ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第三章 15

 クソ! ヴァーリの奴がやられやがった!!

 

 あれはもろに内臓にまで達してるぞ。是じゃあ戦闘はできそうにねえ。

 

 アーシアも他の仲間の回復で手一杯だ。第一、かみつかれたまんまじゃ治し様がねえな。

 

 しかもイッセーとタンニーンさんが救援に行くが、それをフェンリルはやすやすと一蹴する。

 

 あれが、全盛期の二天龍に匹敵する化け物の力かよ!!

 

 ってそんなことを考えている場合じゃねえ!!

 

「それでは、手が空いたので聖槍使いを相手しようか!! 捧腹、貴様はそこの小娘どもを頼むぞ」

 

「承知した」

 

 ロキの野郎がこっちに来やがったか。

 

 上等! 神殺しの槍の本領をおしえてやるぜ!!

 

「ぶち貫く! マスドライバースティンガー!!」

 

 速攻でレールガンを形成すると、おれは突っ込んでくるロキにカウンターで一発ぶっぱなす。

 

 放たれる攻撃は超音速なんてもんじゃねえ。いくら神でもこの距離で視認しての回避ができるわけが―

 

「―どこを見ている?」

 

 気づけば、後ろにロキの姿が。

 

 な……にぃ!?

 

 振り返らずにおれは肘で迎撃。むろん魔剣は生成済みだ。

 

 だが、ロキはそれを片手で受け止めると魔方陣を俺の至近距離に展開する。

 

 くそ、迎撃してる余裕が―

 

「では、次は聖槍使いだ」

 

 その瞬間、おれは至近距離で魔法フルバーストを喰らって吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、リセスもまた追い込まれていた。

 

 ソウメンスクナそのものとはほぼ互角だ。

 

 死体を基に作られたにもかかわらず、ソウメンスクナの戦闘能力はかつてのソウメンを超えている。

 

 これが、捧腹の外法によって作り出された死体人形。鬼神の末裔の潜在能力を、正真正銘引き出すことに成功している。

 

 だが、それでも研鑽を積んで強化されたリセスは当然強くなっているのだ。

 

 ましてや、グリゴリの技術の粋を集めて作られたキョジンキラー。名前はあまりにも馬鹿らしいが、その戦闘能力は馬鹿にできた物ではない。むしろ馬鹿らしいぐらい強い。

 

 豪腕と豪腕がぶつかり合い、そして押し勝ったのはキョジンキラー。

 

 さらに邪炎を聖なる炎を生み出して相殺し、そして少しずつ焼いていく。

 

 単純な戦闘なら、ほぼ拮抗状態だった。

 

 だが―

 

「させると思うか!!」

 

 放たれる攻撃が、キョジンキラーの装甲に傷をつける。

 

 今、強襲してきた者たちの攻撃はキョジンキラーに集中していた。

 

 オーディンを殺しうる戦闘能力を持っているのはソウメンスクナのみ。ゆえに、キョジンキラーの撃破こそが最優先。

 

 ゆえに、その大半が自衛隊の攻撃を無視してキョジンキラーに攻撃を集中させていた。

 

 自衛隊は攻撃を放ってその数を減らそうとするが、しかしそれを敵は全員無視する。

 

 かくいうリセスも、この攻撃をあえて意識しない。

 

 なぜなら、そんな余裕はかけらもないのだ。

 

 もとからソウメンは強敵だった。かつての自分が勝てたのも、それなりに幸運と状況に恵まれていたからだろう。

 

 リョウメンスクナの末裔を名乗るだけのことはあった。最上級悪魔と戦ってもいい線いくだけの実力はある。伊達や酔狂でバラキエルが出てきたわけではないのだ。

 

 それがさらに強化されて現れたことで、こちらも意識は向けないといけない。有象無象にかかわっている余裕はない。

 

 しかし、それゆえにダメージはたまる一方。このままではキョジンキラーが破壊される恐れもある。

 

 それまでにソウメンスクナを屠ることができるかどうか。この戦いはそんな状況下になっていた。

 

 そして、そんな戦いにも光明はある。

 

「ゥオオオオオオオッン!!」

 

 遠吠えとともに、攻撃を仕掛けている妖怪たちが一斉に浄化され悲鳴を上げる。

 

 そして、地上で戦闘をしていたエインヘリヤルたちが切り刻まれ、鮮血をまき散らす。

 

 それをなすのは一人の少女。名を、神代小犬。

 

 かつて救った時の彼女は、狗神と相性がいいだけのただの少女だった。

 

 だが、今の彼女はオーディンの護衛として京都から派遣されるほどの存在。その実力は非常に高い。

 

 神降ろし、というものがある。

 

 巫女が託宣を神から受け取るために、神の力を下す能力だ。

 

 狗神憑きという存在がいる。

 

 一種の式神使いで、術者の意を受けて物を取ってきたり敵に害をなす存在である。

 

 そして、神代家は代々神格化された犬神を祀ってきた家系。

 

 その二つを組み合わせ、神代小犬は犬神の力をその身に宿す。

 

 その咆哮は清めの力をもってして邪気を浄化し、その身は弱小とは言え神格の力を発揮して敵を屠る。

 

 まさに獣のごとき俊敏な動きで、小犬は的確に敵の数を減らし、陽動していた。

 

「リセスさん! 数が多いよ~!」

 

 だが、それでもその数は多すぎる。

 

「……これは、こっちも覚悟を決めないといけないようね!!」

 

 最悪、生身であの巨体と殺し合わなければならない。

 

 かつてソウメンと戦った時は、ここまでの巨体に変化することはなかった。是もまた、捧腹の強化ということなのだろう。

 

 まず間違いなく脅威である。だが、それでもやるしかない。

 

 そうでなければ。強者(英雄)になどなれるわけがないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 くそ! なんて奴だよ、フェンリル!!

 

 ヴァーリが、オッサンが、俺が、まるで相手にならねえ!!

 

 これが、二天龍に匹敵する怪物の本気ってことかよ。なんでヒロイの奴はこいつが反応できない速度で、俺を狙ったカウンターを貫けたんだ?

 

『流石にまずいな。正真正銘全盛期の俺たちとも渡り合えるレベルだ』

 

 ドライグ。せめてどうにかする方法だけでも考えてくれないか!?

 

『無理だな。今の相棒では荷が重い』

 

 マジか。

 

 畜生。せめてミョルニルが本当の意味で使えれば勝ち目があるのに。

 

 エロ根性あってこその俺じゃあ、とても邪な感情を捨てるなんてできそうにない。だからミョルニルは真価を発揮できない。

 

 そのままでもすごい強力なハンマーとしては使えるけど、それじゃあロキのムジョルニアはどうしようもない。雷が出なけりゃ勝負にもなりゃしねえ。

 

 今は何とかみんなが頑張って量産型のミドガルズオルムやフェンリルを抑え込んでる。

 

 だけど、タンニーンのおっさんが抜けたせいでスルト・サードはロスヴァイセさんを追い込んでる。

 

 まずい。このままじゃぁ……っ!!

 

「……兵藤……一誠」

 

 俺が焦ったその時、ヴァーリが息も絶え絶えに声を出した。

 

 いやお前、明らかに重症じゃん。何も言わない方がいいんじゃねえの!?

 

「ロキは君に任せる。……フェンリルは、俺が相手を何とかしよう……」

 

 な、なんだって?

 

 ヴァーリ、お前、その状態でフェンリルをどうにかできるのか?

 

「はっはっは。瀕死の状態で何ができる? 強がりは二天龍の名を貶めるだけだぞ?」

 

 ロキが笑うけど、確かにその通りだ。

 

 この状況で、どうやってフェンリルを倒す気なんだ……?

 

「天龍を、この、ヴァーリ・ルシファーを……舐めるなよ?」

 

 その時、寒気が走った。

 

「我、目覚めるは―」

 

 その時、白龍皇の鎧が輝き始める。

 

「覇の理にすべてを奪われし、二天龍なり」

 

 鎧の宝玉が輝いて、オーラを放つ。

 

「無限を妬み、夢幻を想う」

 

 そして鎧の形状が、少しずつ変化していく。

 

「我、白き龍の覇道を極め―」

 

 そしてフェンリルが警戒したその瞬間―

 

「―汝を無垢の極限へと誘おうッ!!」

 

『Juggernaut Drive!!!!!!!!!!!!』

 

 激昂よりも強く輝く七色の光が、フェンリルに咥えられたヴァーリから解き放たれた。

 

 うぉ、まぶし!!

 

「黒歌! 俺をフェンリルごと予定のポイントまで転送しろ!!」

 

「了解にゃんっ」

 

 黒歌が転送術を起動して、一瞬でフェンリルとヴァーリを包み込む。

 

 気づいた時には、ヴァーリとフェンリルは姿を消していた。

 

 よ、予定のポイント? 何の話だ?

 

 あいつ、まさか俺たちに黙って変なことでも企んでるんじゃないだろうな。それが本命の目的とか?

 

 いや、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。

 

 フェンリルがいなくなったから、これでオッサンはスルト・サードに集中できる。そのあいだ俺はロキを抑えて―

 

「朱乃!?」

 

 部長の悲鳴に、俺は振り返った。

 

 見れば、子フェンリルの一匹が朱乃さんに噛み付こうとしてる。

 

 くそ、やらせるかよ!!

 

 俺は全力で朱乃さんに向かって飛ぶ。

 

 だけどマズイ。是じゃあギリギリ間に合わない!!

 

 くそ、こんなところで―

 

「朱乃っ!!」

 

 その時、バラキエルさんが割って入った。

 

 勢いよく朱乃さんを抱きかかえて、そのまま距離を取る。

 

 だけど、子フェンリルの動きは早く、爪を勢い良くふるった。

 

 ……鮮血が、飛び散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out




どこもかしこも苦戦続き。

ですが、それこそが少年漫画の王道。


……そして来ますよ、D×D史上トップクラスに頭の痛い展開が!!
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