ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、一種の番外編となります!

部隊は8巻書下ろしの次期。イッセーとリアスが儀式を受けるタイミングですね。

ちょうどその裏で起きたこの出来事。この混迷の世界で起きる、ある一つの争奪戦……。


第三章 22

 

 ある日、俺は帰りを遅くするという手段を取った。

 

 なんでも、その日はお嬢に会う為にグレイフィアさんがオフをとってやってくるらしい。

 

 ……なんか嫌な予感がしたというか、メイドの立場から解放されたグレイフィアさんには近づかない方がいい気がした。

 

 ほら、俺結構いい加減じゃん? 何か口うるさく言われそうじゃん?

 

 と、言うわけで夜まで姐さんの勉強に付き合ってから、俺達はお嬢の家に帰ろうとしたんだが……。

 

「……依頼ですかい?」

 

 と、ミカエル様から通信が来て、俺達はその依頼を聞いた。

 

『はい。実は亡命者の受け入れを行う部隊に参加してほしいのです』

 

「それは良いですけど、なぜこの時期に?」

 

 姐さんの疑問ももっともだ。

 

 既に亡命騒動もひと段落しているこの時期に、あえて亡命する理由が分からねえ。

 

 そんな事になったら目立って、あっさりヴィクターに討伐される可能性だってあるぜ?

 

『実は、その亡命者は旧魔王の末裔なのですが、旧魔王派はだいぶ混乱しているようで、その隙をついての亡命なのです』

 

「なるほど、むしろ今の時期だから亡命で来たッスか」

 

 ペトが納得するのも納得だ。

 

 こういう時期じゃなければ亡命できないような、注目を浴びる人物だということか。

 

『彼らはあえて人間世界のルートで亡命しています。そして自衛隊が不法入国して取り押さえたという名目で、彼らを保護する手はずなのですが……』

 

 どうやら、それを勘付かれている可能性が発覚したようだ。

 

 このままだと、自衛隊とその追撃部隊との間に戦闘が勃発しかねない。

 

 そこで、比較的自由に動ける俺達が助っ人して選ばれたってわけだ。

 

 ま、俺としちゃぁ断る理由なんてねえか。

 

「OKですぜ! もとより年俸の分は働かねえといけませんからねぇ」

 

「私も同意。英雄としては敵からの亡命者は保護してあげないとね」

 

「お姉様とヒロイが行くなら自分もッス!!」

 

 と、言うわけで俺達は自衛隊の助っ人として、今から準備をして助けに行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、仕事が決まって戻ってきてみりゃぁ……。

 

 なんかお嬢が顔を赤くしてんだけどよ?

 

 イッセーもイッセーでなんか緊張してるし。

 

「で、グレイフィアさんは一体何をしに来たのよ?」

 

「ちょっとした、家族認定試験みたいなものですわ」

 

 と、姐さんに朱乃さんが答える。

 

 ん? 家族認定試験?

 

「どういうことッスか?」

 

 と、俺達の疑問をペトが真っ先に口にする。

 

 見れば、ゼノヴィアやイリナ、ロスヴァイセさんも疑問符を浮かべていた。

 

 ん? どういうことだ?

 

「……部長は婚約を破棄したことがあるんです」

 

 ああ、そんなことも言ってた気がするな、小猫ちゃん。

 

 そして、木場もまた苦笑を浮かべて説明する。

 

「お相手はフェニックス家の三男、ライザー・フェニックス氏。レーティングゲームによる決定戦では負けたんだけど、サーゼクス様が気を利かせて、イッセーくんとライザー氏のタイマン勝負の機会をくださってね。それでイッセー君がギリギリで勝って婚約は破棄されたんだよ」

 

 なるほど。貴族様からしてみれば、既に一度レーティングゲームで決まった事をひっくり返されたからいい気分じゃねえと。

 

 ま、貴族の婚姻ともなるとただ愛しているってだけじゃあ駄目になるところは多いよなぁ。下に見る連中はゴロゴロいそうだ。

 

 で? それとその儀式に何の関係が?

 

「ああ。だからイッセー先輩が貴族社会でもやっていけるって証明したいんですね」

 

 と、ギャスパーがなにかに気づいてそう言った。

 

 ……んん?

 

「そういうことですわ。イッセーくんは赤龍帝ですし、万が一の場合はその次の当主のミリキャス様がおられます。ですから、イッセー君が貴族社会でやっていけるだけの器量がある事を証明すれば……」

 

 ああ。そう言う事か。

 

 つまり儀式ってのは、婚約者にふさわしい存在である事を示す為の、一種のテストだと。

 

「……ダンスや貴族の常識、食事のマナーを確かめる類です」

 

「そういうことですか。確かに、高貴な身分ともなればそれ相応の気品や知性が求められますからね」

 

 小猫ちゃんの補足説明に、ロスヴァイセさんが納得する。

 

 なるほどねぇ。確かに、貴族様ともなれば一般人とは異なるところを気にするべきか。

 

 教会の枢機卿とか聖女様とかも作法とか求められるし、ま、当然っちゃぁ当然か。

 

 だけどよ、一番肝心なところが出来てねえ気がするんだけどよ?

 

「……それ、肝心のイッセーがどういうことか理解できてないんじゃない?」

 

「そうなんですよね。イッセー君、未だに部長が向けている感情を下僕に向けるそれと思い込んでて……」

 

 姐さんのツッコミに木場が苦笑し、全員が同時にため息をついた。

 

 視線を向けると、イッセーはどうも戦闘のイメージトレーニングをしているようだ。この儀式を何らかの決闘的な何かと勘違いしてるみたいだな。

 

 いや、ホント流石に鈍すぎねえか?

 

 お嬢の愛情表現もなんかあれなところあるけどよ? それでも好意的な感情なのはすぐわかると思うだろ? それも、ラブ的な。

 

 そりゃ告白もしてねえのに裸で抱き着いたりエロ的アピールするのはあれだけどよ? それをイッセーに集中させてるってことはつまりそういうことだろ。

 

 なんつーか、特別扱いされてる事すら気づいてねえ節があるんだがよ。

 

「……朱乃さんとのデートについて、聞いたことがあるッス」

 

 と、ペトは朱乃さんに言いにくそうにしながら手を上げた。

 

「予行演習でこんなに喜んでくれるなんて嬉しいけど、それが他の男に向けられるはずのものって思うとマジその男に嫉妬する……とか言ってたっすよ?」

 

 俺達は更にため息をついた。

 

 あの馬鹿。なんでそんな方向に解釈すんだよ。

 

 戦闘中なのに無茶苦茶喜んでたろうが。小猫ちゃんがそれで朱乃さんのやる気が出るって言ってただろうが。

 

 なんでやる気出るのかが全く分かってねえ。どうでもいい男でやる予行練習で機嫌良くなる奴はいねえだろ。

 

「あなた達も大変ね。そんなのに惚れて」

 

 姐さんが、すっごく同情の視線をアーシア達に向ける。

 

 確かに同感。

 

 この調子じゃ、アーシアがおはようのキスをイッセーにするのもどういう意味か理解できてねえんじゃねえか?

 

「因みにアーシアに関しては「恋人とか兄妹とかじゃない、家族って感じがする」とかほざいてたっす」

 

「……よく後ろから撃たなかったわね。偉いわ」

 

 凄まじい事を相談されたペトに、姐さんが素直に褒めてなでなでした。

 

 あ、イッセーLOVE勢の表情が苦笑を通り越して暗くなった。

 

 だよなぁ。普通落ち込むよなぁ。

 

「これではイッセーと子作りするのもいつになるかわからないな。……出来れば愛も欲しいのだが」

 

「それはゼノヴィアが最初にあんな事言ったのが悪いんじゃない。そもそもあなた、基本的なアプローチはそこから変わってないんでしょう?」

 

 ゼノヴィアまで落ち込むが、まあそ関しちゃイリナのツッコミが正しいな。

 

 まずそこの認識を変える為のアプローチをする事から始めやがれってんだ。

 

「いや、これでも頬にキスしたりとかしたんだぞ? イッセーが独立したら私もアーシアと同じようにトレードしてほしいとも言ったし……」

 

「……それで気づくなら、部長達が苦労してません」

 

 しどろもどろに言い訳するゼノヴィアに、小猫ちゃんからの鋭いツッコミが飛んだ。

 

 くそぅ。分かっちゃいたけどやっぱりイッセーに惚れたか。これじゃあゼノヴィアとエロい事は無理か。

 

 ほんとイッセーもげろ。っていうか俺がもぐぞ。

 

 駄目だ。この会話続けてると俺達のストレスがどんどん溜まる。

 

 それに木場も気づいたらしい。話を変えてほしいと目配せしながら話を切り出した。

 

「……話を変えるけど、そう言えばヒロイ君達は何してたんだい?」

 

「小言言われそうだから、姐さんの勉強見てた」

 

「今日はもう、勉強したくないわね。ペトとキャンパスライフしたいからもうちょっとやるけど」

 

 俺に続いて姐さんがそうぼやく。

 

 どうも姐さん、ハイスクールでもあまり勉強してなかったらしい。更に七年間も学業から離れてたから、成績は芳しくない。

 

 ただやる気はあるので、あとは教え方が上手い奴が教えれば、大検はすぐに取れるだろう。あとは大学部の試験に合格すればいい。

 

 まあ、それも結構大変なんだがな。

 

「そしたら帰りに急にミカエルさんから依頼があったッス。ヴィクターからの亡命の支援っス」

 

「……この時期に珍しいですね」

 

 ペトの言葉に疑念を感じた小猫ちゃん達に、俺達が補足説明する。

 

 なんでも旧魔王の末裔だそうで、詳しい情報は俺達にも教えられなかった。

 

 旧魔王派はシャルバ達主導による暴走の影響で混乱期だが、更に方針の大幅転換をカテレアが打ち出して混乱が加速してるらしい。

 

 日本政府が保護をするのは、この時期に旧魔王末裔が来ても現政権の悪魔側が困るということからだとさ。

 

 大王派は旧魔王の栄光を出来る限り削ぎたい分らしい。魔王をお飾りにして、事実上の家紋としての栄光のトップを大王が独占したい節があるとの事だ。

 

 どっちにしても、今の魔王が確定している状況で、いきなり戦争中に旧魔王の末裔が来ても居場所を作りづらい。かといってセラフやグリゴリが確保してもそれはそれで政治的に混乱を引き起こす。他の神話体系とかもっと勘弁してほしい。

 

 で、いっそのこと人間世界に任せちまえばいいんじゃねえかと総理大臣が名乗りを上げたそうだ。それに大王家が飛びついたらしい。

 

 ……あの総理大臣のことだ、生来的な政治のカードにするつもりなのが透けて見えるぜ。甘いぞ大王。

 

 ま、それはともかくそういうことで、自衛隊が不法入国者の確保を行ったら、逃亡していた旧魔王末裔でした~! って感じで保護する手はず。

 

 つっても、追手が来る可能性は捨てきれねえので、三大勢力側からも戦力を送り込もうという話になった。

 

 そこで、三大勢力共同保有の戦力となり、かつ神滅具持ちという強キャラの俺が選ばれた。

 

 ……しっかし、旧魔王末裔の逃亡とか向こうも阻止してえだろうな。

 

 よし、ここはちょっと誘いをかけるか。

 

「なあ、この日暇してるなら、ちょっと手を貸してくれねえか? 悪魔の仕事って感じで対価は俺が払うからよ」

 

 と、俺は木場達に誘いをかけた。

 

「……私は無理ですね。まだ教職などの関係で忙しいので」

 

 と、ロスヴァイセさんには断られた。

 

「イッセーくんと部長も難しいね。ちょうどその日が儀式の日だから」

 

 なるほど、あんがとよ、木場。

 

 ってことはそれ以外のメンバーは―

 

「私はかまいませんわ」

 

「私も構いません」

 

「はい。私も協力します」

 

「私も構わんぞ」

 

「ミカエル様からの依頼、ヒロイくんが独占するなんて見過ごせないわ! 私はミカエル様の(エース)だもの!!」

 

「ぼ、僕はたくさん人がいるところはまだキツいです~」

 

 ギャスパーには断られたが、しかし結構集まったな。

 

 ああ、これはまるで疑似ハーレムだ。美少女に囲まれてウハウハだぜ!!

 

 問題は、その大半が俺以外の野郎に惚れてるってことだけどな!!

 




そういうわけで、三大勢力の預かりとなったヒロイはいろいろと仕事を受けるようになりました。

なにせ神をぶちのめした男ですから。集まる期待も生半可なものではないのです。
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