ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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プロローグ2

 

 駒王町に到達した俺たちは、宿代わりにする廃教会に行く前に寄り道することにした。

 

 ま、下手すりゃ死ぬ危険極まりない任務だからな。思い残すことはないようにしないと。

 

「んじゃ、イリナは昔の知り合いのところに行ってこいや。俺は一発風俗店でヌいて思い残しがないように―」

 

「ふざけるな貴様」

 

 俺の首根っこをゼノヴィアがつかむ。

 

 あの、すいません。首締まってるんですが。

 

「貴様、信徒のくせに春を売るような店の世話になるとはどういうつもりだ? 純潔を尊ぶがいい」

 

「す、すんませんゼノヴィアさん。だから首絞めるのやめてほしいっす」

 

「……まったく。なんでこんな男が「教会の秘密兵器」などと呼ばれてるのか」

 

 ゼノヴィアはそう嘆息するが、其れには深いわけがあるのだ。

 

 ぶっちゃけ英雄になるための力を手に入れるために悪魔祓いになった俺としては、信仰心というのはそんなにない。

 

 っていうか、神話伝承などを紐解くと神とか基本的に問題児しかいないというか傲慢だろう。とても信仰できない。

 

 ぶっちゃけ、あんだけどん底の生活を送らせておいて、今更救ったから信仰しろと言われても……ねえ。

 

 せっかく日本に来たんだし、オリエンタルな美女と色っぽいことしてから死にたい。

 

 それに俺は秘密にしている兵器ではない。秘密にしておきたい兵器だ。

 

「言っとくけどヒロイくん。日本じゃ風俗店の本番は違法よ?」

 

「ガッデム!!」

 

 何てこったい!!

 

 そんな感じでへこんだ俺は、其のままドナドナドーナーされて、イリナの幼馴染の家にあいさつに来た。

 

 なんでも、イリナの親父さんがこの地の担当をしていた時になじんでいたらしい。

 

 そういや、今は教会はこの駒王町から手を引いてるんだったな。悪魔側の戦力が向上したのか?

 

 などと思いながらイリナがピンポンを鳴らそうとして、俺達は一斉に気が付いた。

 

 ―悪魔の臭いがする。

 

 それも、隠す気配がみじんも感じられない。

 

「……イリナ、この兵藤さんとこの人は悪魔と関係しているのか?」

 

「そ、そんなことないとは思うけど? でもなきゃクリスチャン(ウチ)と仲良くなんてしないわよ」

 

 イリナもまた戸惑うが、しかしそれが払拭されるより早く家のドアが開いた。

 

 そこにいたのは、どこにでもいそうなマダムが一人。

 

 俺たちの姿を見てけげんな表情を浮かべたが、すぐにイリナの顔をまじまじと見つめると嬉しそうな表情を浮かべた。

 

「あら! もしかして紫藤イリナちゃん? 久しぶりねぇ」

 

「は、はいおば様。仕事の一環でここに来ることになったので、ご挨拶しようと思いまして」

 

 と、イリナは嬉しそうにしながら頭を下げる。

 

「どもっす。イリナの同僚のヒロイっす」

 

「……ゼノヴィアだ」

 

 俺とゼノヴィアも頭を下げるなか、兵藤さんは俺達を歓迎してくれた。

 

 悪魔と関係しているのなら、堂々と十字架を下げている俺達を見て警戒心を抱かないはずがない。

 

 ということは、悪魔が変なことを画策しているのか?

 

 と、思ったがそういうわけでもないようだ。

 

「え? ホームステイしている人が二人もいるんですか?」

 

「そうなのよぉ。それも、花嫁修業の名目でホームステイなの? イッセーは気づいてないけど、どう考えてもそういうことよねぇ?」

 

 ほほう。美人で可愛い女の子二人が、そのイッセーとやらに惚れている可能性があるのか。

 

 それはまた、うらやましい!!

 

 俺が心の中で血涙を流していると、兵藤さんは涙すら浮かべていた。

 

「あの子ったらもうおじいちゃんに似てスケベに育って、高校に行っても覗きで何度もお仕置きされてるのに全然懲りないから嫁どころか女友達も一生無理だと思ってたのよ」

 

「……普通に警察案件っすよね、それ」

 

 あ、本音出ちゃった。

 

「そこは本当よね。でも名前の通り誠実に育ってくれたから、もしかしたらという希望があったんだけれど……まさかあんな可愛い女の子たちに気に入られるなんて!!」

 

 そうか、そのイッセーってやつは、いいやつなんだろう。

 

 ……覗きの常習犯なのは致命的だが。致命傷だが。

 

 だが、それでも付き合いたいと思っている奴が二人もいるってことは、悪人ではないようだ。

 

 さすがはイリナの幼馴染ってところだな。

 

 信仰によっているせいで暴走気味なところはあるが、俺みたいなやつにもフレンドリーに接してくれるいいやつだからな、イリナは。

 

 ふむ、しかしそんな家に悪魔がかかわってるのか。

 

 ……悪魔という種族が全部極悪非道だとは限らないかもしれないけど、しかし一応釘は刺しとかないとな。

 

 そう思った次の瞬間―

 

「あ、ちなみにこれがその子たちの写真ね。赤い髪の子がリアス・グレモリーさんっていうのよ」

 

 ―俺たちは、戦慄を隠すのに一生懸命だった。

 

 そこから先の会話は耳に入らなかった。

 

 気づけば、いつの間にか件の兵藤一誠が姿を現していた。

 

「………お、女の子、だったのか」

 

 なんか向こうも別の意味で戦慄している。

 

 っていうかちょっと待てボーイ。

 

「おいちょっと待てや。お前まさか、イリナのこと男だとでも思ってたのか?」

 

 なんて奴だこの野郎。

 

 確かにハイテンションでサイコ入っているところはあるあほだが、しかし魅力的な女の子だろう。

 

 それを、男として認識していただと?

 

「……てめえふざけんな!! それは大罪だぞ!!」

 

「そ、そこまで怒ることないだろうが!!」

 

 男が反論するが、ふざけたことだ。

 

 てめえそれでも男か!!

 

「こんなセックスアピール抜群な女の子なら、お前のデザートイーグルがいつセーフティ解除されてもおかしくねえだろうが!! お前それで男かふざけんなぁぶろ!?」

 

「ふざけているのはお前だ」

 

 ゼノヴィアが手に持っていた包みで俺の後頭部を攻撃してきやがった。

 

 あの、それ殺し合い用に使う武装ですよね? それも攻撃力特化型の破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)ですよね?

 

 かなり重い音がしたので、結構本気でぶつけてきやがったな?

 

「……すまないな。コイツは信徒としての心構えがあれなんだ。……まあ、君は気が合うかもしれないが」

 

 微妙に険が入った声色でそう告げ、ゼノヴィアは立ち上がる。

 

「そろそろお暇しよう。これ以上は彼の母親にも迷惑がかかるだろう」

 

 と、ゼノヴィアは足早に立ち去ろうとする。

 

 その意図は明白だ。

 

 ……兵藤一誠は、おそらく悪魔だ。

 

「じゃあイッセーくん、またね?」

 

「まあ、縁があったらまた会えるだろ」

 

 イリナと俺はそう言葉をかけて兵藤宅を出る。

 

 おいおい、なんていう運命の悪戯だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさか、幼馴染が悪魔に惑わされて転生悪魔になっているだなんて!」

 

「心底同情するよ。主よ、これも試練ですか」

 

「まあ、さすがにこれはショックだよなぁ」

 

 嘆くイリナに対して、ゼノヴィアも俺も流石に同情する。

 

 俺はイリナやゼノヴィアとの付き合いはそんなに長くない。

 

 諸事情あって単独行動が多い俺は、まあ変人《同類》と認識されているのか、チーム単位で行動するときはこの二人と組まされることが多いってぐらいだ。

 

 とはいえ、変人ではあるが悪い奴じゃないのは知っている。だからまあ、報われた人生を送るべきだということも知っている。

 

 しかしこれはない。これはないだろう。

 

 何のロミオとジュリエットだ。さすがにきついぞこれは。

 

 ……イリナ、大丈夫だろうか。

 

「イリナ。気持ちはわかるが、グレモリーの名を持つ者が同居しているということは、十中八九彼もまた―」

 

 ゼノヴィアが何か言おうとしたその時、イリナは振り向いた。

 

 ……なんか、目が輝いてんですけど?

 

「い、イリナ?」

 

「ゼノヴィア、ヒロイくん!」

 

 イリナは何というか、すごいやる気になっていた。

 

「これは主が下さった試練だわ」

 

 ついに狂った?

 

「主が私を試しているのよ。かつての友であったとしても、悪に堕ちるのなら倒せるかどうかを!! そう、この悲劇を乗り越えてこそ信徒の本懐なのよ!!」

 

 ………俺は、ゼノヴィアに視線を向ける。

 

 具体的には、こいつ馬鹿じゃねえの? って感じの同意を求める的な。

 

「……なるほど。確かにかつての友とはいえ、邪悪に堕ちるのなら切らねばなるまい。いい心がけだ」

 

 信仰心がろくにない俺にはわかんねぇ。

 

 俺ならそんな試練与えられたら信仰心捨てそうなんだが。

 

 それに、一応上は警告しろとは言ってきたけど、別に速攻で殺せなんて言ってねえよな?

 

 なんか、俺すごく嫌な予感がしてきたぞぉ?

 

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