ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
この章のボスが、ついに本気を見せます
とっさに全力で叩き壊したくなるが、しかしそんなことをしてる暇はない。
ここでディオドラに背を向けるわけにはいかねえからだ。
だったら―
「イッセー! おまえは全力でその拘束具を引きちぎれ!!」
一番場慣れしてない奴にして、一番馬鹿力のあるやつ。それがイッセーだ。
だから、イッセーが離れるのが一番いい。
戦闘技量が少ないからディオドラを足止めするのには一番役に立たねえが、単純な腕力ならぶっちぎりでトップだから、物破壊するだけならもってこいだ。
「ゼノヴィア! 俺たちはディオドラを足止めするぞ!!!」
「わかっている!!」
そういうなり、俺たちはディオドラに攻撃を再開する。
ここでこいつに何かさせるわけにはいかねえ! なんとしてもここで押しとどめる!!
「あはははは!!! 無駄だよ! いくら神滅具の禁手とはいえ、格上の神滅具の禁手でできた結界装置を壊せるものか! シャルバやクルゼレイですら無理だったんだからね!!」
大笑いしながら、ディオドラは俺たちと攻防を再開しやがる。
くそったれ! イッセーが抜けたから攻め切れねえ!!
そしてイッセーも何とか結界装置を破壊しようとするが、びくともしやがらねえ。
なんだあの頑丈な拘束具! 二天龍ですらびくともしねえだと!?
「イッセーさん! 時間がありません、私を―」
「ふざけんな! そんなことできるわけねえだろ!!」
アーシアの言葉をさえぎって、イッセーは何とか破壊しようとしてるみたいだ。
だが、結界装置は壊れない。
「無理だね。其の装置は機能の関係で使い捨てだけど、だからこそ頑丈に作られている。君たちでは壊せないよ」
黙ってろ、ディオドラ!!
俺とゼノヴィアは連続で攻撃を仕掛けるが、イッセーが抜けた分の穴でディオドラは防戦に成功している。
くそ! できりゃあ三人がかりで壊したいってのに、そんな暇もねえ!!
「お願いします! このままでは先生も魔王様たちもミカエル様も! そんなことになるぐらいなら―」
「駄目に決まってんだろ!!」
イッセーはアーシアの言葉をさえぎって、何度も何度も結界装置に攻撃を加える。
だが、それでも結界装置は壊れない。
クソッタレ! 神滅具の禁手で壊せないとか、どんだけ頑丈なんだよあれは!
「俺は二度とアーシアに悲しい思いをさせないって決めたんだ! 絶対に助けるから、だからそんなこと言うなよ!!」
ドラゴンショットを何度もたたきつけるが、それでも結界装置は壊れない。
俺たちも加勢したいところだが、しかしディオドラがそれをさせてはくれない。
「情愛が深いと大変だねぇ! そのままアーシアに殺されるといい。僕はそれで心が死んだアーシアを愛でて楽しむからさぁ!!」
「マジで黙ってろ、この外道が!!」
全力で聖槍をたたきつけるが、龍の咆哮のゼロ距離射撃で相殺される。
この野郎が! その腐臭のする口を閉じやがれってんだ!!
だがどうする? このままだとマジで手詰まりに……!
「……そうだ。もしかしたら」
ん?
なんか、イッセーが何かを悟ったかのような表情を浮かべたぞ?
なんだろう。すごい嫌な予感がする。
「ドライグ、お前を信じるぞ。それとアーシア、先に謝っとく」
「『?』」
ドライグとアーシアが疑問符を浮かべる中、イッセーは静かにアーシアに手を触れた。
な、なにをする気だ?
俺たちが、思わず見守ってしまった次の瞬間―
「高まれ、俺の性欲、煩悩、スケベ心!!
え、なんでここで衣服破壊技を?
そう思った次の瞬間、アーシアの服が木っ端みじんに破け、拘束具の枷も破壊された。
「「「ぇええええええええええええええ!?」」」
俺とシシーリアとディオドラの叫びが響き渡る。
いや、そりゃそうだろ。
あんだけ二天龍の力もってしても破壊できなかった拘束具が、よりにもよって洋服を破壊させる技で破壊されたよ。そりゃ驚くって。
壊せたことにも驚きだけどよ、なんで行けると思ったんだイッセー。
「きゃっ」
「眼福です!」
体を隠してへたり込むアーシアに、鼻血をだらだら流してガン見するイッセーというシュールな光景。
今この空間で殺し合っている連中全員に謝れ。旧魔王派にも含めて土下座しろ。
「だ、駄目ですヒロイさん! 見たらだめです!!」
あわててシシーリアが両手を広げて俺たちの視線からアーシアを隠した。
いかん、うっかり裸を見ていた!
なんてことだ、英雄としてなんという失敗を!!
ごめんアーシア。でも、眼福っしたぁ!
「流石だイッセー! おまえならやってくれると信じてたぞ!」
ゼノヴィアが、そういってガッツポーズをぶちかます。
いや、すいませんゼノヴィアさん。まだディオドラが残ってるんですけどね?
「う、嘘だ……。そんなふざけた技で、上位神滅具の禁手を突破するだなんて……」
あ、ディオドラの奴も隙だらけだ。よっぽど驚愕してるらしい。
まあ、そうだよなぁ。こんなの想定外だよなぁ。
何ていうか、俺慣れてるけどまだダメージがでけえわ。これ慣れたらいけない気がするけど、連続できやがったからどうしても少し慣れちゃうわ。
いや、これを平然と受け止められるようになったらそれはそれでいけねえとは思うんだけどよ。でもなんか、この調子だと慣れちまう気がすんだよ。
「……さて、これで四人がかりでどうにかできそうだなぁ、オイ」
ぽきぽきと、俺は指を鳴らしてディオドラを睨む。
さて、これでアーシアという回復薬迄運用できるわけだ。
祝福により疑似的に聖なる武装を用意できる、元聖女シシーリア・ディアラク。
伝説の聖剣に選ばれまくりの、天然聖剣少女ゼノヴィア。
アスカロンに適合した、煩悩赤龍帝兵藤一誠。
そして、聖槍の使い手の一人であるこの英雄候補生ヒロイ・カッシウス。
これだけ悪魔の天敵がゴロゴロいる状況下で、さらに回復担当のアーシアがいれば、ディオドラが相手だろうと押し切れる。
ディオドラも、形勢が逆転に近づいていることに気が付いて、警戒心をあらわにした。
「どうやら、僕も切り札を切る他ないようだね……っ」
へぇ。まだ奥の手を持ってたのかよ。
だが、今更この場の流れをひっくり返せると思うなよ。
「覚悟決めてもらうぜ、ディオドラ」
「貴様は殺していいといわれている。久しぶりに悪魔を滅するとしようか」
「ディオドラぁ。俺んちのアーシアを泣かせやがって、覚悟しやがれ!!」
「貴方に飼われていた人生を、今日ここで終わりにします!!」
アーシアを後ろにかばいながら、四人がかりで仕掛けようとしたその時―
「え?」
その声に、俺たちはとっさに反応できなかった。
「まったく。蛇に神器まで重ね掛けしておきながら、子守一つできないのか」
シャルバ・ベルゼブブは、そういって嘆息した。
発動時間を過ぎても何も起きないので、気になってきてみればこの様だ。
作戦の肝である結界による殲滅ができなくなった以上、この作戦は失敗といっていい。これだけの戦力を投入したにもかかわらず、情けない話である。
そして戻ったら戻ったで、立場を弁えないリムヴァンが何を言ってくるかわかったものではない。それを考えるだけで腸が煮えくり返る。
苛立ちを鎮めるために、回復使いの女を次元の狭間に吹き飛ばしたが、然しそれだけでは収まりがつかなかった。
ゆえに、先ずはディオドラに向かって攻撃を放った。
「な、なにをぉおおおおお!?」
まさか自分に向かって攻撃をしてくるとは思ってなかったのだろう。ディオドラは直撃を受けて吹き飛ばされる。
殺すつもりで放ったのだが、しかしそうもいかないようだ。物事は思い通りにいかないものである。
しかし、是で溜飲はさらに下がった。ならば良しとしよう。
「所詮偽りの魔王の血族ではこの程度か。貴様はもう用済みだ、ここで死んで―」
「まて、シャルバ」
追加の攻撃を放とうとしたシャルバの腕をつかむ者がいた。
視線を向ければ、それは同胞であるクルゼレイだ。
「何のつもりだ。作戦は失敗した以上、責任を取ってもらわねば」
「そいつにはかなり利用価値がある。我々が神滅具を手にするためにも、生きていてもらわねば困るのだ」
その静止の言葉に、シャルバも一考した。
偉大なる魔王の正当たる血族である自分たち。それが神滅具を宿すことができれば、確実に偽りの魔王たちを滅ぼすこともできるだろう。
どうやら、あの男はまだ生かす必要があるようだ。
それをなぜクルゼレイが知ったのかは知らないが、とりあえずは殺すのを保留するべきだろう。
そう判断し、シャルバは視線を呆然としている転生悪魔たちに移す。
転生悪魔。悪魔の特性を付与された、下賤な者たちによる悪魔の名を汚す存在。
よりにもよって、それを生み出したのはアジュカだ。
自分からベルゼブブの立場を奪った、いくら憎んでも憎み切れぬ存在。あの男のせいで悪魔が穢れされているなど、腸が煮えくり返るほどの怒りを感じてしまう。
「我が名はシャルバ・ベルゼブブ。そしてこの男はクルゼレイ・アスモデウス。偉大なる真なる魔王を継承するに相応しい者だ」
ここでまとめて殺してしまうべきかと判断し、せめてもの情けで偉大な自分の名を教えることにした。
そして、その言葉で四人は我に返った。
「貴様! よくもアーシアを!!」
即座に動いたのは聖剣使い。
デュランダルとアスカロンを同時に構え、真向から切りかかる。
その猪武者ぶりに、シャルバはあきれ果てる。
偉大なるベルゼブブの末裔である自分に、この程度の速度で挑もうなど片腹痛い。
ゆえに、本気を出すのもうっとおしくケリを叩き込んだ。
「がはっ!?」
「しっかりしてください!!」
倒れ伏す聖剣使いに、獅子身中の虫だった小娘が駆け寄る。
そして、其れをカバーするかのように聖槍使いが割って入った。
「シャルバ・ベルゼブブ……っ!!」
「ふん。虫を一匹始末しただけで激昂するとはな。貴様らは本当に物の価値がわかってないと見える」
その醜い姿に、シャルバは嫌悪感を強くする。
神すら殺せる力を持ちながら、外敵を倒すのではなく協調しようなどという愚かな存在。
わざわざ自分が殺すのも嫌だが、しかし作戦を台無しにしてくれた礼はしておかなくてはならない。
「ちょうどいい。取り逃がしたあの女の代わりに死ぬといい。あの虫の元に送ってやる」
「そうだな。ディオドラを連れ戻す前に、赤龍帝の首を持って帰るか。そうすればリムヴァンもうるさく言わないだろう」
クルゼレイもそれに同意し、そしてともに戦闘を開始しようとしたその時だった。
『おい、ヒロイ。今すぐ娘たちを連れてここから逃げろ』
呆然としている赤龍帝の籠手から、声が響く。
おそらく、籠手に込められたドライグというトカゲの声なのだろうと、シャルバは判断した。
「ど、ドライグ……?」
『死にたくないなら急げ。もうこうなったらどうしようもないぞ』
怪訝な表情を浮かべる聖槍使いに、念押しのように声が響いた。
なるほど。確かに自分たちと戦えば確実に死ぬが、然し逃がすわけがないだろう。
そう馬鹿にした瞬間、籠手の意識が自分に向けられたことを感じた。
『クルゼレイとかいうのはとばっちりだが、シャルバ……お前は自業自得だ、同情の余地はないな』
まるで、自分たちが今から倒されるといわんばかりの口調に、シャルバもクルゼレイも疑念を浮かべる。
どう考えても、今この場での二強は自分たちだ。そこに疑念を挟む余地はない。
聖槍使いが禁手に至っていれば話は別だが、この状況下で何をするというのか。
そこまで思ったその時だった。
「我、目覚めるは」
赤龍帝の小僧が、ようやく言葉を発する。
しかし、それは自分たちに対する糾弾でも、仲間たちに対する鼓舞でも、先ほど次元の狭間に飛ばした虫に対する哀悼でもなかった。
「覇の理を神より奪いし二天龍なり」
感情が残ってない声が響く。
それは、まるで詠唱だった。
「無限を嗤い、夢幻を憂う」
兵藤一誠という薄汚い転生悪魔に、魔法の心得はなかったはずだ。
しかし、その詠唱はとても流暢だった。
「我、赤き龍の覇王となりて―」
そう、まるで生まれたときから刻まれている―
「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう!」
―システムの起動コードをしゃべるかのように。
そして、地獄は顕現する。
Side Out
その直後、イッセーの姿が掻き消えた。
そして、次に姿を現したのは旧魔王幹部二人の後ろ。
その姿は赤龍帝の鎧から大きく変化してやがる。
まず図体がでかい。そして人間の形をしてねえ。さらに、まるで手のような翼を広げてやがる
そして、その両手には幹部共から千切り取った腕がつかまれていた。
「「ぐ、ぐぉおおおおおお!?」」
何が起こったのかをいまさら理解して、シャルバとクルゼレイが絶叫を上げる。
は、早い。目にも止まらねえって言葉を体現しやがった。
あいつ等でも反応できなかっただと!? いったい何が起こりやがった!!
「ふ、ふざけるなぁああああああ!!!」
シャルバは絶叫しながら腕から光を放つ。
悪魔が光を放つだと!? 是も禍の団の技術ってやつか!
そう思った次の瞬間、その光が一瞬で減少していく。
いや、あれは半減か!!
「これは、ヴァーリの……!」
「おのれ、どこまで私の前に立ちふさがれば気がすむのだ、ヴァーリぃいいいい!!!」
クルゼレイは瞠目し、シャルバはいら立ちの声を放つ。
っていうかあいつ等、旧魔王の末裔同士なのに仲悪いのか?
いや、問題児の方向性が全然違うからそりが合わねえのか。
何て言ってる場合じゃねえ!!
なんか、イッセーの胸部装甲が展開すると、なんていうかどっかのアニメに出てきそうな砲身が出てきやがった。
……あれ? この位置だと俺たちも巻き込まれね?
「ヤバイ! 逃げるぞシシーリア! ゼノヴィアは俺が運ぶ!!」
「は、はい!!」
慌てて射線上から俺たちは離れる。
そしてクルゼレイも慌てて後方に飛びのくが、シャルバは動揺して下手を打った。
魔方陣を展開して逃げようとしたのだ。
いや、それ時間かかるからタイミングぎりぎり……。
と、思った瞬間シャルバの腕が止まる。
なんとなくイッセーを見ると、その目が怪しく輝いていた。
え? これって、停止世界の邪眼? なんであいつが使えるんだよ。
などと思っている間に、すでに莫大な力がチャージされ―
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
そのまま、莫大なエネルギーの奔流がぶっ放される。
「お、おのれ! まだサーゼクスにもヴァーリにも一泡も吹かせていないのに!! 白い龍め、赤い龍めぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
絶叫とともに、シャルバはエネルギーの奔流の中に消えていく。
あ、これ死んだだろ。
と、とりあえずあとはクルゼレイだけなんだが……。
「なんということだ。あれが、二天龍の
唖然となるクルゼレイは隙だらけだ。
今なら、俺でもやれるか? やったら敵の幹部を打ち取って俺も英雄か?
なんて、もう急展開すぎて変な方向に考え始めたその瞬間だった。
「おやおや。かの二天龍が覇龍とは、困ったものだね」
その言葉とともに、イッセーに鞭のようなものが巻き付いた。
そしてイッセーの動きが一気に静まる。
どうした? まだ覇龍は発動したまんまみたいなんだが? 完全に制御されたかのように動きが止まったぞ?
そう思った俺の視界に、ディオドラの姿が移る。
割と深手を負っているが、しかし致命傷からは程遠い。そして鞭は奴の手から伸びていた。
「ディオドラか。一体何をしたのだ?」
「僕のバランスブレイクだよ。
そう得意げに、ディオドラは告げる。
な、なるほど。覇は使用者を暴走させるから、知性が低くなるともいえる。
それなら、あの神器の能力で干渉できる。禁手でブーストされているならなおさらだってわけか。
……あれ? 俺たち詰んだ?
「そ、そんな。ここまで来て……」
シシーリアが絶望を感じて崩れ落ちる。
クルゼレイも同じことを思ったんだろう。逆にあいつは勝利を確信して、歓喜の表情を浮かべた。
「そうか! この力があれば、偽物共に目にもの見せてやることが―」
そしてその瞬間、イッセーの腕がクルゼレイを貫いた。
って制御できてねえじゃねえか!!
あれ? 是って状況的に吉なのか凶なのか。
そう思ったが、然しディオドラは平然としている。
お、おかしい。味方の上司が致命傷を負っていれば、普通に考えてパニックを起こすはずだ。少なくとも、覇龍が抑えられてないだなんて緊急事態で平然としていられるわけがねえ。
いったいどうして……。
「ああ、なんということだ。赤龍帝の覇龍によって、真なる魔王の末裔が二人も殺されてしまった」
そう、ディオドラは棒読みで言った。
その瞬間、俺もシシーリアもクルゼレイも、全てを悟った。
これは制御できてないんじゃない。その逆だ。
制御できているからこそ、イッセーはクルゼレイをピンポイントで攻撃したんだ。
ディオドラの奴、クルゼレイを後ろから刺しやがった!!
「ディ、ディオドラ……! なぜ……」
呆然としながら、クルゼレイはディオドラに手を伸ばす。
それを悪辣な笑みで見ながら、ディオドラは両手を広げて勝ち誇る。
「この力があれば、僕はヴィクター経済連合の幹部になれると思ってね。ちょうどいいから箔をつけさせてくれよ。「旧魔王の末裔
こ、この野郎……っ。
性根が腐ってるとは思ってたが、ここまでかよ!!
「ディオドラぁああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
クルゼレイは絶叫し、渾身の魔力を込め始める。
自分が死ぬのは避けられない。ならば、せめてディオドラを道連れにしようという決意が込められていた。
それを見てもなお、ディオドラは平然としながら力を溢れ出させる。
「さようなら、クルゼレイ。冥途の土産に、僕の切り札を見せてあげよう」
ディオドラはそういうと、鎧から輝きをあふれさせる。
そして、その輝きを俺はよく知っている。
あれは―
「―
その光とともに、ディオドラの姿は大きく変わる。
全身が歪み、肥大化し、そして生まれるのは異形の龍。
全体的な姿かたちは、翼がないタイプの西洋の龍。だが、その翼がない代わりに生えているものが問題だった。
八つ首の東洋の龍が、翼の代わりに生えている。
それは、まるでドラゴンのキメラだった。
「
そのシャレにならないオーラを見せつけながら、異形の龍の咢から一斉にオーラの奔流が放たれる。
それは、クルゼレイを一瞬で包み込んで吹きとばした。
悲鳴を上げる暇すら生み出さない。そんな圧倒的な力が、致命傷のクルゼレイを完全に消滅させる。
そして、クルゼレイを始末したディオドラは、わざとらしく嘆きの声を上げる。
「ああ、なんということだ。旧魔王の末裔二人が、薄汚い転生悪魔のせいで死んでしまったではないか」
こ、この野郎、よくもまあぬけぬけと……!
だが、さらにこの後吐き捨てた言葉が、事態がそんなもんじゃ済まないことを教えてくれやがった。
「今すぐにでも血の報復をしなくては。そう、先ずは薄汚い転生悪魔を下僕にした、リアス・グレモリーに報いを与えないと……ね?」
なんだ……と?
おい、ちょっと待て。
今、イッセーはディオドラの支配下にある。さらに暴走状態で元から理性があるかわからねえ。
そんな状況でこのセリフ。
一言で言える。最悪だ。
「行くがいい、赤龍帝。その圧倒的な力をもってして、リアス・グレモリーたちを血祭りにあげるんだ!!」
「ふ、ふざけんなぁああああああああああああああ!!!」
俺が怒りの絶叫を上げたのを合図にしたかのように、赤龍帝は翼を広げて空を舞った。
まさか章ボスをディオドラにする作品なんて、この作品ぐらいだろう……。
ディオドラの神器は、禁手の場合も含めて全部が竜に関係するものにしました。
アスタロトは龍に乗っているという逸話があったので、龍を支配することに特化した形で運用する形になります。