもって、彼らはその誘いに応じた。

 

「もちろんご安心ください。彼らは敵陣営の人間に限定しますが人を好きにすることを許してくださって、さらに蛇を王に供給してくれました」

 

 そういって、ディオドラは自分の右手を上げる。

 

 底には、禍々しいオーラを宿す蛇がまとわりついていた。

 

「当然対価は請求されましたが、それは真なる魔王の一派がヴィクター経済連合の盟主になる力添えです。そうなればヴィクター経済連合の領内でも好きにできますので、願ったりかなったりでしょう?」

 

「まったくだ!」

 

「これで家畜共から好きに奪い取れる生活が戻ってくるんだ!!」

 

「あの偽りの糞魔王どものせいで、いろいろ制限されていた生活からもおさらばだ!!」

 

 歓声を上げる王たちは、意気揚々と腕を突き出す。

 

 そして、そのうちの一人が飛び上がって声を張り上げた。

 

「俺たちは、理想郷に向かうんだ!!」

 

 そして満面の笑みを浮かべて窓から外を見上げ―

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャックポットっス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、その悪魔の頭がはじけ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一分後、外周を警護する悪魔たちに叱責が飛ぶ。

 

 だが、彼らには何を言われているのかがわからなかった。

 

 結界は感知重視で数百にわたって張られている。これをくぐりぬけて狙撃可能範囲に移動するなど不可能だ。

 

 ましてや、これは極秘に行われている。そもそも気づかれることが不可能に近い。

 

 なにせ、重鎮クラスすら関与して行われているのだ。其の根回しは万全であり、()()()情報が洩れでもしない限り気づかれる可能性はゼロに近い。

 

「いったい主たちは何を言っているんだ?」

 

「狙撃? こっちの方向?」

 

「馬鹿な! 5kmは離れてるぞ!!」

 

 そう口々に同様を漏らす悪魔たちの視界に、ふと人影が写る。

 

 十人足らずのフードをまとった一団に、警護部隊は即座に立ちふさがる。

 

 もとよりここはディオドラ・アスタロトが個人的に保有する専用異空間だ。そして来客はすでに終わっている。

 

 すなわち、不法侵入者だ。

 

「止まれ曲者!! ここをどこだと思っている!!」

 

 一応形式として警告をするが、しかしその瞬間すべてが終わった。

 

 一瞬でローブをまとった紅色の髪の少女が、消滅の魔力を放って警護団を吹きとばしたのだ。

 

 そしてその一撃はその場でとどまらない。

 

 巨大な消滅の奔流と化した一撃は、一気に3kmまで防衛線を押しつぶした。

 

 下級悪魔は問答無用で消滅。中級クラスはとても運がよくて半死半生。上級クラスですら、防御が間に合わなかった者には死亡者が生まれる。

 

 その一撃を放った少女は、苛立ちと憎悪を込めてどすの利いた声を吐き出した。

 

「知ってるわよ。ディオドラという裏切り者が、外道どもを集めて亡命するための会合を行ってることわねっ」

 

 その言葉とともに、空間の三か所で一斉に転移の魔方陣が生まれて輝く。

 

 さらに最後の一か所では嵐が巻き起こり、一瞬で護衛団が蹂躙されていく。

 

「リセス。そちらは任せるわよ。神滅具の本領、魔王様に見せて頂戴」

 

『ええ。英雄の力というものを、倒されるべき悪党たちに見せてあげるわ』

 

「ペト。城内に狙撃は続行可能? できなければ外周部の敵部隊長を狙って頂戴」

 

『流石に目隠しが張られたんで城の中はむりっス。ご要望通りに敵部隊を混乱させてやるっすよ』

 

 頼りになる二人の女戦士にそう指示を出しながら、彼女は一歩前に出る。

 

 紅髪の滅殺姫(クリムゾン・ルイン・プリンセス)。リアス・グレモリーが、ディオドラの城をにらみつける。

 

 そして、眷属たちとヒロイが、同じように隠密用のローブを脱いだ。

 

 すでに自分たちの進行方向に敵はほぼいない。

 

 あの夏休みで圧倒的な圧迫を受けて成長した、リアス・グレモリーの消滅の魔力。限界までチャージを受けたそれは、赤龍帝の籠手の力を借りずとも、最上級悪魔ですら出せるものは少ないだろう圧倒的最大火力をたたき出していた。

 

「イッセーとゼノヴィア、そしてヒロイはアーシアの奪還を最優先にしなさい。他の連中には目もくれなくていいわ」

 

「わかってます、部長。アーシアは必ず助け出します!!」

 

「ああ、邪魔するものは遠慮なく切り捨てる……っ!!」

 

「俺はその命令は聞き切れませんね。同時に照らさなきゃならない少女がいるんで」

 

 三者三様に応えるオフェンス勢が、鋭い視線で城をにらむ。

 

 そして、後ろに待機する眷属達もまた、殺意のこもった視線を向けていた。

 

 それを見ずに理解して、リアスは告げた。

 

「私のかわいい眷属達! あの城に、私達の大切なアーシアがとらわれているわ」

 

 そう、そこに誘拐されたアーシア・アルジェントは捕らわれの身になっている。

 

 内部告発によって送られた情報によって、内通がほぼ確定とされていたディオドラ達が、すでに亡命寸前の状態になっていることが発覚した。

 

 警護の配置図もそのメール通り。ここまでくれば、信用していいだろう。

 

 そして、そのメールに書かれていたある真相が、彼らに怒りを通り越して殺意を生ませていた。

 

「アーシアの救出は三人に任せて、私達は露払いに徹するわ。……そして、魔王様からの許可もいただいた」

 

 その事実を前に、温厚で知られるサーゼクス・ルシファーも、ディオドラの親族であるアジュカ・ベルゼブブもこれを了承するほかなかった。

 

 それほどまでに、ディオドラの所業は彼女たちの逆鱗を踏みつけたのだ。

 

 そして、その決定をあえてリアスは宣言する。

 

邪魔するものは全員その場で殺して構わない(キル・ゼム・オール)。それが貴族であろうと、旧魔王の末裔であろうと、もちろんディオドラであろうとも」

 

 そう、それだけの特権を、彼女たちに与えるしかなかった。

 

 それほどまでに、魔王たちも怒っているのだった。

 

「私達グレモリー眷属の仲間たちの心を弄んだその罪は、万死に値するのだと教えてあげなさい!!」

 

「「「「「「「はい、部長!!」」」」」」」

 

 そして、其れに呼応するかのように転移した魔王軍も進軍を開始する。

 

 それを迎撃するべく、さらに旧魔王派に与した者たちの魔方陣が展開し、増援が召喚される。

 

 今ここに、新旧魔王の末裔による、壮絶な戦争が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、来たようだな」

 

「ああ、盛大なノックだったよ」

 

 ため息をつきながら、皆の視線を浴びて二人の悪魔が一歩前にでる。

 

 一人は、旧魔王派最高幹部、シャルバ・ベルゼブブ。

 

 一人は、新魔王ベルゼブブの親族、ディオドラ・アスタロト。

 

 二人はしかし余裕を崩さず、はっきりと宣言する。

 

「慌てるな! お前たちには蛇がある。それがあれば偽りの魔王におもねるものなどモノの敵ではない!!」

 

「いい機会だから凱旋しよう。彼らの首を手土産に、僕たちの立場を盤石にしようじゃないか」

 

 その言葉に、パニックを起こしていた者たちは方向性を得た。

 

 これまでの不満により苛立ちと、突然の狙撃に対する恐怖が爆発する。

 

 そしてその瞬間、彼らは転移を行い敵に対して戦闘を開始した。

 

 そして、ディオドラはそんな者たちの一人の肩に手を置いた。

 

「待つんだゼファードル。君は先に転移してくれ」

 

「ああ!? ふざけんじゃねえ、バアルの無能もいるんだろ? 蛇の力でぶち殺してやるぜ!!」

 

 そうまくしたてるゼファードルの目は、明らかに正気のものではない。

 

 恐怖と怒りと歓喜がないまぜになった、狂気の視線が、ディオドラに突き刺さる。

 

 しかし、ディオドラの余裕は崩れなかった。

 

「今回の戦いでバアルは出ないよ。それに、サイラオーグ・バアルを蹂躙するにはもっといい機会と力を用意してあげるからさ」

 

「いい機会……だとぉ?」

 

 唾すらまき散らすゼファードルに、ディオドラは微笑んで告げる。

 

「そう。もっと確実に、かつ屈辱的に無能を蹂躙するための準備がある。君はまずそっちに行くんだ」

 

 その言葉に、ゼファードルは納得した。

 

 まだ潜在的に刻み込まれている恐怖が、それを助長した。

 

「いいぜ。だったら無能の奴は残しとけよ。……行くぞお前ら!!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」」」」」」

 

 いやいやながらを装ったゼファードルに続き、眷属たちも返礼をしながら転移していく。

 

 そして、そのうちの一人が後ろを振り返った。

 

「……リセスちゃん」

 

 何かをためらうかのようにするが、その肩にディオドラが手を置く。

 

「すまないね。君は確実に連れて行くように、リムヴァンから言われてるんだ」

 

「え?」

 

 意味が分からないディオドラの言葉に、その眷属は首をかしげる。

 

 その耳元に口を近づけ、ディオドラはこう告げた。

 

「ニエ・シャガイヒが待っているよ、イドアル孤児院の出身、プリス・イドアル」

 

「…………っ」

 

 その言葉に、プリスと呼ばれた悪魔は顔を真っ青にした。

 

 そして、茫然としながら幽鬼のような足取りで転移魔方陣に乗り、転移していく。

 

「律儀なことだな。わざわざ守ってやる必要はないだろうに」

 

「一応、誘いをかけてくれたのは彼だからね。最低限のお礼はしておかないと」

 

 つまらなさそうに言うシャルバにそう答えて、ディオドラは肩をすくめる。

 

 このままでは趣味ができないと思ったディオドラに光明を授けてくれたのはリムヴァンだ。その返礼はしなければいけない。

 

 もっとも、今回の作戦は旧魔王派が出してくれたものなわけで、リムヴァンは好待遇を約束してくれただけなのだが。

 

 結果的にシャルバから新たな誘いをかけられたので、まあ間接的には恩人だろう。その程度の感謝しかない。

 

「それじゃあ、僕はアーシアを結界装置につなげてくるよ。ついでにネズミの始末もね」

 

「そうだな。もうあの娘は用済みだ。……即興とは言えこちらに踊らされたとは知らず、いい気なものだ」

 

 二人はそういうと、醜くゆがんだ笑みを浮かべる。

 

 そう、この展開は二人にとって問題ではない。

 

 むしろ、この展開になる要因に気づいたからこそ、敵の数はこの程度で済んでいるのだ。

 

「蛇は本来の悪魔には皆渡してあるな、ディオドラ」

 

「下賤な下級中級には渡してないけどね。上級には皆渡してあるよ。あと僕の眷属にもね」

 

「ならいい。できれば他の神話体系のものもまとめて始末しておきたかったが、しかし戦力差があることも事実だ。ここは堅実にいこう」

 

 そう言葉を交わしてから、二人は別れる。

 

 一人は作戦の指揮を執るため、一人は作戦の要を得るため。

 

 本来なら、この作戦はディオドラとグレモリーの小娘とのレーティングゲームの時に行う予定だった。

 

 和議に賛同の意向を見せている神たちがゲストとして招かれる場所で、真なる魔王とそれとともにある眷属たちとともに襲撃、そしてアーシア・アルジェントを使い一網打尽にする計画。

 

 しかし、偽りの聖槍使いによって裏切り者が出たため、こうして即興で組み替えたのだ。

 

 とはいえ敵戦力は不意打ちであるため少なく、しかしそれを補うために魔王と神の子を見張る者は数多く出てくるだろう。そう言う意味では堅実な成果が出るといえる。

 

「覚悟するといい、偽りの魔王とそれを助長する屑どもめ。リムヴァンに目に物を見せるいい機会だ……!」

 

 憎悪に燃えながら、シャルバ・ベルゼブブは勝利を確信して作戦を続行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、戦いの炎は激しく燃え盛った。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




オリジナル展開で言っております。

旧魔王派、もろに暴走。

有象無象や小物に用はないリムヴァンの威光を無視して、そういうタイプばかりかき集める旧魔王派。そう言う自分たちと同様なタイプを集めて戦力拡大による発言力強化を図っております。

さらに、まあわかりきってるけどあえて名前隠している人物の裏切りが想定できたので、ディオドラのレーティングゲームを利用する予定だった作戦をあえてこのタイミングで結構。討伐に動いた三大勢力を一網打尽にする腹積もりです。




そして5km離れたところからのヘッドショットをぶちかましたペト。曲撃ちじみた芸当をしなければここまで行けます。

オカルト研究部マジ切れ。内通者のメールにより、ディオドラの趣味に関しても告げられています。アーシアの事件の詳細に関しては彼女ではわかりませんから推測ですが、それが当たっているのは原作通り。




そして、ゼファードルはこちら側に。見事に精神的な隙をつつかれて載せられました。

さらにちなみにリセスとプリスは姉妹というわけではありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。