ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、そんなわけでそううまくいくわけがありません。


第三章 24

 

 何が起きたぁ!?

 

 俺は速攻で走り出しながら、通信を開く。

 

 くそ、合流まで時間があるから飯食ってたんだぞ!!

 

 今から動いたら横っ腹がいてえ。腹に傷がついたら間違いなく大打撃だ。

 

 もしこれが全くの別件だったら俺は切れる自信があるぞ!!

 

「すんません! これ何事ですか!?」

 

『緊急事態だ。……亡命予定の船が襲撃を受けている』

 

 あ、今回の件ドンピシャってわけか。

 

『すまないが、君達には戦闘の主力を担ってもらうことになるだろう。……子供達を前線に送るのは心苦しいが、ウツセミの数にも質にも限度があるのだ』

 

「それに関しちゃお構いなく。元々その為の人員ですぜ、こっちは!」

 

 むしろ、異形側は結構徹底的な実力主義だからな。こういう気遣いは新鮮でいいね!

 

「……サポートをお願いします」

 

 小猫ちゃんもそういう中、俺達は甲板に飛び出て空を飛ぶ。

 

 翼を持つメンバーは自力で飛び、俺と姐さんも神器で飛行を行う。

 

 そして数分後、すぐに目標を発見した。

 

 方向では、偽装タンカーで接近して合流する手はずになっていた。

 

 そして、タンカーなのは問題ない。

 

 問題は、そこにいる悪魔達が一生懸命結界を張って、ミサイル攻撃を防いでいるという事だ。

 

『―聞いてくれ』

 

 と、護衛艦の艦長から通信が届く。

 

『亡命者のガードはこちらで行う。君達はその間、攻撃を行っている敵艦の注意を惹きつけてくれ』

 

 なるほど。確かにそうなるな。

 

 少数精鋭の俺達は点のオフェンスが向いている。逆に数は多いが性能が低めのウツセミを中心とする自衛隊は面のディフェンスに回るべきだ。

 

 この護衛艦の武装は。もとから持っている武装とウツセミの展開機能の後付けだ。カバーできる範囲には限度がある。現段階では、離れたところにいる敵にウツセミを送り込むのは不可能だ。

 

 ゆえに、遠くまで行ける俺達がオフェンスだ。

 

「戦闘開始! 朱乃はアーシアの護衛に徹しなさい!! ペトはミサイルを撃ち落として!!」

 

 最も戦闘経験豊富の姉さんが指示を出し、俺達は戦闘を開始する。

 

 俺もまた、ミサイルの射出方向から敵艦の方向を割り出して接近する。

 

 対空砲火を避ける為に出来る限り海面すれすれを真剣で移動しながら、そしてそれを見た。

 

 敵艦艇は駆逐艦1隻とコルベット二隻。クーデターで独立した連中が確保した奴だろう。

 

 それがミサイルを定期的にぶっぱなしながらこっちに向かって迎撃態勢を取る。

 

 まずはロケットが射出され、俺達の上空で爆発。大量の結晶体をばらまいた。

 

 あの結晶体は、禍の団が三大勢力の和平でばらまいたのと同じもの。つまりはドーインジャーの卵だ。

 

 アザゼルの推測では魔獣創造の禁手によって作られたものだと推測されている。作り出した魔獣を結晶体にする事により、長期間の維持を可能にした代物。更に運搬も容易になるという優れモノだ。

 

 そして想像通り、その結晶体はドーインジャーとなって攻撃を開始する。

 

 なるほど、想定通りだが―

 

「ペト!!」

 

『OKッス!!』

 

 その言葉とともに、駆逐艦に備え付けられた単装砲が爆発する。

 

 ペトの狙撃で破壊されたのだ。

 

 流石ペトだ。10kmは離れてるのに目標をピンポイントでぶち抜きやがった。っていうかもうポイントに到着してたか。

 

 更にCIWSすら破壊され、ミサイルも発射された瞬間に撃ち抜かれる。

 

 相変わらず、できるな。すげえ狙撃能力。

 

 さて、これで駆逐艦は俺達をピンポイントで攻撃出来ない。そして―

 

「あらあら。これはもう、濡れ手に粟ですわね」

 

 朱乃さんが雷光でごっそりドーインジャーを吹っ飛ばす。

 

 よし、これがウツセミなら苦戦しただろうが、俺達なら余裕だ!!

 

 小猫ちゃんがアーシアの護衛に回り、朱乃さんとペトがそのままミサイルの妨害に回る。

 

 それに対して駆逐艦は管内の格納庫に格納していたドーインジャーを展開。それを分散させながら攻撃を仕掛ける。

 

 だが甘い!!

 

「ヒロイと祐斗は駆逐艦、ゼノヴィアとイリナはそれぞれコルベットを潰しなさい!! 私と朱乃でドーインジャーを減らすわ!! 小猫はアーシアと一緒にタンカーの護衛と怪我人の治療に回りなさい!!」

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」」

 

 こっちには広範囲攻撃ができる女傑が二人もいるんだよ!!

 

 ドーインジャーの相手を姐さんと朱乃さんに任せ、俺達は駆逐艦を占拠する為に突貫を試みる。

 

 狙いはCICとブリッジ。そこを占拠すりゃぁ、こういうのは動かせなくなると相場が決まっている。

 

 自衛隊の護衛艦も二隻で行動しているし、この調子でいけば十分勝ち目がある!!

 

『聞こえるか! こちらはタンカーを視認した。多少の打ち漏らしはウツセミで迎撃するから気にするな!!』

 

 更に後詰もOKときたもんだ。これは良い感じだぜ!!

 

 さて、あの駆逐艦に英雄の敵手にふさわしい連中がいるかどうかを期待させてもらうぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして駆逐艦に突入して五分後。

 

 とりあえずブリッジから突入して、徹底的に航行システムをぶち壊した。

 

 敵も兵士を何人も用意していたし、蛇の保有者も何人かいたが、あっさり返り討ちだ。

 

 なにせこういう通路は狭いからな。ドーインジャーも二列が限界だし、進むのは難しいがやられるのも難しい。そう言う意味じゃあうっとおしいだけだ。

 

 船の航行システムに関しても簡単だ。なにせ俺の紫に輝く双腕の電磁王(ライトニング・シェイク・マグニートー)は電磁力操作。

 

 ハッキングなんて言う真似はまだまだ要修行だが、電磁パルスをぶっ放して大雑把にぶっ壊すのは簡単だ。まあ範囲がまだまだ小さいがな。

 

 そういうわけでブリッジの航行システムは修復不能だ。そして電磁パルスを垂れ流しにしながら移動しているので、この調子ならこの駆逐艦はもう使い物にならなくなるだろう。

 

 既にミサイルの発射も止まってる。こりゃ後は艦長を捕まえれば終わりだな。

 

 艦長クラスならそこそこ情報を知っているだろう。捕まえれば多少は状況を楽にする事が出来るかもしれない。もし女ならイッセーに頼もう。一発で終わる。

 

 と、言うことで俺達はCICの入り口に到着した。

 

「……木場、行くぞ」

 

「ああ、行こうか」

 

 俺達は頷いて、速攻で扉―

 

 ―の横の壁を切り裂いて突入した。

 

 だって扉開けたら速攻で撃たれるだろうしな。

 

「英雄参上! おとなしく投降しな!!」

 

 俺はそう言いながら槍を突き付け―

 

「ハッ! やだね!!」

 

 目の前に迫りくる拳を移した。

 

 とっさに伏せてかわすが、衝撃波で駆逐艦の内部に破壊の嵐が巻き起こる。

 

 あぶねえなオイ。っていうか、これでとどめになったんじゃねえか!?

 

「お前正気か!?」

 

 この船いくらすると思ってるんだよ! 日本円換算で数百億はするだろ、オイ!!

 

 そして俺は見た。その男を。

 

 ……明らかに悪そうな、筋骨隆々の大男だった。

 

「どうでもいいぜ! 上からはぶっ壊してもかまわねえって言われたしな!!」

 

 その言葉とともに、今度は両手を組んで振り下ろしてきやがった。

 

 俺はとっさに転がって交わすが、然しすぐに振り返った大男は殴り掛かる。

 

 それをバックステップでかわしながら、俺は即座に聖槍を壁に叩き込んだ。

 

 壁を破壊して船外に離脱し、甲板に避難。敵も勢いのままに甲板に躍り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒロイくん!!

 

 くっ! CICの中にはあの男以外誰もいない。どうやら既にこの船を放棄したらしい。

 

 有効性が低いと分かっていながらドーインジャーを船内で運用したのは時間稼ぎか。

 

 向こうとしては意地でも亡命者は阻止したいと思っていたが、既にヴィクター経済連合は旧魔王派に利用価値なしと判断したのか?

 

 ただでさえ旧魔王派が大敗を喫したこの状況。そのうえで末裔が亡命に成功すれば、一気に旧魔王派からの亡命者が増える可能性がある。それだけは旧魔王派としては防ぎたいはずだ。

 

 それが、ふたを開けてみれば悪魔からの刺客は一人もいない。既に発言力が低下しているのにも関わらずだ。

 

 これは、形だけの追手だとでもいうつもりか?

 

 いや、今はそんな事を考えている時ではない。

 

 今やるべきはヒロイ君の援護……でもない。

 

「そこにいる君。……もう気づいているよ」

 

 というより、僕を試しているんだろう。

 

 レベルの低い相手なら気づかないが、一定以上の実力者なら確実に分かる。そういうギリギリの塩梅の気配の殺し方をしていた。

 

 そして、CICの壁を撃ち抜いて砲撃が放たれる。

 

 僕はそれを横っ飛びで回避して、一気に接近する。

 

 同時に、敵もまた壁を破壊してこちらに突撃を仕掛けてきた。

 

 一見すると普通の風貌。だけど相当の修羅場を潜ってきた事が分かる体つきをした人間がそこにいた。

 

 英雄派の神器使いか? いや、それにしてはかなり軍人的な服装をしている。

 

 英雄派の神器使いは僕達と同年代が多い。そして、服装も学生服のような制服を基本としている。

 

 つまり、彼はそれ以外の派閥ということか?

 

「誰かな? 出来れば所属を教えてくれると嬉しいんだけど」

 

 そう言いながら切りかかると、その男はそれを交わしながらため息をついた。

 

「異形ってのは阿保が多いのか? んなもん素直にしゃべる兵士はいねえっての」

 

 なるほど。確かに正論だ。

 

 だけど、愚痴をついたのは失敗だったね。

 

「つまり、ヴィクターに参加したクーデター部隊や国家の兵士か。見た目はアジア系じゃないけど、今回のために派遣されたことを見るに、それなりに優秀な人物ということかな?」

 

「チッ! 育ちのいいガキだ。羨ましいなぁ!」

 

 いやいや、僕も結構ハードな生い立ちだよ。

 

 もっとも―

 

「部長に拾われてからは良い生活だったからね!!」

 

 ……出来るね、これは。

 

 ヒロイくん、悪いけどそっちは任せたよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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