ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして備考作戦もスタート!!
つっても、俺達もはしゃぐんだけどな!!
「……こちらガイウス1。目標、水族館に入りましたって言っても分かってますよね、オーヴァー」
『こちらディアボロス1。もちろん追跡中よ、オーヴァー』
分かってるよ。集団でゴロゴロ後ろからついてってるから、目標のイッセーと朱乃さんより分かり易いって。
あの、尾行って言葉の意味分かってるんですか? 美候みたいに目立つ格好じゃいけないんだよ、びこうだけに。
で、俺達が何をしてるのかっていうと、イッセーと朱乃さんのデートを見張ってるわけだ。お嬢に要請されて俺達も参加してる。
「こちらガイウス2。あの、これ本当に尾行する気あるの? オーヴァー」
『……こちらディアボロス2 こんなに本気を出しているのに何でそんな質問が? オーヴァー』
姐さんのツッコミも当然なんだけどよ。なぜか、接近追跡組であるディアボロスチームの大半が気づいてねえ。小猫ちゃんすらだ。
……お嬢もアーシアちゃんも小猫ちゃんもギャスパーも、ただでさえ目立つのに変装じゃなくて仮装してやがる。気づかれて当然だ。木場は気づいてやがるがもうツッコミを放棄してやがる。
ぶっちゃけ、俺達はお嬢達に視線が行き過ぎてイッセー達を見逃すところだった。
あの、それは尾行じゃなくて威嚇っていうんですぜ、お嬢?
まあ、俺達遠距離監視組であるガイウスチームは、水族館の中では監視できないので休む事にする。
まあ、面白そうなので観察する程度だからな。あとは勢い余ってお外でやり始めないようにする監視だ。
姐さんとペト曰く、お外でやるのは上手くしないと気づかれるからとのことだ。そんな事がばれたら、イッセーも流石にただじゃ済まねえだろうし、朱乃さんの心象が最悪になる。
ま、朱乃さんはイッセーに嫌われなければ周りの印象とかあまり気にしないかもしれねえがな。それ位にはぞっこんだしよ。
つっても、エロキャラを堂々とぶちかましてるペトや姐さんはともかく、朱乃さんが変態ぶちかますと色々と問題が発生する。オカルト研究部の活動にも支障があるかもしれねえ。そこは気を付けねえとな。
しっかし、水族館でイッセー達がデートしてる間は暇だねぇ。
ああ、そうだ。ちょっと聞いてみるか。
「……なあ、暇なんで姐さんやペトに聞きたいんだけどな? ちょっとあれな質問なんで、言いたくねえならそう言ってもいいんだけどよ?」
俺、ちょっと気になる事があったんだよ。
「何かしら? まあ、私達は過去についてあまり話さないから、気になっても仕方がないけど」
う、すぐに突っつかれた。
だ、だって気になったんだもん。気になっちゃうんだもん!
俺の
前にもイッセーやお嬢とだべってた時に話題になったんだよ。
「……やっぱいいです。ちょっと気になっただけなんで」
なんか恥ずかしいやら申し訳ないやらという気分になって、俺はすぐに話を戻そうとするが―
「……あれは、二年前の京都府での出来事だったッス」
ペトぉおおおお!! お前、無視して話し始めるのやめてぇええええ!!!
「あら、いいのペト?」
「別にいいっす。……壊れてる自分としては、話していざという時フォローしてもらえる方がいいっすから」
そ、そんなにヘビーな話なのか!?
俺、ちょっと後悔してきたぞ!?
「……自分は両親と一緒に、日本の京都の近くで活動してたっす」
……そこからの話は、マジでヘビーだった。
グリゴリに所属する上級堕天使だったペトの親父は、神器を研究していたお袋さんと恋に落ちてペトという子宝に恵まれた。
そんでもって、他の神の力と神器の力の研究の為、当時からそういうの無頓着だった日本の土地神の力を借りようと画策した。
で、その的になったのが京都の辺境に位置する犬神信仰のさびれた神社。
日本は宗教的にイレギュラーで、日本神話……すなわち神道もそういうのに緩い。
まあ、その神は犬神を供養する過程でマジで神様扱いしたところであり、神と言ってもかなり下位の部類でサポートが欲しかった。
そういうわけで、その神主とペトの親父さんは仲が良かったらしい。
ペトもそこの子供と仲良く遊んでおり、一緒の中学に通っていた事もあったそうだ。
だが、事態は一変する。
「……さびれていて、元々妖怪に近い犬神を利用しようと、はぐれ者の妖怪共がそこを占拠したんス」
平然と答えるペトに、姐さんは寂しげな表情を浮かべる。
「それも、日本でも屈指の実力を持つ鬼神、両面宿儺の末裔という大物、ソウメンって実力者よ」
かなりの実力者だったそうだ。少なくとも、上級堕天使と神の力を借りたその神主が迎撃して殺されたほどには。
その鬼は人間達も集めて相当の犯罪組織を作っており、日本神話体系に関しては一種のテロリストだったらしい。
そして戦力を求めていたソウメンとかいうのは、優れた素質を持つペトとその子供に目を付けた。
ソウメンは男で、ペトとその子は女。これ以上は言わせないでほしい。聞いてて俺はやっぱり聞かなきゃよかったと後悔したし、そいつが生きてたなら殺しに行ってたと確信してる。
「ま、それが狙い通りに行く前に、お姉様が助けに来てくれたんすけどね」
……なんでも、日本に観光に来て道に迷って遭難しかけた姐さんが、たまたま救出部隊に出くわしたらしい。
ソウメンを追いかけていた京都の妖怪達と、ペトたちの救出に来た堕天使幹部のバラキエルの連合軍。ついでに言うと姐さんは当時、教会の流した仕事を主に受けていた。
一触即発になりかけたが、バラキエルが手を引かせる為に事情を説明して説得し、それを聞いた姐さんは即座に自分の神器が煌天雷獄であることを告げ、協力を約束したらしい。
そしてそのころ、日本の支部が襲われた教会も、実力者を呼び寄せて戦闘態勢だった。
それも、妖怪と堕天使が絡んでいる事を知った為現場が暴走。もろとも滅ぼさんとしていたらしい。
そして結果として三つ巴の大激戦が勃発。日本の異形関係では、コカビエルの暴走やら、姐さんやヴァーリと同じグリゴリ側神滅具使いが四年前に関わった大激戦に次ぐ、かなりの規模の殺し合いだったらしい。
そこでソウメンを討ち取り、ついでに教会側の最強戦力である
その縁でペトの面倒を見て、ペトに上辺のごまかし方などを教えていたらなつかれた……と、言う事らしい。
「……正直言って自分、人とかみ合わなくなった事は苦労しても、そっちに関してはあまりショック受けてないんすよ」
そう、ペトは自虐的な表情を浮かべた。
両親の死がショックにならないほどに、それを感じさせないほどに、ペトの心は壊れていた。
肉体的にも過度の負担が掛かっており、裏取引でフェニックスの涙を手に入れる必要があったほどだ。
「どっちかっていうと、其の仲の良かった友達と会えなくなった事の方がショックなんすよねぇ。……子どもとしては、親不孝なんすかねぇ」
そう言いながら、ペトは姐さんにすり寄りながら俺に苦笑を浮かべる。
「ま、そういうわけなんで。自分のフォローとか、時々気にかけてくれると嬉しいっす」
……本当に、オカルト研究部はヘビーな来歴持ちが多すぎる。
この調子じゃ、姐さんもまた、すっごい過去を持ってるんだろうな。
俺も底辺だが、ペトも相当だ。マジで聞いた事が申し訳ねえ気分になる。
「ま、親の顔も知らない浮浪児だったヒロイも大概っスけどねぇ。ベクトル違うけど自分と同じぐらい酷いじゃないっすか」
「同感。浮浪児を古巣に送った事はあるけど、あなたも大概酷いわよねぇ」
おまえも同類なんだから気にすんな。そんな感じでペトも姐さんも努めて軽く言う。
あと姐さん。たぶんそれは俺です。孤児院の名前はイドアル孤児院っす。
カッシウスは自分でつけた名前です。聖槍の持ち主だった聖ロンギヌスと名前が似ている、ガイウス・カシウス・ロンギヌスから取りました。聖槍無関係だと指摘されたけど、かっこいい響きだったんで気にしてねえっす。
っていうかこの時点で姐さんの来歴に気づけよ俺。馬鹿か俺は。偶然って怖いとか思うな俺。
まあ、ややこしくなりそうなんでそこんところは内緒にしとこう。
しっかし、これ、どういったらいいもんか……?
そう思った瞬間、ペトが視線を逸らした。
「あ、イッセーと朱乃さんが尾行を撒こうとしてるッス」
チャンス!
俺達はそのまま話を中断して、一気に追撃を開始する。
ペトの超視力を利用して、俺達は遠距離から追撃している。お嬢達は撒かれたが、何とか発見できた。
……って、あそこラブホ街じゃねえか!!
おいおいおいおい。流石にそれはまずくねえか? 高校生はラブホは禁止だろ!?
万が一この事が知られれば、流石に駒王学園の教師達も問題にするぞ!!
と、と、とめ―
そう思った瞬間、何やらイッセー達が揉め始めた。
どっかで見た覚えのある爺さんやお姉さんと口論を始め、そして朱乃さんが同じくどっかで見たことのあるガタイのいいオッサンに腕を掴まれてる。因みに見慣れない少女が一人いるがそこはどうでもいい。
チッ! 警察の補導か何かか!?
どうしたもんかと思った瞬間、ペトが前に飛び出した。
「あ、コラ馬鹿!!」
いくら異形の存在が公表されたからって、堂々と活動してるわけじゃねえんだぞ?
そう思ったが、その人達が一斉に振り向いた瞬間に俺の懸念は霧散した。
「あら、オーディン神じゃないですか」
あ、そうだ。あの爺さんは北欧の主神であるオーディン神だ!!
そしてあれは、そのオーディンのお付きだった人。ハリセンによるツッコミが印象に残ってるからよく覚えてる。
そしてあのおっさんは、シシーリアを保護してくれた堕天使のバラキエルさんだ。
服装が違うからすぐに分からなかった。
っていうか、バラキエルさんは目の前で娘がラブホに男と入ろうとしてるところを見たのか。ああ、俺は親心なんてわからねえけど、色々思うところはあるんだろうなぁ。
ってことは、あの女子も異形関係者か?
そう思ったその時には、ペトは涙まで浮かべてその子に抱き着いていた。
……俺は、ふとその時思ったんだ。
ペト。お前、そんなに壊れてないだろ。
だって、そんなに嬉しそうな表情、壊れてるやつが浮かべられねえよ。
グレモリー眷属とはハードの方向性が違うハードなペトの来歴。まあ、ヒロイは知っての通りこれまたハードで、説明してないけどリセスもかなりハードな経験を積んでいるのですが。
ちなみにペトの名前の由来はペットとスレイヴからもじりました。
リセスのペット的立場を辞任し、かつて