ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

76 / 324
ヴァーリとの会話、まだ続きます


第三章 11

 

 俺らがそうやってカップ麺をすすっていると、寝間着姿のイッセーが入ってきた。

 

「なんかいい匂いしてんな。俺の分ない?」

 

「あ、悪い、これは品切れだ。汁ならやるが?」

 

「男の食いかけなんて誰が食うかよ」

 

 だよなぁ。

 

 そんな軽口をたたき合いながら、イッセーはソファーに座る。

 

 そして、ふぅ……と息をついた。

 

「……朱乃さんに夜這いされた」

 

 ……俺は勢いよくカップ麺の汁を吹き出すところだった。

 

 つ、ついに夜這いと来ましたかあの人。業を煮やしすぎっつーか。不倫狙いなら童貞食うのはどうよ?

 

「そ、そうか。まあ死線だしな」

 

 思い残すことがないように、覚悟決めるってわけか。

 

 俺も童貞捨てりゃぁ良かったかねえ。強引にでもあのヤ〇部屋にダイビングして。

 

「童貞卒業おめでとう」

 

「いや、しのいだからね!? してないからね!?」

 

 と、おれが褒めたらイッセーはぶんぶんと首をふった。

 

 お、お前正気か!?

 

「死んでもおかしくねえんだし、そこは童貞捨てとけよ。無念はねえほうが人生の終焉は満足いくぜ?」

 

「いやだよ。あんな形で寝たら、傷つくのは朱乃さんの方だろ」

 

 そういうもんか。俺としちゃあ、朱乃さんはむしろ奮起しそうだけどよ。

 

 いや、逆に心残りがなくなって死にやすくなるのか? う~む。難しい。

 

「よくわからないが、バラキエルの娘も俺ほどではないが優れた存在だ。ここで死なれては困るから、そのあたりはしっかりしてほしいな」

 

 ヴァーリ。お前本当に戦闘のことしか頭にねえのか。

 

 イッセーもあきれたのか、どっかりとソファーに座り込んだ。

 

 そして、窓を外を見ながら、ぽつんとつぶやいた。

 

「……まさか、神様と戦うことになるなんて思わなかったよ」

 

 まあ、イッセーは平和に暮らしたい派だからなぁ。

 

 レーティングゲームで活躍して、上級悪魔になりてえとは思ってるようだが、それも悪魔とのゲームだったわけだし。

 

 それがコカビエルと揉めたことが原因で三大勢力で和平成立。そしてそのタイミングを見計らったかの如く世界大戦勃発。とどめに今回のロキとの一戦ときたもんだ。

 

 新米転生悪魔がやるような戦いじゃねえわな。いくらイッセーが赤龍帝だって、そんなの嫌だろ。

 

「まあ、世界にはいい神も悪い神も存在するものだ。

こと、ある神話では善神とされていたものが異なる神話では悪神とされていることなど珍しくもない」

 

 ヴァーリがそんなことを言った。

 

 確かになぁ。そう言うの探せばよくある話だしよ。

 

 だが、イッセーはよくわかんねえのか首をひねる。

 

「何で平和にやってく邪魔すんのかね? おれは悪魔だけど、部長たちと楽しく過ごせればそれで十分なのに」

 

「ま、教会は神の名のもとに他の神話体系迫害しまくりだからな。千年以上後に生まれた俺らに言われても困るけどよ」

 

 いやマジで困る。そんなの当事者に言ってくれよ。

 

 まあ、当時から現役の神からしたら、現在進行形の恨みなんだろうけどよ?

 

 アースガルズだって、ラグナロク対策の名目で起こさなくていい戦争をマッチメイクしたりしたじゃねえか。そこまで偉そうに言えた義理かよ。

 

 損害賠償とか請求することもできんだろうし、なんでわざわざこっちが下手に出てるのにバトろうとするのかねぇ?

 

 俺たちの疑問に気づいたのか、ヴァーリは苦笑を浮かべた。

 

「君たちにとっての平和が、苦痛にしか感じないものもいるということだ」

 

「それ、すっごく悲しいことじゃねえか?」

 

 ま、イッセーの言う通りだよな。

 

 分かり合えない連中がいて、そのせいで争いが起きる。

 

 英雄を目指す身としては好都合なんだろうが、戦争なんて御免ってやつには、迷惑以外の何物でもねえ。

 

 ほんと、英雄ってのは因果な存在だぜ。

 

 一人殺せば殺人鬼だが、百人殺せば英雄とはよく言ったもんだ。

 

「しかも、そういうやつに限って強い奴ばかりだしよぉ。マジで勘弁してほしいぜ」

 

 うっへぇとイッセーがいやな顔をするが、ヴァーリの方はむしろ楽しそうだった。

 

「俺としては好都合だ。平和を望む気持ちを否定する気はないが、俺としては退屈でね。個人的には今回の一件は実に楽しみだよ」

 

 ……やっぱコイツは戦闘狂だ。この辺に関しては天然だ。

 

 俺は戦果は上げたいが、戦争が好きなわけじゃ断じてないからな。やっぱそりが合わねえ。

 

 イッセーはむしろ、その辺はどうでもいいや的な感じっぽかった。

 

「上級悪魔になって、最高のハーレムを作れればそれでいいや。最強の兵士(ポーン)にはなりたいけどな」

 

「君はそれでいい。神器は想いに応えるものだからね。そうであってこそ君は強くなれるさ」

 

「なら俺は真剣に英雄目指し続けるか。その方が強くなれそうだ」

 

 ああ。神器は想いに応えるんだから、真剣な思いの方が都合がいいよな。

 

 と、イッセーは何かに気づいたのか、ヴァーリを見据えた。

 

「あ、あと一つあったぜ。―お前を超えたい」

 

 その言葉に、ヴァーリはものすごくうれしそうな顔をした。

 

「それは実に楽しみだ。一時は君に失望していたが、しかし今の君は可能性の宝庫だ」

 

『同感だな。今までの二天龍は、誰もかれも元ある機能を高めて覇龍を使えるようになることばかりを考えていた』

 

 アルビオンがのっかり、ドライグもまた姿を現して嬉しそうにする。

 

『ああ。女の服を破壊する技なんて開発したのは相棒ぐらいだ。それに、俺とこんなに話してくれるのもな』

 

『それに関しては同感だ。我らをここまで友のように扱う二天龍の宿主は、間違いなく今代の者たちだけだからな』

 

 そうか。これまでの歴代二天龍は、二人と仲良くなろうとはしなかったと。

 

 それはつまんねえなぁ。俺の聖槍はそういうの見せてくれねえし。

 

「マジか? でも、俺はドライグが使い方教えてくれないとなかなかうまく使えねえしさ」

 

『それがよかったのだろう。これまでの歴代は力に溺れる者がほとんどだから、ヴァーリやお前のようにさらなる研鑽を積むものは少なかった』

 

 そうアルビオンがいい、ヴァーリもうれしそうにする。

 

「だからこそ、君は想定外の方向に強くなるのだろう。確かに現段階では最弱かもしれないが、反面最も二天龍の力を調べようとする赤龍帝だ」

 

 その誉め言葉に、イッセーは何やらわからない感じの顔をする。

 

 いや、確かにそれはすごいぜ?

 

「ま、俺の禁手みたいに、自分の力で何ができるのか真剣に考えないと真価発揮できない能力は多いしな」

 

『そういう意味ではお前もドライグの宿主と同じぐらいやりづらい。その手の手合いはなかなか隙を見せてくれないのでね』

 

『ああ。話していて楽しいし、俺たちの新たな可能性を見つけ出そうとしてくれる。これまでにないいい相棒を俺は得たもんだ』

 

 アルビオンもドライグも、かなりべた褒めだ。俺も褒められたが。

 

 そして、おれはふと気になった。

 

 和平会談の時に現れた曹操。

 

 奴もまた英雄になることにこだわってたが、あいつはどんな感じに強くなるんだろうか。

 

 奴もまた神器を複数移植している手合いだ。俺と同じように前例のない存在っつってもいいからな。

 

 ……俺は、あいつには負けたくねえ。

 

 英雄として、あいつには……負けたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんうん。いいものを見させてもらったわい」

 

 と、いつの間にやらオーディン神がなんか感慨深く現れた。

 

 前触れってもんを見せてくれませんかねぇ? 正直心臓に悪いぜ。

 

「今代の赤白は個性的じゃ。昔はみんなただの暴れん坊で、各地で勝手に赤白対決をやっては死んでもうた。覇龍(ジャガーノート・ドライブ)も好き勝手に使うから、いくつもの山や島が消えてしまったしの」

 

「……迷惑すぎるだろ、歴代二天龍」

 

 大義も何もあったもんじゃないな。

 

 そういう意味じゃあ。ちゃんとした戦争ぶちかましてる今代の方がまだましだな。

 

 まさか、ヴァーリの暴走っぷりがましだと思わせられるとは。恐るべし、歴代二天龍。

 

「……ところで白龍皇? お主は何処が好きじゃ」

 

 ものすごいいやらしい視線で、オーディン神が質問してきやがった。

 

 ああ、イッセーの乳に相当するフェチ属性聞いてやがるな? この変態主神は本当にいやらしいぜ。

 

 しかしヴァーリは答えない。っていうか、質問の意図がわかってねえ気がする。

 

「何処が好きとは?」

 

「女の好みの体に決まっとるじゃろう。赤のほうの乳みたいに、好きな場所をきいとるんじゃよ」

 

「心外だ。俺はおっぱいドラゴンとは違う」

 

 心の底から言いやがった。

 

 まあ、女の乳をつついて禁手に至るトンデモ野郎と同類の変態扱いは誰だっていやだろ。俺だっていやだ。

 

 っていうか、イッセーのそれはギネス記録のレベルだから比較対象がねえだろ。

 

「そういうな。お主も男なんじゃから何かあるじゃろ?」

 

「そういうのに関心はないな。まあ、しいて言うなら臀部か? そのあたりが女性らしさを見せると聞くが―」

 

「―ケツ龍皇か」

 

 ゴロがいいのが腹立つ。

 

 そしてツボにはまりそうだ。わ、笑いが出てくるのを我慢しなければ!!

 

『オーディン貴様ぁああああ!!! 俺と赤いのと同じところに突き落とす気かぁあああ!!!』

 

『白いのぉおおおお!! それはどういう意味だぁ!?』

 

 二天龍の口論が勃発したよ。

 

 しかも二人とも、速攻で涙声だ。

 

『生涯のライバルがテレビでおっぱいドラゴンなどと呼ばれている私のふがいなさがわかるか!?』

 

『泣きたいのは俺だ!! 毎度毎度相棒の乳覚醒には正直こころがいたいんだよぉ!!』

 

 泣くなお前ら。散々好き勝手に暴れたツケが来たと思え。

 

 ……それにしたってなんかねえのかとは思うけどな!!

 

「ほほう。これはかわいそうなドラゴンでお伽噺でも作れそうじゃ」

 

「やめて爺さん!! 今こいつらすごく繊細な時期なの!!」

 

 イッセーが絶叫してオーディン神を止めるけど、元凶お前だからな?

 

『うぅ……。情けない、情けないぞ赤いの……』

 

「泣くなアルビオン。おっぱいドラゴンを見てる時もいつもそうだが、俺なら相談に乗る」

 

「そもそも見るのやめろ」

 

 俺は渾身のツッコミをヴァーリに叩き込んだ。

 

 なんで子供向け番組見てんだお前は。

 

 暇か? こいつら暇なのか? 仕事しろよ戦争中だぞ!!

 

「ところで聖槍使い。お主は何処がいいんじゃ?」

 

 俺までとばっちりだよ!!

 

 おい、なんでヴァーリ迄興味深そうに視線を向けてきやがる。イッセーのガン見は想定内だから気にするな。

 

 ってか、おれの体の好みって言われてもな。

 

「スタイルのバランスが取れてりゃなんでもいい。女の乳に貴賤はねえ!!」

 

「……平凡すぎてつまらん」

 

 このジジイ……っ!

 

 ロキの前にお前を聖槍の錆にしてやろうか。

 

「ま、何にせよ若いっちゅうのはええもんじゃ」

 

 そういうと、オーディン神はため息をついた。

 

「儂らはずっと、年寄りの知恵こそが何でも解決すると思っとったが、若さこそ力なんじゃろうなぁ。その傲慢が、ロキのような阿呆を生んどると思うと落ち込むわい」

 

 ……まあ、確かに老害って言葉もあるしな。

 

 あのロキも、外見は若いけど何千年も生きてるだろうしよ。そう言う意味じゃあ、悪魔の上役と同じか。

 

 つっても、若いってのもいいことばかりじゃねえだろ。

 

「若いってのも未熟ってことだろ? それがいいことばかりってわけじゃねえだろ。気にしすぎだと思いますがねぇ」

 

 俺はそういってフォローする。

 

 ヴァーリはその辺気にしないのか、スルーの方向だ。

 

 でもお前、現在進行形で若さゆえの暴走してるからな?

 

 で、イッセーはどういうんだ。

 

「よくわかんないけどさ、そういう時は一歩ずつ前に進んでけばいいんじゃねえの?」

 

 ……イッセー。たぶんそれが大変だってよくわかってねえだろ。

 

 やってみるとわかるがマジ大変だぞ。姐さんがいなけりゃ無理だったぞ、俺は。

 

 だけどまあ、オーディン神が呆気にとられるのは十分だったな。

 

「そういうところがいいのじゃ。やはり若さはええのぉ」

 

 ったくだ。若いってのは怖いもの知らずでいいねぇ。

 

 ……いや、俺も同年代だしっかりしろ!!

 




ヒロイ「若さゆえの過ちwww」

ヴァーリ「黙れ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。